お昼の弁当は、お姐さんが毎日届けてくれる。
茶髪に細身のジーンズ、大きめのサングラスは
フィンガーファイブのアキラ風ブラウン・グラデーション・レンズ。
いつもキマってるぜ、姐さん。
昭和ワケあり美人。
最近、風呂敷が変わったと思ったら、ネームが入っていた。
ワケあり姐さんの秘密を解くカギなのかもしれない。
何かのメッセージを託されたのかもしれない。
姐さんの名前は秀子なのか、一男はどこへ行ったのか。
一食、¥400、味噌汁とふりかけ付き。
中古車専門店で聞いたら、今月はキャンペーンで、30,000くらいだそう。
定価 160,000、購入価格 120,000、11年乗って、残存価格25%なら
悪く無いなあ。
チョイ乗り用として、乗りつぶすより、その方が、コイツも幸せだと思う。
キズナなんかいらない。
それよりも、孤独を受け入れて、もっと自分になる。
今夜、酒場でウサを晴らしたとして、ひとりの部屋へ帰る。
幻想なんだよ、たいていは。
TVを消して、静かに本を読み、ジャズを聞いて。
たった一つの存在として立っているというのに。
なにかにつながれるなんてまっぴらだ。
ひとりとして、誰かを支えながら、誰かに支えられている。
それでいいじゃないか。
キズナなんかいらない。
さみしいのはよくないね。
だからせめて、きれいな色をえらびたいね。
ねえ、きみもそう思うだろ。
さあ、目を閉じて、明るい明日を想像しよう。
きっとうまくやれるさ、きみとなら、なにもかも。
ここでは、誰もが、肩の力を抜いている。
午後の日差しは、蛍光灯とミックスされ、落ちて広がる。
光の続く道を、ゆっくり歩いて帰ろう。
そして、ごはん食べたり、テレビ見たり、愛し合ったりしよう。