７．浮気

　私の可愛い妻が浮気をした。
　私が出張から家に帰ってくると、違和感があり、妻を呼んでも誰も出て来なかった。寝ているのかなと思い、廊下をゆっくりと歩いていると、散らばった服と下着があり、ただ事じゃないなと思って、寝室のドアを開けた。
　ベッドには、知らない男と可愛い妻が寝ていた。
　私は夢かと思い一度ドアを閉めて、外に出た。
　ホルモンのバランスが悪いのか。仕事の疲れなのか。怒りが込み上げてきた。
　庭にあった子供用の木のバッドを持って、もう一度寝室のドアを今度は思いっきり開けた。
　男が先に起き上がり、妻が起きて呟いた。
　「こんな筈じゃなかったわ。」
　「まぁよくある事さ。昼下がり、奥さん私はただの通りすがりのサラリーマンです。化粧をしてみて下さい。いい感じでしょう。そしていつの間にか寝室に行き、倒れ込んでドッキング。よくある事さ。」手に持っていたバッドを振りかざした。丁度鏡の前に置いてあった家族の写真に当たり、粉々に砕け散った。
　痩せ型の裸の男がヒクヒクとヒラメみたいになっていた。
　こんな男に言い寄られたかと思うと、虫唾が走った。
　私に落ち度があったのだろうか。出張ばかりでかまってあげなかった事がいけなかったのか。男は働くしかないのだ。お金はちゃんとやっている。何がいけなかったのか。
　悔やんでもどうにもならなかった。
　裸の二人をみて、私の可愛い妻に何をしてくれたんだ。
　その後、三人でテーブルに並び、妙な三角関係が出来上がった。
　これが夢なら覚めて欲しい。
　ロンドンブーツの番組だったらどれだけいいだろう。
　汗ばむ蒸し暑い夏の午後だった。
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