全国公開中

 

 

《本記事のポイント》

  • 家族の崩壊を防ぐ信仰と愛の絆
  • 子供たちを信じ切る親の慈愛のありがたさ
  • 活動を支えてくれる家族への感謝

 

 

実在の兄弟デュオ「ドニー&ジョー・エマーソン」が辿った驚くべき実話を映画化。10代で作った1枚のアルバムが、夢破れてから約30年後に"埋もれた傑作"として再評価され、注目を集めた兄弟とその家族の半生を感動的に描き出す。

 

1979年、ワシントン州にある田舎町フルーツランド。1600エーカー(=6.47497平方メートル・東京ドーム約138個分)もの広大な農場を営む家で生まれ育ったドニーは、10代になると音楽に夢中になり、兄とデュオを結成する。息子たちの才能を信じて父が敷地内に建てたスタジオで、ドニーは1枚のアルバム「Dreamin' Wild」を完成させた。

 

家族に支えられながら情熱を注ぎ込んで作ったアルバムだったが、世間からは見向きもされず、夢に手が届くことはなかった。

 

それから約30年後、思い描いていた夢とは程遠い人生を送っていたドニーは、コレクターにより発見されたアルバムが再評価され、"埋もれた傑作"として人気を博していることを知る。思いもよらない成功に家族は喜ぶが、ドニーは家族の温かい見守りの中で、目を背けてきた過去や感情と向き合うことになる。

 

 

家族の崩壊を防ぐ信仰と愛の絆

この映画の特徴は、息子の過ちによって財産を失う悲劇に見舞われながらも、家族が結束し、変わらぬ絆を育み続けることの美しさである。

 

10代のドニーは2枚目のアルバムを作るべく、単身ロサンゼルスへ行き、ある音楽プロデューサーの下で楽曲作りに打ち込むが、大金を騙し取られる。そして父親はその借金を背負い、農場の大部分を失ってしまう。しかし、父も家族もドニーを責めることなく、一致協力してその天賦の才能の開花に協力できたのだから、それで良しとする。

 

このようなエマーソン一家の献身の奥には、神への信仰と、お互いをいたわりあう愛の心があった。才能を過信し、過ちを犯した息子を決して責めることなく、それぞれが自分にできることに前向きに取り組みながら、神に祈りつつ前進していく姿がとても心を打つ。

 

監督と脚本を手がけたビル・ポーラッドは、「(この映画には)静かなシンプルさがあります。信念と家族、罪悪感、責任とは何かを掘り下げながらも、最終的には"癒やし"について描きます。今、この世界は癒やしを必要としています。だからこそ、私はこの物語に心惹かれたのだと思います」と語っている。

 

アメリカ社会を支えてきたキリスト教信仰の奥深さと、家族への限りない信頼と思いやり。そして、他を助けるために勤勉に働くことへのゆるぎない信念。アメリカの古き良き信念がたっぷりと描かれているところに、この映画の得も言われぬ魅力がある。

 

 

子供たちを信じ切る親の慈愛のありがたさ

この映画のもう一つの魅力は、ドニーの音楽的才能を伸ばすべく、あらゆる援助を惜しまず、そしてトニーが挫折した後も、決して後悔することのない父親ドンの信念と慈愛の姿である。

 

映画の最後には、父親に経済的な負担をかけた自責の念がドニーを追い詰め、音楽的インスピレーションから遠ざかっていったことが彼自身の口から打ち明けられる。

 

それでもドンは、息子に神から与えられた才能を開花させるために、自分の持てるものすべてを差し出したことに、何の後悔もないと言い切る。夜中に息子が作った楽曲がスタジオから漏れ聞こえてくるのを、時間も忘れて聞き入ったことが、何よりも父親としてのドンの幸せだったのだ。

 

こうした父親のゆるぎない信念が、中年期のドニーを挫折から立ち直らせ、再び創作への道に立ち戻らせていく姿は感動的だ。

 

大川隆法・幸福の科学総裁は、親が子供に与える精神的影響の大きさについて著書『エル・カンターレ 人生の疑問・悩みに答える 幸せな家庭をつくるために』で次のように指摘している。

 

まず、親のほうが『心の調和』をする必要があります。子供に対しては難しいことを教える必要はありません。心の調和をした親がその感化力でくるんでやれば、自然自然に、素直に、真理に沿った生き方をするようになってきます。

 

その心の調和を図る、いちばん大事なことは何であるかということですけれども、やはり、『愚痴』とか『不平不満』、それから『怒り』、また『人を恨む心』、『人に対して悪口を言う心・傷つける心』、こういうものを、親が子供の前では絶対に実践して見せないことです。

 

子供に接するときには、『あたかも鏡を見ているがごとく、自分が映っているのだ』と思って、そうした『澄んだ心』で接することが非常に大事です

 

 

活動を支えてくれる家族への感謝

また、この映画では、ドニーとペアを組む兄ジョーの献身にも光が当てられている。

 

ジョーは、才能あるドニーにとって、ソロ活動の方が、チャンスが広がると考え、ロサンゼルス行きを勧める。そしてドニーが騙されて帰ってきた後は、トラクターの保守修繕で生計を立てながら、農場を守り抜いていく。

 

映画のラストは、ジョーの献身がデュオの生命線であったことに気づいたドニーが"音楽的才能のないジョーが足を引っ張る"として責め続けていたことを謝罪し、才能を超えた音楽のスピリットに目覚めていくところが感動的に描かれている。

 

神から与えられた才能に感謝しつつ、また同時に自分を支えてくれた人々への感謝の心に目覚めることで、トニーは再び創造の喜びを取り戻すことができたのである。

 

大川隆法総裁は感謝の大切さについて著書『太陽の法』の中で次のように指摘している。

 

自分をしっかりと反省ができたならば、つぎは、それをどのように心で、どのように行いで、あらわしていくかです。すなわちそれは、感謝行ということになります。では、感謝行とはどういうものでしょうか。

 

人々に、『ありがとう』ということですか。確かに、それもひとつです。しかし、ほんとうの感謝行とは、もっと積極的なものです。つまり、『あなたは、他人に一体何をしてあげたか』、そこに、ほんとうの感謝行がありますそれは、やはり愛なのです。与える愛です。与えつづける愛です。無償の愛の実践なのです。これが、ほんとうの感謝行のあり方だといえます

 

家族の信念と絆、そして互いに感謝しあいながら、前向きに生きていくことの大切さを描いた本作品は、家族という存在もまた、神から与えられた贈り物であり、感謝と思いやりによって家族の絆を守り育んでいくことの大切さに改めて気づかせてくれる。(T.T)

 

『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』

【公開日】
全国公開中
【スタッフ】
監督:ビル・ポーラッド
【キャスト】
出演:ケイシー・アフレック ボー・ブリッジスほか
【配給等】
配給:SUNDAE
【その他】
2022年製作 | 111分 | アメリカ

公式サイト https://sundae-films.com/dreamin-wild/

 

 

【関連書籍】

 

エル・カンターレ-人生の疑問・悩みに答える 幸せな家庭をつくるために

『エル・カンターレ 人生の疑問・悩みに答える 幸せな家庭をつくるために』

大川隆法著 幸福の科学出版

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太陽の法

『太陽の法』

大川隆法著 幸福の科学出版

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