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『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2020秋 東・西日本ツアー 第1週目

2020-09-27 17:45:06 | 全国巡回公演

9月15日から待望の2020年秋全国巡回公演がはじまりました。今年度は東・西日本地域を『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』、九州地域を『TOUCH~孤独から愛へ』の2作品が巡回します。また、11月からは文化庁委託事業文化芸術による子供育成総合事業『星の王子さま』の公演もはじまります。

新型コロナウイルスの状況の中で、全国の先生方や協働している方々から「今だからこそ生徒たちに、みなさんに演劇を」という力強い声をいただきました。劇団は公演前から各学校の先生と連絡を取り合い、感染対策の準備を入念に行い、全国のみなさんと出会える喜びを胸にツアーへ出かけました。

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』ツアー第1週目は

9月16日[水] 岡山県 真庭市立蒜山中学校

   18日[金] 滋賀県 滋賀県立信楽学園

   19日[土]・20日[日] 愛知県 豊川御津文化会館 バリアフリー演劇一般公演

を行いました。

 

蒜山中学校

岡山県の真庭市にある蒜山中学校は、昨年度からお世話になっている真庭市スポーツ文化振興課の主催で行われました。前日から体育館に舞台装置を搬入し感染対策も含めた設営を行っているメンバーの志気はどんどんあがります。

公演当日、入場してくる生徒さんたちの声が体育館いっぱいに響き渡ります。照明オペレーターの坂野は、入場してくる生徒さんたちの姿を見ただけで胸と目に熱いものがこみ上げてきたと感動。メンバーひとり一人も「今、出会える喜び」を全身で感じていました。

担当の先生の開会の挨拶で開演。126名の生徒さんたちは真剣な眼差しを最後まで舞台に注いでくれました。舞台と客席がお互いを見よう、聞こうとして空間に動きが生まれ、舞台と客席の距離がどんどん縮まっていく感触がありました。カーテンコールでは生徒会副会長さんが「ヘレンの努力や勇気、アニーや周りの人たちのヘレンを支えようとする気持ちを感じることができた」と言葉を贈ってくれました。

終演後には事前に希望してくれた2年生の生徒さんと当日参加を希望してくれた生徒さんたちで舞台見学も行われました。舞台・照明・音響、役者への質問などたっぷり時間をかけて体験・交流しました。その様子を見守りながら担当の先生は「今日は生徒たちがみんなしっかりと演劇を見てくれたことに驚いたし、嬉しかった」と話してくれました。

7ヶ月ぶりとなった公演。ツアーの初日。また忘れることのできない時間を蒜山中学校のみなさんとつくることができました。

担当の先生とパーシィー役で旅制作も行う稲葉とで記念撮影

 

 

信楽学園

信楽学園と劇団風の出会いはおよそ30年前。拠点劇場レパートリーシアターの1階玄関タイル、壁、ロビーも窓に飾られている大判和紙、花瓶は信楽青年寮の利用者の方がつくった信楽焼と和紙です。

風が出会った当時、現信楽学園理事長で、バリアフリー演劇の企画者である北岡賢剛さんは、信楽青年寮の職員でした。そして北岡さんは『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』の脚本を書いた松兼功さんと大学の同級生。北岡さんと演出の浅野、松兼さんの出会いが、風の『ヘレン・ケラー』のはじまりです。そして信楽学園の園長、山之内先生も30年来の繋がりのなかで「学園の子たちに、学園の体育館で風の演劇を見せたい」と生徒たちへの熱い想いを持ち続け、今回、念願の公演となりました。

開演前、山之内園長先生は生徒さんたちが自由に思いのままに見て、聞いて、感じられるように「笑いたいときは笑っていい、驚いたり楽しんだりしてほしい」と生徒さんたちに声をかけてくれました。その言葉を受けた生徒さんたちは、楽しんで笑い、ヘレンのいたずらに驚き、ひとつも見逃さないように、ヘレンやアニー、家族たちと一緒に物語の中を生きてくれました。終演後には理事長の北岡さんが「後ろから見ていたけれど、芝居を見る君たちの後ろ姿が本当に頼もしかった。今まで何十回もヘレン・ケラーを見てきたけど、今日の公演が一番良かった、それは君たちが舞台をつくったからです」と涙ぐみながら生徒さんたちに言葉を贈っていました。また「このヘレン・ケラーの中に一本流れている"教育とは"という考えは、信楽学園を創設した池田先生の教育理念が関係しているんです」とも話され、人と人とが出会い、ひとつの作品が生まれ、紡がれ受け継がれていく歴史も感じました。

終演後の舞台見学は、自分の名前を指文字で表し、ポンプから思いきり水を出し、階段を駆け上がり、劇中歌の子守歌を歌うなど大いに盛り上がりました。先生方も生徒さんの心や表情の小さな変化を見逃さずにともに見学を楽しんでいました。別れは名残惜しいですが、必ず再会することを約束して、旅班は愛知県豊川市へ向かいます。

 

カーテンコールで生徒さんたちに言葉を送る北岡賢剛さん

 

 

 

豊川御津文化会館 バリアフリー演劇『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』一般公演

開演前の舞台説明、役者紹介の様子

昨年度、知立市で行ったバリアフリー演劇を観劇した豊川市市民文化部の方が「豊川市でもぜひバリアフリー演劇公演を行いみなさんに見てほしい」と熱望、企画して実現した公演です。

感染対策として客席数を153席限定にし、観劇や舞台見学の工夫も行いました。両日共に100名ほどのみなさんが来場。視覚・聴覚障害の方、車椅子の方、複数の障害を抱える方、子どもたち、生徒さん、先生、知立や滋賀県のアメニティーフォーラムで観劇しもう一度見たいと足を運んでくれた方、近隣の県から車で来て下さった方とほんとうにたくさんの方と出会うことができました。

1幕でわきあがった拍手、舞台手話通訳と役者のかけ合いに起こる笑い、舞台と客席の間に起こる対話を味わえる空間と時間になりました。

舞台見学にも来場の8割強の方が参加し、舞台をすみずみまで体験、役者と舞台手話通訳との座談会も行われました。「聞こえなくなってから演劇を見られなかったけど、20年ぶりに演劇を見られた、涙が出た」「私たちのためにありがとう、また豊川市に来てほしい」「舞台手話通訳、音声ガイド、字幕が一緒になる舞台ははじめて、おもしろかった」「すばらしいチームワークでした」「舞台手話通訳の小島祐美さんはもう役者さんですね!」と、多くの言葉をかけてもらいました。

また豊川市で会える日を楽しみにしています。

 

ヘレン役の白根と舞台手話通訳の小島でお客さんをお見送り

舞台見学の様子、手話通訳の加藤さんが役者とお客さんの対話をつないでくれます

豊川高校演劇部のみなさんも観劇に来てくれました!

舞台手話通訳の小島祐美に質問!

ポンプの仕組みはどうなっているのでしょうか?

 

人と人が出会う、触れあうことに多くの希望と期待がこめられていると、あらためて感じた旅のはじまり。出会えたみなさんに心から感謝します。人が人を考え思うこと、出会うという行動、そこにある願い、そこから生まれてくる社会に対する願い。演劇を通じてともに語り合えるよう思考し、行動し続けます。

これからの全国巡回公演にどうぞご期待ください!

 

 

 

 

 

 

 

 


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