映画が好きだ。映画そのものは勿論、劇場の暗闇で一人になれる時間は貴重だ。
良い映画を見る。心が動かされる。しかし東京という町では時に、映画館から出て駅に着くまでにその感動が全て消えてしまうような、そんな経験をする事もある。
感動が維持されるような町にある映画館は中々ない。
仕事柄、映画に行くのは日曜の深夜が多い。そんな時間でも上映している映画館は、今まで新宿に一軒しかなかった。しかし最近、すぐそばにもう一軒出来た。選択肢が増え事は、単純に嬉しい。
しかしその巨大なゴジラの映画館。場所柄、駅に着くまで(深夜の場合はバイクの駐車場に着くまで)どころか、映画館から出る前に感動が消え失せる事も多くて…。昨日は、上映が終わり客電が付くと、ゲロまみれの酔っ払いが床に倒れていたのであった。
客引きの声をかき分け、微妙な気持ちでバイク駐車場に向かう。そこに現れたあいつ。
僕は根本的には東京の繁華街が合わないのかもしれない。でも最後の最後で「でもこの町も悪いばかりじゃないな」と思わせてくれるのは、やっぱり片手袋のおかげなのだろう。