AWA@TELL まいにち

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漢字指導について思うこと

2018年09月29日 | 日本語教育
日本語指導が必要な子どもたちに対する漢字指導。

結局のところ、前提となるのは、

日本語指導が必要ではない、もう少し踏み込めば、日本語を母語としている子供たちは、

概念と、音はもう頭の中にあって、それをどんな漢字で書くのか、というところを覚えるのが漢字の学習。

うみ、かいすいよく、にほんかい、こういった語彙を知っているところに「海」という漢字を習い、

「ああ、海水浴、日本海、にある「かい」も海だ」

と、整理していくわけだ。

日本語指導が必要な子どもの場合、概念と、音と、漢字を三つ覚えなければならないんだよな。


てなことを考えながら、国語の授業の見学。

先生が、漢字をきれいに書くために、ということで、上から下へ書いていく漢字、左から右へと書いていく漢字、左が小さくて右が大きい漢字、ダイヤモンドのような形に書くと美しくなる漢字、などを整理したプリントを配布してくださって、なぞり書き。

なぞり書きは上手なんだけど、じゃあ、その漢字を下の枠に、となると、これはまた別の問題。小さくなったり、左右が離れて行ったり。

先生が、

 「漢字の読みだけじゃなくて、どんな使い方をしているのかを一緒に覚えると、漢字がどんどん増えていきますよ」とアドバイス。

 全くその通りだと思う。

 僕は漢字指導のとき、音読み、訓読みという説明はあまり深くせず、熟語になった状態での読みを教えることが多くて、ある程度の漢字のストックができたところで、振り返りながら整理していくことにしているんだけども、

 この、漢字の形をきれいに書くための教材と、使い方を提示する教材と、すこし踏み込んで考えてみようかな、という気持ちになりました。

 というのも、例えば、偏が小さく旁を大きく書くときれいに見えるよ、という例で示された「供」という字。

 生徒さんから、「意味は? それから、どんな文で使うの?」と言われて非常に困ったから。

 ダイヤの形で書くといいよという「令」の字も、単独で意味を聞かれても、また、使われ方を聞かれても、なかなか厄介。

 「供」なんてさ、「提供」「供給」「子供」「供物」くらいしか思い浮かばなくて、共通するものが出てこない。かえって混乱させちゃいそう。

 この辺を整理できるといいなあと思いつつ、例えば、「令」なんて、歴史の授業の「律令政治」のあたりで一緒に教えれば一石二鳥だ、と思ったりもあって、

 漢字教育の方法、少し考えてみたいと思いました。特に、小中学校段階、ね。

 学年配当の漢字、という考え方も、学校の授業についていくことを思えば重要なんだけども、バランスかなあ。形のつながりで教えていくほうがいいのか、意味のつながりで教えていくほうがいいのか、もちろん形と意味とは関係があるんだけれども、形と音のつながりのほうがいいのか、まあ、考えることは山ほど。

 ただ、現場の先生方がこれだけ取り組まれているのに、表立って「これ」という教材が見当たらないのは、やっぱり厄介なんだろうな。

 成人の留学生向けの教材だって、多種多様だしね。
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