◆ 素晴らしい地誌環境と古代史ロマン溢れる地域 ◆
こんにちは、市民レポーターの内藤です。
酒折は、「やまなしの歴史文化公園」に指定されている「北山野道」のある地域です。
「新治(にいばり) 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる・・・」で有名な連歌発祥の地でもあり、
私たち甲府市民にとって誇れる地域の1つです。
※やまなしの歴史文化公園
郷土の貴重な歴史的文化的資産や周囲の自然、景観をあらためて見直し、
その良さ、すばらしさについての認識を深め、これを守り育て、
後世に継承するために山梨県が指定した区域のこと
◆◇◆連歌発祥の地 酒折◆◇◆
▲連歌発祥の地 酒折宮
日本の古典である古事記・日本書紀に見られる
酒折宮でのヤマトタケルの問答歌は、
古代史から見ると確証がない言い伝えだと言われており、
甲斐古代史でも釈然と解釈されていません。
その理由は、記録がいかにも歴史と遊離していて、
他愛のない伝説の世界から生まれた
ロマンス ヒストリーだとも言われているからです。
しかし、甲府市教育委員会が設置している
「連歌発祥の地の由来」の碑文にあるように
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・・・酒折の宮は、古代、日本武尊(やまとたけるのみこと)が
東国の蝦夷を征伐しての帰途、立ち寄った伝承地として有名です。
尊が酒折宮に着いたとき、「新治、筑波を過ぎて、幾夜か寝つる」と歌い、
御火焼の翁が「・・・かがなべて 夜には九夜、日には十日を」と答えた。・・・
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という話は連歌発祥の契機として、とても有名です。
◆◇◆信仰を集めていたといわれる酒折御室山(月見山)◆◇◆
酒折宮は当初、現在地の北側にある酒折御室山(月見山)の中腹にあったそうです。
酒折御室山は、三角錐のかたちをした「神奈備山(かんなびやま)」と言われる山で、
当時は山そのものがご神体と見なされ、人々の信仰を集めていたとも考えられています
(このような神奈備山信仰は神社の原初的形態といわれています。)
酒折御室山地域には、多数の岩塊が見られ、この不思議な自然環境から、
古代人が信仰の対象物として大切にしていた盤座(いわくら)の可能性があるといわれています
※盤座(いわくら):
古神道における岩に対する信仰、または信仰の対象となる岩そのもののこと。
◆◇◆酒折宮地域の自然環境と奈良の三輪山の類似点◆◇◆
▲「不老園」内の石碑付近の岩が岩塊と思われる
酒折宮のすぐ北側の丘陵一帯は、
現在「不老園」という梅樹林の景勝地になっていますが、
この不老園を尾根伝いに酒折御室山を登ると、
斜面の林の中に1メートル前後の岩塊が点在しています。
まず、「不老園」内の石碑付近の岩塊を酒折宮第一の盤座とすると、
その上方向に進むと見られる岩塊を第二の盤座、
さらに小高い山頂に進むと見られる岩塊を第三の盤座
と見る(解釈する)ことができます。
このような酒折宮地域の自然環境は、
神奈備山信仰としてよく知られている奈良の三輪山に類似しています
例えば・・・
酒折御室山の三つの岩塊は、盤座と解釈すれば、
大神神社の三輪山信仰における、
三輪山の奥津・中津・辺津の三盤座と類似しており、
甲府盆地の東北に延びた「北山野道」(山宮・羽黒・酒折へと続く道)筋古墳群の分布は、
奈良三輪山文化遺跡に類似しています。
◆◇◆甲府の魅力を学習し大切にしましょう◆◇◆
このように、甲府市酒折地区の自然環境は、
歴史上有名な奈良盆地の「三輪山」に匹敵する地誌環境と、古代史ドラマを秘めています。
以前に紹介した羽黒地区や酒折地区だけではなく、甲府市には歴史史跡や、文芸、
更には火山活動により形成された素晴らしい景観など多くの魅力があります。
私たち市民がそれらの魅力を改めて学習し、大切にしていきたいですね