瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

秋那須美味街道7

2008年10月16日 22時05分33秒 | 旅の覚書
テンパッてる為、本日2度目の更新、前回の続きです。
今回は写真が多いんで、記事は少なめ。
写真が多いとタグ文字が増えるから、文字数限界がそれだけ早まるんすよ。(汗)
…つって、数えてみたら前回の方が枚数上でした……間抜けだ。(汗)



15:48、キュービー号に乗って宿に戻る。

次の停車地『那須高原友愛の森(→http://yuainomori.web.infoseek.co.jp/)』で、私らを残し乗客が全て降りてしまう。
此処も『一軒茶屋』や『那須湯本』と同じく交通の要所。
高速バスの停留所でもあるんで、この日帰る予定の人が降りたんではと。
乗ったキュービー号自体が最終の手前便だったし。
バスの運ちゃんも心配したのか、南ヶ丘牧場でうちらが降りる際、宿は何処かと問うて来られた。
心配して下さって有難う、でもうちらが泊ってる宿、この南ヶ丘牧場だから大丈夫。(笑)
まぁ心配されるほど南ヶ丘牧場は、交通が不便な場所に在るという事で。
もしも泊ってなくて、例えば一軒茶屋より下のホテル泊なら、既に行くバスは無かったりするんだ。(汗)
そりゃあ心配して訊きたくもなるでしょう。


16:28、南ヶ丘牧場着。

昨日は17時過ぎても客が結構残ってたんすけどね。
この日は平日だったからか、うちらが戻った時刻には、大分閑散としてました。
牧場は朝早いけど、夜も早い。
17時半には終業ですから。
そんなもうじき店仕舞の頃、うちら2人は売店で買い物。(↑が売店)
キュービー号乗車特典で、南ヶ丘牧場『庄屋の館』で御飯食べたり、売店で土産買ったりすると、5%引きにして貰えるもんで。(対象店舗が決まってるんで注意)
だが友人は特典付くの忘れてて、割引無で買ってしまったらしい…。




↑『車輪ケーキ』と言う名のパウンドケーキを買いました。



↑名前通り車輪型してます。
味は色々、チョコ、シンプル、胡桃、後は…ブルーベリーなんかが有ったか…?
私が買ったのは胡桃です。



↑家帰って1/4づつに分けて食べた。
開けた途端バターの香りがプーンと匂ったです。
想像以上に美味しかった、胡桃も大粒でいっぱい入ってたし。
今度行った時は別の味の物を買ってみたい。



↑アイスクリームも買いました。
これはバニラの大サイズですが、他に小カップで色んな味の詰合せセットなんてのも売ってる。



↑んで旅行から帰って2日もしない内に食べてしまった。
長く置くと紙の味が移ってしまい、風味が落ちてしまうんですよ。
食べた家族曰く、「他のアイスが食べれなくなる…」との事。


売店で買い物をした後、部屋に戻って一息吐いた。
明日は帰らなきゃならんので、片付けしたり、充電したり、TVで天気予報見たり。
したら「東北新幹線、大幅にダイヤが乱れる。原因は未だ不明」なんてニュースが流れてびっくり。


友「運良かったな~俺ら…今日帰る予定だったら地獄だったぞ」
私「いや~原因不明だし、明日も判らんぞ~?(笑)」


まぁ一先ず避けられて運が良かったなと…運悪く遭った人は気の毒だが。(汗)

部屋で少し休んだ後で、友人は早々と風呂に入りに行った。
部屋に残った私は独りしみじみと茶を啜ってましたです。

友人が戻った頃、丁度夕飯タイムの18時に。
昨夜同様、揃って1階食堂へ下りました。


席はやっぱり暖炉傍のアリーナ
この夜の暖炉も赤々と燃え盛ってました。
辺りを見廻せば、窓際で1組の客が御飯食べてる。


私「宿泊客かな?」
友「さあ?」
私「けど…18時前に食べてるのはおかしいよねぇ?」
友「じゃあ違うのか?」
私「此処の営業自体は終ってるし…どっちだろ?」
友「どっちだっていいだろ」(←他人に興味を持たないタイプ)


なぞとヒソヒソ話してた所、その1組の客は食べ終ると、外へ出て行ったのでした。


私「…違ったらしい」
友「…らしいな」
私「今日も宿泊客、うちらだけなのかな?」
友「今俺らしか居ないって事は、そうなんだろうな」


結局うちらが泊った間、他の客は宿泊してなかった様で。
お陰で風呂とか独占出来て嬉しかったけど。


さて夕食――




↑前菜の『南瓜の胡麻和え』。
甘味の中に酸味を効かせた、食欲をそそる1品です。



↑続いて出た『鱒の南蛮酢揚げ』。
此処は鱒の養殖も行ってまして、宿泊すると鱒料理が必ず出て来ます。
そういえば未だ出て来ないな~と思ってたら、此処で出されました。
鱒のから揚げを酢豚風味のタレに漬け込んだ感じ。
見た目を裏切るあっさり味で美味しかったっす。



↑次に出たのは『牛のモツ煮』。
コンニャク等と合せ、上に葱を振ってあります。
実は私、モツは苦手だったんすよ。
けどこれは食べられた。
苦手な人間でも食べられるっつうのは、料理上手な証かと。



↑『茄子とズッキーニのコンソメスープ』。
中の具が蕩けるくらい煮込んであって美味しい。
蕩けるんだけど、見た目しっかり形が残ってるのがプロの技。



↑『高原野菜のサラダ』。
ドレッシングは胡麻味で、恐らくは手作り。
幾分甘めの味でした。



↑そして遂に出た、メインの『牛サーロインステーキ』。
出される前に焼加減を訊かれます。
私はレア、友人はミディアムでお願いした。
ソースは生姜醤油、ステーキの上にはレモンスライスとガーリックバターが載ってます。
付け合せはオクラ、人参のグラッセ、ポテト。
熱々ジュージューの状態で出して貰いました。
肉が1部千切れてるのは、撮影を忘れて食べようとした為。(笑)
那須牛は最高に旨いです、保証します。



↑一緒に出された『黒パン(牧場バター付)』。
これも出される前に、パンにするか、御飯にするか、訊かれるんですよ。
普段だったら御飯なんですけどね、此処のパンは絶品だから。
という訳で2人揃ってパンを選んだ。
ちなみに昨夜のジンギスカンの時は、尋ねる事も無く御飯で決まり。
店員さん、良く解ってらっしゃる。



↑デザートは『メロン』でした。
ちょっと意外だった…いや私はメロンはそんなに~なんすけど。(嫌いではない、普通に好きって事)
友人がメロン大好きだったんで、かなり喜んどった。
私が食べても美味しいメロンだと思ったです。
しかし贅沢だ…これで1泊1万円しないんだから驚き。


食べ終って部屋に戻ったら、やはり布団が敷いてあった。
2日目ともなると流石に疲れが溜まるもので。
友人はさっさと着替えて早沈没。

私も風呂へ入りに行き、出た後は朝食で残した牛乳を1杯呑み、歯磨きを済ませて寝たのでした。

心地好い疲労は何よりの睡眠薬――おやすみなさ~い。




【続】
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秋那須美味街道6

2008年10月16日 22時05分13秒 | 旅の覚書
さて1週間以上離れましたが…前回読み直して記憶を探りつつ、再開で御座います。(汗)




13時近くなり、店内が益々混雑して来た所で、私らは席を立つ事にしました。
店を出て最寄のバス停まで、坂道を上る事約30分。
…しんど~~~。(汗)
この『みちのく』の下にも結構面白そうな場所が在るんですが、帰り道を考え安易に寄れないでいる。
そろそろバス賃払って行く覚悟を持つべきか…?
毎度言ってるが、こっち側のルートにもカモン、『キュービー号』!
需要はかなり有る筈なんだから。
『アジアンオールドバザール』とか、ガイド観ると楽しそうで、1度寄ってみたいんすよ。(→http://www.asianoldbazaar.com/)

ちなみに戻る途中にも、割と名の知られてるらしいベーカリーやら、山小屋風カナダ土産ショップとか、器のギャラリー諸々が建ってたり。
この内カナダ土産ショップは、帰る途中友人が覗きに行った。
で、友人の話では、残念ながら掘り出し物は見付からなかったそうな。
あ、私はバス停近くの『セブンイレブン』で電池買ってく積りだったんで、一足先に一軒茶屋へ戻りました。

那須の交通の要所、『一軒茶屋』バス停には、コンビニが2軒在ります。
『セーブオン』と『セブンイレブン』、バス停前である『セブンイレブン』では、東京行の高速バス乗車券を購入出来る。
店の隣には公衆トイレ、道路を挟んだ正面には交番…覚えとくと結構お役立ちっすよ。


13:20、一軒茶屋~那須観光シャトル周遊バス『キュービー号』に乗車。
午前中は曇ってた空が、次第に明るく晴れて来ました。
それとともに気温も上昇、半袖で充分な位の陽気になった。

那須と言えども陽が当ってる時間は暑かったです。
けど夜は寒い…ブルブル震える程に。
山ですからね~、も少ししたら雪が降って、すっかり冬景色になるんだろうな。


午後は2人別行動を取る事に。
私はステンドグラス美術館、友人はテディベア美術館。
とは言っても友人の目当ては熊の方でなく、近くに建つ古道具屋。
骨董好きな人間には割と有名な店なんだそうな。


実は訪れるの2度目だったりする、『那須ステンドグラス美術館』。(前回の記録→その1その2
…毎度同じ所ばかり訪ねてて済みませぬ。(汗)

近くに『穐葉アンティークジュウリー美術館(→http://www.jewellery-museum.com/)』と言う所も在って、そこも1度寄って観て、女性好みの素敵な美術館だなと思ったんですが…宝石よりステンドグラスの方が興味有るもんで。(済みません)
それと記事上の写真を見ての通り、ステンドグラス美術館の方は、外観からして極めてて凄い。(↑)
イギリスの候爵の邸宅『マナーハウス』をモデルにした造りは、近付いて見ても手を抜いて建ててない事が解る。
内部はもっと凄い、『セント・ウリエル』、『セント・ガブリエル』、『セント・ラファエル』と、そうそうたる名前の礼拝堂が連なり、廻ってると何だか巡礼者にでもなった気分がします。
ただ残念ながら館内は撮影厳禁。
本当に素晴らしい造りなんで、勿体無い気もするんですが。
ハウステンボスもそうだけど、どうせ建てるなら半端無く極めた方が、私は好感を持てるのだ。
ちなみにこの美術館、上で話に出した『アジアンオールドバザール』と、前回寄った『茶屋卯三郎』なる店と、同じ会社が企画&設計を担当してるようで。
『茶屋卯三郎』…古民家に見えて、床暖房なんだと…匠の技だね~。

どっちの美術館も受付でキュービー号の乗車券を見せれば、入館料を100円割り引いて貰えますよ。




↑美術館正門前で案内をしていたおじさん。
人気が高いらしく、車が続々と入ってった。



↑緑深い林の中、ひっそりと建つ、ステンドグラス美術館。
紅葉シーズンの今なら、尚美しいだろうと思う。

上記の理由により館内を撮影した写真は有りませんが、1800~1900年代の英国ステンドグラスを中心に揃えた展示物は、どれも神聖な美に溢れています。
ステンドグラスだけでなく、美術的な石像や調度品まで展示してありますが、これらも全て英国から譲り受けたらしい。
アンティークなソファがそこかしこに置いてあるんすが、「御自由に座って御鑑賞下さい」っつう意味のよう。
館内に立ち込める癒しのアロマの香り、礼拝堂で行われるパイプオルガンやオルゴールの演奏…なるべくゆっくり観て廻りたい場所で御座います。
毎度1時間位しか観て廻ってないですが…だってバスの時間が有るから。(汗)



