藤前干潟
今日の干潮時間 9時13分 潮位100cm
今日の満潮時間15時17分 潮位203cm
今朝はとても冷え込みましたね。
車のフロントガラスに氷が張っていて、寒さを実感しました。
そして、野鳥観察館に出勤して西を望むと、鈴鹿の山々の頂上付近が一晩でかなり白くなっていました。
昨日から今朝にかけて、雪が積もったようです。ここまで白くなったのはこの冬、初めてだと思います。
日中は太陽は出ていたものの、強く吹く伊吹おろしが身にこたえる日となりましたが、野鳥観察館周辺は小鳥たちでにぎわっていました。
ナンキンハゼの枝先では、ヤマガラが残り少なくなった白い実を器用についばんで食べていました。ヤマガラはシジュウカラと一緒に行動しているようでした。
この他、ジョウビタキ、メジロ、シロハラ、ヒヨドリ、ハクセキレイが、強い風にも負けず、活発に飛び回って餌を探していました。
また、稲永公園を歩いていると、この小鳥たちを狙っていたと思われるハイタカ(メス)が目の前に現れてびっくり。このハイタカ、小鳥(恐らくシロハラ)を狙って2度地面に降りたものの、狩りには成功しませんでした。
一方の野鳥観察館前に広がる庄内川河口も、鳥でにぎわってはいるのですが・・・、
ハマシギ、ダイゼンなどのシギ・チドリの群れは毎日やってきており、今日はカワウの大きな群れも庄内川河口の干潟で長い間過ごしていたのですが・・・、
ここ一週間ほどカモの仲間が少ない傾向にあります。
特に多数飛来しているはずのコガモとオナガガモが少なく、庄内川河口は少しさみしく見えます。
少し前になりますが、約10日前の潮の良い日(12月2日(土))のカモでにぎわう庄内川河口の様子をご紹介します。
今思えば、まだまだ暖かく、穏やかな陽気だったこの日。庄内川河口に広がった干潟の周りには、たくさんのオナガガモが集まり、餌を食べていました(2日のオナガガモのカウント数は1,905羽でした)。
餌を食べているオナガガモをよくよく観察していると、干潟の縁で餌を食べているオナガガモ(↓の写真の手前)と、少し深い場所で頭を水の中に突っ込んで、お尻を水面に出して餌を食べているオナガガモがいることが分かります。
こちらは干潟の縁で餌を食べているオナガガモたち↓。
泥と水をくちばしに含んで、すごい速さでくちばしをパクパクさせ、餌を濾しとって食べています。
「実際には何を食べているのですか?」と来館された方から最近よく聞かれます。食べているものが見えないので(可能ならば見たいのですが)、なかなか自信を持ってお答えできないのですが、干潟表面にあるケイソウなどのプランクトンや、同じく干潟表面や泥の中にいる貝などの底生生物などを食べていると思われます。
オナガガモが泥をくちばしに含んでいるのは見えるのですが・・・。
こちらは、少し深い場所で頭を突っ込んで逆立ちして餌を食べているオナガガモ↓。お尻だけがみえるこの光景は、来館者の方も興味深く観察されていることが多いです。特にオナガガモの特徴である長い尾がピンと上に立っていておもしろいですよね(オナガガモの英名はpintail(ピンテール=長くとがった針のような尾))。尾が黒色のカモがオスです。
この際、姿勢を垂直に保とうとして、バタバタと動く短い足も観察ポイントです。
来館者の方には「逆立ちしているオナガガモも、干潟の縁でくちばしをパクパクしているオナガガモと同じものを食べているのですか?」とも聞かれましたが、こちらの採餌の際は口元さえ見えないので、何を食べているのかやはりはっきり分かりません。しかし、逆立ちしているオナガガモも干潟の泥が縣濁した水を濾して餌を食べているのではないかと思っています。でも、逆立ち採餌の方が大変そうだな、と個人的には思うのですが、どうでしょう?
