AWA@TELL まいにち

南山大学で、日本語教育に携わる人材の養成を行っています。ホームページも是非ご覧ください。

今年も1月17日が来ました

2009年01月17日 | どーでもいいこと
阪神淡路大震災のあった1月17日が、今年もやってきました。

多くの方がお亡くなりになったこの震災から、私たちが学んだものは数知れません。

今回、学部生の卒業論文を指導する中で、「やさしい日本語」という研究が、災害時における「情報弱者」という視点からも進められていることを知りました。

これまでは、大雑把に、在住外国人に情報を提供するため、という大枠でしか考えていなかったのですが、弘前大学、国立国語研究所、神戸市などの取り組みで進められています。新潟の震災時には、実際に活用されて、成果を上げています。

在住外国人の母語に一つ一つ対応するのは困難なため、簡単な日本語で、伝えることができるようにしようという活動です。

徳島にいたとき、「誰にでも分かる日本語」という形で、留学生の使う言葉の再認識活動を行いましたが、日本人側にも、理解しやすい日本語を使うというちょっとした配慮を促すだけで、在住外国人とのコミュニケーションは飛躍的に増すのです。

今、愛知教育大学で行っている外国人児童生徒支援のための教科書や、問題集の「やさしい日本語」へのリライト活動もそれです。

厄介なのは、教室で教える日本語と違い、受け手のレベルが広範囲にわたっていること。

どこに基準を置くかで、使える語彙、文型が異なってきます。

日本語能力試験を基準に置くか、広く使われている初級の教科書を基準に置くか、他にも基準の着け方はあると思います。

明確な「答え」がない活動のため、教科書のリライト作業では学生たちが困惑していますが、社会では「答え」がないもののほうが多いなあと実感するこのごろです。あえて言えば、「最大多数の最大理解」というところでしょうか。

阪神淡路大震災のときは、修士論文執筆中の富山で生活しており、2月に神戸の崩れ落ちた建物の中を歩いて通りながら、広島大学博士課程の受験に向かいました。

日本語教育に関わる仕事をしながら、日本語をキーワードに、またこの震災に出会ったような気がしています。

なくなった多くの方のご冥福を祈りながら、これからより暮らしやすい社会になるよう、自分の関われる範囲で、努力したいと思っています。
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