↑2階からバルコニーに出てみました。



↑如何にも中世風の、木の扉が良いっすねv
槍持って重たい甲冑着て、ガッチャンガッチャン言わせながら、開けてみたくなる。


「この城は疾うに落ちたっ…!!」(←不吉な)




↑バルコニーからの眺め…毎度同じ様な写真ばっか撮ってて済みませぬ。(汗)
ちなみに写ってるのは売店&カフェ。



↑売店ではハロウィンシーズンに合せて、ハロウィン雑貨をメインに売ってました。
カフェで「今年9月末迄全品半額キャンペーン」やってたんすが、悩んだ末次の予定の為に泣く泣く見送る。
あ~~何となく勿体無い~。

私が行った時、丁度花婿&花嫁さん(&親族や友人知人の方々)がいらっしゃってまして…多分隣の『那須高原セント・ミッシェル教会』で挙式行ってたんだろうなと。
礼拝堂、バルコニー、庭園と、写真撮影して廻っとりました。
その後庭園でフラワーシャワーを降らせる際、婚礼スタッフのおじさんが「なるべく優しく振りかけてねv」と仰り、周囲の微笑を誘ってました。
続いて鐘を高らかに鳴らした後、参列者も揃って記念撮影…中々良いものを観せて貰ったです。
どうか末永くお幸せに~。


14:37、ステンドグラス美術館~キュービー号乗車。

ちなみに帰りは停留所の真向いでバスを待った方が、乗込む時にスムーズだったり。
とは言え停留所が無い所で待ってて、ちゃんと停まってくれるものか、不安に思うかもしれない。(自分は不安に思った)
でも大丈夫、ちゃんと停まってくれます。
停留所が無くても、進行方向に合う側で待ってないと、乗込む際に道路を渡る手間が発生して、発車を遅らせてしまう。
てゆーか面倒がらず、道路の左右にバス停置けば良いのに。
走る車の邪魔になると考え、敢えて置かないんだろうか?


さて乗込んだバスは次の停留所の、『那須テディベアミュージアム(→http://www.teddynet.co.jp/nasu/nasu_main_f.html)』へ。
偶然にもそこで友人が乗込んで来ました。


私「あれ?」
友「…おう」
私「もういいの?」
友「ああ、なんか今回目ぼしい物無かったんで。熊んトコ行って時間潰してた」
私「へ~、意外…」
友「いや入館はせずに、併設喫茶で茶ぁ飲んでただけ」
私「…あ~それなら納得!(笑)」




↑2人揃った所で、これも毎度同じ場所で済みませんな(汗)、『那須高原ザ・チーズガーデン五峰館』にて下車。
キュービー号の乗車券持ってると、此処でお茶&菓子の特典が貰えるんすよ。
んでその出されるお茶&菓子がメチャ美味い!
それを目当てに、ついつい寄ってしまうのです。(笑)
私らだけでなく、他の観光客も同様。
観光バスの誘致にも熱心みたいで、駐車場は何時も千客万来。
車で訪れる客もかなり多い。



↑隣には『しらさぎ邸』なる名前の高級レストランが建っています。
敷居がちょっと高過ぎて、寄った事は無いですが。(汗)



↑平日でも大賑わいを見せる売店。
いや本当に物凄い混雑振りで…写真は上手い事避けて撮った物なんすよ。(笑)
ただのチーズ専門土産店が何故そんな人気が高いのか不思議に思うかもですが…1つにはチーズケーキが評判の美味しさだからです。
それとチーズが結構安い、言いたくはないがハウステンボスより安い。(笑)
但しハウステンボスの場合、その場で要る分だけカットしてくれるとか、そういったサービス力で勝ってる気はする。
いやそもそも比較する事無いんだけどね、同じ物を扱ってる分、ただの客のクセしてライバル心が燃え滾ってしまうんですよ。(苦笑)
チーズだけでなく、ジャムにワインにウィンナー等も扱ってます。
奥に喫茶が在って、そこで軽食を取る事も出来る。
受けられる特典もそこで。



↑これがその特典である、御用邸チーズケーキ&チーズクッキー&ブルーベリーティー。
写真では判らないでしょうが、お茶の量かなり有ります。



↑加えてソフトクリームまで付いてきました。

前回を上回るサービス…一体どうしたと言うんだ!?
儲かって笑いが止まらないから!?
はっ!しかし容器が紙に化けている…そうか、その分を削って…!(←とことん失礼なヤツ)
いやいや良いんですよ、器より中身が大事です。(笑)
てゆーか紙で出す方が金かかりそうな気もするし…どうなんでしょうね~?

このソフトクリームがまた、素ん晴らしく美味かったのだ。
見廻してみて、買ってる人多いなーと思ったけど、理由が良く解った。
南が丘牧場とは違う、洗練されたミルクの味っつうか。
いや牧場アイスは「洗練されてない味」と言いたい訳でなく。(汗)
片や練乳にも似て濃く、片やスッキリ爽やかな味っつう事です。
…こういう説明で解って貰えるだろうか?(汗)
まぁどっちもとても美味しいと言いたい訳で。

ソフトクリームもだが、友人はチーズクッキーが気に入って、売店中探し回ったけど、見付からなかったらしい。
どうやら既に売り切れてたみたい。
『御用邸チーズケーキ』も売切れ…これ味が良いのは勿論だけど、名前の力も有る気がするなー。

余談になるんすけど、銀座木○屋の『酒種あんぱん』有るじゃないっすか?
あれ今では大抵の人が知ってるほど有名ですが、売り出した当初は全く人気が無かったらしいですよ。
当時は文明開化したばかりで、パンを食べる人は殆ど居なかった。
それで日本人には馴染の深い饅頭に似せて作ってみたけど、やっぱりパッとしない。
そこで知人のコネを利用して、明治天皇に献上したら、忽ち人気大爆発となったそうな。
今でもあんぱんの上に飾ってある、あの桜の塩漬けは、天皇へ献上する際に飾られたもんなんだと。

何が言いたいかっつうと、那須は皇室を最大限に商売利用しているなぁと…言葉が悪くて申し訳無いですが。(笑)
那須の店行くと、「此処は○○様が先日お寄りになって…」みたいな噂話を、頻繁に耳に致します。
この宣伝パワーは、何処ぞの観光地にも見習って欲しいな~とね。(笑)



↑折角だから何か買ってこうと、プチチーズケーキを土産に選びました。



↑個別に包装されて、食べ易そうだった為、選んだんですが…



↑失礼ながら失敗だったなと…家帰って食べたら、不味くはないけど、あんま大した事無かった。(汗)
ちょっちパサパサしててね~、まぁ自分の感想なんで…他の人が食べたら、評価違って来るかも…。

試食は大事だなと思い知ったです。
有難い事に、この店は試食が充実してる。
だから買う前には必ず試食しよう。
お薦めはやはり『御用邸チーズケーキ』、それと『フロマージュブラン』。
直ぐに売切れるのが理解出来る絶品です。


今回紹介した『那須ステンドグラス美術館』のHPはこちら。(→http://www.nasu-proposemuseum.com/)
『那須高原ザ・チーズガーデン五峰館』のHPはこちら。(→http://cheesegarden.jp/)




【続】
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どんどん妄想バトン6

2008年10月14日 22時22分46秒 | ワンピース
或る意味タイトル通りに回答してはいる気がする。
問題は設問以外の事まで、長々語ってる点に有るんすが。(汗)
今度こそ正真正銘終わりを目指して、前回の続きです。





「あんな願いで良かったの?」


眠りにつく仲間達を見送った後、最後まで残ったナミさんが、私の下へ寄って来て尋ねる。
小さな彼女に注意を払いつつ、私は皆が脱ぎ捨ててった服やポット等を、デイバックの中へ詰込んでった。


「あんたには後8回分願いを言える権利が有ったのよ?
 なのに1回に纏めて、願いはアレだけなんて…欲が無いのね」

「…欲が無い訳じゃないですよ。適当なのが思い付かなかっただけで…本音大分惜しく思ってますって」


苦笑してチャックを閉じる。
途中引っ掛った所で一旦戻し、中身を詰め直してから、再び勢い良く閉じた。
真下で様子を窺うナミさんが、聞える様に溜息を吐く。


「惜しむくらいなら、格好付けずに言えば良かったのに…馬鹿ねェ。
 あんた、もしかして私達の力を甘く見てる?
 『ナンダラコラの根っ子』には、あまり大きな願いを叶える力は無いけど、小さな願いなら幾らでも叶えられるんだから!」

「そんな基準を測るのに難しい力じゃ、何を願えば良いのか余計悩んじゃいますよ!」

「だって…折角私達が……!」


その先は耳を澄ましても聞えない位の声で、ブチブチブチブチひたすら呟く。
口元が若干尖り、スネている様に見えた。
力を過小評価された気がして、面白くなく感じたのかもしれない。
幼い態度に我慢し切れず吹き出してしまえば、彼女はムッとした顔でこちらを睨んだ。


「残念ながら欲が深過ぎて、大きな願いしか浮かばないのです。
 ささやかな願いが叶って満足する程、人間が出来てないんですよ。」

「『世界平和』とか?」

「いや、『贔屓の野球チームが優勝』とか……けどもう結果出ちゃった後ですからねぇ」


もしも間に合ってたら、それを願いにしたのになーと、これは本気で惜しく思った。
まぁ今更言っても仕方ないし、それで叶えられる優勝は、あまり感動出来ないだろう。
彼女は未だ納得いかない面持ちだったが、早く眠りにつかせる為にも、ここらで別れを告げようと決意した。

座ったままデイバックを背負う。
視線を落して彼女に向い、右人差し指を差出す。
意味を悟った彼女が、指を両手で握った。

草を撫でて吹く風が、潮の香りを再び連れて来てくれた。
今度彼女と仲間達が目覚める時には、そこに花の香りも加わるだろう。

花の波に包まれ、皆の輝く顔が、目に浮かぶ。
側に居て、その情景を眺められたら、どんなに幸福か。


「それじゃあ、お元気で。短い間でしたが、一緒に過せて楽しかった…!」

「そお?私もまぁまぁ楽しくはあったわ!…少し不便にも感じたけど」

「近くに乾パンの入った缶を埋めときました。目覚めてお腹が減ったら、皆と一緒に食べて下さい」

「解ったわ。有難う!」

「ルフィは『肉が食いたい』って文句を言うだろうけど…魚とかなら側を流れる運河に沢山居ますから。
 但し白鳥は食べないように言っといて下さい。
 あの鳥は此処のアイドルなもんで。」

「うん、解った!くれぐれも男共には注意しとく!」

「他には観光客の隙をついて食べ物奪う手も有るし…タフなあいつらが一緒なら、飢える危険は無いでしょう」

「知ってるわ!だって生れる前からの付合いだもの!」

「それから――」



――どうか生れたからには、楽しい人生を送ってください。



「……その『願い』はもう聞いたってば!」


彼女が優しく微笑する。
オレンジの髪が風でふんわりと踊った。
潮の香りが強くなった気がした。

ああ…もう駄目だ、限界だ。
これ以上何か言ったら泣いてしまう。
既に目頭には熱が感じられ、私は強く唇を噛締めた。

無言のまま、ゆっくりと指を離した。
気持ちを察したナミさんが、先に埋まった仲間同様服を脱ぎ、私に向って差出す。
ナミさんの背後の地面には、彼女用の小さな穴が開いていて、これからそこに埋まって半年間眠るのだ。
周りには先に眠りについた仲間が居る。
もう何も心配する事は無い。

彼女から渡された服をバッグのポケットに詰めた後、私は思い切って立ち上った。
見上げるナミさんの瞳も、心なしか潤んで見える。

もう顔を見てられなくて、背中を向けた後はそのまま走ってこうと考えた。
そんな自分の背後で、ナミさんが私に向い、叫ぶ声が耳に届く。


■「ナミ」はそろそろ戻らなくてはなりません。最後に一言、何と残したと思う?