観察してしばらくすると潮が満ちてきて水深が増してきたため、オナガガモの群れは浅い場所(干潟が残る場所)を求めて移動していきました。
白色の首が目立つカモがオスで、メスは全身が茶色っぽい色です。
オナガガモの近くにはコガモもいました(↓の後方のカモ。手前はオナガガモ)。コガモは「子どものカモ?」と間違われることがありますが、子どものカモという意味ではなく、小さなカモという意味です。このコガモはオスで、目の周りの緑色が特徴です。
コガモは干潟での縁でオナガガモに混じり、くちばしをパクパクさせて採餌していました。
干潟の縁や水深の少し浅いところでほとんどのカモが採餌している中で、干潟の上を歩くカモがいました。
マガモでした。 緑色の頭のこちらのマガモはオス↓。
干潟の穴を探りながら足早に歩いていましたが・・・、
何と、泥の中からヤマトオサガニを捕まえました。
くちばしで咥えて・・・、
(くちばしアップ↓)
何度かくちばしで咥えて、カニをつぶしているようで、その後、ごっくんと飲み込みました。
その後も干潟を歩き回って、何匹ものヤマトオサガニを食べていました。
水たまりでカニをすすぎながら、くちばしで何度も咥えて、食べやすくしていると思われるところ↓。
図鑑などには、水草や植物の種を食べるとあるマガモ。こんなにヤマトオサガニを積極的に食べるマガモがいるとは最近まで知らなかったのですが、どうも干潟にはカニ好きなマガモがいるようで、このようなマガモを最近、何回か見かけました。
以前、干潟の縁で、鮮やかな早業でボラの稚魚を次々と捕えるマガモを見たこともありますが、そのとき以来のマガモについての驚きの発見でした。
最後はヒドリガモです。他のカモたちが食餌に忙しくしている中、ヒドリガモたちは干潟の縁でお休み中でした。
おでこのクリーム色がチャームポイントのヒドリガモのオス(↓の手前)とメス(↓の後方)。
以上、カモの仲間がとてもよく観察できた2日の様子をご紹介しました。
現在の庄内川河口はカモの仲間が少ないとご報告しましたが、藤前海岸の前や周辺の田んぼなどで、オナガガモがたくさん確認される日もあり(今日は日光川水閘門前にたくさんのオナガガモがいたため、カウント総数は1,000羽を超えています)、このような状況は一時的なものだと思われます(毎年、カモの数が一時的に少なくなる時があります)。
まだまだ春までカモたちの季節は続きますし、カモも実は奥深い鳥だと思います。
ぜひ藤前干潟を訪れた際はカモにも注目してみてください。
今日観察できた主な野鳥 ハジロカイツブリ3、カンムリカイツブリ95、カワウ2,292、ダイサギ2、コサギ15、アオサギ15、マガモ50、カルガモ105、コガモ24、ヒドリガモ22、オナガガモ1,103、キンクロハジロ6、スズガモ428、ミサゴ14、トビ1、ハイタカ1、チュウヒ2、ハヤブサ2、シロチドリ26、ダイゼン64、ハマシギ416、イソシギ1、ダイシャクシギ4、ユリカモメ32、セグロカモメ6、オオセグロカモメ2、ズグロカモメ27
明日の干潮時間10時03分 潮位 98cm
明日の満潮時間15時57分 潮位209cm
干潟に来られる野鳥カメラマンにはあまり人気がないように思うカモさんですが、観察していると色々な表情を見せてくれるカモさんが私は大好です。 干潟がカモさんで賑やかになるといいですね!
今回のブログは、姿や行動をじっくり観察することのできるカモの魅力が伝われば良いな、と思いながら書きましたので、いただいたコメントを嬉しく思いました。
確かに野鳥カメラマンの中には、カモはほとんど撮らないとおっしゃる方もいますが、「カモが好き」とおっしゃる方もちらほらいらっしゃいます。
今後も藤前干潟のカモの様子をブログでお伝えしたいと思いますので、よろしくお願いします。