AWA@TELL まいにち

南山大学で、日本語教育に携わる人材の養成を行っています。ホームページも是非ご覧ください。

思い出すことも、勉強になることも、気づくことも

2016年03月03日 | 日本語教育
火曜日から、午後2時間ずつ、明日までの予定でカンボジアからの留学生の日本語の補習をやっています。

前にも書きましたが、この留学生さんたちへの日本語の授業は、四年生の実習の授業で行っていて、

例年なら、週2回の授業のうち、1回を四年生が、もう一回を私が担当するという形なのですが、

今年度は、受講した四年生がことのほか多く、週2回とも、実習の授業で行いました。

で、ゆっくり目のペースで、確実に進めていこうと考え、四年生もとても熱心に取り組んでくれたので、

それはそれでよかったのですが、

何にしても、週2回。ゼロ初級の学生に対して、週2回で何をしろというのか、という愚痴は置いておいて、

留学生も熱心に取り組んでくれました。

とはいっても、週2回。

テスト結果も、それなりで、四年生も留学生も頑張ったなーと感心したんだけど、

週2回。

いろいろ気になっての補習です。


やってみてよかったのは、

毎回の授業ではなんとかなっていたけど、実は助詞の使い方に混乱していたとか、

授業では破たんの様子を見せていなかったけど、実は、い形容詞とな形容詞、何もわかっていなかったとか、

いろんなことがわかったことです。


初日は、拍とアクセントと、イントネーションの指導。

意外なほど、拍という考え方が伝わり、ずいぶん日本語らしい発声になりました。

ヴェルボトナル法の練習方法を少し取り入れたのですが、体を動かしての拍の感覚、つかみやすかったようです。


個別の音にすると、連母音が苦手であったり、母音と母音の間に喉頭蓋の破裂音が入るような発声になったり、

カ行音を発声しようとすると、その直前に妙な摩擦音が聞こえたり、と

クメール語の影響なのか、発音しにくいのでしやすいように加工しているのかはともかく、結構ハードルががかかったのですが、


拍が整うと、結構聞きやすくなりました。

長短をしっかりイメージさせたのもよかったかも。


アクセントは、どうだろうなあ、その場では治っていたけど、あくまでもアクセントの核を示しての指導であって、普段は気にしないからしんどいだろうなあ、という印象。


そうこうして、

昨日は、助詞の整理、動詞のグループ分け、て形の活用、「~てください」「~ています」「~て、~て」の復習でした。

助詞の整理は、新宿日本語学校の江副先生が考案された重箱カードを利用してみました。

「文法の視覚化」というのは、私も常々考えていたことなので、もっと勉強しなくてはと思いつつ、なまかじりの状況で助詞カードだけ使ってみました。

結果、わかりやすかったのではないかと思いました。


実は、学期中の授業の中では、モデル例文は、短く示すように指示していたこともあって、文の構成要素をたくさん盛り込んだ文に慣れておらず、

もしかしたら、それができることも気づいていない可能性もあって、今回は長く長く、一緒に作ってみました。


例えば、

「学校へ行きます」

だったら、「自転車で」「友達と」「9時に」という要素を付けたりしていくわけです。

順番も入れ替えが可能であることをどんどん示して、学習者のほうから、いろんな例文が出てくるようになりました。

「スリムさんと、レストランへ自転車で行きました。レストランで、6時から8時まで、パンとアイスクリームを食べました。」みたいな。


「~てください」は、学期中の授業でも教室内の指示としていくつかのものは、分析的ではありませんが身についていて、それから思い起こさせての指導です。

動詞のグループ分けもそれほど問題なく進み、て形は、2グループの例外がネックでした。今回の学習者さんたちは、Ⅰグループでの混乱よりも、2グループのほうが大変だったようです。

「~てください」の応答にもいろんなパターンがあることを一緒に場面を設定しながら考え、

「~ています」は、公園のイラストを見ながら、のQAで確認していきました。


で、今日は、イ形容詞とナ形容詞。

「きれいな」がどうしても「イ形容詞の例外だ」というのがつかれました。

そういう混乱を避けようと「~い」「~な」という連体修飾の形で語彙を覚えるように指示しているつもりなんですが、なかなか。

区別できるようになってから、活用や連体修飾の練習。

それから比較や「いちばん~」の練習、

時間が少し残ったので、「~くなります」「~くしてください」も取り上げてみました。


「復習」ということもあって、比較的、知っていることの整理で済むのですが、学習者さんの発話を聞きながら、自分が話したいということを話させつつ、話せないことを助けつつの授業です。助けつつ、の段階では、あまり複雑ではない文型だったら、例えば今日の「~くなります」「~くしてください」のように、教えてしまいます。


言いたいことが言える、というのは、語学学習の一つの動機付けですから、そこは大切にしたいと思いつつ、学習者さんのレベルや持っている語彙、文型とを考えつつの指導になります。


半年近く、実際に授業をしていなかったので、もともとたいしてうまくもない授業の腕の鈍っていたのがよくわかり、ため息をつきながらも、一生懸命、勘を戻しています。

あわせて、久しぶりに、本当に久しぶりに、自分の日本語の授業のための教材を作る時間が取れて、とても楽しいです。


実際に授業で使ってみて、ああ、こうすればいいなあ、と思うことも多く、

徳島大学の留学生センターでゼロ初級を相手にしていたころを思い出しつつ、

新しい教材を作りながらの3日目でした。


明日が最終日の予定。

本当は、もっとやりたいんだけど、この4日を絞り出すのが精一杯でした。

せっかく日本に、愛教大に来てくれた留学生です。少しでも楽しい思い出を作ってほしいと思って、それを支える日本語の授業を考えています。

4月からの4年生。これまでの4年生のように、一緒に悩んで、一緒に考えてくれる学生さんたちだとうれしいな。

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