告白していたヨリコに返事をもらう為に町外れにあるバス停を目指していた。ヨリコの家の近所のバス停は、最後のバス停だから乗っていたら分かると言われていた。バス停の椅子に座って待っているからと家の電話で待ち合わせをしていたのだ。
何日の何時に着くバスで必ず行くから待っててと念を押して言っておいた。
乗ること約一時間、随分遠くまで来たような気がする。
ヨリコは、中学の途中で転校して行った。転校する時、好きだったので告白をしていたのだ。ヨリコは、少し考えさせてと言って、笑って、かわいい八重歯が口から覗いていた。
卒業式を終えて、どうしてもあの時の返事が聞きたくて、ヨリコに逢いに行っていた。
バスの中は、杖をついた白髪頭のおばぁさんと帽子をかぶっている半ズボンの少年とヨレヨレのスーツを着たサラリーマンが乗っていた。
田舎なのでバスに乗ってくる人が少ない様な気がした。
隣のトトロが出て来そうな森の中を抜けてやっと最後のバス停に着いた。古びた小屋みたいなボロボロのバス停の椅子にセーラー服を着ているヨリコが座って待っていた。
外は、もう日が沈んでいた。森の中からは、変な鳥の鳴き声が聞こえていた。クックー鳥だろうか。子供の頃、クックークックと鳴く鳥をクックー鳥と名づけたことがあった。ヨリコの隣に座って話しかけた。
「やっと着いたよ。待った?」
「少し。」ヨリコは、八重歯を見せて、微笑んだ。
「この前の返事を聞きたくて来たんだ。」僕は恥しくて、森の中を見ていた。僕の姿を見て、ヨリコも黙ってうつむいた。
「駄目なら駄目でいいんだ。だけど、これからもヨリコがずっと好きだし、毎日逢いたいと思うんだ。」
「駄目って言うわけじゃないんだけど。遠距離になるから。」ヨリコは目をふせて言った。
「確かに遠いね。かれこれ一時間半くらいバスに乗ってたよ。」僕は、一息ついて、笑顔でまた聞いた。
「やっぱり駄目かな。」ヨリコは、うつむいたまま何も答えなかった。僕は何をしていいのかさっぱり分からず、森の茂みを見ていた。
森がサワサワと風に揺れていた。獣がどこからかやって来そうな不気味な感じがした。
話していると段々と周りが薄暗くなってきた。
もうすぐ最終のバスが来る。僕はこのバスで家に帰らないといけない。今日も返事を聞かずにこのまま帰るのだろうか。
戸惑っていると、暗闇の中、最後のバスがやって来た。
プシューとバスのドアが開く。
「猫バスじゃないだろうな」とヨリコに冗談を言った。
ヨリコは少し苦笑いをすると、また深刻な顔をして私の顔を見ていた。
僕がバスに乗り込むと、ドアがガチャと閉まった。バスがゆっくりと進んでいく。お互いドア越しに見つめ合っていた。
僕がずっと見ていると、ヨリコは急に走りだして「ありがとう」とバスの後ろで大きく手をふっていた。
その姿が悲しくて、後部座席で一生懸命手を振り返していた。
何日の何時に着くバスで必ず行くから待っててと念を押して言っておいた。
乗ること約一時間、随分遠くまで来たような気がする。
ヨリコは、中学の途中で転校して行った。転校する時、好きだったので告白をしていたのだ。ヨリコは、少し考えさせてと言って、笑って、かわいい八重歯が口から覗いていた。
卒業式を終えて、どうしてもあの時の返事が聞きたくて、ヨリコに逢いに行っていた。
バスの中は、杖をついた白髪頭のおばぁさんと帽子をかぶっている半ズボンの少年とヨレヨレのスーツを着たサラリーマンが乗っていた。
田舎なのでバスに乗ってくる人が少ない様な気がした。
隣のトトロが出て来そうな森の中を抜けてやっと最後のバス停に着いた。古びた小屋みたいなボロボロのバス停の椅子にセーラー服を着ているヨリコが座って待っていた。
外は、もう日が沈んでいた。森の中からは、変な鳥の鳴き声が聞こえていた。クックー鳥だろうか。子供の頃、クックークックと鳴く鳥をクックー鳥と名づけたことがあった。ヨリコの隣に座って話しかけた。
「やっと着いたよ。待った?」
「少し。」ヨリコは、八重歯を見せて、微笑んだ。
「この前の返事を聞きたくて来たんだ。」僕は恥しくて、森の中を見ていた。僕の姿を見て、ヨリコも黙ってうつむいた。
「駄目なら駄目でいいんだ。だけど、これからもヨリコがずっと好きだし、毎日逢いたいと思うんだ。」
「駄目って言うわけじゃないんだけど。遠距離になるから。」ヨリコは目をふせて言った。
「確かに遠いね。かれこれ一時間半くらいバスに乗ってたよ。」僕は、一息ついて、笑顔でまた聞いた。
「やっぱり駄目かな。」ヨリコは、うつむいたまま何も答えなかった。僕は何をしていいのかさっぱり分からず、森の茂みを見ていた。
森がサワサワと風に揺れていた。獣がどこからかやって来そうな不気味な感じがした。
話していると段々と周りが薄暗くなってきた。
もうすぐ最終のバスが来る。僕はこのバスで家に帰らないといけない。今日も返事を聞かずにこのまま帰るのだろうか。
戸惑っていると、暗闇の中、最後のバスがやって来た。
プシューとバスのドアが開く。
「猫バスじゃないだろうな」とヨリコに冗談を言った。
ヨリコは少し苦笑いをすると、また深刻な顔をして私の顔を見ていた。
僕がバスに乗り込むと、ドアがガチャと閉まった。バスがゆっくりと進んでいく。お互いドア越しに見つめ合っていた。
僕がずっと見ていると、ヨリコは急に走りだして「ありがとう」とバスの後ろで大きく手をふっていた。
その姿が悲しくて、後部座席で一生懸命手を振り返していた。
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