「あ!!…ねー!!!そう言えばあんたの名前は何て言うのォーーー!!?」


耳には届いていたが、私は振り返らずに走って行った。
逃げる様に遠ざかる私の背中に、ナミさんの遠慮無い文句が突き刺さる。
だからと言って名前を口にする訳にはいかない。
だって私は一介のファン…立入らずに、外から応援するしかないのだ。

裏道から広場に出た所で、彼女の声は聞えなくなった。
鼻を啜りながら真っ赤な顔で泣いてる私を見て、通りすがりの観光客が怪訝そうに避けて行く。

泣き止む頃には、煉瓦敷きの道に伸びる影が、大分長くなっていた。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




そういう訳で長崎ハウステンボスには、ワンピースのキャラに似た小人が居る。
もっとも冒険好きの彼らだから、ひょっとしたら船を建造して乗込み、海を越えて何処かに行ってしまったかもしれない。
もしもまだ居て貴方が巡り会ったなら、彼らの為に服を作ってあげてくれないだろうか?



ところで後日あの八百屋を訪ねに再び某所へ旅に出たのだが、店が在った筈の場所には空き家が1軒建ってるだけだった。
付近に住んでる人に主人の行方を尋ねたりしたのだが、不思議にもその八百屋自体を知ってる者すら1人も見付からなかった。
空き家は私が訪れる前から、ずっと空き家のままとの事だった。

もしかしてあの八百屋は、昔ゾロが『BLUE』で話に出した、『悪魔の八百屋』だったのではないか?

私は今、そう考えている。




【おわり】



 
 
■お疲れさまでした。最後に5人の家の庭に指定キャラを埋めてください。


済みません…間が空いたんで、それはしないでおきます。(汗) 
 

いや~~終りました…漸く終りましたよ!(苦笑)
バトンを回して戴いた真牙さんには、心から有難うと言いたい。(笑)
いや本当、楽しかったです。
こういう己の妄想を表に出すバトンは照れるんですが、開き直れば結構楽しめるものだなと感じた。
お題に合せて話を書く感じ?(笑)むしろ展開が決められてる分、書き易い気がする。
つって、それだとバトンの方向からは掛け離れちゃいますが…。(汗)

書きながらこの設定で話を書きたく思ったり。
勿論自分はもう出しませんよ?(苦笑)
『誰も知らない小さな国』のワンピ版で、小人(植物?)な麦藁達と観光目的で訪れた人間との交流話っつか。
例えばビビちゃんとか、パウリーとか、マキノさんとか。(←己の好みが入った人選)
上手い事ハウステンボスの紹介も出来るし…本当に書いた時には、生温かい目で見守って下さいませ。(笑)

こんな訳解らん話を最後まで読んで下さった方、有難う御座いました!
明日からは再び那須旅行記に戻りますんで。
これもハウステンボスに行く前に終らせんと、行った記憶が核融合起こしちまう。(汗)


写真は那須ガーデンアウトレット屋内の子供遊技場。
三輪車に乗った小さな子供達が、楽しそうにグルグル回ってました。
雨が降ってた為、こちらのスペースは大賑わいだった。


【追記】…後日この話は『Baby Factory』の真牙さんに押し付け…もとい献上しました。
       したらノリが良く人の好い真牙さんは、快く飾って下さいました……ゾロ誕会場に。(笑)
       その後も勿体無くも「treasure」部屋に飾って頂いてます。
       誠に身に余る光栄、どうも有難う御座います、真牙さん。(礼)
       ちなみにそこで飾って頂いてるのは、バトン形式から外して、多少文章を変えてあったり。
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どんどん妄想バトン5

2008年10月13日 20時11分13秒 | ワンピース
ネーヴァエンディングスト~~~ォリィ~~~~~~♪
口ずさみつつ、前回の続きです。





引き続き同じ要領で、計7箇所穴を掘った。
さながらミステリーサークル状にアリジゴクがいっぱい。
場所の準備が整った所で、『ナンダラコラの根っ子』を7粒取出す。

此処で心配事が1つ頭に浮かんだ。

ナミさんロビンちゃんと違い、他野郎共に対しては愛が薄い私である。
結果イメージが薄くなって、落書きみたいな奴等が生れたらどうしよう?
そんな破目になったら、きっとナミさんは悲しむに違いない。(ロビンちゃんはそれでも面白がりそうだが)
だから彼女達を生出した時以上に、頭の中でイメージを強く描くよう、精神統一をして儀式に臨んだ。


「これはルフィ!…これはゾロ!…これはウソップ!…これはサンジ!…これはチョッパー!…これはフランキー兄貴!…これはブルックさん!」


イメージを浮かべながら、掘った穴に次々と根っ子を埋める。
土を盛った後、上から水を順繰りにかけてやった。


それから待つ事約10分。


雨後の筍が如く、黒緑黒金茶水色黒と、7つの芽が顔を出した。

――と思う間も無く――スポスポスポポポポポン!!!と、埋めた場所から勢い良く、6人の小さな裸の男達&豆狸が飛出す。


「肉~~~~!!!」
「…酒!!」
「勇敢なる海の戦士ウソップ、此処に現臨!!!」
「煙草!!…おい誰か煙草持ってねェか!?」
「ウワァァ~~!!!――ここ何処だァーー!??」(←唯一まとも)
「寝覚めすっきりスゥ~~~パァ~~~~~~!!!!」
「ヨホホホホホホ~~~~~!!」


「ルフィ!!ゾロ!!ウソップ!!サンジ君!!チョッパー!!フランキー!!ブルック…!!」


出現した「生れたばかりの仲間」の名を、ナミさんは澱み無く呼んでみせる。

人口が増えた広場は、一気に喧しくなった。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




何時までも裸の男達を放置させとくのは、公衆衛生上極めて宜しくない。
何より2人の美女に全裸男の群れを絡ませるのは非常に危険だ。
そういう理由から私は至急風呂の仕度を整え、目敏く美女2人に気付き、傍へ駆け寄ろうとした馬鹿野郎から、捕まえて湯に浸けた。
頭を指で抓み、湯の中でシャブシャブ肉の様に洗う。
洗い終わったら全員お揃いに作った服を被せ、目を回してるのを幸いに、そこらへ転がしておいた。

風呂が空いたんで次の標的に移ろうとしたが、一部始終を目にして恐れを抱いた男共が、蜘蛛の子散らした様に逃げ惑う。
だがこちらも逃して堪るかとばかりに、草の根分けて見付け出しては、片っ端から湯の中に突っ込んで洗った。
洗いながら、全員漫画に登場する通りであるのを確認する。
案じてた様な落書きタッチになっておらず、心から安堵した。

6人分の泥を落とした為、真っ黒に染まった湯を、地面に撒いて捨てる。
入浴を終えた男達に服を被せながら、未だ1人足りない事に気付いた。
目を凝らすまでもなく、草葉の陰からこちらの様子を窺う、角の生えた豆狸を見付ける。
隠れている積りだったのだろうが、その体は殆ど草から食み出ていた。
容赦無く紙椀に突っ込み、上からドボドボと新しい湯を注ぐ。
どうやら少し熱かったらしい、風呂の中の豆狸が「アヂィ~ッ!!!」と、甲高い悲鳴を上げた。

全員服を着せ終り、漸く人心地がつく。

目を回していた為暫くは大人しかった男達だが、元気を取り戻すと己の受けた扱いに対して、一斉に不平を爆発させた。


「おい!!おまえ!!よくも俺達をぞんざいに扱ってくれたな!!しかも俺男だぞ!!男がスカートはけるかっ!!」
「そうだそうだァ!!ルフィ、言ってやれェ!!」
「まったくクソなセンスで恐れ入るよ。これじゃ世界中のレディに哂われちまうぜっ」
「そうだそうだァ!!サンジの言う通りィっ!!」
「服は一先ず置くとして…俺達を丁重にもてなした礼は、たっぷりさせて貰うぜっ!」
「そうだそうだァ!!殺っちまえ~!!ゾロ!!」
「オレ熱いの苦手なんだぞっ!!しかも泳げないんだぞっ!!死ぬかと思って恐かったんだからなっ!!!」
「そうだそうだァ!!チョッパーの負った精神的苦痛も償って貰うぞォ~!!」


なぞとギャンギャンギャンギャン…黙ってれば言いたい放題である。
特に人の背後からブーイングを飛ばす鼻の奴が気に喰わず、頭を弾いてやろうと指を近付ける。
するとウソップはギャーギャー喚きながら、ゴキにも勝る逃げ足で、フランキーの背後に隠れてしまった。
頼られると弱い兄貴が、すぐさま攻撃態勢を見せる。


「よし退がってろ、お前!!俺が一撃で蜂の巣にしてやるぜ!!」
「アア兄貴ィ~~!!流石泣く子も惚れる好い漢っ!!!」


構えた左腕から手の平だけがガチャンと扉の様に開き、内部に仕組まれた砲口が明らかになった。
おおっ、中指サイズでも、ちゃんとサイボーグしているっ!!
我ながら大したイメージ力だと感心――してる場合じゃないっっ!!
私を取り囲む奴らの視線には、はっきりと敵意が見て取れた。


「…なんかこいつ、俺達にとって危険な存在に思わねェか?」
「危ねェ芽なら、早いトコ摘んどいた方が無難だな」
「とりあえずムカつくから、たたんじまおーか?」

「「「「オーーー!!!!」」」」


ルフィの意見に4人の男が賛同する――って、待て待てちょっと待ってっ!!(焦)


「止めなさいよ皆!!!仮にも名付け親に対して、乱暴奮おうとしないでっ!!
 あんまり気は利かないけど、私達をこの世に生出した恩人なんだから!!」
「私達『ナンダラコラの根っ子』は、恩を忘れない誇り高き種族。
 名付け親が気に喰わないからといって、攻撃してしまえば種族の誇りは灰燼に帰すわよ。」


あわやオーズと同じ轍を踏みそうだった私を、ナミさんとロビンちゃんの言葉が救ってくれた。


「そうだぜクソ共。天を衝くよな化物だろうが、レディには違いねェだろ?
 レディを殺っちまおうなんて礼儀知らずは、先ず俺の足で蹴り殺してやるぜ」
  

重ねてサンジもフォローを挟んでくれたが……すいません神様、こいつ踏み潰しても良いですか?


