この秋の『ジャンヌ・ダルク~ジャンヌと炎』のツアーも残り2週。
この週の公演は
12月12日(木) 熊本県 九州学院中学校・高校 熊本市民会館
13日(金) 福岡県 美萩野女子高校 北九州芸術劇場・大ホール
です。
九州学院中学校・高校
九州学院の校史を読み驚きました。創立は1911年(明治44年)という歴史ある学校です。二つの大戦や近年の水害、地震などのなか、青少年の為に尽力されてきたのです。
院長先生が、開演前、生徒さんたちに(中・高合わせて1300人)「人間は、あらゆる生物のなかでも唯一、芸術を生み出した生物です。今日は存分に芸術を感じてください。」と、やわらかに語られました。
開演すると、一階席の高校生から二階席の中学生まで、満員の客席から、われんばかりの拍手で私たちを迎えてくれました。プロローグの場面でもところどころから笑い声が聞こえてきました。次第に、舞台の出来事にひとりひとりが見入りながら、自由に楽しんでいく空気が感じられました。
終演した時の拍手も、力いっぱいの拍手でした。生徒会長さんがお礼の言葉を話してくれました。「魯迅は、“地上に道は、初めからあるのではなく、多くの人が歩くからそれが路となる”と言っていますが、ジャンヌ・ダルクはまさに、その道をつくったのだと思います。ジャンヌのようにはできませんが、努力して生きたと思いました」と。ひとりひとりが感じたり、考えたりしながら、今日の公演が、自身の道へと向かっていくきっかけとなるなら大変うれしいことです。
美萩野女子高校
風の公演は二回目です。ただ、私たちにとって、ジャンヌ・ダルクのバリアフリー公演を高校の芸術鑑賞行事として単独でやるのは、当校が初めてです。
開演前に、バリアフリー演劇について劇団から説明をした後、すぐに開演です。旅役者たちが入場してくると、生徒さんたちは驚きと戸惑いと興奮と笑い声が会館を揺らすようでした。握手をしてきたり、ハグをしてきたり、その様子は舞台と客席の境を忘れた、バリアフリー演劇の始まりでした。
プロローグでは、そのエネルギー、笑い声や驚きの声が残っていましたが、次第に好奇心から集中力へ、ひとりひとりが見入っていました。手話役者の小島や、音声ガイドの辻の声を抵抗なく受け入れながら、むしろそれも含めて、自由に楽しみながら見ていました。
はじめはどこで芝居が終わってしまったのか戸惑っている様子でしたが、彼女たちのなかで、ここで終わったんだと感じたとたんに、はじけるような歓声と、ひとりひとりの思いがこもった、会館を揺らすような拍手が沸き起こりました。
公演後は、学校の時間の都合もあり、舞台見学などの交流の時間を持つことができなかったので、生徒さんたちが会場をあとにするのを出口で見送りました。笑顔、えがお、エガオの生徒さんたちから、「おもしろかった!」「すごかった!」など、いろいろな声が聞こえてきました。一度会場を出たあとに戻ってきてくれた生徒さんもいて、ハイタッチや握手や写真撮影、質問をしている生徒さんたちもいました。
はじめにも言いましたが、私たちにとって、高校単独でのバリアフリー公演は初めてでしたが、確かな感触を感じさせてもらった公演になりました。
旅も、あと残すところ一週間。最後の週の始まりは、今回で三回目となる「権藤説子Presents」の福岡一般公演です。
文:坂牧明(ベッドフォード公爵役)
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