『いきの構造』で知られる哲学者九鬼周造は、東京の芝あたりで生まれ育ったものと思い込んでいた。(松岡正剛の何かで読んだ)最近、未読であった九鬼の随筆集(岩波文庫)を読み、年少の頃根岸で暮らしていたとある。最初に「根岸」、最後に「岡倉覚三氏の思い出」を配した随筆集。なんと、菅野昭正による編纂であったとは迂闊、もっと早く読むべきだった。
さて、この二つの . . . 本文を読む
ヨーロッパの知の歴史は、プラトンに対する厖大な脚注の歴史にほかならない。
アーサー・O・ラブジョイ 「存在の大いなる連鎖」より
イギリスがEUから離脱した背景を、大雑把だが自分なりに考えた。今回の件は、いわゆるトランプ現象と同根の背景があると思うし、グローバリズムへの逆噴射が遂に、英国でも本格化し . . . 本文を読む
ある評論家のメルマガを購読すると、好むと好まざるに関わらず自動的にその方と近しい方のメールが送られてくる。「別にいいや」と思っているし、それを拒む設定の仕方も分からない。
そのメールとは、京大経済学部教授F先生が書かれたもので、アベノミクスの大目標の一つ「GDP600兆円」が、いかに荒唐無稽の数値かを揶揄したものであった。
その主旨は結構であるが、GDP(国内総生産)は国民平均 . . . 本文を読む
猪瀬前都知事と同様に、金のことで辞めることになった舛添知事。私は冷ややかに眺めていたが、また約50億円をかけて選挙費用が税金から支払われる(1人当たり450円くらい?)。情けなくもあり、怒りもやんわりと湧いてくる。
舛添氏に投票した方は、すこし片腹痛いのではないだろうか。当初、辞職ではなく擁護する姿勢をみせていた自公は、なんらかの責任をとるつもりはないのだろうか。公私混同の舛添は . . . 本文を読む
花鳥風月をテーマにしたテレビ番組を見るのは好きだ。
最近、ターシャ・チューダーとベニシアさんの特別番組があって、二人の庭づくりを見ることができた。四季の変化を楽しみ、未来を見すえて、理想の庭に仕上げてゆく。見ていて清々しく、彼女たちの姿勢がとにかく直(ひた)向きで、植物と土に関する知識が豊かだ。何かに精通している人の姿を拝見する、耳をかたむけることは理屈抜きに気持ちよく、「学び」 . . . 本文を読む
エドワード・スノーデンに関する若干の説明を補足したい。ブログとはいえ、記事の事実関係はそれなりに正確を期しているつもりだが、後になって冷や汗ものの間違いが見つかることがある。恥をかくのもいいが、読んだ方が真に受けてそのことで恥をかくことは、私にとっても不本意である。
まあ、真に受ける人なぞ皆無であろうが・・。ともあれ前回の記事に関して基本的な誤りがあったので、その . . . 本文を読む
東大の福武ホールに行った。自由人権協会が主催する70周年プレシンポジウム「監視の今を考える」に、偶然にも参加できた。機密情報暴露の、あのスノーデンがネット経由ながら同時インタビューに応じるという企画に、まず飛びついた。しかも驚くことに、同時通訳付きで参加費無料である。後半のシンポジウムでは、スノーデンの法律アドバイザーであるベン・ワイズナー、ビデオニュースでも顔なじみの青木理、宮下 . . . 本文を読む
オバマ大統領が広島を訪問したことは、私だけでなく多くの人々にいろいろな感慨を抱かせたのではなかろうか。
核廃絶を謳いノーベル平和賞をもらったオバマの、実質的な大統領任期は今年までだろうから、この度の広島訪問は彼にとって、「有終の美」の仕事として臨んだことと思う。
平和記念公園での演説は、就任演説のときの静かなパッションを彷彿とさせたし、練りに練られた卓越した表現との評価が高い。残念 . . . 本文を読む