「まぁまぁ皆さん、埋葬地から蘇…もとい生れたばかりで喧嘩は止そうじゃないですか。
 今日は私達のハッピーバースデー、目出度い日に殺人はいけませんよ」


土から這出る姿が最も似合ってたブルックさんの説得で、漸く殺伐とした空気が薄れて行く。
場が落ち着いた所で、ルフィはキョロキョロと一同を見回し、さも不思議そうに首を傾げた。


「ところでお前ら、初対面だよなァ~?どーも俺、生れる前から知ってた気がして仕方ないんだけど…」


その言葉を皮切りに、他の人間も異口同音に不思議がる。


「俺も俺も!ルフィが言ったのと同じ事、さっきから訊きたくてウズウズしてたんだよ!!」
「あれ?お前、俺の名前何で知ってんだよウソップ?」
「お前こそ何で俺の名前知ってんだよ!?」
「そのいけ好かない頭…確かに見覚え有るぜ、マリモ剣士!」
「こっちこそ人を馬鹿にしたその眉毛、確かに見覚え有るぜクソコック!」
「皆やっぱり覚えが有るんだ…私の頭がおかしくなった訳じゃないのね、良かった!」
「おめェは……確かタヌキだったよな?チョッパー!」
「バカヤロウ!!俺はヒトヒトの実を食ったトナカイだぞフランキー!!!」
「いやはや不思議な出会いというものは有るものです。ひょっとしたら私達、赤い糸で結ばれた運命の恋人同士かも…」
「そういう笑えない冗談止めてくれるかしら?ブルック」


一塊になって和気藹々と談笑する皆は微笑ましく、何時まで観察してても見飽きなかった。
だが生憎のんびりしてる暇は無い、他人に見咎められでもすれば、計画は水泡に帰してしまう。
無粋だとは思ったが、私は和やかに続く会話に、果敢に割って入る事にした。


「あのぉ~~……盛上ってる所申し訳無いのですが、そろそろ私の話を聞いて貰いたいと…」
「ん?――そうだな!!せっかく仲間に会えたんだし、宴にしよーぜ♪♪」

「「「「「異議無ーーし!!!」」」」」

「いや異議大いに有りますって!お願いだから私の話を聞いて…」
「馬鹿言わないでルフィ!!…生れ立てのあんた達は未だ大丈夫だけど、私は地上に出て既に4日が過ぎてんのよ!?そろそろ埋って養分摂らなきゃ萎び始めちゃうわ!!!」
「本当かいナミさん!!?――大変だルフィ!!宴なんかしてる場合じゃねェ!!早く戻らねェとナミさんの豊かなバストが萎びちまうっ!!!」
「なんでそこから萎びるかっっ!!?」
「つまりエロ眉毛にとっては、お前の胸こそ一大事ってこったろ」
「何より、未だ名付け親から願いを訊かない内に、勝手な行動を取るのはルール違反よ、ルフィ」
「えーー!?何だよロビン、ノリ悪ィなァ~~~!黙ってりゃ解んねーだろ?」
「…一体誰に黙っていると言うの?」
「あ~~のぉ~~~…お願いだから話を訊いてくれませんかぁ~~~~…?」
「その前に私、名付け親の方に、お願いしたい事が有りまして」
「…は???」


ブルックさんが突拍子無く漏らした言葉のお陰で、結果完全無視されていた自分に注目が集まる。
そうした所で骸骨の彼は、私に向い丁寧なお辞儀をした後、おもむろに願いを口にした。


「着せて戴いた服についての不満は申しません。
 見た所、手作りの様子…生まれて来た私達への心尽くし、誠に胸が温まります。
 
 …骸骨だから、胸スカスカなんですけど。

 しかし私は紳士、身嗜みには常に気を配るのがモットー。
 それなのにパンツを履かないで居るというのは、甚だ我慢なりません。
 生前手にしてた記憶の有るヴァイオリンや剣は諦めますが、せめてパンツだけでも用意して戴けないでしょうか?」

「骸骨の身にパンツで隠さにゃならん何を持ってるって言うんだあんたはーー!!?」


――ボォォ~~~~ン!!!!(←骨だけに)


思い掛けない願いを聞いて思わず返した私のツッコミに、ブルックさんは少なからずの衝撃を負った様だった。
年を取っても男にとって、玉は大事なシンボル、実は結構気にしていたらしい。
配慮に欠けた事を言ってしまったと、重苦しい悔恨の情にかられた。

ブルックさんの要求が切っ掛けとなり、他連中からもリクエストコールが一斉にかかる。


「俺もさァ~~、頭に麦藁帽子被ってた気がするんだよなァ~~!なァお前、何とかしてくれねー?」
「オレもオレも!!バッテン付いた帽子被ってた!!そんで大事な人から貰った帽子だった気がするんだ!!」
「煙草くんねェかな!?さっきからヤニ切れしてて窒息しそうでよォ!」
「剣士が剣持ってないんじゃ話になんねェよ。刀3本何とか調達出来ねェもんか?」
「俺の必殺武器のパチンコに、ゴーグルに、ガマグチ鞄に、卵に、それからえ~~と…!!」
「俺のスーパーで一張羅な海水パンツはどうしたァ~~~~!!?」

「いいかげんにしてくれあんたら!!!!どうして私が願いを叶える側に立たされなきゃいけないんだっっ!!?
 『ナンダラコラの根っ子』は名付け親の願いを1つ叶えてくれる決りになってたんじゃないのかぁ~~!!!?」


止む事の無いリクエストに、遂に切れて怒鳴ってしまう。
小さな彼らにとって私の叫びは、さながら雷鳴の如く轟いて聞えたのだろう。
賑々しかった雰囲気はいっぺんに治まり、変って水を打った様な静けさに包まれた。

肩で息する私の様子を、呆気に取られた顔で見上げていたルフィが、少し間を置いた後、鼻を穿りながら口を開く。
遅れてゾロとサンジが、さも気だるそうに続いた。


「…ま~そうだな!面倒くせーし、とっとと叶えてやっから、何か願い言えよ!」
「そろそろ眠くなって来たしな。何なら強さでも分けてやろうか?…もっとも最強の座に着かせる訳にはいかねェが」
「失礼ながら美しさが欠けてる様だから、そっち方面の願いにしますか?ナミさんロビンちゃん程とまではいかないっすけど」


…やっぱりこいつら纏めて踏み潰してやろうか。

ピキリとこめかみに青筋が走るのを覚えつつ、何とか堪えて芝生に両手を着く。
そうして頭を下げた私は、風に靡く草の中立つ皆に向い、1つの願いを聞かせた。




その6に続】



次こそ、絶対、必ず、終りますんで。(汗)
いや本当に、ラストが漸く見えて来たから、大丈夫です。(汗)

やっぱ全員で会話させると、つい筆が乗ってしまうんすよ。(苦笑)


写真は那須ガーデンアウトレットの野外広場。
雨が降ってた為、閑散としてました。
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どんどん妄想バトン4

2008年10月11日 20時32分35秒 | ワンピース
暦上で今夜は十三夜。
しかし満月は今月15日になるんだそうな。
そんな訳で今日~10/15まで、テンプレを月見バージョンに変更。


さて、いっそ開き直って企画を表明すれば良かったか…なぞと悩みつつ、前回の続きです。





辺りに人影が無い事を確認した私は、胸ポケットから顔を覗かせてるチビナミさんの前に左手を差出した。
言う前に意味を理解した彼女が、手の平の上にちょこんと座る。
小鳥並の重さの彼女を零さない様、私はゆっくりと身を屈め、注意深く手を地面に下ろした。
手の平が着いたと同時に彼女は飛降り、前方広がる芝生目指して駆け出す。
小さな彼女を見失わない様、私も慌てて後を追った。

緑の絨毯が敷き詰められた広場の中心には、大きな羽根が唸りを上げて廻る風車が建っていた。
草に埋もれてしまう小さな彼女にとっては化物並のサイズだ。
心中興味津々そうに…しかし恐々と遠くから眺めている姿は、観察していて微笑ましかった。

見上げた空はすっかり秋らしく高くなっていた。
青空の下で風車がフオン♪フオン♪と長閑に歌う。
穏やかな風が海から潮の匂いを運んでくれた。

気持ち好さそうに彼女が息を吸込む。
どうやら気に入ってくれたらしい。
目いっぱい伸びをした後、ナミさんは私の方を振り返り、笑顔で言った。


「別にあんたの家のベランダでも構わなかったのに…」


彼女らしい強がりを聞き、思わず口元が綻ぶ。


「そんな事をしてナミさんを独占したら、全国に居るファンからボコられちゃいますよ!」


苦笑しながら言う私に、彼女は意味が解らないといった風情で首を傾げた。


本音を言えば別れたくない。
けどそれでは自分の持つファンの美学を裏切ってしまう。
中指サイズではあるけれど、やはり親指姫には花畑こそ似つかわしい。


柄にも無く気障な考えが浮かんで頬が赤くなる。
そんな様子を彼女は益々怪訝そうに見詰た。


「…あんたの事情はよく解らないけど…わざわざ好い所に連れて来てくれた事には感謝してるわ。
 でもどうせなら、あっちの花畑に埋めて欲しいんだけど。
 そりゃ此処だって風が気持ち好くて嫌いじゃないわよ?
 けど此処には花が1本も咲いてなくて、見た目ちょっと寂しいんだもの。」


対岸に臨む花畑を指して、ナミさんがリクエストを飛ばす。
彼女が示した場所は小島になっていて、一面美しい花に覆われていた。
風車も3基連なって建ち、遠くからでも楽しそうに思える。
比べると此処は芝生ばかりで、風車1基が孤独に回る、成る程寂しい場所だった。


「此処だって4月になれば、花咲く大地に変身するんですよ、ナミさん!」

「此処が?……本当に??」


私のいいわけを聞き、彼女が周囲を見回す。
そうして「やはり信じられない」といった風に、疑いの眼を向けた。


「本当ですって!!
 それに此処なら春まで観光客はあまり訪れないから、静かに暮らせるだろうと…
 …結構考えて決めたんですから!!」


顔を赤くして懸命に説く私の様子が、あまりに滑稽に思えたのだろう。
ナミさんはクスクス笑いながら、自分の要求を引っ込めてくれた。


「ま、いいわ!
 折角私の為にセレクトしてくれた場所だもの。
 我侭言わずに、大人しく埋まるわ。」

「…その前に『仲間』に会わせたいんで、少し待って貰えますか?」

「仲間???」


首を傾げる彼女をそのままに、私は持って来た用具をデイバックから取出した。
その前に再度周囲を隈無く見回し、他に人が居ないか確認をする。
見付かったら注意を受けるのは確実、ナミさんの為とはいえ、胸の奥にやましさが募るのは抑えられない。
なるべく人が踏み荒しそうも無い場所に、ナミさんを連れて移動した。


さて、こっからが重要な仕事だ。


見定めた場所をスコップでもって掘る。
適度な深さの穴が開いた所で、『ナンダラコラの根っ子』を1粒取出した。


「これは…ロビン!」


声に出して頭にイメージを浮かべる。
そうして穴の中に根っ子を埋めて土をかける。
更に用意しておいたペットボトルの水をかけ、ナミさんと共に生れて来るのをじっと待った。

