郵便料金の値上げについては、さまざまな不満の声がきかれるところだ。モノの値段が上がっても気にならないくらいお金持ちになりたいものである。
今回の値上げについては、消費税が上がった時のことを除くと30年ぶりということだ。郵便事業は赤字が続いているといわれ、国会でも何度も答弁がなされていて、ようやく値上げがなされたという経緯がある。ずいぶん前から分かっていたことではあるのだ。
それでもまあ、30年も頑張ってきたにもかかわらずすっかり悪玉にされた郵便局なのだが、そもそもサービスが低下しているにもかかわらず値上げというタイミングも悪いのかもしれない。しかしながらそうであるならば、郵便料金はこれまで安すぎた、ということも言えるのではないか。そういう事も気になって、国際価格を調べてみると、必ずしも条件がぴったり合う訳ではないものの、郵便の封書などの料金を見ると、日本の料金は最安値であることが分かる。値上げしても、他国より抜きんでて高くなるわけでもない。
日本は人口も多く国土もそれなりに広いので、郵便サービスの内容の比較も難しいのだが、日本の郵便は信用度も高く、比較的早く配達されていることも分かる。土日祭日配達して無いのだが、そもそも毎日配達している国なんてものは無いようで、さらに配達日を減らす動きは国際的に加速しているらしい。電子書類への移行が進む北欧はもとより、そもそも郵便物そのものの取り扱いが、国際的に激減しているのだ。今のところ赤字経営は米国・イタリア・日本くらいだけれど、収益はどこも高くはない。特に日本は、少しばかり料金をあげたくらいでは、経営は健全化しない。値上げによる取扱郵便は今後も減る見通しだし、値上げしなくても取り扱いは、荷物以外は減り続けることが予想されているのだ。
要するに郵便事業は、どの国においても成り立ちにくくなっている現状がある。これまでよりもサービスの質は落ちてきたというものの、さらに合理化を進めて、配達日数なども限られたものになっていくのは必然的なようだ。組織力は抜きんでて大きなもので網羅されているものの、これの維持ということを考えると、大きすぎるということも考えられる。金融サービスで下支えしている事業とはいえ、単独では難しくなっているのだろう。
ということが改めて分かった訳だが、これを機会に郵便離れが加速することにより、個人的には、いろいろ助かる思いもする。いまだにはがきで返答しなければならない案内もそれなりに多いし、要らないダイレクトメールは日々大量に届いている。紙の書類でやり取りしているものも多く、本当に不便だ。ほどんどメールなどの電子的なもので代替できているものばかりなので、郵便でのやり取りは終わりにしたらどうだろうか。書類はこっちで印刷できるので、添付してくれさえすればいいのである。さらに電子資料なら、複数の末端からも見ることができる訳で、うっかり忘れても対応ができる。なかには郵送で送ってきたものを当日もってこいという会議なんかもあるので、本当に困ったことなのである。郵便事業にとっては危機的なことは分かるのだが、事業を見直さないことには成り立たないことくらい、猫が考えても分かることだったのである。かつては紙の消費量がその国の文化度の高さを図るバロメータだったのだが、もうそんな話は聞かなくなった。あとはそういう変化が早いか遅いか、ということなのであろう。