
キャンプ場でクマとかたまったもんじゃ
ないよなあ。
グリズリーほぼ同種のヒグマは地上最強
生物だが、ツキノワもかなり危険。
シャレにならない。

昔、県境山岳地帯のある渓流で謎のよう
によく釣れた事がある。
人影もまったく無い。
禁漁区かと思って翌日漁協に問い合わせ
た。
すると「あそこに行ったのですか?!」と
漁協の女性は言う。
禁漁区でやらかしたかと思ったらそうでは
ない。
なんでも、先週、クマが出て人が襲われて
今も入院中との事だ。
情報を知っていた人たちはみんなその渓流
に行く事を避けたのだった。
「地元の人たち、誰も行きませんよ」とも
言われた。
どっしぇー!と思ったが、懲りずに後日
またそこに行った。
またもや嘘みたいに毛鉤で鮭科がウハウハ
に釣れるのだが、どうも気持ち悪い。なん
だか、どんどん、どんどん上流に誘い込ま
れているような錯覚に陥ったのだ。
極め付けが、あまりに釣れるので「キープ
しよう」と1尾をシメて収納し、もう1尾
をシメようとナイフを脳天に狙い定めた
時だ。
それまでショボーンとしていたアマゴが
ギロリと目を向けて睨んだのだ。
うわ!となった瞬間、アマゴは手から逃れ
て流れに帰って行った。
うへー気味わりー、とっととけえんべ、
と決心してかなり下流の車の所まで戻っ
た。
車の周り、クマの足跡だらけだった。
ひゃー、クワバラクワバラ、とか一人ごち
てベースとしている友人のキャンプ場まで
戻った。
その夜から、キャンプ場のベースで高熱が
出て家に帰れなくなった。
管理棟のログハウスで友人の管理人が看病
してくれた。
3日間寝たきり。
私の知人は、その支流で「見ては行けない
物」を見ている。この世にはあり得ない
物を。
やはり、その夜から高熱で数日間寝込んだ
という。
