主人公の本名は
Maria Marta Cunhel Guloso
という。
名前があらわすようにポルトガル人で、
都市工学の勉強のため東京の大学院に留学していたが、
日本が気に入って、卒業後も居ついてしまった。
働いているわけでもなく、勉強しているわけでもなく、
ただ無為にボロアパートで食う寝る生活を送っている。
話はMartaちゃんの食生活を中心に進んでいく。
1話が短い . . . 本文を読む
東京で一人暮らしをする主人公の元に、
二泊三日の予定で姉の巻子と姪の緑子が遊びに来る。
巻子は東京の形成外科で
豊胸手術のカウンセリングを受けることになっている。
緑子は巻子に対して心を閉ざしていて、
筆談でしか話をしない。
充実した読後感でした。
よかった。
緑子はろくな大人にならないんじゃないかと心配したが、
物語の終わりでは、
この子なら大丈夫、という気がし . . . 本文を読む
これは雑誌『クラッシィ』に2年間連載された、
村上春樹のエッセイと安西水丸のイラストを
一冊の本にまとめたものである。
エッセイはどれもユーモアにあふれ、
ほんわかとハートウォーミングであるし、
イラストは額に入れて部屋に飾りたいほど
お洒落でセンスがいい。
エッセイが2ページで、イラストも見開き2ページ。
これが25セット。
短い。
あっという間に読み終えてしまう。
. . . 本文を読む
子供向けの玩具としてショーウィンドウに並べられた
AF(人口親友)のクララは、
ジョジーという病弱な女の子の家に引き取られる。
そこで様々なことを体験し、
一家の一員として新しい環境に馴染んでいくクララは、
やがて命の危機の迫ったジョジーを
お日さまに願い出て助ける。
深い。
読み終わった後、
しばらく何も手につかなかった。
読み進むうち、知らず知らずに
僕はクララ . . . 本文を読む
イエス・キリストの生涯について解説したもの。
キリスト教の良い入門書になりうる。
遠藤周作渾身の作品。
僕のイエス感と大きな違いがなく、
抵抗なくすらすらと読めた。
ただ、イエスの復活に関して、
氏はぼかして書かれていた。
日本の国では、
「イエスは、処刑され一度は死んだものの、
また生き返り弟子たちの前に現れた。」
と声高に叫べば、
「死んだ人間が生き返るわけがないじゃな . . . 本文を読む
親の財産で遊んで暮らしている妻子持ちの
高等遊民:島村と
島村を一途に愛する芸者:駒子との恋物語。
僕は、初めから終わりまで、
川端康成のある種俳句のような、
何を言ってるのかよくわからない文体に戸惑いながら
この小説を読んだ。
でも、文意がよくつかめないのだけれど、
状況描写と心理描写の絶妙なハーモニーが
僕の心を刺してくる。
すごいと思った。
さすが、ノーベル文学賞。
. . . 本文を読む
日本を棄て、イギリスで暮らす主人公:悦子が
過去(戦後間もない長崎での生活)を回想する物語。
悦子と舅:緒方さんの関係が良かったな。
小津安二郎は観たことないけど、
きっとこんななんだろうなって思った。
悦子の友人:佐知子とその娘:万里子の物語は苦しい。
つらい。
日本人の影か。
悦子の影か。
現在の悦子の娘:ニキの物語。
自立した現代の女性の生き方。
我々日本人 . . . 本文を読む
これは、よしもとばななの公式ホームページに掲載された
よしもとばななの2001年5月10日から
2001年12月31日までの個人的な日記である。
日記であるからして、
よしもとばななの知人、いきつけのお店などの
固有名詞がばんばん登場し、何の説明もない。
読者は想像をたくましくするしかないのだが、
他人の日記を読むのが好きなQPは、楽しく読んでしまった。
かたいことを言うなら、 . . . 本文を読む
短い2編のエッセイと写真からなる村上春樹の旅行記。
前半がスコットランド・アイラ島を訪れたもので、
後半がアイルランドの蒸留所を取材したもの。
いずれも、ウィスキーがテーマである。
美しいエッセイだった。
ウィスキーによりも
(飲みながら読んでいたわけではないので、、)
村上春樹の文章に酔ってしまった。
ウィスキーの味を昔の映画女優に例える比喩も、
コアなクラッシック音楽に例え . . . 本文を読む
1997年から2009年までのあいだ、
作品で言うなら、『アンダーグラウンド』から
『1Q84』BOOK1、2のあいだ、
村上春樹が内外で受けた18のインタビューが収録されている。
どのインタビューにも春樹さんはまじめに丁寧に、
小説を書く手法や、何を考えて書いているかについて答えている。
内容については、重複を避ける等の理由で、
多少手が加えられているそうだが、
春樹作品の理解が . . . 本文を読む
村上春樹の短編集。
『レキシントンの幽霊』
小説家の主人公は現在アメリカに住んでいる。
ある日、友人に古い邸宅の留守番を頼まれる。
そこで主人公の見たものとは、、、。
『緑色の獣』
夫の留守中、「私」が庭の椎の木を眺めていると、
根元から緑色の獣が這い出してきた。
気色悪い作品。
いったい何が言いたいんだよう。
『沈黙』
ボクシングをやっている温厚な大沢さんだが、
. . . 本文を読む
22才の小説家志望のすみれは、
ある日突然、同性のミュウと恋に落ちる。
ミュウの仕事を手伝うようになったすみれだったが、
恋が成就する前にギリシャの小島で失踪してしまう。
すみれの唯一の親友であった「僕」は、
彼女の捜索のため単身ギリシャに向かう。
この小説は、出版されたばかりの頃に一度読んでいた。
だが、その時の感想は特に芳しいというものではなかった。
それなりに面白い小 . . . 本文を読む
吉本ばななの本を読むのは3冊目である。
もっと早く彼女の良さに気付けばよかったと後悔している。
が、まあ後追いで吉本ばななの成長を辿るのもいいかな、
という今の気持ちだ。
本作がデビューになるのかな?
才能が光っている。
豊かな感受性と、散文詩のような感情を素直に表現する文体。
キューピーの新しいお気に入りに登録だ。
『キッチン』
たった一人の家族だった祖母を亡くしたみかげは、 . . . 本文を読む
ママンの本棚にあったのを見つけて、
借りて読んでみた。
他にも吉本ばななの本が並んでいたので、
おそらく気に入ったのだろうと推察する。
決して才気あふれるといった文章ではないし、
未熟なところもあったが、
訥々と言葉を丁寧に置いていったような文章に
好感を持った。
そして、随所で瑞々しい感性が光り、
題材の選び方も新しくて、読むのが楽しかった。
『うたかた』
主人公: . . . 本文を読む
2005年に発行された村上春樹の短編集。
氏の他の短編集と比較して、
物語の美しさが際立っていたような印象を持った。
以下、簡略なあらすじを読書メモとして書いておく。
『偶然の旅人』
主人公はゲイのピアノの調律師。
ゲイであることが原因で家族と疎遠になる。
ある日、ふとした偶然がきっかけで、
乳癌に悩む女性と知り合い付き合うようになる。
そして、その女性と同じ場所にほくろがある . . . 本文を読む