◆~本と歩こう㉔~◆
こんにちは。市民レポーターの 杉浦玲子 (すぎうら れいこ)です。
今回は、5月15日(土)に山梨県立図書館で行われた、児童文学作家・斉藤洋(さいとう ひろし)講演会のご報告です♪
こちらの講演会は、NPO法人山梨子ども図書館の主催で、子どもゆめ基金助成活動(※)の一環として行われました。(※独立行政法人国立青少年教育振興機構)
◆NPO法人山梨子ども図書館・宮崎さなゑ代表の挨拶◆
◆終始動きながら創作背景を語る斉藤洋さん◆
『ルドルフとイッパイアッテナ』シリーズ
1987年刊、斉藤洋さんのデビュー作「ルドルフとイッパイアッテナ」から始まる「ねこが書いた物語」。ノラねこたちの友情と冒険をテーマにした作品は、幅広い年代で親しまれている。シリーズ5巻既刊。
※ルドルフたちが甲府にやってきたとされるシリーズ第5巻『ルドルフとノラねこブッチー』については、こちらのブログも併せてご覧ください↓
「ルドルフだよ!武田神社に全員集合!!」夏休み自由研究 子どもの本で文学散歩 (2020年8月13日)
★ルドルフが甲府にやってきたわけ★
複雑な家庭環境で育ったこともあり、早くから自立の道を模索していた斉藤洋さん。
たまたま見かけた新聞広告で、児童文学賞への応募を決意。
入賞するためにはどうすればいいか。考えた末にたどり着いたのが“猫の少年が読み書きを覚えて成長する物語”。「入賞できたのは、すべて運です」
ルドルフシリーズのノラねこたちの間には、理想の親子関係が反映されている。
「父親役のイッパイアッテナは、生きていく上で必要なのは教養だと教えている。でも後は自分次第という関わり方で、価値観の押し付けはしない。実際に成長しているのはブッチーで、ルドルフは少年のままなんです」
実は電車好きの斉藤さん。「特急電車の中で、『あずさ』が一番美しいと思います」。
-あずさが停車する駅で、首都圏から猫でも行ける距離はどこか。駅を降りてからまっすぐの通りに武田神社があって、猫でも行ける。県立図書館や書店、大学があって、アカデミックな雰囲気もある-
という訳で、ルドルフたちが甲府に来ることになったそう。
余談ですが。長年、ルドルフシリーズの挿絵を担当されている画家・杉浦繁茂さん。
斉藤さんのお話によると、ご高齢でもう絵を描くのはかなり厳しい状態とのこと。
山梨県立図書館や書店、信玄公像など、甲府のまちを描いてもらえたのは本当に幸いなことでした。
「『人生は楽しい』ということを、子どもたちに伝えたいと思う。現実の世界で、子どもたちは辛いことをいっぱい経験しているから。物語の世界だけでもハッピーエンドにしなければ」
斉藤洋さんの生み出す物語のように、やさしさとユーモアに満ちた、楽しい講演会でした。
~本と歩こう㉔~『西遊記』1~14巻、『西遊後記』全3巻
※表紙画像は出版社の著作権に準じて使用しています
斉藤 洋・文 広瀬 弦・絵 理論社 2004年~
「西遊記って、みんな何となく話は知ってるけれど、最後まで読んだ人、ほとんどいないでしょ?」
「孫悟空は神で、三蔵法師は人間。無限の命の存在である悟空が、有限の命の存在である三蔵法師の任務を全うさせるために旅に出る。魂の結びつき、絆の物語なんです」
(講演会より)
斉藤洋さんの視点で書かれた『西遊記』。点描による広瀬 弦(ひろせ げん)の挿画とともに、古典冒険文学の世界を旅してみませんか?
―取材へのご協力、ありがとうございました―