『マツコの知らない世界』をご覧頂いた皆様、有難うございました。そして、なんだか申し訳ありませんでした…。僕の極めて個人的な研究(という名の病)を、公共の電波、しかもあの人気番組で取り上げて頂くなんて、活動を本格始動させた13年前には想像すら出来ませんでした。
僕の悪い癖で、いつも「片手袋研究そのもの」と「片手袋研究に憑りつかれた自分自身」をごちゃ混ぜにして喋ってしまうんです。
例えば「片手袋の写真を撮る」というのは研究にとって必要な作業ですが、「片手袋を見つけたら“必ず”写真を撮る」というのは研究を逸脱し僕自身の心の問題になってきます。これを同一レベルで話してしまうので、いつも「で、結局何をやってる人なの?」となってしまうんですよね。番組をご覧頂いた皆様はどうでしたか?
半ば呆れながらもマツコさんは、「片手袋研究に限らず、この世の中の事なんてみんな無駄なんだよ。私がこうやってテレビに出て話している事だって。でもそんな無駄なものだって、いつか「あー、よくぞやっておいて下さいました!」って言ってくれる人が出てこないとも限らないんだよ」と仰って下さり。とても勇気付けられる言葉でした。
今回の番組はあくまで入門編的内容でしたが、来週2/12(月、祝)にトークイベント、「片手袋のうら・おもて」が開催されます。
場所はEDITORY神保町 、時間は18時より。ご予約はこちらのページから出来ます。ネタとしてやってると思われてしまうのですが、本気(狂気)で13年続けてきた活動のかなり深い部分まで二時間みっちり掘り下げていきます。是非来てください!
あと取り合えず片手袋研究の概要はホームページ、
「片手袋大全」
にまとめてあります。また片手袋活動を続けていく心理的な辛さなどは、東京別視点ガイドさんにインタビューしてもらった記事、
「片手袋は呪い」なぜ道路に手袋が落ちているのか。その道30年、片手袋研究家に聞いてきた」
にまとまっています。
僕は書籍などを出版した経験はないのですが、片手袋研究がひとまず理解できる無料小冊子、『片手袋研究入門』があります。東京千駄木の往来堂書店さんと、東京谷中のひるねこBOOKSさんに置かせてもらってます。
ご近所の方、お近くに立ち寄られた方は是非お手に取ってみて下さい。あと東京で片手袋を熱心にとっている男を見かけたら、それ多分僕なんで、声をかけて下されば差し上げます。鶴瓶のチンコ人形スタイルです(分かりにくい例え)。
さて、せっかくこのような機会に恵まれたので、一度片手袋研究で取り組んでいるテーマを、「論理」と「感覚」にきちんと分けて整理しておきます。ちょっと長くなりますが。
・論理サイド
①撮影:見つけた片手袋の状況や場所の記録として、写真を撮る。大事なのは片手袋そのものを撮ると同時に、片手袋が存在している町の雰囲気も撮る事。現在までに4000枚以上の片手袋を撮影。なお、見つけた片手袋には絶対に触らない(研究対象に意図的な変化を加えない為)。
②考察:4000枚以上の写真、そして町で実際に片手袋と出会った体験をもとに、片手袋が生み出される原因や法則、時代や場所との関連性などを探っていく。
※片手袋の形状なども分類している
③歴史の記録:実は片手袋に魅かれてしまったのは歴史上、僕だけではない。あらゆる創作物に登場する片手袋を探し出し記録して、『片手袋の文化史』を形成していく。また、トム・ハンクス以降急速に広がり始めた片手袋撮影の輪を、どこまで広がっていくのか(あるいはいつか収束してしまうのか)観察していく。
※現在までに判明している、片手袋が登場する創作物一覧
④発信:執筆やメディア・イベント出演などを通じ、片手袋の魅力を伝えていく。
※片手袋を探しながらの七福神巡りツアー『片手袋GO』
※本屋さんでのトークイベントの様子
・感覚サイド
①想像&妄想:片手袋を落とした人、片手袋を拾った人。一枚の片手袋の背後にある様々な物語を、ボーっと想像してみる。冷たく無機質に思われがちな都会でも、様々な人々の人生が交錯し、影響しあっている事に思いを馳せる。
※ワークショップ形式で参加者が想像した物語を発表しあう事も。
②作品化:文章のように論理的に説明するのではなく、片手袋の持つ不思議な魅力を抽象的に作品として展開してみる。
③自分自身の観察:自分が片手袋研究から逃れられなくなっていく過程をどこかで第三者的に観察していく事で、人間の心の動きや思想の変遷がどのように行われるのか考察していく。
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長々と書いてしまいましたが、こんな事を続けてきた訳です。この十三年、ひと時も心と頭が片手袋から解放されたことはありませんでした…。しかし、そこまで心を奪われる対象と出会えたことは、やはり幸せなんでしょうね。
まだまだ冬型の片手袋と頻繁に出会える時期です。町中で片手袋と出会ったら、心のどこかで「そういえば馬鹿な事やってるやつがいたな」と思い出して頂けるだけで幸いです。
番組をご覧頂き、わざわざ当ブログまでお越し頂いた皆様。本当に有難うございました!