ナミさんが生れて来た時同様、10分も経たない内に黒い芽が現れた。
土の上でゆらゆら揺れていたかと思うと、糸くずの様に極細の腕を使い、外へと這いずって出た。
直ぐに立ち上がり、ナミさんにも負けない、美しい肢体を露にする。

肩より長い真直ぐの黒髪、黒水晶の様に謎めいた瞳、鼻筋の通った理知的な美女。


「…ロビン!!!」

「ナミ…!?」


ナミさんが目を見張って叫ぶ。
声に振り返りナミさんを視認した彼女も、生れたばかりでありながら、駆け寄って来るナミさんの名前を呼んだ。

暫し抱合って「再会」を喜ぶ美女2人の横で、私は手際良く紙椀にポットの湯を注ぎ風呂の支度をする。
支度が整うとナミさんにも手伝って貰い、ロビンちゃんに湯浴みをさせた。
泥を落とした肌に目映さが戻り、ナミさんがタオル(ハンカチ)で体を拭いてあげた所で、チビロビちゃんにもチビナミさんとお揃いの服を着せてあげた。


「まぁ…不恰好ね」


チビロビちゃんの感想は、チビナミさん以上に、極めて辛辣なものだった。


だが落ち込んでる暇は無い。
無事第1段階を終えたら、次は第2段階に入らねば。
引き続き私は男共の召喚に着手した。





その5に続】


済みません、結局終りませんでした。(汗)
既に狼少年ですが、今度こそ次で……終れば良いなぁ。(汗)
しかしこれ、最早設問に答えてすらいませんね…。


写真は某ベーカリー。
手前のアップルパンが美味しそうだった。
奥に目を凝らすと、パンプキンなアンパンマンが居るのが判る筈。
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高橋留美子の巧みな世界 ―その4―

2008年10月10日 22時18分21秒 | 漫画&アニメ
思い付かなかったんで、懐かしのタイトルを引っ張って来たり。

色々途中になってる記事は有りますが(汗)、本日10/10は尊敬する高橋留美子先生の誕生日という事で、毎年恒例(←そうなんですよ、ええ)ルーミック話をしようかと。


今は距離を置いてしまったとはいえ、かつては今『ワンピース』に嵌ってる以上に、嵌ってました。
同人サークルに入会したし、イベント有れば出掛けたし、単行本が出たら必ず買ってた。
キャラグッズも結構手に入れようとした覚えが…。
作品だけでなく作者御自身に興味を持ち、インタビュー記事を見付ければ熟読した。


「企むのは苦手な性質なんで(笑)、書く前に先を決めたりはしません」

「一口で説明出来ない話じゃ駄目なんです。エンターティンメントとは、解り易い事だと思うんですよ」


「解らない方が悪い」と読者に文句を言うんでなく、「解るように描かない方が悪い」って考え方なんだろうなと。
読者を馬鹿にしてないって事で。
有名な作家さんなのに、偉ぶった所が全く無い点が素晴しい。
自分にとっては「漫画家の鑑」の内の1人なので御座います。(その中には勿論尾田氏も入ってる)


女史ほど人間観察力の鋭い作家さんは、滅多に居らん気がするんですよ。
並んでるんじゃないかと個人的に考えてるのは、『よつばと!』や『あずまんが大王』の作者あずまきよひこ氏。
氏の作品も好きで、単行本は持ってないが、出れば必ず人から借りて読んでる。(←自分で買って読めよ)


話を女史に戻して――


観察力の鋭さを最も感じた作品は、ビッグコミックオリジナル1988年10号に掲載された『鉢の中』。
小学館発行『Pの悲劇―高橋留美子傑作集―』の内の1篇として収録されてます。
後に『高橋留美子劇場』として復刊されたんで、そっちの1巻を探した方が見付け易いかも。



――主人公である主婦は、或る日同じアパートの住人の葬式に出る。

死んだ住人は、近所で「親切なお婆ちゃん」と評判の高かった人物だった。

主人公も何かと世話になっていて、好感を持っていたから、その死を残念に思った。

その席で…彼女は或る噂を耳にする。


「死んだ利根川のお婆ちゃんね…鬼嫁に虐められてたらしいのよ。
 あそこの奥さん、近所で評判の悪妻だったらしいわ。
 『家事一切してくれないから、仕方なく自分が全部やってるのよ』って、亡くなる前にお婆ちゃん、散々嘆いていたわ。
 
 実は私…前に見ちゃったの!

 利根川のお婆ちゃんが、悲鳴上げて家から飛び出して来て、『許して!!許してぇぇ…!!』って!
 その後に奥さんが出て来て、引き摺って行こうとしたもんだから、私、さすがに注意しようと思って声掛けたの。
 そしたら物凄い形相で振り返ってさぁ…私、お婆ちゃん殺されちゃうんじゃないかって、恐ろしく思っちゃった!

 次の日スーパーで、包帯だらけのお婆ちゃんに会ってさ!
 お婆ちゃん…それでも奥さんは御飯作ってくれないから、自分がやるしかないわって…本当、可哀想だったわ~」


噂話を耳にしながら、奥さんの様子を伺う主人公。

先に旦那も亡くし未亡人であった彼女は、義理の母の葬式の席で、欠伸を噛殺していた。


数日後、主人公は利根川の奥さんから、鉢植えの世話を頼まれる。

断るのも体裁が悪いので、引き受ける彼女。

しかし預かった鉢の1つから、人骨の様な白い欠片が見付かる。


『これってまさか…お婆ちゃんの骨なんじゃ…!?』


近所で噂されるイメージから、彼女は利根川の奥さんに疑いを持つが、真実は逆だったのである――



嫁姑の確執話。

親切なお婆ちゃんが、その実「悪妻」の評判を撒いて、奥さんをいびっていたという。

読んでて人の心の闇に、つくづく震撼させられた。
化物が出なくても充分ホラーで恐いですよ。
『鉢の中』ってタイトルがまた意味深。
根っ子は隠れてて、外からは見えないんですよね。

読みながら、母が以前してくれた話を思い出したり。

ウチの母が仕事の繋がりから、或る猫好きの気さくなお婆ちゃんと親しくなって…その家の猫が或る日目の前で死んじゃったんですと。

それで悲しむかと思ってたら――さっさとゴミ箱に死体を放り込んだそうで。

ショックを受けた母は、以来そのお婆ちゃんを見る目が変ってしまったそうな。


まぁ倫理観は人それぞれ違いますが…確かにショックだわなと思った。(苦笑)
葬式出さないまでも、ゴミ箱は無いよな~~と。


人間は恐いです。
好きな人には親切でも、嫌いな人には意地悪したり。
誰にでも親切にしてる姿が本当とも言い切れない。

隠れた根っ子は何本にも枝分かれしていて複雑なのです。
そんな人の心理をパッと捉えて、『鉢の中』と言うタイトルを付けた、女史の感覚の鋭さに感心してしまう。


この話は女史の描く話の中では珍しく後味が悪い。
いやラストで主人公がかけた言葉と、奥さんの笑顔に救いが少しだけ持てますが…。
女史の中では『笑う標的』と言う短編と並んで、「救われない話」じゃないかと。

けど名作だと思う。
未読な方は是非1度は読んで欲しい。


最後になっちゃいましたが、高橋留美子先生、お誕生日おめでとう御座います!!

先生が居なければ、今の自分は有得ない。

人生を変えてくれた、罪な御方で御座います。(笑)


あ、記事中書いた紹介は、単行本見ずに書いたんで、台詞とか違ってる箇所が有るかもしれない。(汗)
その際は謹んでお詫び申し上げます。

てゆーか『鉢の中』を記事に取上げといて、絵は『らんま』って、かなり間抜けだよなぁ。(や、実は現在単行本持ってないのよ…)(←ファン失格)
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どんどん妄想バトン3

2008年10月09日 20時38分13秒 | ワンピース
前回の続きで、書いてる本人もよく解らん物語風バトン回答。(汗)
済みませんが本日もお付き合い宜しく。




チビナミさんから所望を受けた私は、彼女の為にベッドを拵えてあげる事にした。
幸いにも家はクリスチャンで、キリ○ト様を祀る小さな祭壇を設けている。
祭壇の中には眠れる幼子キリ○トのクリブを飾っていた。
恐れ多くも私は、箱型のベッドで安からかに眠る像と、下に敷いてあった藁を退かし、代わりにカット綿を重ねて敷いて、彼女のベッドにしようとしたのである。
仮にも信者として全く心が痛まなかった訳ではないが、ナミさんとキリ○ト様を己の心中で天秤にかけたなら、ナミさんが勝ってしまう。
自己犠牲の精神を解かれて天に召された方だ…きっと解って下さるに違いない。(←身勝手)

カット綿はホテルに泊る度に貰ってくるので、大量に有った。
それを隙間が出来ない様、煉瓦を積む要領で重ねてく。
箱いっぱい詰め終わった所で、タオル地のハンカチをシーツ代わりに、二重にして覆う。
指で押すと中々の弾力、寝心地好さげなベッドが出来上がった。
枕はやはり数枚のカット綿を重ねて丸め、布ハンカチで包んで縫って、可愛くキャンディ型に拵える。
特に厚手で触り心地の好いハンカチを掛け布団にして、チビナミさん専用のベッドは完成した。

ナミさんが両手で沈み具合を確かめる。
幾度が繰り返した後、私の方を振り向き、笑顔でOKを出してくれた。


「うん!これなら好く眠れそうだわ!有難う!」


良かった…喜んで貰えて。
苦労した甲斐が有ったというものだ。

ナミさんがベッドに身を横たえる。
掛け布団に包まると、直ぐに瞼を閉じて、寝入ってしまった。
耳を澄ませば、とてもとても小さな寝息が聞こえて来る。
彼女が安らかに眠れる様に、私は照明を落として、続く間に引っ込もうとした。


と、その時だ――


■ぐっすり眠っている「ナミ」。どんな寝言を言ってると思う?


「…ベルメールさん…!」


彼女が突然、寝言を漏らした。
驚いてベッドの中を覗き込む。
眠る彼女の目元には涙が浮かび、掛け布団を握る手には力が入って見えた。



――水をあげた人がイメージした通りの人間に育つ。
 


だからって律儀に記憶まで植付けなくてもいいのに…。

私がイメージしたせいで、辛い過去まで背負って生まれてしまったのだ。
彼女に対して済まない気持ちで胸がいっぱいになる。
慰める積りで彼女の頭をそっと人差し指で撫でた。
力を入れて起こさない様に、潰さない様に、優しく注意深く。
 

■やっと起きた「ナミ」は、寝呆けているのか、貴女に抱き付いてきました。どうする?


その指にナミさんがいきなり、ぎゅうと抱き付いて来た。
いやこの場合「しがみ付いて来た」と表現した方が、正しいかもしれないが。
それは兎も角、あんまり必死に思えたものだから、引っ込めるのも憚られた。
暫くそのまま差し出したままで居た所、私の影の気配に気が付いたのだろう。

ナミさんがゆっくりと瞼を開けて起上がった。 


■「ナミ」は、寝呆けて抱き付いてしまった事をお詫びに何でも言う事を一つ聞いてくれるそうです。どうする?


