営業の仕事の帰り、駅のホームで、ネクタイを緩め、電車を待っていると、一匹の蛍がやってきた。
近くにいた坊主の少年が、「あっ蛍だ!」と叫んで、手で捕まえようとしている。白線を飛び越えようとしたら、隣にいた母親が「危ないからやめとき。」と少年の腕を叩いた。
周りはすでに暗くなり、長椅子の所に止まり、蛍の光がチカッチカッと輝いている。
私は、一時蛍の光を追いかけるように見ていた。
子供の頃は、田舎に住んでいて、川の土手に蛍がたくさんいた。
おかっぱ頭のちえちゃんは、元気だろうか。
ちえちゃんは、近所に住んでいる女の子で、よく蛍を手で捕まえて、肩と頭に乗せて、ニコッと笑っていた。
私の方が「気持ち悪い。」と言って蛍を拒絶していたような気がする。
ちえちゃんは、ある時、父親が転勤の為に転校していった。
転校していく夜、いつもの土手で、寂しくなると私が呟くと、ちえちゃんも涙を浮かべていた。
土手から見える蛍の光が一匹から数百匹に増えて、周りを飛び始めた。ちえちゃんは、蛍と蛍の間に入り、踊っているように見えた。
暗闇の中、飛び交う蛍とちえちゃんの姿がお伽噺に出てきそうなお姫様に見えた。
そんな事を思い出していると、電車が入ってきた。電車の風で、一匹の蛍が何かを落として行ったかの様に遠くに飛んで行った。
ドアが開くと、都会の仕事帰りの人達は、何事もなく電車に乗り込んでいく。
私も乗り込み電車が動き出す。
車窓から見える都会の景色が、いつもと違う景色に見えて何故か悲しかった。
近くにいた坊主の少年が、「あっ蛍だ!」と叫んで、手で捕まえようとしている。白線を飛び越えようとしたら、隣にいた母親が「危ないからやめとき。」と少年の腕を叩いた。
周りはすでに暗くなり、長椅子の所に止まり、蛍の光がチカッチカッと輝いている。
私は、一時蛍の光を追いかけるように見ていた。
子供の頃は、田舎に住んでいて、川の土手に蛍がたくさんいた。
おかっぱ頭のちえちゃんは、元気だろうか。
ちえちゃんは、近所に住んでいる女の子で、よく蛍を手で捕まえて、肩と頭に乗せて、ニコッと笑っていた。
私の方が「気持ち悪い。」と言って蛍を拒絶していたような気がする。
ちえちゃんは、ある時、父親が転勤の為に転校していった。
転校していく夜、いつもの土手で、寂しくなると私が呟くと、ちえちゃんも涙を浮かべていた。
土手から見える蛍の光が一匹から数百匹に増えて、周りを飛び始めた。ちえちゃんは、蛍と蛍の間に入り、踊っているように見えた。
暗闇の中、飛び交う蛍とちえちゃんの姿がお伽噺に出てきそうなお姫様に見えた。
そんな事を思い出していると、電車が入ってきた。電車の風で、一匹の蛍が何かを落として行ったかの様に遠くに飛んで行った。
ドアが開くと、都会の仕事帰りの人達は、何事もなく電車に乗り込んでいく。
私も乗り込み電車が動き出す。
車窓から見える都会の景色が、いつもと違う景色に見えて何故か悲しかった。
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