これは私のTAD
オークションで注目しているキュー
があった。
メープルのストレート=プレーン
のキューだ。
メーカーの明記は無かったが、見
てすぐにどこのメーカーのキュー
か判った。
私は似たようなプレーンキューを
何本か持っているので、入札はせ
ずに見守っていた。
そのオークション出品キューは、
フォアとスリーブにびっしりと
バーズアイが出ていた。
注目されなかったようで、入札者
は2名。
しかも競り合った様子もなく、
2名のうち3件の入札で落札され
た。ほんの数千円で。
もし曲がりが無かったならば、
これはとても良い買い物をされ
たと思う。木材がかなり良いか
らだ。
バットさえ曲がっていなければ、
シャフト曲がりはどうにかなる。
ほんとに良い買い物だと思う。
こうした現象は時代により時々
ある。
例えば、今世紀初頭にハイテク
シャフトが大流行した時には、
優れたノーマルソリッドシャフト
が投げ売りのように手に入った。
良質なソリッドシャフトを捨て
てハイテクシャフトに交換する
人が膨大な数に上ったからだ。
店舗などは、交換したソリッド
シャフトを廃棄する訳にもいか
ず、投げ売りのように処分した。
私のようなソリッドシャフト
愛好者にとっては、妙なブーム
のおかげでウハウハだった。
ソリッドシャフトは店舗に行け
ば選びたい放題で、20数本の
在庫シャフトから選んだ最優秀
の1本が1500円という信じ難い
事態が起きていた。
その後、ハイテク化したシャフト
に対する懐疑がプレーヤー全体
に発生し、ソリッドシャフトの
良さが見直されるようにもなっ
てきた。
すると、優秀なソリッドシャフト
は一気に10倍〜40倍あたりに
高騰した。中古でも。
物販世界の適正価格とは一体何
であるのかと思う。
よくお宝鑑定番組等で、玩具の
鑑定プロが言う事がある。
それは「人気」だ。
人気があるなしで値段が乱高下
する。
虚構の価格設定の世界が見える。
中古キューの場合、昔の良い物
で時々掘り出し物が出てくる。
そして、その個体の質性ではなく
現行人気に捉われている人たちは
入札をしない。不人気=悪質と
大衆は勘違いしているからだ。
逆を言えば、人気商品=良質と
大きな誤謬に基づいて行動して
いる。
だが、そうした世相状況は是正
などされなくてよい。
物が見える人たちにとっては、
廉価に良質な作品や製品が入手
できる可能性が広がるからだ。
質の良否を見分けられる人たち
は流行商品などには興味がない
し、むしろ好都合なのだ。質性
如何に価値基準を持っており、
人の噂話や物が見えない人たち
の評判とは無関係に自分の鑑識
眼を頼りに物を買うから。
今回の当該オークション出品物
を落札された方は、実に良い買
い物をされたと思う。
曲がっていなければ、戦闘力高
いと思いますよ。
似たケースで、最近吉村さんの
キューが出ているのを見た。
最近といっても、数ヶ月前から
落札されずにずっと出ていた。
TADと作りが全く一緒。
TADコハラさん本人が認めてい
た唯一の日本人ビルダーが吉村
さんだ。
でも、知ってる人しか吉村キュー
の事を知らない。
TADコハラさんも、スペアシャ
フトをコハラさんに頼もうとし
たら、「吉村さんに頼んでね」と
言って来たりした位で。これ、
現実に(笑
で、吉村さんの作ったTADスペ
アシャフトが、「これ、どう考
えてもTADシャフトでしょ?」
というような出来だったりする。
撞き味そのものが。
そんな吉村さんのキューがオー
クションに出ていた。見てすぐ
判る。
でも、TADの紛い物とか、贋物
とか、似せ物と思う人が多かった
のか、理由は分からないが、事実
としては半年近く入札されない。
あ〜あ、とか思って眺めていた。
そうしたら先頃、ようやく落札
された。
競り合わずに(笑
落札した人は超ラッキーだと思う。
TADではないが、パパTADコハラ
さんが唯一認めたキュー職人さん
の作なのだから。
吉村のおっちゃんのキューはです
ね、とても良いです。
撞けば判る。お、なんやこれ?
ええやんけ、と。
ただ、完全にTADと同一ではなく、
シュレーガーの手法を採り入れて
いる一部分もある。