「ゴメン…なんか…寝ぼけてたみたい…」


目を覚ました彼女は、私の指に抱き付いたと言うか、しがみ付いてしまった事を、恥ずかしそうに詫びた。


「いやいやそんな!…むしろ嬉しかったと言うか、いっそそのまま居て欲しかったと言うか…あ、いやいや!」


つい本音が飛び出しそうになり、慌てて口の中に言葉を押し込める。
そんな私をナミさんが怪訝そうに見上げた。
ベッドから抜け出た彼女が、私の正面までやって来る。
話をしたそうな気配を掴んだ私は、なるべく頭を低くして座り、じっと黙って待った。

もじもじと言い難そうにしていたが、意を決した様に口を開く。


「……やっぱり私、少しおかしいかもしれない…。
 経験した筈の無い記憶が、頭の中にいっぱい浮かんで来るの」

「……………………。」

「…とても悲しくて…嬉しくて…長い夢を見たわ…。
 
 私には血の繋がらない母親と姉が居て、3人1つ家でずっと楽しく暮らして居たの。
 血は繋がってなくても、私を心から愛してくれる、素敵な母と姉だった。
 けれど或る日、鮫に似た恐ろしい男に、その母が殺されてしまうの。
 それどころか私の居た村まで制圧されてしまうのよ。
 大好きな皆の居る村を取り戻したくて、私は独り海に出て泥棒に精を出すんだけど…

 その内に仲間と巡り逢うの。

 出会った仲間はどうしょもない馬鹿ばっかだったけど、とっても強くて頼りになる、気持ちの優しい奴らだった。
 一緒に戦う事を誓ってくれて…鮫男を倒し、村と私を解放してくれたのよ。

 そして今度は、その仲間と一緒に、私は海に出たの。
 仲間はどんどん増えてったわ。
 辛い戦いにも遭ったけど、毎日とっても楽しかった。

 …ねえ、これ、どう思う?
 私やっぱり、頭が少しおかしいわよねえ?」


不安そうに見上げる彼女に、私はどう説明したもんか頭を悩ませた。


「……ナミさん…それはアレですよ……
 『前世の記憶』みたいなもので…」

「…『前世の記憶』?」

「そういうものだと考えて…今の貴女が経験した記憶ではなく…ええ~と何て言うか…」

「……そうよね…だって私は独りきりで生まれたんだもの…。
 家族や仲間なんて居っこない…」

「――居ますよ!!」


寂しく俯いた彼女に向い、思わず強く叫ぶ。
いきなり大声で返された彼女は、びっくりして目を真ん丸に見開いた。


「居ます!!居るんです!!
 貴女は独りなんかじゃない!!!」


そう、独りになんてさせやしない。

だってこれから――


暑苦しく主張する私に対し、彼女は優しく微笑んでみせた。
最初に出会った時の様に、礼儀正しくちょこんとお辞儀する。


「…有難う!
 名付け親であるあんたに、すっかり甘えて世話になっちゃったわね。
 お礼と言うか、お詫びに1つだけ願いを聞いてあげるから、言ってくれる?」

「願い??」

「『ナンダラコラの根っ子』は、自分の名付け親の願いを1つだけ叶える決まりなの。
 聞いたら再び土に戻って眠る生き物なのよ」

「ええー!?折角出て来たのに、また戻っちゃうの!?
 何で!?どうして!!?」

「だって根っ子だもの…土に戻らなきゃ、10日で萎びちゃうわ」

「それにしたって暗い土中に独りきりで生きなきゃならないの!?
 そんな寂しい一生あんまりじゃない!!」


恐ろしく孤独な人生(?)を、彼女は当然の如く冷静に話してみせる。
しかし納得のいかない私は、しつこく食い下がった。


「ずっと土中で暮らしてかなきゃいけない訳じゃないわ。
 ただ生まれてから半年間は、土の中で栄養を蓄える必要が有るの。
 蓄えた後は土から出て、自由に生きられる」


今から半年間って事は……1ヶ月…2ヶ月…3ヶ月……………6ヶ月目には丁度4月だ!
指折り数えて答を出した私は、息が弾むのも隠さずナミさんに尋ねた。
 

「10日で萎びるなら…まだ土に返らなくても大丈夫って事だよね!?」

「え?ええ、まぁ…」

「だったら3日後、一緒に来て欲しい!!
 是非ナミさんを連れて行きたい場所が在るんです!!
 私の願いはそれにして下さい!!」


強く懇願する私の様を見て、呆気に取られたナミさんが素直に頷く。


そうして3日後――私はナミさんを連れ、飛行機に乗って南を目指した。




その4に続】


…気分はすっかり季節外れのナミ誕である。
すいませんが後1回…いや今度こそ次回で終らせますんで。(汗)


記事上の写真は某店のハロウィン飾り。
最近は何処の店でも普通にハロウィンを祝う様になりましたな~。
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どんどん妄想バトン2

2008年10月07日 21時43分06秒 | ワンピース
懲りずに前回バトンの続きです。
何だかんだで楽しんでるのバレバレですな。(苦笑)


■「ナミ」が自力で家の庭から出てきました。すると、上半身はおろか、下半身まで裸でした。どうする?


土の中から出て来た親指姫ならぬ中指姫は、生まれて間も無いというのに自ら名前を名乗った。
予想の範疇を超えた展開に、放心するしかない私。
何時までもリアクションが返って来ない事に業を煮やしたのか、その自称ナミさんはキイキイ高い声で私に怒鳴った。


「ちょっと~!名付け親のくせして、そのノリの悪さは何!?
 折角わざわざ土の中から出て来てあげたのに…『うわー!!』とか『おお~!!』とか、も少し感動を表現してくれたって良いでしょーが!!」


そう言って土の上でピョンコピョンコ蚤の様に跳ねて抗議して見せる。
しかし極めてミニサイズな為、失礼ながら全く迫力を感じられなかった。
さながら人形劇を観ている気分とでも言おうか。

それにしても……私が名付け親?
そんな覚えはきっぱり無い。


「だってあんたが、根っ子の私に水をくれたんでしょ?
 『ナンダラコラの根っ子』は、水をくれた者が描くイメージを吸って、姿を作りあげるの。
 私に水をあげた時、あんたの頭の中には、確固とした名前を持つ人物が描かれていたわ。
 だから私は生れながらにして、『ナミ』と言う名前を持ったのよ」


成る程…漸く合点がいった。
あの店主は嘘を言ってなかったって事だ。
指摘されるまでもなく、私の頭の中には何時だって「ナミさん」が居る。
そりゃもうサンジ並に、常時頭の中に浮かべている。
お陰で此処にこうして、「チビナミさん」が生まれて来てしまったという訳だ。

しかしこれからどうしたもんだろう?
ウチはペット不可のアパートだというに。
いやペットは失礼か…まぁハムスター並に小さいサイズだし、黙ってりゃー気付かれないだろうが…。

なぞと邪な魂胆を巡らせ、眺めていた私の前で、チビナミさんは「くしょんっ!」と1回、可愛らしくクシャミをした。


「…何時までニヤニヤ笑って見てるのよ!?
 女の子を裸で居させるなんて、悪趣味ねェ!!
 じっとしてないでお風呂の用意して、それから服くらい着せてよ!!」


鼻を啜って睨む姿を見て、今更ながら彼女が全裸で居る事に気が付く。
大急ぎで彼女の言う通りに台所で湯を沸かし、指で測って丁度好い位になった所でお椀に注ぎ、ベランダまで持って来てあげた。
湯の入ったお椀から、湯気がもやもやと立ち上る。
それを見て彼女はすぐさま土から飛び降り、喜色満面駆け寄って来た。

糸くずの様に極細の腕を恐々と湯面に浸し、温度を見る。
そして大丈夫だと安心したのか、お椀の縁に腕を突っ張らせ、勢い良く湯の中に飛び込んだ。
衝撃でチャポン!と湯が跳ね、湯面いっぱいに波紋が浮かぶ。
暫くの間彼女は、椀風呂の中で体中をゴシゴシ擦っていた。
みるみる内に土が剥げ落ち、ゆで卵の様な目映さを取り戻してく肌。
土を完全に落とし切った後は、縁に掴まってジャブジャブ足をバタつかせる。
鼻歌交じりで湯に浸かる姿は、さながら目玉の親父の様だった。

…ってえ事は、こちらは鬼太郎か?

体を磨き終わったらば、後は服だ。
だがこれが問題だった。
日頃裁縫なんてしない人間だから、布切れ1枚持ってやしない。
裁縫箱の中を覗くも、やはり見付からなかった。
仕方なく自分が持ってるタオル地のハンカチを1枚取出し、中心に穴を開けて彼女に被せる。
そうしてハサミで適当に切って、糸と針で縫い合わせ、袖らしき物を拵える。
仕上げにゴム紐をベルト代わりに腰に巻き、何とか服らしき物に仕上げる事が出来た。

しかし彼女には頗る不評だったらしい。
近くにかけてあった鏡の前、くるんと1回転して吟味し終った彼女は、蔑む様な目で率直な感想を述べた。


「あんたって不器用!」

「そんな!精一杯作ったのに…そりゃないよナミさ~~ん!」

「『そりゃないよ』って言いたいのは私の方だわ!!
 こんなセンスの欠片も無い服着せられてさ!!
 いい!?男の価値は着てる服如きで決まるもんじゃないけど、女の価値は多少上ったり下がったりするんだからね!!」

「私としてもナミさんにはなるたけ素敵な格好させたいですよぉ。
 けどナミさん、リカちゃん人形よりサイズ小さいし…
 …そもそもリカちゃん人形の服なんて持ってないけど。
 どっちにしろ今はその服が精一杯なんですってば!!」

「まぁいいわ、裸で居るよりマシだって、諦めるから!
 そんな事より私を家に上げてくれない?」


■服を着た「ナミ」が家の中に上がらせてほしいと言ってきました。


「あ、こいつはとんだ御無礼、気が利かず失礼致しました!
 汚い家ですが、どうぞどうぞ、構わず奥までずいっとお上がり下さいませ!!」

「奥まで行ったら外出ちゃうじゃない」


彼女の言葉で未だにベランダ接待をしていた事に気付いた私は、慌てて横に退き畳に頭を擦り付け、熱烈歓迎ウェルカムの意を示した。
すると彼女はかけた言葉通り、全くお構い無い素振りで、室内にとっとこ上って来た。

暫し物珍しげに探検して廻る。
歩く度に響く足音は鳩に似て軽かった。
気を付けないと潰してしまいかねない。

小さなナミさんを見失わない様、私はじっと目を凝らしていた。

 
■「ナミ」は、お腹が空いたので、何か作ってくれと言いました。何を作る?


「根っ子のままでずっと居たからお腹が空いちゃった。
 ね、何か作ってくれない?」


探検して疲れたのか、座っている私の前まで、チビナミさんが戻って来る。
お風呂の後で食事とは、まるで亭主気取りだなと苦笑するも、素直に冷蔵庫から材料を取出し、何かしら作ってあげる事にした。
裁縫は不得意だが、幸い料理の腕はそれなりである。(得意とまでは言わないが)
ただ相手は極小サイズなナミさんなので、彼女に合せミニサイズのオムライスを作った。

ケチャップで炒めた飯を数粒、小さく丸く切り取った卵焼きで包めば完成。
付け合せは刻んだキュウリとプチトマト。
皿は普段刺身を食べる時、醤油を差す為の物を選んだ。
これなら彼女のサイズでも食べ易いに違いない。
スプーンは紙を細く切って縒って、似た形に拵える。

お膳の支度が整うと、チビナミさんは目をキラキラ光らせ、行儀良くちょこんと座った。
チビスプーンでオムライスをすくって食べたり、プチトマトを齧って食べる姿は小動物っぽい。
見ているとあまりの愛くるしさに、捕まえて頬擦りしたくなる…
そういった衝動を抑えるのに、大変苦労したのだった。


■お腹いっぱいになった「ナミ」。少し眠りたいと言ってきました。どうする?


