AWA@TELL まいにち

南山大学で、日本語教育に携わる人材の養成を行っています。ホームページも是非ご覧ください。

学生の誤り VS 教師の誤り

2006年01月26日 | 日本語教育
 日本語を学んでいる学生から集める宿題を添削していたり、教室の中での発話を聞いていると、クラスの中での説明が失敗しているなと感じることが良くあります。
 留学生の間違いを集めて、どうしてそれを間違えるのかというものを分析した本はたくさんあります。いわゆる「誤用分析」の本です。
 でも、この「誤用分析」の本は、何というかな、極端に言えば、教師側は間違ってないけど、学生側が誤解をしたり、母語の影響を受けて間違いやすいポイントを説明してあるわけです。ですから、教師の側が失敗した場合のフォローが書かれているわけではないんですよね。
 個人的に、そういうメモを作っています。もちろん、自分が説明して、自分が気がついた失敗だけですけどね。

 国文法でいうところのサ変動詞。日本語教育の方では3グループの動詞ですが、漢語やカタカナ語の後ろに「を」を入れるか、入れないかという話があります。今使っている教科書は基本的に入っていません。当初それで教育していたのですが、あるとき、「勉強します」と「貸します」のグループ分けが出来ない学生が多いことに気がつきました。
 学生にとっては、「ます」の前が「し」だったら、イ段だから1グループだと分析するか、3グループだと分析するかしかないんですよね。漢語だから、なんて説明が通じるわけがない。
 そこで、今では3グループの方は基本的に「を」を入れる形で教えるようになりました。間違えは格段に減ったわけです。

 でも、今度は教科書と違いますから、学生の方で混乱が生じかねません。

 クラスで、どうして違うのかの説明をしたときのこと。どう説明したかというと、
「教科書では、「を」がありません。でも、このクラスでは「を」使います。それは、グループ分けがよくわかるようにするためです。「を」はあっても、なくても、大丈夫です(本当は不自然なものもあります)」

 すると、学生から確認の質問が来ました。

自分でやります。「勉強します」。先生がやります。「勉強をします」ですね?

 ん?

もう一度、お願いします。何ですか?

私が一人で、うちで勉強します。クラスでみんなと一緒に、先生が教えます。これは「を」があります。

ちがいます。独学か教室での共同学習かという区別ではありません。

言い方がまずかったかなあ。

日本語だけで説明をする、それもそこまでの学習項目と語彙だけを使って、というのはもどかしいです。本当に。でも、英語を初めとする媒介語を使って通じる状態ではないクラスでは、仕方がないです。それに、自分が学んだことで、日本人のいっていることがわかったという自信が大切になりますからね。

今では日本語で冗談を言ったら、ほぼ同時に笑えるようになりました。うれしいです。

さて、今日も作文が提出されてきます。がんばるぞっ!
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