連休中に古本で買ったサンテグジュペリの"人間の土地"。
とりあえず1巡。
サンテグジュペリ自身や郵便飛行の同僚達の体験をベースにしたエッセイ。
単なる体験談ではなく彼の思想が色濃く反映されている。
通勤電車の中で読んでいたのであまり頭には入ってないけど。
そんな中で大納得の一文は、"飛行機"と題された一編にある言葉。
"完成は付加すべき何ものもなくなったときではなく、
除去すべき何ものもなくなったときに達せられるように思われる。
発達の極致に達したら、機械は目立たなくなるだろう。"
(訳:堀口大學)
手段としての道具(機械)は十分発達したら存在を意識しなくなると言うことだろうか?
確かに現在では、機械に見えない機械がどんどん増えてきている。
たとえばスマフォなんて見かけはただの板("機械だ"と言う主張が無い)。
どういう仕掛けで働くかなんてほとんどの人は知らないし、おそらく知る必要も無い。
ただし、いまの機械は除去ではなく付加してばっかりですね...
完成には程遠いと言うわけだ。
個人的にはシンプルでごつい機械が好きなんだけど。
も一つ気になったのは、彼がサハラ砂漠に不時着したときのエピソード。
このときの乗機はコードロン・シムーンで、当時の長距離飛行でよく使われた機種。
本来は軽飛行機なので長距離飛行の時は燃料タンクの増設とかの改造をしてるはず。
ところが本書によると、同乗の機関士が機の後部に"姿を消し"魔法瓶に入ったコーヒーを持ってくるシーンがある。
どうやらキャビン内(おそらく後部座席の辺り)にタンクの増設はして無いようだ。
なんでそんなことを気にするかと言うと、エレールの1/72キットでこの機体を再現してみたいから(^ ^)。
本の読み方を間違えているかなぁ。
最後にまじめな話をちょっと。
前々から気にはしていたけど、欧米の小説や映画では "義務を果たす"と言う言葉が
よく使われる。
(自由とか権利ばかり主張するのとはだいぶ違いますな。)
義務と言うと押し付けられたもののような感じがあるが、
"自分が成すべきこと"というのが本質かもしれない。
サンテグジュペリは、(人は)自分の役割を認識したときに幸福になりうると書いている。
残念ながらこの境地に達したことはまだ無い。
よくある台詞、"義務を果たしただけですよ..."
控えめだけど成すべき事をやり遂げた誇りと喜びがこもっているのかもしれない。
それにカッコイイしね。
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