落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

尖閣上陸・出来レース

2012年08月18日 | 政治・外交
尖閣に不法上陸した香港活動家7人は強制送還された。
他の7人も乗ってきた抗議船で引き上げた由。
逮捕時に大声で領有権を主張しただけで他の嫌疑はないものとした。
事件一連の流れから、日中政府の出来レースという見方もある。
中共では政府中枢交代時期にあり、頻発するデモのガス抜きとのこと。

しかし、いずれは南シナ海のように武装船であるいは、武器を搭載した偽装漁船でやってくるだろう。
中共の崩壊までは安心できない。
尖閣不法上陸 強制送還の活動家 空路7人、自費出国 2012年8月18日(土)08:05
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20120818099.html

 ■入管当局「負担理由ない」
 不法入国者の帰国に際しては、現金がない場合や、病気などの理由で速やかに帰国させなければならない場合などを除き、不法入国者の自己負担が原則。出国した活動家らは、自費で帰国の途に就いた。
 入国管理局関係者によると、通常の強制送還の際、身柄の引き渡しを受けた入管は、不法入国の事実を確かめる「違反調査」をする。今回は入管職員が魚釣島の上陸を目の当たりにしているため、短時間で終わった。
 強制送還に不服がある場合は法相に異議を申し出ることができるが、それもなかったという。

 入管当局は早い段階から「帰国費用を日本側が出す理由はない」(幹部)と明言。空路で出国した7人は航空券を自費で手配したという。中国側が渡航のための臨時のパスポートも発行したため、入管は出国を許可した。
 一方、残る7人は不法上陸に使われた抗議船を使って出港した。活動家らが再び尖閣諸島を目指す恐れもあるため、海上保安庁は、日本の領海外など帰国が見通せる海域までは巡視船が並走して監視した。また、入管当局によると、抗議船への燃料や食料の補給についても、「日本の負担はない」としている。

石平(せきへい)のチャイナウォッチ
http://archive.mag2.com/0000267856/index.html

尖閣上陸、日中両国政府の「出来レース」

8月15日に起きた香港抗議船の尖閣上陸事件で一番意外なのは、 要するに「万全な体制」を敷いて 香港船の到来を待ち構えていたはずの海上保安庁はどうして、 一隻だけの船の尖閣接近と上陸をそう簡単に許してしまったのか、 ということである。

海上保安庁自身の説明では、 「互いに怪我人を出していけないという政府の方針の下、 上陸阻止のための強硬手段を講じたなかった」ことが理由であるという。
事件の後、日本の政府は海上保安庁のこうした言い分を否定もしていないから、 それはおそらく事実であろう。要するに日本政府は上陸阻止によって 中国側に死傷者が出るような事態を心配して件の方針を出したわけである。 

実は中国側もこのような心配を共有しているようである。
8月13日、香港の抗議船がすでに出発した後、 中国二番目の国営通信社である中国新聞社の開設する「中国新聞網」は、 清華大学国際問題研究所の教授である劉江永氏の次のようなコメントを伝えている。

「われわれの保釣抗議船は関係の海域に入った場合には、 安全に気をつけなければならない。突発事件の発生を防止すべきである。 海上においてどのようにして突発事件の発生を防げるのか。
(それが発生した場合には)日中関係の大局にどのような影響を与えるのか。 われわれは全体的に考えなければならない」

以上の発言からも分かるように、劉教授も実は日本政府と同じく、 「安全」ということを何よりも気にしていて、 死傷者が出るような「突発事件」の発生を憂慮しているわけである。

そしてこの劉教授こそが、 中国政府の対日政策ブーレンとして知られる人物であるから、 彼の「心配」はおそらく個人的なものできなく、 むしろ今の中国指導部の気持ちを代弁しているのであろう。

