綿津見神が・・・

　湯津香木の木に若い男性を見て豊玉毘売は一目惚れです。家に入ってその父「綿津見神」にそのことを告げます。

　　　　　　　　　“吾門有麗人”

と。「お父さん！お父さん！聞いてください。門の傍の香木にものすごいイケメンの男性がいるのです。見て見て！！！わたしどうしましょう？？？」
　今にも動顚しそうな真顔で訴えるのです。そのような毘売の様子は今まで見たことは有りません。
　「何？？男が？？？？」

　　　　　“爾海神自出見云＜ココニ　ワタノカミ　ミヅカライデミテ　イウ＞”
　　
と、父綿津見神は、直に、表に飛びだします。そして、その姿を見てびっくり仰天して娘に云います。この人は

　　　　　　　　　“天津日高之御子。虚空津日高矣”
　
　と。
　どうして、このような高貴なお方が、この海の底まで、おいでになったのか不思議に思われ、驚いて、咄嗟に大声で娘に知らせたのです。流石、海の底という別世界に居ても、人を見る目を神様ですから持っていたのです。その人が誰であるかを、即座に、娘に知らせたのです。