チャッチャチャチャチャチャ♪チャチャッチャ~♪チャチャッチャ~♪チャラ~ラ~~♪――パパパパパパパン♪
――ナミちゃん(オレンジ)を探せっ!!
本日紹介するナミちゃん(オレンジ)はこちら!――↑お土産に貰ったタ○ノのアップルパイ。
林檎がいっぱいで美味しかったです。
此処に来て、うっかり続いちゃったバトンの続きです。(汗)
●新生活スタート。2人の間に3つの約束事を作るならどんな内容にする?
「1つ!私がこの世界に居る間、あんたは私に快適な生活をさせる事!
2つ!あんたと私は元の世界に戻るまでの仮初の関係であり、戻れ次第縁を断つ事!
3つ!元の世界に戻る際には必ずや賠償金を支払い、私が受けた苦痛を償う事!
――約束して貰うわよ!!」
声を挟む間も与えず、ナミさんが滔々と述べる。
清々しいほど一方的な内容に、自分は弱々しくツッコミを返すしかなかった。
「…いやしかしナミさん…賠償金支払えったって…こっちの世界とそっちの世界とじゃ、通貨違うし…」
言い訳しながら鞄から財布を取り出し、紙幣を数枚渡して見せる。
確認したナミさんは暫く沈黙した後、紙幣をグシャグシャに丸めて怒鳴った。
「んも~~~ぉ!!!あんたってば本当使えない~~~~!!!!」
「すすすいません!使えないヤツで本当すいません…!」
●同居生活における家事はどんな風に分担しますか?
「だったら…!せめて生活面で貢献してみせてっ!
あんた、炊事や洗濯や掃除は、ちゃんとこなせるんでしょーね!?」
「ええっと…ちゃんと出来る自信は無いですが…鋭意努力は致しますんで…」
「何あんた!?そんな生活するのに必須な能力まで、まともに持ってないってェの!?」
何を言ってもヘラヘラ笑って返す自分に不安が募ったのだろう。
見るからに苛々を爆発させてナミさんが詰る。
さもありなん、突然見知らぬ世界に独り飛ばされて来て、頼り無いヤツの世話になるしかない状況に陥ったとあっちゃ…今更ながら彼女に対し、申し訳無い気持ちでいっぱいになった。
こっちに居る間、自分が仲間の代りになって護りましょうなんて、冗談でも言えやしない。
それでも事故を起こした責任を負って、この世界に居る限りは自分が彼女の面倒をみよう。
そう胸の内で決意して声をかけるよりも早く――
「仕方ないわ!炊事は私が担当する!
それ以外の洗濯掃除なんかは、あんたが担当して!」
――ナミさんは急にさっぱりとした顔で自分に言ってのけた。
「え…?」
てっきり家事全般任せられると覚悟していた自分は、目を点にしてしまった。
そんな自分の顔を斜めに見つつ、少しだけ口角を上げてナミさんが言う。
「…正体知れない他人のあんた相手に御飯作るのは癪だけど、自分の分だけ作って食べてたら余計居心地悪くなりそうだし。
何より、他人の作った御飯を食べる気なんてしないもの!」
諦め半分に笑って、早速キッチンに立つ。
向うの世界とこちらの世界と、生活面では特に違いが無い事は幸いだった。
呑込みの早い彼女らしく、すぐさま用具や食材に慣れ、料理を2人分作ってのけた。
支度が終り、2人テーブルを挟んで、晩御飯を黙々と食べる。
茶碗に視線を落としたまま、ナミさんは殆どこちらを見ようともしない。
そういやぁ、自分の名前すら1度も尋ねて来ないなぁと…この時になって初めて気が付く。
だからと言って気安く自己紹介出来る雰囲気でもない。
沈黙に耐えかね、リモコンを掴みTVのスイッチを入れた。
真っ黒な画面にパッと映像が映った途端、ナミさんは飛び上がって驚いた。
てっきりでっかい置物が横に鎮座していると思ったら、突然絵が点いてしかも動き出したのだ。
初めて見る者の反応としちゃ、当然と言えるだろう。
「そうか~、ナミさん初めてTV見るんだね~、じゃあ、びっくりしたでしょう。」
密かに反応を窺いながら、何か面白い番組は無いかとチャンネルを変えて行く。
生憎今日は月曜で、普段観るよなお薦め番組は特に無い。
今日が日曜で、『ワンピース』でもやってればなぁと、惜しく感じた。
アニメになったナミさんを観て、本人がどんな反応を返すのか見たかった様な気がしたのだ。
が…あれは見せない方が無難かも…とすぐさま考えを打ち消す。
代わる代わる現れる映像を、ナミさんは好奇心を隠さず凝視した。
「何これ、てれび!?何々!??どういう仕組になってんの!??
