6月 25日(日) 【長崎県】新上五島町主催バリアフリー一般公演
新上五島町は、今から7年前に文化庁の公演で有川小学校で『星の王子さま』を上演してから、地域の子どもたちのためにと、毎年、公演だけでなく、とびうおドリームプロジェクトやフランスの芸術集団スフルールとの共働など、様々な形で芸術的な交流を重ね、深めている地域です。
上演作品としては、『星の王子さま』、『ジャンヌ・ダルク』、『ヘレン・ケラー』に続いて4作品目の上演です。
今回は、全四部の構成で、第一部、第二部では、地域の伝統芸能である『羽差太鼓』、『五島神楽(有川神楽、上五島神楽)』を披露していただきました。
そして、第三部『バリアフリー演劇 Touch~孤独から愛へ』の上演。
第四部として、『風と上五島~離島における芸術活動の意味』と題してのパネルディスカッションと、盛りだくさんのまさにお祭りのような公演となりました。
会場となった「鯨賓館ホール」は有川港フェリーターミナルを併設しているホールです。フェリーターミナルだけでなく、町のいたるところに公演のポスターが貼られていました。
旅班が来る前の日から劇団の先発隊の栗山と白根が上五島に上陸していました。そして、現地の劇団風上五島応援隊のみなさん、町の教育委員会の方々ととびうお(日本全国、世界から贈られてきた夢を書いたトビウオの折り紙)の飾りつけを行っていました。
前日の舞台設営の最中も着々とロビーの飾りつけは進み、このときは有川小学校の子たちと親御さんの何人かが飾りつけのお手伝いをしてくれました。
ロビーはすっかりとびうおたちで埋め尽くされています。幻想的な光景で、フェリーの出発を待っている人たちも興味深く見学してくれていました。
応援隊のみなさんは、今回の公演を強力にバックアップしてくださいました。のぼりを立ててくれたり、見に来たお客さんにプレゼントするためにステッカーやブロマイドなども作ってくれて、公演を盛り上げてくれていました。
応援隊副隊長さんが総合司会をつとめてくれました。地域のみなさんもみんな顔なじみで、軽快で優しい語りで客席を和ませてくれていました。
公演前には舞台見学が行われて、子どもたちを中心に見学を楽しんでくれていました。
新上五島町のご当地キャラのアミーゴも応援に駆けつけてくれました。
町長さんの「私もこの後の公演がとっても楽しみです。みなさん、おおいに楽しんでください。」というあいさつとともにいよいよ開演です。
第一部 『羽差太鼓』
地域の小中学生で構成された太鼓集団。堂々とした圧巻の演奏で、見る者、聴く者を魅了していました。鯨漁の様子を表現した出漁編、格闘編、ろくろ巻き編の三曲と蛤浜曲太鼓の合わせて四曲を披露してくれました。格好良かったです!
第二部 『五島神楽(有川神楽、上五島神楽)』
各神楽の保存会のみなさんが、全五番(五演目)を披露してくださいました。
翁役、婆役を風の俳優、栗山友彦と白根有子が演じました。
各番で、趣の違う舞い踊りで、お囃子の小気味いい拍子に、客席からも自然と手拍子がわき起こっていました。
羽差太鼓、五島神楽、どちらも大切な地域の伝統文化。これからも永きに渡って伝承し、繋いでいってほしいと思いました。
第三部 『バリアフリー演劇 Touch~孤独から愛へ』
準備を手伝ってくれた有川小学校の子どもたちや、福祉施設の利用者さんさ職員のみなさん、佐世保特別支援学校上五島分教室の児童生徒のみなさんやご家族、地域の方々など、たくさんの方たちが見てくれました。
暖かくもあり、真剣でもあり、それぞれの視線に支えられての本番でした。
カーテンコールは、羽差太鼓、五島神楽、風上五島応援隊のみなさんと一緒に。本当にありがとうございました。
第四部 パネルディスカッション『風と上五島~離島における芸術活動の意味』
最後は『Touch』の舞台上で、パネルディスカッションが行われなわれました。風と上五島の出会いとこれからについて、地域住民、町、教育現場、劇団、フランス(世界)、文化庁、それぞれの視点で、それぞれの立場を通して語られる言葉は、希望と期待そして願いを感じるものであったと思います。そして、これからも島の子どもたちに芸術に触れる機会を継続してつくれるように頑張っていきたいと思います。
以前、星の王子さまに参加してくれた小学生のお母さんが、王子さまの手作り人形をプレゼントしてくれました。この子と初めて会ったのは彼が小学二年生。それが今はもう六年生!私たち自身、その地域の子どもたちの成長を感じることはないので、上五島の人たちとの一緒に過ごした年月に喜びを感じずにはいられませんでした。
上五島での祭りが終わって翌日。旅班がフェリーで港を発つのを、風上五島応援隊の副隊長さんとその息子さんがわざわざ見送りに来てくれました。
少しの間お別れです。でも、また戻ってきます。と再会の約束を交わし上五島をあとにしました。
Touchの春の旅はいよいよ後半戦です。
文:佐藤勇太(フィリップ)