ハーフマラソンという種目はIAAF(国際陸連)の公認種目である。五輪で実施されることこそないが、毎年、世界選手権が実施されていて、日本からも毎回選手が派遣されている。
しかし、僕の考えでは、ハーフマラソンというのは、「手段」であり、それ自体が「目的」ではないと思う。トラックを主戦場とするランナーにとっては持久力を養成するために、マラソン・ランナーにとっては、狙う大会に向けてのペースをチェックするための大会として捉えられる場合が多い様に思う。
2月26日の東京と3月4日のびわ湖。2つの男子マラソンの代表選考レースを前に行なわれた丸亀国際ハーフマラソン。これが見事なくらい、2つの選考レースの「波乱の展開」を暗示するものとなっていた。
主役はやはり、川内優輝だった。福岡国際で3位となるも、
「東京で2時間7分台を出して、五輪代表入りを決める。」
と宣言。そのために昨年ハーフの自己ベストを出した丸亀で、更なる自己ベストの更新をと目標と語っていた。
レース当日、川内の前を走るランナーの多さに驚かされた。昨年の川内のタイムは1時間2分40秒で順位は9位。それが今年の丸亀で目標どおりに自己ベストを更新する1時間2分18秒でゴールするも、順位は27位に下がった。彼の記録を上回るランナー26人の内、21人が日本人ランナーだった。しかも1時間1分台が19人もいた。現在の公認ハーフマラソンとなったのが2000年。それから12年でサブ62分ランナーは7人とかいなかった(その内の1人は今回日本人トップの高林祐介)のに、今年だけで一気に倍以上に増えた。
しかも、その中には、びわ湖で日本人トップとなった山本亮(1時間1分54秒)、初マラソンでサブテンでゴールした森田知行(1時間1分55秒)もいた。大半は、今シーズンはマラソン出場を回避した若手ランナーや、箱根駅伝の優勝メンバー設楽啓太ら学生ランナーたちである。
あるいは、スタート前の川内の自己ベスト宣言が、彼らの闘志に火を点けたのだろうか?
昨夏の世界選手権以後、大阪、福岡、防府と年内に3度マラソンに出場、その全てに日本人トップでゴールした川内の快進撃は同時に、マラソンでなかなか結果の出せない実業団ランナーに対する批判も生み出した。駅伝中心の競技スケジュールを組む実業団が日本のマラソンを弱体化させた根源という批判まで飛び出した。
そんな批判に対する実業団ランナーたちの意趣返しのように思えた。あるいは、
「マラソンでは勝てないかもしれないが、駅伝で鍛えた俺たちをなめるなよ。」
という強烈なアピールだったのかもしれない。
ところで、フルマラソンの直前にハーフマラソンで自己記録を狙うというのは、リスクを伴うものである。フルマラソンの練習のためにハーフを走るというのであれば、マラソン本番のペースで走る、という選択もある。2時間7分台が目標ならば、1時間3分台前半のペースで走り、ゴール後どのくらい体力に余裕を残しているかをチェックする、という手法もある。自己ベストを出すことは、それだけ身体に負担をかけることとなる。
あくまでも結果論となるが、東京で2時間7分台を狙うなら、川内は1時間3分台のレースをすべきではなかったか?東京の失速に対して、「陰謀論」まで報じる週刊誌があった(他誌の原発報道を「煽り記事」と批判しているが、この方がよほどひどい煽りだ。)が、疲労の蓄積を指摘する声も聞かれている。丸亀で「追い込んだ」疲労が3週間で抜けなかったのではないか?
