若い頃、安部公房の小説・戯曲を何作か読んでいて、
面白かった記憶があったので手に取ってみた。
本作を読んだのは初めてである。
主人公は教師、昆虫採集が趣味である。
ある日、砂丘に生息するハンミョウの新種を求めて
海岸辺りの村を訪れ、宿を求める。
紹介された宿は、砂の穴に埋もれそうな民家で、
寡婦が一人で住んでいた。
その女は、夜ごと家に被さってくる砂を掻き出す作業に追われ、
日 . . . 本文を読む
1991年はじめから2年半のあいだ、
村上春樹が米国プリンストンに滞在していた頃のエッセイ集。
内容は、日米貿易摩擦問題、アメリカの大学事情、
走ることについて、車、ジャズ、
フェミニズムについて等、多岐にわたる。
村上朝日堂シリーズや村上ラヂオシリーズのように
軽くはないが、しかし決して肩の凝らないエッセイ。
ひとつひとつのテーマについて著者がどう考えているのかを
まとまった文 . . . 本文を読む
若い頃に読んでいたのだが、
ただ面白い小説だったということ以外
何も覚えてなかった。
朝起きると自分が巨大な虫に変身していた、
という突飛な出来事に続く事態の進展が、
さもありなんと妙を得ていて
読者を物語に引きつけて離さない。
名作として世に残っているのも道理だ。
カフカはこの小説で何をしたのか。
それは、小説という手段を用いての、
「不幸」の具象化であると思う。
ネタ . . . 本文を読む
憧れの春樹さんのエッセイ集。
学生の頃からずっと好きだったが、
僕は、近づくための努力をしなさすぎたのではないかと思っている。
今からでも遅くはない。
マラソンとかは無理だから、
「嫌なことはしない」という主義から真似しようと思う。
春樹さんは、豚肉は食べない。
中華全般嫌いだから食べない。
ラーメンなんて、匂いを嗅いだだけで気分が悪くなる。
毎日、野菜ばかり大量に食べる。
文 . . . 本文を読む
読みだしたら、止まらなくて、
あっという間に読み終えてしまった。
多彩な内容、話し上手な春樹さん。
素敵なエッセイ集でした。
村上春樹のファンとして今思うことだが、
氏の小説やエッセイを読んだことで、
僕は人生に対してポジティブになれた。
あんな人になりたい。
マラソンはできないし、小説も書けないけど、
でも、少しででもいいから近づきたいと願う。
永遠の僕の憧れ。
この巡 . . . 本文を読む
怖ろしい小説を読んでしまった、
というのが率直な感想だ。
金原ひとみはあまりに過激だ。
過激というのが陳腐なら、
彼女の性器を切り刻むナイフは、
あまりにギザギザで残酷だ。
僕は、この小説を批評する言葉を持たない。
だが、ラストのアヤの言葉で心を整理した。
「もしかしたらあの赤ん坊は、
私なのかもしれない。」
無垢な魂を汚した代償は無限大だ。
そのことに対する金原ひとみの洞 . . . 本文を読む
阪神大震災の直後に書かれた
6つの短編小説からなる小説集。
どれも、阪神大震災のことが物語の中に出てくる。
QPは最近、最新作『一人称単数』を読んだばかりであるが、
比較して、『一人称単数』の語り口がいささか重たかった
のに対し、こちらはよどみなくすらすらと流れる。
そして、震災という暗いテーマを掲げているにもかかわらず、
感性が瑞々しく、溌溂としている。
僕は、この中で、『蜂 . . . 本文を読む
アメリカ南部の裕福な農園で育った
ブランチは、両親の死後、身を持ち崩して町に住めなくなり、
ニューオリンズに住む妹ステラの安アパートに転がり込む。
だが、ステラの夫スタンレーとそりが合わず、
知られたくない過去を暴かれた挙句、
凌辱され、精神病院に収容されるところで幕は閉じる。
僕は、同じ精神障害者としてかなり身につまされて
この戯曲を読んだ。
世間の人にとっては、精神病院に入院 . . . 本文を読む
6年ぶりの村上春樹の短編集でちゅ。
8つの物語からなりまちゅ。
さて、幼児語はこのくらいにして、
今までの作品と比較して、
村上春樹が自分に引きつけて書いた作品が
多かった感じがします。
内容が、今までのエッセイと重複する箇所が多くて、
「あれ?これエッセイじゃなく小説だよな。」
と僕は自分に言い聞かせなくてはなりませんでした。
ファンとしては、どこからどこまでが事実で、
どれ . . . 本文を読む
この本は、平成12年に雑誌『anan』に一年間連載された
村上春樹のエッセイをまとめたものである。
若い女性が読者、ということは念頭にあったろう。
(作者は、それは意識しないで書きたいことを書いた、
と言っているが、、)
おそらく、春樹さんは、若い女性を相手にするとき、
こーゆー話をするんだ。
もてるんだろうな。
うらやまだわ。
大橋歩のエッセイもついていて、
素敵なエッセイ集 . . . 本文を読む
多分、今の若い子には読みやすいのであろう、
文学的修飾語の少ない携帯小説のような文体で、
淡々と肉体改造やサドマゾの話が展開していく。
主人公ルイの恋が切ない。
僕は、ルイがさまざまな体験を通して、
人間らしい健康的な生活を取り戻してくれることを
願っていたが、
物語の結末は、それとは真逆な方向に振れてしまった。
それだけに、とても衝撃的だった。
自分の知らない世界とは、そういう . . . 本文を読む
1986年発行の村上龍の短編小説集である。
若い頃読んだ本が、Yahoo! Auctionにもメルカリにも
出品されず、本棚で眠っていたのを開いてみた。
読み始めは、正直戸惑った。
僕のおぼろげな記憶によると、
これは良い短編集のはずであった。
なのに、犬を食べる会話や、
男娼が精液を飲み込んだ後、
匂い消しのためタバスコを舐め、
客もチン〇を咥えられたとき、
このほうが刺激 . . . 本文を読む
第8巻、読み終えました。面白かったですね。
そして、また美味しそうな料理がいっぱい出てきました。
今回は、第74話に出てきたコーヒーに焦点を当てます。
戦争に行って帰ってこない夫を待つおばあちゃん。
いつか2人でいっしょに飲もうと、
42年間もコーヒーを断っていたなんて、
泣かせますね。
荒岩主任もそんなおばあちゃんのために
入魂の一杯をたてます。
感動的でしたね。
コーヒー . . . 本文を読む
第6巻、読み終えまちた。
今回も面白かったです。
夢子君の荒岩主任への恋、どうなるんでしょうか?
気持ちはわかるが、主任には愛する妻と子が、、、。
不倫はみんなを不幸にするだけ。
いさぎよく、忘れてしまおう。
いい男は、他にもいるよ!
さて、料理の話ですが、
今回は、作ってみたいという料理に巡り合えませんでした。
そこで、第5巻第50話に出てきたスペアリブに挑戦しまちたああ . . . 本文を読む
NHKのテレビ番組にファミリーヒストリーというのがある。
ゲストの芸能人や有名人の両親や祖父母あるいはご先祖様の
生きざまを、歴史資料とともに紹介する番組である。
この本は、主に父親の村上千秋氏の人生について書かれているのだが、
村上版ファミリーヒストリーといった内容である。
千秋氏は京都の安養寺の住職の次男として生を受け、
幼いころから仏教に親しんで育ったにもかかわらず、
先の大戦 . . . 本文を読む