映ってるこれって一体何なの!??」
堪らず尋ねて来る彼女に、自分は上手い事会話の切っ掛けが作れたぞと、ほくそ笑んだ。
「ええ~とこれはテレビジョン…略称『TV』と言いまして…自分も詳しい仕組なんかは解らないけど…要は遠くの映像を観るのに使用する機械で御座います」
「遠くの映像??」
「そう!これさえ有れば、どんなに離れた国で起こるニュースも一瞬で解る!そんな優れものなんで御座います!」
得意げに説明してる途中、流れたCMの中に海の映像が出て来た。
一瞬だけ現れた蒼を捉えて、彼女の瞳の輝きが増す。
けれども画面から消えた途端…輝きはみるみるフェードアウトしてしまった。
ふとナミさんがTVから視線を外し、後ろを振り返って窓を見詰る。
窓の向うに広がるのは無機質な高層住宅ばかり…。
「…この世界にも…海は在るのね…」
振向いたまま、ナミさんが呟く。
「良かった…てっきり無いのかと思っちゃった…」
「…まぁ、在る事は在りますが………正直遠いですね。」
「……そう…だからそのTVとやらで見るしかないんだ……」
それきり黙って、また茶碗に向き合い食べ出した。
そんなナミさんを自分は居た堪れない気持ちで眺めるしかなく…折角彼女が作ってくれた料理の味を、自分は覚えてない。
食事が終った後は順番に風呂に入り、客用の布団を敷いてナミさんを寝かせ――そんな感じに第1日目は過ぎてった。
2日目も特に変り無く、依然ぎこちないままで居た。
自分は朝~晩迄仕事に行ってしまい、その間ナミさんがどんな風に生活してるか解らない。
帰って来て、また1日目同様テーブルを挟んで黙々と晩御飯を食べた。
一緒に過していながら、彼女の態度は正に借りて来た猫。
血沸き肉踊る冒険から一転して、安定してるだけの単調な毎日…。
そんな日々を彼女はどんな思いで過しているのだろう?
もしもこのまま元の世界に戻れなかったとしたら…?
彼女の焦燥を知りつつ、自分はただ途方に暮れるばかりだった。
しかし3日目の晩自分が帰って来た時、彼女は驚くような決断を言ってのけた。
●朝は貴女より1時間早く家を出る予定なんだって。彼(女)に合わせて起きる?
「明日の朝から私、働きに出るわ!」
「え!?ナミさんが働きに!??…どど何処へ??どうして???」
焦って質問する自分に構わず、ナミさんはテーブルの向うで、焼いたウィンナーをパクつく。
咀嚼し終えてから、彼女はゆっくりと続きを話した。
「駅前のエーエムピーエムとか言うお店!チラシで店員募集してたから…」
「ナミさんがコンビニ店員~~!??だだ大丈夫なんですか!??ちゃんと働けるの!??履歴書はどう書いたの!??」
「履歴書なんて、嘘っこで構わないでしょ?