「リアル・アマチュア・ランナー」とも呼ぶべき川内だが、その自己アピールの巧さは「プロ」そのものだ。しかし、丸亀に関しては、「自己ベスト更新」は口にしない方が良かったかもしれない。
昨年の東京での惨敗以来、鳴りを潜めていた藤原新にとっては、丸亀は自身の健在をアピールする絶好の場となった。ピーキングは藤原の方が1日の長があったようだ。そして、山本も森田もびわ湖に向けて順調に仕上げていたのがよく分かった。
ところで、男子の好記録ラッシュに比べて、女子の方はどうしたのか。優勝はエチオピアのティキ・ゲラナで記録は1時間8分48秒だが、2位の永尾薫は1時間10分32秒。誰も1時間10分を切れなかった。名古屋を控えた伊藤舞や樋口紀子らは余裕を残してゴールしたものだと思いたいが、積極果敢に記録を狙うランナーがいなかったのは寂しい。今の日本の女子の弱体ぶりを示す結果だと、明日の名古屋のレースの後で振り返りたくはない。
今のマラソンにっぽんを凝縮したようなレースとなった今年の丸亀。愛媛マラソンには落選だったが、そんな丸亀を走ることが出来たのは、いい体験だったと思うことにする。
しかし、僕の考えでは、ハーフマラソンというのは、「手段」であり、それ自体が「目的」ではないと思う。トラックを主戦場とするランナーにとっては持久力を養成するために、マラソン・ランナーにとっては、狙う大会に向けてのペースをチェックするための大会として捉えられる場合が多い様に思う。
2月26日の東京と3月4日のびわ湖。2つの男子マラソンの代表選考レースを前に行なわれた丸亀国際ハーフマラソン。これが見事なくらい、2つの選考レースの「波乱の展開」を暗示するものとなっていた。
主役はやはり、川内優輝だった。福岡国際で3位となるも、
「東京で2時間7分台を出して、五輪代表入りを決める。」
と宣言。そのために昨年ハーフの自己ベストを出した丸亀で、更なる自己ベストの更新をと目標と語っていた。
レース当日、川内の前を走るランナーの多さに驚かされた。昨年の川内のタイムは1時間2分40秒で順位は9位。それが今年の丸亀で目標どおりに自己ベストを更新する1時間2分18秒でゴールするも、順位は27位に下がった。彼の記録を上回るランナー26人の内、21人が日本人ランナーだった。しかも1時間1分台が19人もいた。現在の公認ハーフマラソンとなったのが2000年。それから12年でサブ62分ランナーは7人とかいなかった(その内の1人は今回日本人トップの高林祐介)のに、今年だけで一気に倍以上に増えた。
しかも、その中には、びわ湖で日本人トップとなった山本亮(1時間1分54秒)、初マラソンでサブテンでゴールした森田知行(1時間1分55秒)もいた。大半は、今シーズンはマラソン出場を回避した若手ランナーや、箱根駅伝の優勝メンバー設楽啓太ら学生ランナーたちである。
あるいは、スタート前の川内の自己ベスト宣言が、彼らの闘志に火を点けたのだろうか?
昨夏の世界選手権以後、大阪、福岡、防府と年内に3度マラソンに出場、その全てに日本人トップでゴールした川内の快進撃は同時に、マラソンでなかなか結果の出せない実業団ランナーに対する批判も生み出した。駅伝中心の競技スケジュールを組む実業団が日本のマラソンを弱体化させた根源という批判まで飛び出した。
そんな批判に対する実業団ランナーたちの意趣返しのように思えた。あるいは、
「マラソンでは勝てないかもしれないが、駅伝で鍛えた俺たちをなめるなよ。」
という強烈なアピールだったのかもしれない。
ところで、フルマラソンの直前にハーフマラソンで自己記録を狙うというのは、リスクを伴うものである。フルマラソンの練習のためにハーフを走るというのであれば、マラソン本番のペースで走る、という選択もある。2時間7分台が目標ならば、1時間3分台前半のペースで走り、ゴール後どのくらい体力に余裕を残しているかをチェックする、という手法もある。自己ベストを出すことは、それだけ身体に負担をかけることとなる。
あくまでも結果論となるが、東京で2時間7分台を狙うなら、川内は1時間3分台のレースをすべきではなかったか?東京の失速に対して、「陰謀論」まで報じる週刊誌があった(他誌の原発報道を「煽り記事」と批判しているが、この方がよほどひどい煽りだ。)が、疲労の蓄積を指摘する声も聞かれている。丸亀で「追い込んだ」疲労が3週間で抜けなかったのではないか?
「リアル・アマチュア・ランナー」とも呼ぶべき川内だが、その自己アピールの巧さは「プロ」そのものだ。しかし、丸亀に関しては、「自己ベスト更新」は口にしない方が良かったかもしれない。
昨年の東京での惨敗以来、鳴りを潜めていた藤原新にとっては、丸亀は自身の健在をアピールする絶好の場となった。ピーキングは藤原の方が1日の長があったようだ。そして、山本も森田もびわ湖に向けて順調に仕上げていたのがよく分かった。
ところで、男子の好記録ラッシュに比べて、女子の方はどうしたのか。優勝はエチオピアのティキ・ゲラナで記録は1時間8分48秒だが、2位の永尾薫は1時間10分32秒。誰も1時間10分を切れなかった。名古屋を控えた伊藤舞や樋口紀子らは余裕を残してゴールしたものだと思いたいが、積極果敢に記録を狙うランナーがいなかったのは寂しい。今の日本の女子の弱体ぶりを示す結果だと、明日の名古屋のレースの後で振り返りたくはない。
今のマラソンにっぽんを凝縮したようなレースとなった今年の丸亀。愛媛マラソンには落選だったが、そんな丸亀を走ることが出来たのは、いい体験だったと思うことにする。
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