人を殺した青年は、聖職者になりうるのか。モーセの十戒を犯した罪人は、神の赦しを絶対に受けられないのか。
ドストエフスキーが考えたとしてもおかしくないテーマである。この小説のような事件というか出来事が、カトリック90%のキリスト教国ポーランドにおいて実際にあったという。『聖なる犯罪者』は、ヤン・コマサ監督のポーランド・フランスのドラマ映画で、海外の2019年映画祭では数々の賞を受賞した作品。
以 . . . 本文を読む
マスクは西洋由来のものだ。ある意味で西洋医学のエッセンスであり、医者や看護師が着る白衣と同様に、清潔さと衛生美(こんな言葉あったか?)を表わす指標となる。マスクは、その上さらに、感染や病原菌から守るための必須アイテムとなった。
かつて日本でもスペイン風邪が猛威をふるったことがある。ちょうど100年ほど前、40万人もの人たちが亡くなった。たかが風邪と思うなかれ、誰もが死に至る疫病として恐れられたの . . . 本文を読む
1968年、受験に挫折し、浪人生活を始めた年である。夜中の3時に起き、自転車で15分かけて日経新聞の販売所まで行く。自分で折込チラシを入れ、それから250軒ほどのお宅に配達したのである(半年ばかりの短期間だったけど・・)。親に申しわけないという思いから、自らが申し出たのだが、いま思うとよく出来たなと驚く。
この年は、世界中が騒擾としていて、パリはじめ外国の諸都市で大学生たちが社会に反旗をひるがえ . . . 本文を読む
幻想の背景には、家族の物語すなわち愛、信仰、他人との関係性、場所やイデオロギーなどの思想、等々さまざまな様式(慣習とかエートス)をもつが、結局のところその個人(あなた)の情報(intelligence)と思考の強度によって、幻想として境界、汎用性が決められている。残念・無念、差別・排除、あるいは不当、理不尽などはまったくない。
もちろん、「あなた」の「幻想」は生まれた出自の環境や遺伝物質の作用に . . . 本文を読む
前回に続き、映画のネタ。いろいろ書き綴っているのだが、いずれも着地には至らない。今回もどうなるか心許なく、先が見えないまま書きすすめる。
不要不急の外出はまかりならんと、おとなしく自粛している今日この頃。そんなご時勢にもかかわらず、第1波とは違い映画は興行しているようである。席の間隔をあけて座るので、ゆったりと観覧できるらしい。しかしながら冒頭に書いたごとく、用事のない高齢者は家で音無しくするこ . . . 本文を読む