便宜上私は「ツーリング」という
単語は使うが、自分の中では二輪
走行外出において観光気分の道行
きは殆ど無い。
それは確かに道々での景色を見た
り、名所を訪れたり、訪問先で特
産品を食べたりするのは楽しいの
は楽しいが、私の楽しみのメイン
は別にある。
それは「ロードを走る事」その
ものが一番楽しいのだ。
景色は素晴らしくとも一過性だ。
それは走行の流れとともに遠ざ
かる。
だが、マシンと対話をしながら
の走行はずっと継続するのだ。
すべてにおいて状況が違うロード
が次から次に現れてそこをずっと
マシンと共に走って行く。
自分とマシンは常に一緒にいる。
橋の無い海峡以外、ロードは全国
どこまでも繋がっている。
そこを走り続ける。マシンと同調
してマシンを操縦しながら。
それが私は一番楽しい。
目的が場所の移動ではなく、また
観光地巡りなどでもなく、二輪に
乗って操縦する事、ロードを走る
事そのものが楽しいし、それを求
めている。
オートバイは人それぞれいろいろ
な楽しみ方があるが、私の場合は
それ。
逆にいうと、景色風景第一では
ないので、ロードはどこでも楽
しい。
ツーリングスポットと呼ばれる
場所であっても、目指すのは景
色風景観光名所ではなく、道の
レイアウトにこそ私が求めるも
のがある。
そして、人の顔を忘れないよう
に、これまで走ったロードの
殆どを覚えている。
似たレイアウトや路面状況の
道に出くわすと、「あ、これは
いついつ走ったあそこに似て
いる」と思い出す。
人の顔を見て「あ、あの人の
面影に似ている」という感覚
が浮かぶように。
走り続ける時、ずっとオートバイ
と対話しながら走っている。
それが1日何時間もずっと継続す
るのが楽しい。
今まで休息を挟みながらどれく
らい二輪に乗り続けたのだろう
と振り返ると、20数時間連続し
て乗った。
それは勿論若い時ではあるが、
還暦を過ぎた今でも1日750km
程は走るので、時間にすると
かなりの時間ライドしている
事になる。
楽しいのだ。
二輪と共に走る事が。
たとえどんな道であろうとも。
これは同じコースを周回する
競技とは全く別な次元の楽し
み。
競技は勝負だが、公道での走り
に勝負は無い。ややあったりも
したが、そこには名誉もプライ
ドも称賛も無い。本質的な点で
は。
コースでの本チャンやストリー
トバトル等で競い合う事がなく
とも、一般ロードで質の向上を
目指しながら楽しむ事ができる
のが私の場合のロードライディ
ングのメルクマールとなって
いる。
とにかく、走る事そのものが
楽しい。