今日1日、店員の仕事をさり気に窺ってて…これなら私にも出来そうかな~~って、即座に決めて来たわ!」
「まぁナミさん器用だし呑込み早そうだから何とかなるかもしれんけど…急に働こうなんて一体どしたの?」
「何時までも他人の家で厄介になってるなんて真っ平だもん。
勿論あんたには私が元の世界に戻れるよう、この先も骨折って貰う気で居るけど。
てゆーか――あんた!!私が元の世界に戻れるよう努力してくれてんでしょーね!?
態度見てるとそんな気ちっとも感じないんだけど!!」
突如ナミさんが激昂し、激しく茶碗をテーブルに叩き付けて睨んだ。
「しししてます勿論ろんろんろん!!」
鬼の形相にも似た迫力に気圧され、ヘラヘラとひたすら笑って誤魔化す。
そんな自分を思い切り訝しげに見るも、取敢えずは矛を収めるナミさんだった。
「…兎にも角にもお金を貯めて、独りで暮らしたいの!
その方がお互い気が楽でしょ?」
「…別に自分は一緒に生活する事、嫌だと思ってないのに…」
「私が嫌なの!!!!」
間髪入れずに返されて、少々ハートが傷付く…。
しゅんと萎れた自分に構う事無く、ナミさんは尚も話を続けた。
「明日からの月~土、朝7時に此処を出るから、6時には起してくれる?」
「6時ですか…自分より1時間早く出勤ですね。解りました、目覚ましセットしときますよ。
それと外へ働きに出るなら、鍵を渡しときましょう」
そう言うと自分は隣に有る机の引き出しを探り、スペアの鍵を取り出した。
掌に乗っけて差し出すと、ナミさんがきょとんとした顔を見せた。
「有難う……ってゆーか良いの?他人の私に鍵なんて渡して…?
バラすと私…昔泥棒やってたんだけど」
「知ってます…ファンだから!」
「ファン??」
照れながら頬を掻く自分を、ナミさんは不思議そうに見詰る。
しかし自分は、それ以上の説明はせず――なんかもう照れ臭くて上手く喋る自信無かったんで――ナミさんもそれ以上訊いては来なかった。
食事を終え、片付ける途中でふと湧いた疑問を口にした。
「あれ?ナミさん…鍵持ってなかったんですよね…?
なのに外出してたって……その間家の鍵はどうしてたんすか?」
「ああ!勿論開けっぱ!」
屈託無く笑い、ナミさんが即答する。
「………ナミさん……ウチは見ての通り盗る物に乏しいほど貧乏だけど――それだけは勘弁して!!」
平身低頭お願いする自分に向け、ナミさんはぺロッと舌を出して見せた。
●やけに余裕がある朝だと思えば時計が止まっていました!慌てた彼(女)が忘れそうになった物は?
「キャ~~~~~~~~~…!!!!!!」
翌朝、自分はナミさんの悲鳴で叩き起された。
何事かと隣の間まで這いずって行き、寝惚け眼で彼女の方を見れば、ナミさんは布団の傍に置いてた目覚まし時計を凝視しつつ、ワナワナと震えていた。
「……どうしました?ナミさん…?」
「こ、この目覚まし時計止ってる…!!
いい何時までも針が動かないからおかしいとは思ったんだけど…台所の時計見たら1時間近くズレてて…!!」
彼女が涙目で訴えるのを耳にしてる内、次第に頭が回転し出す。
「…すいません…どうやら時計の電池が切れかけてたみたいで…。
暫く目覚まし使ってなかったから、ちっとも気付かなかった…」
「馬鹿~~~~~~~~~!!!!!!
もう…!!初出勤から遅刻なんて最低だわっっ!!!!」
言うが早いか彼女は布団を跳ね除け、出掛ける支度を整える。
電光石火の早業で朝食まで済ませ(←忘れず食べてくとは偉い)、玄関に向った。
それら一部始終を呆けて眺めていた自分だが…布団の上に置きっぱになっていた物体に気付いた途端――脳内が一気に覚醒した。
「ナミさん!!!!ブラ…!!ブラを着け忘れているんじゃ…!?」
玄関から今にも飛び出して行きそうな彼女を焦って止める。
ブラを掴んで走り寄る自分を見て、しかしナミさんは無頓着にも言ってのけた。
「ああ!私、普段ノーブラで居る事多いし!」
「いやノーブラはマズイでしょう!!