「ごちそうさま!
 サンジ君が作る程の料理じゃないけど、結構美味しかったわ!
 作ってくれて有難う!」

「あれ?ナミさん、サンジの事知ってるの??」


食べ終った後、牛乳を飲み薬用のチビカップに入れて渡した自分に、彼女は素直に礼を述べた。
その台詞の中でサンジの名が上った事を不思議に思い尋ねる。
ナミさんの姿はしていても、このナミさんは生まれたばかりの、作品のナミさんとは別人物の筈なのに。


「ナミさん、生まれたばかりでしょ?
 知ってる人居るのはおかしくない?」

「そう言えばそうねェ…けど確かに、頭の中にイメージが浮かんだの。
 金髪で顔半分で煙草咥えてて顎にチョビ髭生えてて女ったらしのコック。
 何故か作る料理の味も知ってるわ」


自分から指摘を受けて、彼女も不思議そうに、眉の間に皺を作る。

うーーん…これは……やはり自分の描くイメージから植付けられた記憶だろうか…?

ナミさんと言えば麦藁クルー。
麦藁クルーと言えばナミさん。

自分が描くなら「仲間と共に居るナミさん」になるのが当然である。

そう考えた私は、試しに問題を出してみる事にした。


「突然ですがナミさん、問題です。
 麦藁帽子を被って『しししっ♪』と御機嫌に笑う船長は誰でしょう?」

「ルフィでしょ?知ってるわ!」

「続いて問題です。
 マリモ頭で三刀流の腹巻剣士は誰でしょう?」

「ゾロだわ!…そいつも知ってる!」

「更に問題です。
 鼻が長くて狙撃の王様、けど嘘吐きなのは誰でしょう?」

「ウソップ!」

「更に更に問題です。
 トナカイに似た狸で、心の優しいドクター、さて誰でしょう?」

「チョッパーね!」

「更に更に更に問題です。
 クールな考古学者、黒髪の美しい、麗しのお姉様は誰でしょう?」

「ロビン!」

「しつこいですが問題です。
 一見チンピラ、実は人情家の頼れる船大工な、スーパー馬鹿兄貴は誰でしょう?」

「フランキーしか居ないわよ!」

「これが最後の問題です。
 約束を胸に死んでも蘇った、アフロでドクロでセクハラな音楽家は誰でしょう?」

「…ブルックだわ!」

「全問正解!!お見事です、ナミさん!!」


全て解答してみせたナミさんに、私は惜しみなく賛辞の拍手を送った。


「……やだ私…何で知ってるんだろう?
 全員会った事も無いのに、姿も口調もはっきり浮かぶのよ…!」


自分でも理解不能の記憶に、ナミさんは少々気味が悪い様だった。
蒼褪めた顔で頻りに首を捻っている。

しかし私は自分の想像してた通りの答に、心の底で満足を覚えていた。

チビでも生まれ立てでも、ナミさんはナミさん。
ならば残りの根っ子の使い道は決まっていた。

考えてるそこへ、ナミさんが声をかけて来る。


「悩んでても詮無いわね。
 私、疲れて少し眠くなってきちゃった。
 強請ってばかりで悪いけど、寝る場所用意してくれない?」




その3に続】
 

…といった所で続きは次回。
まぁ多分次で終ると思うんで…。(汗)


記事上の写真は某所に飾ってあった牛。
某所って、言わんでも大体察せちゃうでしょうが…。(笑)
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どんどん妄想バトン1

2008年10月06日 22時42分55秒 | ワンピース
10/6はたしぎのお誕生日。

たしぎ、ハッピーバースデー♪♪

それをお祝いして、某店の食見本の写真を飾ってみた。
見本なんだけど美味しそうじゃん?(笑)


そんで本日は那須旅行記を休んで、今年の5月頃(…)にBaby Factoryの真牙さんから戴いた、『どんどん妄想バトン』なるものに答えようかと。
これは指定されたキャラを以下の設問に当て嵌め、「もしも○○が××して来たら~」というのを妄想して答えるバトンで御座います。
自分が指定されたキャラは「ナミ」…やっぱり。(笑)

前回の反省を生かして、なるたけあっさりと短めに、どんどん妄想してってみましょ~!





                                
                                  【話の根っこ】
  
 


 
■ある日、「ナミ」が家の庭に生えていたらどうする?


私の名前はびょり、これは勿論本名ではない。
これは私が体験した、世にも珍しい話である。
信じるか信じないかは、貴方自身にお任せしよう。

旅先でちょっと変わった店に出合う事は、まま有るに違いない。
今から話す店も、思い返せば相当変わっていた。
いや店の佇まい等は、普通の八百屋と別段変わり無い。
ただレタスやキャベツやキュウリと言った、一般的に見られる野菜等と一緒に、明らかに正体不明の物が、まるで石ころの如く無造作に、大量に転がされていたのだ。

例えるならそれは鶉の卵…を縦に潰した様な、白く小さく楕円形の物体。
繭にも似て見えたが、大きさは自分の中指位有った。

ダンボールに入れられてた内の1つを手に取り、矯めつ眇めつ確認する。
手の平の上に乗せて、少し押してみた。
おおおっ、何かグミみたいに柔らかくて、気持ち好い様な悪い様な感触だ。


「お目が高いね、お客さん。…それは『ナンダラコラの根っ子』だよ」


何とはなしにプニプニ押して遊んでる自分に気付き、店の奥から店主が愛想笑いを浮かべて現れた。
此処で如何にも怪しげな風貌の人物が登場したら面白い所だが、残念な事にその店主は巷によく居る腹の出たハ○親父だった。

にしても『ナンダラコラ』??――何だそりゃ。

嘘臭いにも程が有る。

妙な物を売付けられん内にと、私は手の平に有った物を元に戻し、曖昧な笑顔で店から離れようとした。
しかし店主はそんな私の肩をがっちり捕まえ、私が興味を持って見詰ていた野菜(?)を指で摘み、しつこくセールストークを続ける。
「久し振りの客を逃してたまるか」――店主の笑顔からは、そういう切羽詰った様な迫力を感じ取れた。


「お客さん、何処から来たの?
 東京?
 でも、こんな珍しいのは見た事無いでしょ?
 これはね~、うちの市の呼び物にしようと、新しく研究・開発した植物なのよ!
 お客さん、『マンドラゴラ』って名前の根っ子は知ってるかな?
 そうそう!人間の姿した根っ子で、持っている者には幸運を招くって伝説の!
 これはそのマンドラゴラと同じ種類の、ナス目ナス科マンドラゴラ属亜種、『ナンダラコラ』の根っ子なのよ~!
 持ってるだけで幸運を呼ぶんだから!
 いやいやそれだけじゃなくてね…根っ子を土に植えるでしょ?
 後は1回水をあげるだけで、勝手にスクスクと根を張っちゃう。
 それでどうなると思う?
 
 ……水をあげて育てた人がイメージした通りの人間の姿になって、土ん中からひょっこり出て来る――

 ――いやいやお客さん嘘じゃないから!!嘘なんか言ってないよ~俺!!

 本当、本当~~~にそういう不思議な根っ子なんだから!!
 ね!?騙されたと思って…旅の記念に買ってかない!?
 今なら9粒で100円、いやこの際50円でいいから!!
 絶対話の種…あいや根っ子になると思うよ!!
 兎に角買って!!ね!買って!!
 ね!!ね!!ね!!!」




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




明らかに嘘臭いのに買ってしまう…我ながら無駄遣いな性分である。
それでも買ったからには、1度は埋めてみようと思った。
人間は生まれて来なくても、植物で根っ子だと言うなら、芽でも出て来るかもしれない。
てゆーかむしろその方が無難、下手に人間が生まれても、困るだけである。

旅から帰った私は、家人が居ない時を狙い、ベランダの花壇の一角に、件の根っ子を1粒だけ植えてみた。
そして店主の言った通り、水をジョウロで1回だけやる。
それ以外は肥料も何も要らないらしい。
そんくらいの手間で済むなら楽ちん、店主の言う通り話の種…いや根っ子には充分だ。


10分も経たない内に、植えた土の中から、早くも芽が顔を出した。

いや芽と言うか…それはオレンジ色をした、羽毛の様な物体だった。
綿毛にしては珍しい色である。
その前に幾ら何でも発芽の早さが驚異的過ぎる。
児童向け理科番組で観られる様な、植物の成長早回しビデオじゃないんだから。

非常識事態を目前にし、唖然として見詰てる間も、芽(?)はフサフサと量を増やして行く。
暫くして芽(?)はゆらゆらと動き出した。
そうしてスポッと土中から飛び出すと、下に続く白い部分が露になった。

白い部分には2本の腕の様な物が伸びていた。
それを使って土から這いずって来る奇妙な何か…

…そう、それは確かに人の姿をしていた。

但し身長は人の中指程しか無かった。

綿毛の様に見えたオレンジ色のそれは、肩の高さまで伸びた髪の毛だった。
その髪を小さな手で掻き分け、可愛らしい顔を現す。
滑らかで真っ白な身には、2つの膨らみが付いていて、成人女性の裸体に似て思えた。

均整の取れた美しい2本の脚で、土の上に真直ぐ立つその姿。
初見の筈なのに、何故か見覚えが有る様に感じられた。

…オレンジの髪…愛らしい茶色の瞳…美しいプロポーションの若い女性…

……はて、何処で目にしたと言うのだろう…?


