カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

とにかくぶっ飛んだ人々の生活   スキャナー・ダークリー

2024-11-14 | 映画

スキャナー・ダークリー/リチャード・リンクレーター監督

 おそらく近未来の話で、麻薬を扱ったもの。俳優が演じているのは間違いないが、画像に加工が施してあって、いわゆるアニメーションになっている。演じているフィルムに、わざわざアニメ的なものを書き込んでいる。コンピュータ処理だというのは分かるが、はっきり言ってかなり失敗している。演じているキアヌ・リーヴスだとかロバート・ダウニーJrだとわかるからいいのであって、そうでなければシラケるだけだ。演出的にアニメ化されている理由は分かるのだが、小手先である。そのためだけに映画の映像を破綻させていることが、大きな失敗の原因であろう。
 内容もあんまり冴えていない。グダグダしている会話が中心なのだが、アニメの映像が邪魔をして集中を妨げている。ただでさえあんまり意味の薄い会話劇が、さらにどうでもいいようなグダグダさに陥っていく。ひどいものである。たいした映画でないものを上塗りしてごまかそうとしている訳だが、それさえも成功していないのだ。未来の話とはいえ、過去の焼き増しと言われたらそんな感じもするし、斬新さが無いのである。何やらヤバそうなことにはなっているはずだが、それで何? って感じかもしれない。実際結末に至っても、緊張感があるわけではないし、気が利いている訳ではない。失敗は簡単にはとりつくろえない、という証明であろう。
 原作はフィリップ・K・ディックで、彼のSF作品は数多く映像化されている訳だが、どうしてなのだろう。名作も多くて、それは結構なことだが、実際の小説は、やはりなんとなく観念的なところがあって、そこまで面白いかどうかは分からない(だいたいいつも途中で挫折してしまうのでわからないのだが)。しかしこれを読んだ映像作家は、やはり映像化してみたくなるということなのだろう。
 麻薬の恐怖は、今現代にもある困ったことだが、しかしやはりあちらの国は特に激しい。芸能人だけでなく、多くの人がのめり込み、人生を破綻させている。いわゆる飲酒問題でも同じようなことなのかもしれないが、人間性の中でも、人によってはかなり深刻なことになることは間違いなさそうだ。しかしそれは生活の中に、かなり複雑に浸透していて、解決には至り得ない。ひとのシラフというのは、あんがいに得難い状態なのかもしれない。
コメント
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