英語と書評 de 海馬之玄関

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TOEICパート3の設問分類

2006年01月21日 12時15分20秒 | TOEIC/TOEFLの話題
 
TOEICの学習相談をしていると、「自分は、英会話はそこそこできるのですが、TOEICテストでは得意なはずのリスニングでもなかなか思うようなスコアがでないんです」という相談をよく受けます。そして、それらの方の多くは異口同音に「流れてくる音声はバッチリ聞き取れるのに、パート3とパート4では、制限時間内に(流れてくる音声と音声の間のインターバル6~8秒の中で)設問文と選択肢をちゃんと読み取れない」と話されます。


今日は、このような悩みをお持ちの方のためのワンポイントアドバイスを書きます(★)。

★註:TOEIC設問の構造
TOEICのパート3およびパート4、ならびに、パート7の各問の基本的な構造は(今年平成18年5月の新テスト以降後も)、課題文→設問文→選択肢の構成ですよね。そして、リスニングパートとリーディングパートの違いは、課題文がリスニングセクションのパート3およびパート4では音声で流れてくるのに対してパート7のリーディングコンプリヘンションでは文字で書かれているだけの差異にすぎません。パート3タイプの問題からサンプルを一つあげておきます。


課題文:
W:Are you still looking for a new job?
M:Yeah, and I have a good lead. Peter told me there’s an instructor opening at his sports club.
W:Wow! That’d be a great chance for you.

設問文:
Most likely, what will the man do next?

選択肢:
(A)Apply for the instructor position.
(B)Meet Peter for lunch.
(C)Work out at the sports club.
(D)Wait for Peter to give him detailed information.


正解:(A)



しかし、ワンポイントアドバイスと言っても手品のような話しがあるわけではありません。英文を早く正確に読めることはビジネスを英語で行う英語力の基本中の基本でもあり、その能力開発のためには、何といっても文法・語彙・語法の基礎体力作りとならんで毎日少なくとも1,000ワード程度の英文をちゃんと読む積み重ねが不可欠だと思うからです。そしてもう一度言いますが、早く正確に英文を読み取るスキルはTOEICのリスニングセクションでもとても重要なのです。


ポイントは、(甲)パート3やパート4に出てくる設問文のパターンを覚えておくことと、(乙)設問文のパターン毎に、選択肢の中の(選択肢が、単語ではなく10語前後と比較的長いセンテンス場合、そのセンテンスの中の)どのような情報をスキャンすれば良いのかを覚えることです。後者を説明するにはどうしても<演習>の作業が必要になるので今日は前者に関する(しかも、パート3に絞った)情報を紹介します。すなわち、<TOEICパート3の設問文のパターンとその出題比率>です。

尚、この分類は『TOEIC®オフィシャルガイド』(Vol.1&Vol.2)ならびに昨年1年間8回のTOEIC本試験を実際に受験して得たデータをもとに作ったものですが、『TOEIC®テスト新公式問題集』(財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会・2005年12月)の二回分のサンプル問題を分析した結果も以下の結果とそう違いはありませんでした。


設問文の分類
①会話全体に関する問い(12%)
②話者の正体に関する問い(8%)
③話者の認識に関する問い(16%)
④話者の行動に関する問い(32%)
⑤会話に登場する第三者に関する問い(20%)
⑥会話に登場する事件やイベントに関する問い(12%)

設問文の例
①会話全体に関する問い
Where is this conversation most likely taking place?
What are the speakers mainly discussing?
What is the topic of the conversation?

②話者の正体に関する問い
Most likely what is true of the woman?
Who is the woman?
Which department does the woman work in?

③話者の認識に関する問い
What does the woman suggest the man do?
What problem does the woman mention?
What kind of problem do the speakers have?
What is the woman worried about?

④話者の行動に関する問い
What does the woman offer to do for the man?
What did the woman do recently?
What is the purpose of the woman's call?
What will the speakers probably do next?
How are the speakers getting to the meeting?
How much are they going to pay for lunch per person?

⑤会話に登場する第三者に関する問い
What is true of the woman's sister?
Most likely, where is Jack Robinson?
Who is seeking a new position?
What does the caller do?

⑥会話に登場する事件やイベントに関する問い
When will the package be shipped?
What will happen in five minutes?
When will the picnic be held?
How were the speeches?


最近、JRや小田急線の車内でよく見かけるある英会話スクールの広告があります。英会話イーオン(AEON)の広告。そこにはこう書いてあります。

Does getting lifelong English skills this year seem like wishful thinking?
Think again. It’s possible. It’s absolutely possible.

(一生モノの英会話をこの一年でモノにしたいっていう、ムシのいいはなし。アリです、大アリです)

”Does getting lifelong English skills this year seem like wishful thinking?”は” wishful thinking”(希望的観測)という語彙を除けばそう難しい単語は使われていないけれど、疑問文を作る助動詞の”Does”と本動詞の”seem”(または”seem like”)が離れていてちょっと見た目にはわかりづらいですよね。


実は、アメリカ人の同僚達に聞いてみたところ。これは、”Is obtaining lifelong English skills this year wishful thinking?”の方がナチュラルだと言います。従属節を含んだ疑問文:”Which proposal do you think the CEO will go with?”でもあるまいに、やっぱり単文で助動詞と本動詞の間に6語も単語が並ぶとネーティブにも「ギクシャクした不自然な英語」と感じられるようです。閑話休題。

いきなり何でTOEICからAEONの広告の話しになったのかというと、”Does getting lifelong English skills this year seem like wishful thinking?”という疑問文は、「応答問題」のパート2には出題されるとしても、TOEICのパート3には出題されない。このことを言いたかったのです。

つまり、360度すべてのタイプの設問文に備えるのではなくパート3では上で分類した設問文だけを想定していればいい。更に言えば、選択肢からスキャンすべき情報も流れてくる音声から聞き取らなければならない情報も実はかなり限定されているということです。このような認識に立ってバッタボックスじゃなかったTOEIC本試験に臨まれればと思います。

言い出したので、野球の喩えで敷衍すれば、「TOEICのパート3ではフォークもスライダーもシンカーもナックルボール(”Does getting lifelong English skills this year seem like wishful thinking?”)も飛んでこない。飛んでくる/テストブックに印刷されているのはストレートとカーブだけ(上で分類したパターンだけ)なんだな」と思えばいいのです、と。


同じTOEICのリスニングセクションでもパート2「応答問題」では、テストブックに設問も選択肢も何も書かれていないこともあり、聞こえてくる設問のパターン分類に関心を持たれる受験者は少なくないと思います(また、大抵のTOEIC対策本にもパート2の設問文の分類は書かれています:Yes/No Question, WH Question, 付加疑問文, 選択疑問文, 命令文, <will you>や<shall I>の提案型, <・・right?>の確認型、等々)。しかし、パート3やパート4ならびにパート7では設問文はテストブックに印刷されているにもかかわらず、そのパターン認識に無頓着な方が少なくない。どうもそのようなのです。ならば、これは得点獲得のポイントの一つと言えるでしょう。

気休めにせよ、これが「パート3とパート4では、制限時間内では設問文と選択肢をよく読み取れない」という悩みを持たれるTOEIC受験者への私からのアドバイスです。お試しください。


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