この危険がいっぱいの現代社会で!!!」
「…たって、見えて解るもんでもないし」
「見えてなくとも、それだけ豊満なバスト、震度6の揺れでモロ解りですって!!!」
「うっさいわねー、解ったからどうだってのよ!?」
「ストーカーに狙われて襲われたらどーすんですか!?
此処にはルフィもゾロもサンジも居ないんですよ!!!」
此処には頼りにしている男共が居ない――という言葉は、かなり効き目が有ったらしい。
靴を履いてまで居たナミさんだが、脱いで再び玄関に上がると、自分の手からブラを引っ手繰って手早く身に着けた。
そうして目も合せず無言のまま出て行く後姿を、見えなくなるまで追う…。
静けさを取戻した部屋の中、息を大きく吐いて座り込んだ。
どんな時でも自分の足でしっかり立とうとする。
イイ年して親掛かりな自分とはエライ違いだなと苦笑した。
彼女なら何処に居ようと生きていけるに違いない。
とは言え……
――ルフィもゾロもサンジも居ないんですよ!!!
…あの一瞬だけ垣間見せた、弱々しい表情。
早いトコ何とか帰してあげないとな…。
独りごちるそこへ、携帯の呼び出し音が響いた。
【その3に続】
…無駄に連続小説化している。(汗)
小説てゆーか、これって何?(汗)
ジャンルで分けるなら夢小説の類になるんだろうか??
夢小説ったって、需要に全く応えるもんじゃないが…。(自嘲)
愛の公開トークショー、本当は今日で終える予定だったんだけど、終らなかったんで続きます。
結果8/6迄色んな記事が飛び交う事になるでしょう。
毎度すいませんが、カテを選んだりして、上手い事読んで下さいませ。(←他人任せ)
本日で企画終了した方々…お疲れ様でした!
リンクは8/6を目処に、無事終了を確認して、解除させて戴きます。
――ナミちゃん(オレンジ)を探せっ!!
本日紹介するナミちゃん(オレンジ)はこちら!――↑お土産に貰ったタ○ノのアップルパイ。
林檎がいっぱいで美味しかったです。
此処に来て、うっかり続いちゃったバトンの続きです。(汗)
●新生活スタート。2人の間に3つの約束事を作るならどんな内容にする?
「1つ!私がこの世界に居る間、あんたは私に快適な生活をさせる事!
2つ!あんたと私は元の世界に戻るまでの仮初の関係であり、戻れ次第縁を断つ事!
3つ!元の世界に戻る際には必ずや賠償金を支払い、私が受けた苦痛を償う事!
――約束して貰うわよ!!」
声を挟む間も与えず、ナミさんが滔々と述べる。
清々しいほど一方的な内容に、自分は弱々しくツッコミを返すしかなかった。
「…いやしかしナミさん…賠償金支払えったって…こっちの世界とそっちの世界とじゃ、通貨違うし…」
言い訳しながら鞄から財布を取り出し、紙幣を数枚渡して見せる。
確認したナミさんは暫く沈黙した後、紙幣をグシャグシャに丸めて怒鳴った。
「んも~~~ぉ!!!あんたってば本当使えない~~~~!!!!」
「すすすいません!使えないヤツで本当すいません…!」
●同居生活における家事はどんな風に分担しますか?
「だったら…!せめて生活面で貢献してみせてっ!
