先日、鹿島茂の『吉本隆明 2019』という記事を書いた。その最後のほうに、古書木菟さんの奥様との約束めいたことを書いた。ご友人の井手ひとみさんという詩人の詩集を借り、読んだ感想を述べることの、まあこちらが勝手に申し合わせたようなものだった。
その後一読して、自分なりの感想をどう言ったらよいのか考えた。で、一言でいえばライトヴァースの云々、そして印象批評のような文言が浮かんだのだが・・。詩集全体の . . . 本文を読む
東京新聞の総合欄、その端っこに小さなコラム記事『親子で学ぶぅ』がある。最近の出来事をピックアップして、子どもにも理解してもらえるような「まとめ記事」である。辺野古の埋め立て問題から、琵琶湖のお祭りの、ドラマ『まんぷく』に出ていた女優(ヒロインの姪の役らしい)が一日船長になった話まで、硬軟とりまぜた記事が平日の朝刊に掲載される。
今日のそれは「国際編」で、ニュージーランドで起きた殺人テロ事件が記事 . . . 本文を読む
めずらしいものだ、一昨日の深夜に雹が降った。案の定、昨日は肌寒く、土曜日なのに外へ出る気がしなかった。今日はうって変わってのぽかぽか陽気。近所の桜の木も三分四分咲きとなり、花見がてらに散歩に出ようとしたところ、メダカのやや薄いオレンジ色が目に入った。ようやく姿をあらわしてくれたかと安心し、その数7,8匹ほどが確認できた。そっと近づいたが、一目散に潜って姿を消した。まあ、元気な証拠である。
濁った . . . 本文を読む
根岸にユニークな古本屋があると教えられ、散歩がてら覗いてきた。住所を目当てに探したのだが、そこはかつて九鬼周造が、少年時代を過ごしたゆかりの場所。年明けにも訪れた千手院、手児奈煎餅のすぐ近くだったのだ。千手院の脇の道はよく通るのに、なぜ気がつかなかったのか・・。その道をでた所を右に行けばすぐ。しかし、鶯谷駅方面へは行かない。普段ならまっすぐか、左に折れるかで、美味しいものを食べに行く。
さて、「 . . . 本文を読む
今年初めて行く、地元の月一原発映画祭。今回は、中川あゆみ監督のドキュメント映画「ふたつの故郷を生きる」であった。
福1原発事故から8年目を迎えた今、自主的に避難した人々は新たな困難に直面する。区域外避難者への補償・家賃補助等は、この3月末までに完全に打ち切られるとのこと。子どもを連れて県外に避難した家族はこれから、さらに経済的、精神的にいっそうの困窮を極めることになるだろう。将来を悲観して、自死 . . . 本文を読む
一週間ほど前、地元の古本屋「古書木菟(みみずく)」さんに行った。客としてはヘビーユーザーでもないのに、馴染みのように話し相手になっていただき有り難い。吉本隆明の信奉者(らしき?)ご主人が、3月号の「ちくま」を読みましたかと訊く。読んでいない、ネットの「webちくま」をたまに読むだけだと返したら、「今号から鹿島茂が、エマニュエル・トッドを介して隆明の『共同幻想論』を読み解く新連載が載っています。よろ . . . 本文を読む
このところ、わがブログの人気上位を占めるのは、[千代が灰野氏と弦んでる]という去年の6月の記事。それと関係なく、自分的には、ベースの亀川千代がイメージの師匠なのだ。であるが、リード・ギタリスト灰野敬二さんの伝説のロックバンド「不失者」が復活し、そこに「ゆら帝」の亀川千代のテンポいい野太いベースが絡んでいて驚いた(それが件の記事の音源で、何年前か特定できない)。
それはともかく、千代が灰野さんと弦 . . . 本文を読む
どちらでもありどちらでもないという両極に触れながら揺れるという生存というすがたに秘める洞窟彫刻というのは本当はあてはまらないある塊を削っていくのではない内に空を秘めながら彫塑するのはやわらかさから発展するぐにゃぐにゃした土はからだをみずからつくろうとする土を使って造られるものには霊を吹きこむことができるようだ
レイコ・イケムラ(「自己問答」より、部分)
▲リーフレットよ . . . 本文を読む
なんでも度が過ぎるのはいけないねえな。真面目な人はどうもね、堅苦しくていけねえ。嘘も冗談も通じないから、何を話していいやら分からなくなっちまう。四角四面なことを律儀に熱っぽく話されても、こっちは緊張しますよ。適当に相槌を打っていたらね、きちんと正確に話そうとしているのに、何ですかその態度は! なんてね、取りつく島もないわけよ。
このあいだなんか××会の会費を集めたんだ。そ . . . 本文を読む
1000字ほど書いたものが、何故だかデータが飛んだ。3月10日の東京大空襲と敗戦の意味、為政者の責任の取り方、「負け」を認めることの本質とは何かなど、そして3.11につながるこの国を差配する人々の心の在り方、姿勢のことなど・・。消えてしまったものはしょうがない。
警句を吐こうとする者は、性格が悪いとパスカルは書いていた。だから、もう何も言わないことにしよう。死者たちを悼み、共に今日を生きることに . . . 本文を読む
路ばたに結ぶ草の実に無限な思ひでの如きものを感じさせるものは、自分の中にひそむこの「幻影の人」のしわざと思われる。 西脇順三郎『旅人かへらず』の、はしがきより
▲装丁の柄澤斎は、小説家でもあった。美術ミステリ『ロンド』は「このミステリーがすごい!」のBest10に入っていた!
宮沢賢治は、童話を書いていたとき、一つひとつの文字が躍るように「向こう側」からやってきて、それをそのまま書き . . . 本文を読む
昨日、3月4日は、鶉屋書店の店主、故飯田淳次の命日であることがわかった(平成元年)。誕生日が3月3日で68歳を迎えて、その翌日に永眠されたわけだ。
年齢は小生と同じだが、人生に質量があるとすれば、その比重は10倍ほどもあろう。いや、それ以上に重く、濃密であったはずだ。
飯田淳次という人となりを、個人的に知りたくなった今日この頃。今は作家の森まゆみさんら4名の女性たちで作っていた地域雑誌(季刊) . . . 本文を読む
谷中にはその昔、「鶉屋(うずらや)書店」という有名な古本屋があった。平成元年に店主の飯田淳次氏が逝去し、惜しまれつつ店は閉じられた(ちょうど30年前になる!)。小生は学生時代に何度か入ったことがある。小さい店ながら詩・歌集専門の趣がある古書店で、ほかにも近代文学の初版本、落語・芸能の本などが並べられ、若造にはちと高価過ぎて敷居が高かった。と同時に、神保町ならいざ知らず、この辺りでこういう商いが成り . . . 本文を読む