恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

12.哀しい恋愛

2006年03月29日 | せつない恋
 「大好きです。付き合ってください。」私は、ベタな告白をした。何十回と言った言葉だ。ナオコは、好きな人がいるからと何度も断って来た。
 三年間想っていたナオコから、ふられて一年くらい落ち込んでいた。そんな時になぐさめてくれたのが、同級生のサユリだった。
 いつからか、サユリと付き合うようになった。
 ある時、何の運命の巡り会わせなのか。サユリとショッピングに行ってて、たまたま、トイレの前でナオコに逢った。
 質素な服を着ていたナオコは、パッと見分からなかったが、口元の笑窪を見ていると、懐かしい気持ちになった。
 「最近どう?」と話しかけても、何も答えず黙ったままだった。深刻そうな顔を見ていると、ただ事ではないなと思った。
 ナオコを近くの椅子に座らせて話しをしていた。
 話を聞くと、大好きだった男からふられて落ち込んでいるらしかった。
 相変わらずかわいい横顔を見ていると、昔の感情が少しずつ蘇って来た。
 「私の事どう思う?そんなに悪い女なの?」
 「そんな事言われても。かわいいと思うし、いい子だと思うよ。だって俺ずっと好きだったんだナオコの事。」
 「そうだったわね。それじゃ、私達付き合わない?今からどこか行こうよ。」
 「それは困るね。今、付き合っている人がいるし、待たせているんだ。」
 「そうなの。また、振られたってわけね。」ナオコは、大きな目から涙を流していた。私はどうするわけにも行かなくて、肩を抱きしめていた。
 本当の事をいうと、今でも、ナオコが好きだった。サユリには悪いがナオコだったらといつも心のどこかで思っていた。
 なんとも言えないはがゆさに、背中の奥の方がズキンズキンとしていた。誰かを恨むわけにもいかない。
 今は、ナオコよりもサユリと一緒にいると楽しいし、大好きだし、別れようとは思わない。
 だけど、三年間好きだったナオコから遊ぼうと言われて、心が動いたのは確かだ。
 別れ際、話なら何でも聞くからと言って、自分の携帯番号をナオコに渡した。男ってつくずく馬鹿だなと思った。何を期待して渡したのか後になってから、悩んでも遅かった。
 「どこに行ってたの?」サユリが、私の肩を掴むと寂しそうな目をして、笑顔で聞いてきた。
 「ちょっと昔の友達に逢ってね。」サユリのかわいい目を見ていると、世の中は、本当にうまく行かない出来事ばかりだとあらためて感じた。
 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 11.春風 | トップ | 13.入学式 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
皮肉だね (ぷりりん)
2006-04-08 16:03:02
あのときだったらよかったのに・・・

そんなことってよくあります。

しかも、こんなふうに、好きな人との出会いやタイミング・・・。本当に、皮肉な運命を呪いたくなることありまくります。

でもきっと、みんな意味があるんだと思うようにしてます、最近は。

「これでよかったんだ」って思えるような

そんな練習の場として、神様がいろいろ与えてくれてるのかな・・・なんてのもありで。

きっとこれから、うまくいく。そう信じて進みたいですね
返信する
本当にお久しぶりですね。 (キーボーです。)
2006-04-09 07:22:34
 ぷりりんさんのコメントはじめの方はたくさん来ていたので、最近来なくて悲しんでましたよ。

 ブログの方が忙しいのかな。

 恋愛ブログなんていらなくなったのかな。 なんにしても、書き方が下手だったので、物語の内容が伝わったみたいでよかったです。

 運命はやはりあるみたいですね。何でも意味がある事だと思ってます。

 海に行ったのも何かの意味がある事のような気がします。

 これで、誰かと出会えるかもしれませんね。
返信する

コメントを投稿

せつない恋」カテゴリの最新記事