それでは中国の指導部はどうして、 死傷者が出るような「突発事件」を憂慮しているのだろうか。
実は本来ならば、今回の香港抗議船の尖閣出航は、 中国政府にとってむしろ避けるべき事態である。
私の前回のメルマガでも指摘しているように、 今年秋の共産党大会と来年3月の全国人民大会開催までに 政権移譲という国内最優先日程を控え、 南シナ海ではベトナムやフィリピンと紛争している最中の中国は、 現時点で近隣大国の日本とコトを構える余裕はない。

尖閣で何か大きなトラブルでも起きれば、 苦しい立場に立たされるのはむしろ北京政府の方であり、 したがって現時点では、尖閣問題で自国民を刺激するような 大騒ぎを起こしたくない気持ちさえ今の中国政府にはある。

実際、今年の中国浙江省寧波市で7月中旬、 尖閣諸島の中国領有権を主張する「保釣」(釣魚島防衛)運動活動家20人が 漁船をチャーターして尖閣海域に向かおうとしたところ、 同市当局に阻止されたことがある。

ならば、どうして中国政府は今回一転して、 香港の抗議船の出航を黙認したのだろうか。
その理由はおそらく、先日における韓国の李大統領の竹島上陸にある。
韓国の大統領が自称する韓国の領土に「堂々」と上陸してしまうと、 中国の多くの国民はそれに刺激されて「われわれの政府は一体何をやっているのか」 と中国政府の方を突き上げてくるのである。
そうすると、中国政府としては国民の不満と反発をそれ以上助長させないためにも、 「竹島上陸」の直後の香港船の出航を認めざるを得なかったのであろう。

しかし出航を認めていても、中国指導部はやはり、 死傷者が出るようなことを何よりも恐れている。
そんなことが起きると、中国政府は 直ちに日本との全面対決に突入する以外には道がない。 国内の政治的日程が完全に潰されてしまうのである。
だから中国政府としては何としてもそれを避けたいのだ。

だが実際に死傷者が出るようなことが起きるかどうかは、 むしろ日本側の対応次第である。
日本の海上保安庁はどんなことがあっても香港船の上陸を絶対阻止する、 という方針をとって実際にもそうやってしまう場合、 死傷者が出てしまう可能性もないわけではない。
だから、中国政府はもっとも望んでいることはすなわち、 日本の海上保安庁が上陸阻止よりも 「死傷者が出させないこと」を基本方針にして行動することである。
そして本文の冒頭ではすでに見ていたように、 日本の政府、すなわち野田政権はまさに中国政府の望む通りの方針を定めて それを海上保安庁に指示したわけである。

日中両国政府はそれほどぴたりとした阿吽の呼吸ができたとは、 まさに驚くべきことである。おそらく香港の抗議船が出航した時点で、 日中両国政府の間で何らかの意思疎通と了解が執り行なわれたのではないかと思う。 そう思うのはむしろ自然であろう。

このようにして、香港の抗議船の上陸が決局許されてしまったのだが、 上陸した以上、日本の官憲は当然、それを逮捕しなければならない。 だが、逮捕した後でどうするのか、という肝心の問題となると、 野田政権の方針はおそらく最初から決まっているように思われる。
要するに日本の領土を侵犯した犯罪者たちを起訴もせずにして 「法に則って粛々」と送還してしまうことである。
今この原稿を書いているのは16日の午後であるが、大方の報道によると、 明日の17日には強制送還はさっそく実行されるようである。

もちろん、野田政権のこの方針を誰よりも歓迎しているのは中国政府であろう。 中国指導部の心配はこれで完全に解消されただけでなく、 「日本に圧力をかけて降参させた」との勝利宣言を、 国民に対して高らかに宣言することも出来るのである。

こうして見ると、香港抗議船の出航から「強制送還」までの一連の動きは完全に、 日中両国政府の共演した「出来レース」なのである。
そして、この「出来レース」の勝者はいうまでもなく、かの中国政府である。
わが日本国政府は、この日本の国益を守るために、一体何をやっていたのだろうか。
( 石 平 )