無言のまま悩む私に向け、不思議な彼女はちょこんとお辞儀してみせる。
そうして気さくにも自己紹介をして来たのだった。


「こんにちわ、私はナミよ!」




その2に続】
 
 
  
 
…ああ…やっぱ1回で終わらんかったか。(汗)
御免なさい真牙さん、何か続きそうです。(汗)

そして1号君のお誕生日おめでとう御座いました♪
ハッピバースデー♪♪
わんこケーキが美味しそうで良いな~v
これからも健やかに育ちますよう、お祈りしております。


さて予告通り本日ナミ誕会場様のリンク全てを、記事中から消させて頂きました。
勝手に繋いだ上に勝手に消す失礼をお許し下さいませ。
けど冬に向ってこのブログ、ワンピースから離れて、旅行記ばっかになっちゃうから、繋がれててもメリット全然無いと思うので…。(汗)

ただ先に言ってた通り、よく知ってて、本館から独立してるナミ誕会場様は、ブクマに移動させて貰いました。
昨日めでたく無事終了されたのおやさんの所も、閲覧はまだ可能だとの事なんで、ブクマに入れさせて貰った。

繋がれてると却ってプレッシャーに思うかもしれんですが(笑)…継続中の方は完成を目指して頑張って下さい。
と言って、焦って書いても苦痛なだけですから、書きたい熱に任せて気楽な気持ちで挑んで欲しいです。

今迄だって何とかなって来たんだから大丈夫ですよv(とあ~る君の様に…)

実は自分も他人事じゃないんだよな…。(汗)
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秋那須美味街道5

2008年10月05日 23時25分08秒 | 旅の覚書
そう言えばこれまで記事の中に、食べ物の写真が1枚も無かった事なぞ、有っただろうか…?
すっかり食中心、観てて胃もたれしたら御免なさい。

といった所で前回の続きです。




キュービー号「南ヶ丘牧場」停留所は、道路を挟んで正面入口の真向いに在る。
愛くるしい車掌姿をしている九尾の狐が目印。
近くにはジュース販売機が設置され、ベンチも置いてある。
一寸離れて『バジルの葉』と言う名の洒落たレストランが建っている。
寄った事は無いが、見た感じテラス席が綺麗なので、気になってたり。(→http://www.basil-leaves.com/index.html)

さて2人のんびりバスを待ってた時の事だ。
オニヤンマが1匹――ギュン!!と飛んで来て、目の前の道路に止まった。


友「お、見ろ!オニヤンマだ!!」
私「うわホントだ!!なんて立派なオニヤンマ!!」


清流が失われて行く今、目にする機会は少ない。
暫し目を奪われてたそこへ、1台の車が猛スピードで走って来た。


『あ!!危ない!!』


と叫ぶ暇も無かった。
――パン!!と物凄い音を立て、一瞬で潰されてしまったのでした。(涙)

オニヤンマ殺人事件発生。(いや虫だから殺虫事件か…)

放心して見詰てる間も、次々と轢いて行く車。
過ぎ去った後には死体すら残っていなかった…。

墓に埋めたくても、あのヒトの欠片すら見付からないなんて、惨過ぎる…!(号泣)

よく写真に撮ってるんで、勘の良い人は気付いたかもだが、私はトンボが大好きである。
セロハンの様に透明な羽、光を受けて虹色に輝く瞳、昆虫の中で最も美しいと思うのだ。
類は友を呼ぶのか、一緒に居た友人もトンボ好きで、ヤゴから育てた経験が有る程。
しかしヤゴは清流の中でしか生きられず、動いてる虫しか食べない我侭…もとい難しい生き物なので、残念ながら直ぐに死んでしまったらしい。
ちなみにトンボを捕まえる際は、指を回すよりも、そおっと指を近付けてった方が確実です。
枝にでもなった気持ちで、そおっとそおっと、止まるまで根気良く居るように。
尚、羽を掴んで捕まえるのは邪道である。

…大分話が脱線したが(汗)、それくらい好きだっただけに、受けたショックは強かった。


友「それにしてもオニヤンマのクセして鈍いヤツだな~。飛べよ、飛んで逃げろよ!昆虫界のスピードキングが情けねえったら!!」
私「今はもう秋だしさぁ…夏に来た時はトンボ沢山飛んでたけど、少なくなったもんねぇ…もしかしたら寿命間近だったのかも」
友「風前の灯火だったのか!!」
私「『ううっ…わしはもう駄目じゃ~…』なんつってヨロヨロヨロヨロ、そこへ運悪く車が来て――ブチッッ!!!と」
友「成る程、老いて徘徊してたんだな!!(笑)」
私「尚更哀れに思えて来たよ~~(泣)」


また1つ現代文明のせいで尊い命が失われてしまった……合掌。
それにしてもオニヤンマくらいでっかいと、轢いた時もんの凄い音が出るんだなぁと、不謹慎な所で感心してしまった。


いいかげん話を変えましょう。(汗)


10時24分到着したバスに乗り込み、湯本温泉まで登って行った。



↑目当ての場所は、これも変り映えしなくて申し訳無いが(苦笑)、湯本近くに建つ『みちのく本館』。
諸国の民芸品を多数集めて展示する店である。
喫茶を併設しており、こけし等の民芸品に囲まれた中、ゆっくり寛ぐ事が出来ます。
坂道の向うに霞む景色から、建ってる場所の標高の高さが知れるでしょう。
願わくば店の前にバス停が在ると助かるんだけどな~。



↑店内にひしめく民芸品の数々。
世に雑貨屋は多いが、此処ほど極めてる店も少ないのではと。
店と言うより博物館に近い雰囲気です。



↑そこで「もみじ煎餅」をお土産に買った。



↑こんな風に紅葉を模った煎餅。
紫は紫芋味、緑は宇治抹茶味、白は砂糖味、朱は唐辛子味、白に緑っぽい点が付いてるのは青海苔味、黄はウコン味、茶は醤油味、黒粒模様は胡麻味、計8種類。
菓子としての美味しさは普通でしたが、こういうのは見て楽しむ物ですからねえ。(笑)

土産を買うだけでなく、喫茶で休憩したかったんですが、この後の予定を考えると、あんまゆっくりもしてられず…後ろ髪惹かれつつも、バスに乗って次の場所に向ったのでした。



↑余談だが、道路を挟んだ店の前には「鹿の足湯」と言う名の足湯が在る。
何故「鹿」が名前に入ってるかっつうと、那須湯本の元湯が「鹿の湯」と言う名前だから。
伝説によると鹿が発見した温泉らしい。
入浴料大人400円、子供300円の、公衆混浴温泉。(→http://motoyu-shikanoyu.com/)
湯本温泉神社前にはこんばいろの湯と言う名の足湯も新しくオープンしてます。



↑これは鹿の足湯隣に建てられたギャラリー館。
土地の現代アーティストの作品を展示してるよう。
小さい館なんで、余程芸術に興味持ってないと、時間を潰せそうもないが…。

バスで一軒茶屋迄下りてって、(これも変り映えしないが)(汗)、昼食場所に決めてた『みちのく別館』に向う事に。
本館以上に問題なのが此処で、最寄のバス停が無い為、一軒茶屋からひたすら下るしかない。
いや無い事は無い…が、キュービー号の停留所じゃなく、普通の各停バスになっちまうんだなぁ。
その為だけに別途料金を払うのが嫌で、毎回結局坂道を頑張って歩いてってる訳だ。
我ながら御苦労さんっつか…停まってくれないものだろうか、キュービー号…。(汗)



↑一軒茶屋から下りて直ぐの所、この様に道路がY字に分かれる。
写真で見て右側の坂道下に、目指す「みちのく別館」が在るのですが、生憎キュービー号は左側の道路を下りてってしまうのです。

那須は何処へ行くにも坂道だらけ。
だから大抵の観光客は車やバイクで廻る。
徒歩で行く様なのは、自分達みたいな貧乏人の無免許者くらいだろう。(苦笑)
1日目アンティーズに行った時もかなり苦労したが、この「みちのく別館」への道のりも好い勝負だと思う。
あっちが2km有るんなら、こっちは1.5kmは有るだろう。
往復に1時間かかる事を考えると、そうとしか考えられない。
更にこっちは車の往来が激しいから、気を張る分だけ余計に疲れるのだ。
「そんなに疲れるなら行かなきゃいいじゃん」と言われそうだが、御飯が安いし美味しいから止められないんだなぁ。(笑)

自然林に挟まれた坂道を下って下って下って下って…
右側にゴルフ場が見えて来たら店は近い。
目印は店名入った幟、見付かると心からほっとしますよ。(笑)

到着した時刻は11時35分…お昼にするには未だ早いって事で、先に民芸品を展示する館内を観て廻りました。



↑4館在る内の1つ、古い蔵の中には藍染や古代織等、布物が多数展示・販売されています。

湯本に建つ本館が手狭になった為、別館を設けたらしいのですが、規模の大きさでは別館の方が勝ってます。
食事処も併設してる為、客の入りも本館以上に多い気がする。

こけしを中心に全国の郷土玩具を展示する『郷土玩具館』。
入口では頻繁に伝統民芸品の実演(&販売)コーナーが設置されます。
私らが行った時は「林檎の枝ハンコ」の実演が行われてました。
彫師の方曰く「10分位で仕上がりますよ」との事だったので、作って頂いた。(↑)
彫る木は自分で選べます。
スズラン柄が可愛く、如何にも小枝っぽい外見で、1番安いランク(2,600円)の物を選んだよ。(笑)
実はウチの弟が今月9日で誕生日でしてな~。
惜しい…後1日遅ければ「十月十日野郎」と学友達から囃されただろうものを。(←悪魔の様な姉)
「十月十日野郎」の意味が解らない方は、どうかそのまま純粋で居て下さいませ。(笑)
てゆーか全国の10月10日生れの方々、下品な物言い失礼しました。
てゆーか高橋留美子女史はいやいや何でも有りません何でも有りません。(汗)
とまぁそんな訳で弟への誕生日プレゼントに注文したのです。
彫ってる間話を伺った所、5年修行して技を積んだとか。
仕事向きじゃないけど、お洒落な字体の判子を作って貰って感謝。



↑正午過ぎたんで、食事処の在る母屋に、揃って食べに行きました。
食事処では靴を脱いで入る、丁度テーブル席が空いたんで、そこに案内して貰った。



↑窓際で、客の入り具合が掴める席。
私らが着席した後に、客がどんどん入って来た。
グッドタイミングだったらしい。



↑此処で食事を取ると、1回限りで漬物バーを楽しめる。
那須の茄子漬、レタスの梅酢漬け等、どれもとても美味しいです。



↑毎回『みちのく御膳』を頼むのも変り映えしないんで(苦笑)、「役者蕎麦」を選ぶ事にした。
手打ちの田舎蕎麦の上には、細切りにした大根とカイワレが載ってます。
一緒に蕎麦湯と鮎の甘露煮が付いて来る。
友人は冬季メニューとして始まったばかりの「けんちんうどん」を選んだ。

どの料理を選んでも美味しいんですが、特にお薦めなのは蕎麦やうどんやお強飯。



↑そして甘酒!
此処の甘酒より美味しいのは、自分が飲んだ限り見付からず。
同じ位美味しいのを挙げるなら、箱根甘酒茶屋、日光二荒山神社境内の茶店で出す物…他は思い当たらないなぁ。
評判が高いらしく、甘酒は缶入りで販売しても居る。(1,050円)
1缶分を薄めて、12人前は飲めるそうな。
友人は無くなる度に、また買ってる。
今回も2缶買ってた…重いだろうに。
本館でも同じ物を売ってるんですが、別館の方が50円位安かったと記憶してる。
多分本館は高い所に在るから、運送費とかかかる分だけ加算されるんではと。
高所に行くと自販機のジュースも高くなるでしょ?きっと同じ理屈だ。(笑)



↑私は扇屋の「御用饅頭」を買ってった。
此処で売ってる菓子の一部は、扇屋から卸した物なのです。



↑扇屋は新那須に建つ那須の老舗菓子屋。
創業80年余の歴史を持ち、那須御用邸に献上する菓子を請負う店です。
この大層な名前の饅頭は、昭和20~40年代頃まで、昭和天皇お着きの際に、献上されてた物だとか。



↑献上するに相応しい、上品な甘さの餡で御座います。

『みちのく』は本館ともセールスが熱心過ぎるのが難ですが(苦笑)、その成果も有ってか人気がかなり高い店のよう。
お昼時は席が空いてない事も有るんで、昼食目当てなら午前中に行くか、時間を遅らせた方が良いです。

HPはこちら。(→http://www.nas.ne.jp/usr/michinoku/index.htm)



【続】
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