
目指すテーパーデータに近づける
為に木工用ドライリューブを使い
手で研磨して行きます。縦研磨が
基本。旋盤を使うと横回転研磨で
あり、ペーパーを使おうとも木の
目に逆らう研削となる。
なので、たとえ角材→丸棒→旋盤
で荒削りしようと、最終的な時間
をかけてのテーパー調整の研磨は
絶対に縦磨きでないとなりません。
カスタムは。量産メーカーはやり
ませんが。

一気にやらずに、計測しながら磨
きで本体の身を削って、寝かせて
また計測、の連続です。
コンマ5/100ミリ単位で削り代は
測りながら削ります。

また、荒目のままでは吸湿が激し

また、荒目のままでは吸湿が激し
いので加工途中でも一旦ペーパー
の番手を上げ、#1500まで使って
磨き締めを施してから寝かせます。
ツルツルですべすべ。手袋などは
一切必要ない。手の脂とチョーク
粉が染み込んで真っ黒くなっても
そうしたすべすべ感は変わりませ
ん。要するに手入れの問題。


シャフト加工というよりも、育て
る行程に入っているので、完全に
全力投入には半年以上かかるかと
思います。
シャフトとの付き合いって、本来
はそういうものです。
状態安定したら、嘘みたいな話、
50年後だろうが使える。
現実にこれは私が勝手に言ってい
るのではなく、事実です。
実際、私の持ちシャフトの中で
極上物は1983年製のボブ・ランデ
であり、1987年製淡路亭であり、
1995年製TADコハラ製、同年の
吉村製です。さらには70年代、
60年代、50年代物。極めて今でも
良質かつ現役戦闘力が高い。
ソリッド・シャフトは曲がりさえ
出なければ、ほぼ半永久に使えま
す。ベニアシャフトだと接着して
いるのでそうは行かないし、反り
曲がりも出やすい。ハイテク・シ
ャフトは消耗品です。
ソリッドは根本的に違う。
ソリッド・シャフトの欠点は個体
差があり過ぎる、という事と、良
材が入手困難というその二点のみ
です。他はどんなに人間が工学的
に試みようと超えられない。
良質な江戸前鮨ネタは素材こそが
命で、いくら養殖物の個体差の無
い魚を使っても駄目なんです。
超えられない。
ソリッド・ノーマル・シャフトは
江戸前本握りなんです。
代替品は無い。
ハイテクやカーボンは回転寿司、
というのは的を射る真実です。
私はニスとの端境エリアにテープ
を巻いて剥がす事はしません。
ごく自然のフリーハンドでやる。
それが自然の波模様になり、日本
刀の古刀の刃文のようになるから
です。テープ巻いて剥がした線は
一直線で機械的で味が無いと私
個人は感じるので、フリーハンド
で剥がします。
これ、数ヶ月過ぎると、くっきり
と境目が浮かび上がる。
その時、きっかりではなくぼんや
りとした波が流れる状態になって
いるほうが、キューの中に景色が
浮かぶ。眺めていても一服の絵の
ような。それが私は好みです。
世の中、似たような感性の人はい
るようで、私の周りでもフリーハ
ンドで自然な波模様にニスを剥が
す人は意外と多い。ほぼ全員が
ソリッド・シャフト遣いの人たち
ですが(笑