さえない自民党

2012年08月18日 | 政治・外交
いつも「なにをやってるのか自民党」と思ってしまうが、まさに同感な論評。
ジャーナリスト・東谷暁 危機助長する谷垣氏の倒錯 2012.8.17 03:02
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120817/stt12081703020000-n1.htm

 どのように考えても、民主党による事実上の単独政権は命脈がつきている。たとえ、秋に総選挙が行われても、いまのような形で民主党の支配が続くことはありえないだろう。

 民主党政権の最大の失態は外交であることは明らかだ。同政権が成立してから、米国との関係が悪化し、中国の尖閣諸島における干渉を許し、北方領土にはロシアの大統領が訪れただけでなく同国のミサイルが配備され、いままた竹島の韓国大統領訪問を阻止できない。

 救いようがないと思われるのが、こうした外交における失態の連続のなかで、国民の批判がこの分野であまり高まらないことだ。今月はいわゆる「終戦記念日」の月でもあることから、マスメディアは「平和への祈り」を奏でるのに余念がない。

 本来なら、いまのように民主党政権の基盤が決定的に揺らいでいるときこそ、対外的な不如意は激しい批判となって噴出してもおかしくないはずだが、いまだに続く平和主義の悪習がこの劣悪な政権をかろうじて救っている。これを歴史の皮肉というには、あまりにも情けない状況というしかない。

 日本国内では、いまだにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が、中国封じ込めの有力な手立てであり、その推進は安全保障も強化するという論者がいる。それどころか、同協定は安全保障が本質だなどと言う政府高官すらいるほどだ。

 しかしすでにバーシェフスキー元米通商代表部代表が、経済的な中国封じ込めは不可能と発言している。ある英経済紙は外交的にみればTPPは「ドングリ」を集めるようなものと酷評した。この8日にはマランティス米通商代表部次席代表が「TPPは中国を牽制(けんせい)することが目的ではない」と明言している。

 私が言いたいのは、現実の安全保障問題において、日本はとんでもない危機に陥っているのに、例によって民主党政権は、解決策でないものを、解決策であるかのように思い込むように国民を誤誘導しているということである。民主党は、はなから安全保障問題をなめているのだ。それだけでも民主党は責任与党としての資格を喪失している。

 ところが、ここからがむしろ重大なことだが、最大野党である自民党はすでに「死に体」となった民主党の延命に協力しているのである。自民党の谷垣禎一総裁は、まったく倒錯していると言わねばならない。

 なぜ、選挙があれば政権から転げ落ちる政党を「近いうちに」という飲み会の空約束のような言葉で、わざわざ延命させなければならなかったのか。すでに3党合意は合意後の民主党の言動によって反故(ほご)にできる条件がそろっていた。しかも、たとえ「社会保障の一体改革」といわれる大増税を成立させても、「国土強靱(きょうじん)化基本法案」の実現を目指す自民党にとって、事実上、一体改革は無効にせざるをえないではないのか。

 最後に、あまり言いたくないことだが、あの奇妙な詰め襟シャツで登場する谷垣総裁を見るだけで、この人は駄目だと思わざるをえない。私は政治家がだらしないクールビズとかの服装をするのにも批判的だが、谷垣総裁の格好などは「私はやる気がありません」と表明しているようなものだ。谷垣総裁の命脈もすでにつきている。
(ひがしたに さとし)

最後の一文も同感。
政治家がだらしないクールビズとやらでノーネクタイ、上着なしでは緊張感ゼロ。
今や、いろんな素材の涼しい下着やカッターシャツが店頭に並んでいる。奥様方はほったらかしかい。
国会や事務所は冷房なしってことはないだろ。ビシッと姿形から決めてもらいたいものだ。
あなた方は国を左右する特別な仕事なんだわ。

MSN産経ニュース 2012/08/16 より