今日も電車でマンハッタンに出かけた。ホテルから駅に向かう途中、毎日利用しているスーパーマーケットの入口のドアに張り紙があるのを見つけた。元旦は午後3時に閉店するという内容。帰りに買物をするつもりだったのに予定が狂い、仕方なく買物を済ませていったんホテルに戻ることにした。
MTAの電車F線に乗り、セントラルパークのそばの57St.駅で下車して、あてもなく6番街を南下する。
ロックフェラーセンターに立ち寄ると、スケートを楽しむ人々がいた。このロックフェラーセンターはバブル期に三菱地所が買収して一時期、所有したことのあるビルだ。ジャパンマネーによる海外物件の買いあさりを象徴する事件で、アメリカの国民感情を逆撫でし、大きな反感を買ってしまった。そういえば、そのうちエンパイヤーステイトビルディングも日本企業の手に渡るのではないかとまことしやかに言われていたなあ。
遠い過去だけど、奢れるものは久しからず。無常を感じる。
ほどほどに6番街を歩いてから向きを変え、今度は7番街を北上する。タイムズスクエアに入るとゴミ、またゴミで、色とりどりの紙切れが風に舞っていた。昨晩深夜のニューイヤーのカウントダウンで高層ビルからばら撒かれた紙しぶきの残骸だ。ニューヨーク市の清掃車がバキューム作業をしていたけど、その程度できれいにゴミが片付くとは思えない。
タイムズスクエアを象徴するToshibaの輝かしいネオンサインも今回が見納めだ。東芝がタイムズスクエアのネオンサイン契約を打ち切るというニュースをずいぶん前に耳にしていた。会計の偽装報告によるコンプライアンス違反の影響も受け、東芝の業績不振による立て直しのためのコストカットの一環だろうけど、日本が世界に誇った巨大メーカーの凋落を見るようで日本人として複雑な心境、一抹の寂しさを感じた。
ほどほどにお腹が空いてきたので、SHAKE SHACKに入る。僕の中ではSHAKE SHACK以上に美味しいハンバーガーに出くわしたことがないから世界一のハンバーガーだと信じている。
混雑した店内で椅子を確保して美味しくいただいた。ただし、こんなに寒い季節なのにこの店では冷たいドリンクしか提供していない。僕は仕方なくアイスティーを飲み、大半を残した。アメリカ人のサービス精神の欠如というか、傲慢なこだわりに呆れる。飲み物目当てで来た訳ではなくて、ハンバーガーを食べたくて入ったのでいいんですけど〜とお客の方が卑屈になりそうなくらいお客様に迎合せず、自信で満ち溢れたサービス内容を貫いている。氷点下の環境ではお客はホットドリンクを飲みたいと思うだ・ろ・う、と一人ぶつぶつ。
人、人、そして人。肌の色も言語も違う世界中のありとあらゆる人種がここにはいそうなくらい雑多な人種の人々が歩いている。これがニューヨークだ。でも僕はタイムズスクエア界隈の人の多さに辟易して、セントラルパークに向きを変えた。セントラルパークの自然を渇望して、セントラルパークに逃げ込んだというべきか。
大都市のど真ん中にこれほど自然豊かな公園を作り、きちんと管理をして維持していることはすごいと思う。
セントラルパークに来たらジョンレノンにも敬意を表して尋ねておかなくてはいけない。ストロベリーフィールズにあるジョンレノンを偲ぶモニュメントの周りには、すでに多くの人々が訪れていた。
イマジンの歌にあるように、この地球上から争いがなくなって平和になる日がいったいいつになったら実現するのだろうか。
Imagine there's no heaven
It's easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people living for today
Imagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people living life in peace, you
You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope some day you'll join us
And the world will be as one
Imagine no possessions
I wonder if you can
No need…
You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope some day you'll join us
And the world will be as on
適度にアップダウンのある公園のトレイルを気持ちよくウォーキングを続けた。もしこの大都市、ニューヨークにセントラルパークの憩いの場がなかったら何と殺伐とした無機質な都市でしかなかっただろう。セントラルパークがあることで、この大都市にあってどれだけ心豊かに過ごせることだろう。これほど大都市と公園のバランスのいい相関関係について成功した事例があるだろうか。
日本の大都市、東京も学ばなければならない。
ホテルに戻り、シャワーを浴びてからビールを飲む。ビールをやっつけてから日本酒「一本義」純米大吟醸を飲む。日本酒は僕を正月気分にさせてくれる。
今日もよく歩いた。Fitbitの計測歩数27,557歩。
大統領就任後、初めてニューイヤーを迎えたトランプ大統領の力強い演説がテレビに流れている。アメリカ ファーストを訴えている。トランプ大統領の排外主義的な言動が今のアメリカ国民の多数の支持を得ているのかと思うと、これから先の国際緊張がますます心配になってしまう。
元旦のお屠蘇も適度に体内にまわり、心地よく酔った。気分は最高。そして毎度のことながらあらためて旅を総括して確認する。日本ほどいい国はない、と。
明日、ハナちゃんの待つ日本に帰ろう。
そして、また来よう。この混沌としたニューヨークへ。