あんた、炊事や洗濯や掃除は、ちゃんとこなせるんでしょーね!?」
「ええっと…ちゃんと出来る自信は無いですが…鋭意努力は致しますんで…」
「何あんた!?そんな生活するのに必須な能力まで、まともに持ってないってェの!?」
何を言ってもヘラヘラ笑って返す自分に不安が募ったのだろう。
見るからに苛々を爆発させてナミさんが詰る。
さもありなん、突然見知らぬ世界に独り飛ばされて来て、頼り無いヤツの世話になるしかない状況に陥ったとあっちゃ…今更ながら彼女に対し、申し訳無い気持ちでいっぱいになった。
こっちに居る間、自分が仲間の代りになって護りましょうなんて、冗談でも言えやしない。
それでも事故を起こした責任を負って、この世界に居る限りは自分が彼女の面倒をみよう。
そう胸の内で決意して声をかけるよりも早く――
「仕方ないわ!炊事は私が担当する!
それ以外の洗濯掃除なんかは、あんたが担当して!」
――ナミさんは急にさっぱりとした顔で自分に言ってのけた。
「え…?」
てっきり家事全般任せられると覚悟していた自分は、目を点にしてしまった。
そんな自分の顔を斜めに見つつ、少しだけ口角を上げてナミさんが言う。
「…正体知れない他人のあんた相手に御飯作るのは癪だけど、自分の分だけ作って食べてたら余計居心地悪くなりそうだし。
何より、他人の作った御飯を食べる気なんてしないもの!」
諦め半分に笑って、早速キッチンに立つ。
向うの世界とこちらの世界と、生活面では特に違いが無い事は幸いだった。
呑込みの早い彼女らしく、すぐさま用具や食材に慣れ、料理を2人分作ってのけた。
支度が終り、2人テーブルを挟んで、晩御飯を黙々と食べる。
茶碗に視線を落としたまま、ナミさんは殆どこちらを見ようともしない。
そういやぁ、自分の名前すら1度も尋ねて来ないなぁと…この時になって初めて気が付く。
だからと言って気安く自己紹介出来る雰囲気でもない。
沈黙に耐えかね、リモコンを掴みTVのスイッチを入れた。
真っ黒な画面にパッと映像が映った途端、ナミさんは飛び上がって驚いた。
てっきりでっかい置物が横に鎮座していると思ったら、突然絵が点いてしかも動き出したのだ。
初めて見る者の反応としちゃ、当然と言えるだろう。
「そうか~、ナミさん初めてTV見るんだね~、じゃあ、びっくりしたでしょう。」
密かに反応を窺いながら、何か面白い番組は無いかとチャンネルを変えて行く。
生憎今日は月曜で、普段観るよなお薦め番組は特に無い。
今日が日曜で、『ワンピース』でもやってればなぁと、惜しく感じた。
アニメになったナミさんを観て、本人がどんな反応を返すのか見たかった様な気がしたのだ。
が…あれは見せない方が無難かも…とすぐさま考えを打ち消す。
代わる代わる現れる映像を、ナミさんは好奇心を隠さず凝視した。
「何これ、てれび!?何々!??どういう仕組になってんの!??
映ってるこれって一体何なの!??」
堪らず尋ねて来る彼女に、自分は上手い事会話の切っ掛けが作れたぞと、ほくそ笑んだ。
「ええ~とこれはテレビジョン…略称『TV』と言いまして…自分も詳しい仕組なんかは解らないけど…要は遠くの映像を観るのに使用する機械で御座います」
「遠くの映像??」
「そう!これさえ有れば、どんなに離れた国で起こるニュースも一瞬で解る!そんな優れものなんで御座います!」
得意げに説明してる途中、流れたCMの中に海の映像が出て来た。
一瞬だけ現れた蒼を捉えて、彼女の瞳の輝きが増す。
けれども画面から消えた途端…輝きはみるみるフェードアウトしてしまった。
ふとナミさんがTVから視線を外し、後ろを振り返って窓を見詰る。
窓の向うに広がるのは無機質な高層住宅ばかり…。
「…この世界にも…海は在るのね…」
振向いたまま、ナミさんが呟く。
「良かった…てっきり無いのかと思っちゃった…」
「…まぁ、在る事は在りますが………正直遠いですね。」
「……そう…だからそのTVとやらで見るしかないんだ……」
それきり黙って、また茶碗に向き合い食べ出した。
そんなナミさんを自分は居た堪れない気持ちで眺めるしかなく…折角彼女が作ってくれた料理の味を、自分は覚えてない。
食事が終った後は順番に風呂に入り、客用の布団を敷いてナミさんを寝かせ――そんな感じに第1日目は過ぎてった。
2日目も特に変り無く、依然ぎこちないままで居た。
自分は朝~晩迄仕事に行ってしまい、その間ナミさんがどんな風に生活してるか解らない。
帰って来て、また1日目同様テーブルを挟んで黙々と晩御飯を食べた。
一緒に過していながら、彼女の態度は正に借りて来た猫。
血沸き肉踊る冒険から一転して、安定してるだけの単調な毎日…。
そんな日々を彼女はどんな思いで過しているのだろう?
