快風丸

俺の船に乗らないか。

リサイタル 昨日

2010-05-09 22:54:35 | Weblog
 愛知県芸術劇場コンサートホール。
フジコ・ヘミング ピアノ・ソロ・リサイタル。

 この席から見てました。3階ですが、中央なのです。



 NHKのドキュメンタリーを見たのは何年前だろう。
CDを買って聞きこんだ。ぜひ、生で聞いてみたいと思った。しかし、チケットは即日完売、東京、大阪がメインで名古屋にはなかなか。
 しかもだいたい有名オーケストラが一緒で、チケットが高額。あきらめてました。

 新聞で見つけた。名古屋、土曜日、ソロ。¥8,000は、サラリーマンのお小遣いに優しくはないが、頑張れば何とかなる。

 指折り数えて待ちましたよ。この日を。CDで、テレビで、幾度となく聞いたあの”ラ・カンパネラ”を。

 野良犬ロッカーには不釣り合いかと思われたホールも、思ったほど敷居は高くなく感じた。
「これでもかHighファッション」はちらほら。
平均コーディネート単価は120,000といったところだろうか。
ちなみに、私、パンツと靴下まで入れても¥20,000でお釣りがきます。

 13:30、ライトが落ちます。ドレスのすそを引きずって登場です。
CDではない、くっきりとその音色がダイレクトな感じなのです。もう胸がいっぱいです。

 フジコさんのことを、ミスタッチが多いだの、テンポが遅いのは表現上の理由ではなく技術が稚拙だから、とか言う人がいます。

 すべての音楽には、始まりと終わりがあります。その間でいろんなことがあるのです。人生と同じです。多少のミスが、その人生を意味のないものにしますか。完全な人生が面白い人生ですか。

 「私は、機械みたいに弾くのは嫌いなの。ぶっ壊れそうなほど繊細な”ラ・カンパネラ”があってもいいじゃない。」

 かつて、TVで見たフジコさんのことばの通り、それはクリスタルの鐘を打ち鳴らす、スリリングで、官能に満ちた、繊細な”ラ・カンパネラ”でした。

 一生、忘れられない音を手に入れました。