『塩崎厚労相は今回の対応について、「段取り通り」と述べたが、情報開示をめぐっての政府の対応は、二転三転していた。
27日午後8時20分、大勢の記者が待ち受ける中、塩崎厚労相が会見場所に姿を見せた。
塩崎厚労相は「きょう、羽田空港に午後、西アフリカに滞在歴のある男性が到着して、発熱されている。万が一のことを考えて、搬送し、検査を行っている」と述べた。
羽田空港に到着した45歳の男性ジャーナリストに、エボラ出血熱の疑いがあることを明かした塩崎厚労相。
実は、エボラウイルスの影との戦いは、この5時間前から始まっていた。
27日午後3時35分、リベリアに滞在歴があるこの男性が、ロンドンから羽田空港に到着した。
検疫所で医師が熱を測ったところ、37.8度であることが確認された。
防護服を着せられた男性が、都内にある国立国際医療研究センターに向かうために空港を出たのは、午後6時25分。
飛行機の到着からおよそ3時間、男性は空港にいたことになる。
実は、厚生労働省は、この段階では情報を開示する考えはなかったという。
社会部の土門 健太郎記者は「厚生労働省は、確定診断が出ていなかったので、国民に余計なパニックを呼ぶとして、発表するつもりはありませんでした」と語った。
こうした政府の方針を裏づけるように、午後6時50分、安倍首相は、官邸をあとにした。
しかし、午後7時半に事態は一転した。
男性のエボラ出血熱の疑いを伝える一部報道で、状況が明るみに出ると、官邸サイドは一気に情報開示へとかじを切った。
(中略)
男性の空港到着から、およそ14時間。
ついに、検査結果が明らかになった。
厚労省は午前5時30分、エボラ出血熱が疑われた男性の検査結果について、陰性であると発表した。
検査結果は会見などは行わず、紙1枚で発表されたのみだった。
塩崎厚労相は、28日午前9時半すぎ、「(エボラ出血熱は)発症後、3日間は陽性の結果が出ない場合があることから、引き続き入院してもらい、健康管理を行う」と述べた。
浮き彫りとなる情報開示の難しさ。
太田国交相は「飛行機に乗っている人について、情報を示すべきではないかという質問については、今後のことを含めて、検討しなくてはならない」と述べた。
国交省は今回、エボラ出血熱の感染が疑われた男性が搭乗していた航空機の、航空会社や便名を明らかにしなかった。
日本に迫るエボラ出血熱の恐怖。
次に同様の事態が起きたときの対応に、課題を残した形となった。』
今回の状況から言えることは、情報が交差して、政府の判断が後手に回ったことは否定できない点だ。
また、現場の衛生当局は、政府関係機関からの連絡で動くが、一般市民は報道で動くものだ。
更に、厚生労働大臣への連絡が遅れたことも危機管理の面で大きな問題である。
エボラ出血熱の体制強化など改めて日本の危機管理能力強化を急げ!!
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