もしもこのまま元の世界に戻れなかったとしたら…?
彼女の焦燥を知りつつ、自分はただ途方に暮れるばかりだった。
しかし3日目の晩自分が帰って来た時、彼女は驚くような決断を言ってのけた。
●朝は貴女より1時間早く家を出る予定なんだって。彼(女)に合わせて起きる?
「明日の朝から私、働きに出るわ!」
「え!?ナミさんが働きに!??…どど何処へ??どうして???」
焦って質問する自分に構わず、ナミさんはテーブルの向うで、焼いたウィンナーをパクつく。
咀嚼し終えてから、彼女はゆっくりと続きを話した。
「駅前のエーエムピーエムとか言うお店!チラシで店員募集してたから…」
「ナミさんがコンビニ店員~~!??だだ大丈夫なんですか!??ちゃんと働けるの!??履歴書はどう書いたの!??」
「履歴書なんて、嘘っこで構わないでしょ?
今日1日、店員の仕事をさり気に窺ってて…これなら私にも出来そうかな~~って、即座に決めて来たわ!」
「まぁナミさん器用だし呑込み早そうだから何とかなるかもしれんけど…急に働こうなんて一体どしたの?」
「何時までも他人の家で厄介になってるなんて真っ平だもん。
勿論あんたには私が元の世界に戻れるよう、この先も骨折って貰う気で居るけど。
てゆーか――あんた!!私が元の世界に戻れるよう努力してくれてんでしょーね!?
態度見てるとそんな気ちっとも感じないんだけど!!」
突如ナミさんが激昂し、激しく茶碗をテーブルに叩き付けて睨んだ。
「しししてます勿論ろんろんろん!!」
鬼の形相にも似た迫力に気圧され、ヘラヘラとひたすら笑って誤魔化す。
そんな自分を思い切り訝しげに見るも、取敢えずは矛を収めるナミさんだった。
「…兎にも角にもお金を貯めて、独りで暮らしたいの!
その方がお互い気が楽でしょ?」
「…別に自分は一緒に生活する事、嫌だと思ってないのに…」
「私が嫌なの!!!!」
間髪入れずに返されて、少々ハートが傷付く…。
しゅんと萎れた自分に構う事無く、ナミさんは尚も話を続けた。
「明日からの月~土、朝7時に此処を出るから、6時には起してくれる?」
「6時ですか…自分より1時間早く出勤ですね。解りました、目覚ましセットしときますよ。
それと外へ働きに出るなら、鍵を渡しときましょう」
そう言うと自分は隣に有る机の引き出しを探り、スペアの鍵を取り出した。
掌に乗っけて差し出すと、ナミさんがきょとんとした顔を見せた。
「有難う……ってゆーか良いの?他人の私に鍵なんて渡して…?
バラすと私…昔泥棒やってたんだけど」
「知ってます…ファンだから!」
「ファン??」
照れながら頬を掻く自分を、ナミさんは不思議そうに見詰る。
しかし自分は、それ以上の説明はせず――なんかもう照れ臭くて上手く喋る自信無かったんで――ナミさんもそれ以上訊いては来なかった。
食事を終え、片付ける途中でふと湧いた疑問を口にした。
「あれ?ナミさん…鍵持ってなかったんですよね…?
なのに外出してたって……その間家の鍵はどうしてたんすか?」
「ああ!勿論開けっぱ!」
屈託無く笑い、ナミさんが即答する。
「………ナミさん……ウチは見ての通り盗る物に乏しいほど貧乏だけど――それだけは勘弁して!!」
平身低頭お願いする自分に向け、ナミさんはぺロッと舌を出して見せた。
●やけに余裕がある朝だと思えば時計が止まっていました!慌てた彼(女)が忘れそうになった物は?
「キャ~~~~~~~~~…!!!!!!」
翌朝、自分はナミさんの悲鳴で叩き起された。
何事かと隣の間まで這いずって行き、寝惚け眼で彼女の方を見れば、ナミさんは布団の傍に置いてた目覚まし時計を凝視しつつ、ワナワナと震えていた。
「……どうしました?ナミさん…?」
「こ、この目覚まし時計止ってる…!!
いい何時までも針が動かないからおかしいとは思ったんだけど…台所の時計見たら1時間近くズレてて…!!」
彼女が涙目で訴えるのを耳にしてる内、次第に頭が回転し出す。
「…すいません…どうやら時計の電池が切れかけてたみたいで…。
暫く目覚まし使ってなかったから、ちっとも気付かなかった…」
「馬鹿~~~~~~~~~!!!!!!
もう…!!初出勤から遅刻なんて最低だわっっ!!!!」
言うが早いか彼女は布団を跳ね除け、出掛ける支度を整える。
電光石火の早業で朝食まで済ませ(←忘れず食べてくとは偉い)、玄関に向った。
それら一部始終を呆けて眺めていた自分だが…布団の上に置きっぱになっていた物体に気付いた途端――脳内が一気に覚醒した。
「ナミさん!!!!ブラ…!!ブラを着け忘れているんじゃ…!?」
玄関から今にも飛び出して行きそうな彼女を焦って止める。
ブラを掴んで走り寄る自分を見て、しかしナミさんは無頓着にも言ってのけた。
「ああ!私、普段ノーブラで居る事多いし!」
「いやノーブラはマズイでしょう!!
この危険がいっぱいの現代社会で!!!」
「…たって、見えて解るもんでもないし」
「見えてなくとも、それだけ豊満なバスト、震度6の揺れでモロ解りですって!!!」
「うっさいわねー、解ったからどうだってのよ!?」
「ストーカーに狙われて襲われたらどーすんですか!?
此処にはルフィもゾロもサンジも居ないんですよ!!!」
此処には頼りにしている男共が居ない――という言葉は、かなり効き目が有ったらしい。
靴を履いてまで居たナミさんだが、脱いで再び玄関に上がると、自分の手からブラを引っ手繰って手早く身に着けた。
そうして目も合せず無言のまま出て行く後姿を、見えなくなるまで追う…。
静けさを取戻した部屋の中、息を大きく吐いて座り込んだ。
どんな時でも自分の足でしっかり立とうとする。
イイ年して親掛かりな自分とはエライ違いだなと苦笑した。
彼女なら何処に居ようと生きていけるに違いない。
とは言え……
――ルフィもゾロもサンジも居ないんですよ!!!
…あの一瞬だけ垣間見せた、弱々しい表情。
早いトコ何とか帰してあげないとな…。
独りごちるそこへ、携帯の呼び出し音が響いた。
【その3に続】
…無駄に連続小説化している。(汗)
小説てゆーか、これって何?(汗)
ジャンルで分けるなら夢小説の類になるんだろうか??
夢小説ったって、需要に全く応えるもんじゃないが…。(自嘲)
愛の公開トークショー、本当は今日で終える予定だったんだけど、終らなかったんで続きます。
結果8/6迄色んな記事が飛び交う事になるでしょう。
毎度すいませんが、カテを選んだりして、上手い事読んで下さいませ。(←他人任せ)
本日で企画終了した方々…お疲れ様でした!
リンクは8/6を目処に、無事終了を確認して、解除させて戴きます。