1968年、受験に挫折し、浪人生活を始めた年である。夜中の3時に起き、自転車で15分かけて日経新聞の販売所まで行く。自分で折込チラシを入れ、それから250軒ほどのお宅に配達したのである(半年ばかりの短期間だったけど・・)。親に申しわけないという思いから、自らが申し出たのだが、いま思うとよく出来たなと驚く。
この年は、世界中が騒擾としていて、パリはじめ外国の諸都市で大学生たちが社会に反旗をひるがえ . . . 本文を読む
声はその人の身体のイメージ、心理の全体を伝達する。 R.バルト『第三の意味』
自分の顔についてあれこれ言われたことはない。ただ、声についていえば、いい声だと誉められたことがある、複数の女性から。落ち着いていて、高からず低からず、発声の艶(つや)のようなものが、わたしの特徴を端的に表しているのだと。もちろん、世辞であったろう。
自慢話をしたいわけではない。冒頭にあるバルトの言葉通り . . . 本文を読む
二、三回ほどしか入ったことのない居酒屋で、独り寂しくカウンターの片隅でちびちびと呑んでいた。奥の方でつなぎの作業服を着た年配の女性がひとり、テレビを観ながら店の主人と談笑している。まさにこれが居酒屋の雰囲気だなと、悦に入る境地を味わう。
しばらくして、齢の頃は5,60代の男性二人が入って来て、小生の後ろのテーブルに着いた。焼酎のなんとか割と、ししゃもだけを注文した(当ては水雲酢)。店の主人が炭に . . . 本文を読む
このところ、わがブログの人気上位を占めるのは、[千代が灰野氏と弦んでる]という去年の6月の記事。それと関係なく、自分的には、ベースの亀川千代がイメージの師匠なのだ。であるが、リード・ギタリスト灰野敬二さんの伝説のロックバンド「不失者」が復活し、そこに「ゆら帝」の亀川千代のテンポいい野太いベースが絡んでいて驚いた(それが件の記事の音源で、何年前か特定できない)。
それはともかく、千代が灰野さんと弦 . . . 本文を読む
▲510円という破格の入場料、コーヒー・紅茶が飲み放題。銀ブラにはもってこいっす!
▲ソファの後ろにある大きな写真、ニール・ヤングと愛犬。個別の撮影は不可だが、全体を撮るのはOKという。
半世紀前もの、懐かしき音楽。それはロックミュージック、古くてもつねに新しい。14,5歳の私たちは、誰彼となくそれらの楽曲に戦慄し、戸惑い、魂を揺さぶられた。こんなの音楽ではない、騒音だと怒 . . . 本文を読む
やばい。まずい。
いい歳こいてガールズバンドに嵌っちまった。
秋の爽やか風のせいかな、いつのまにか吹いてきて
耳から後頭部に、すらーっと変拍子の冷気が抜けた
をとめのやさしい唇か、ざけんなの溜息どっちだろ
リードギターはクリムゾンのR.フリップみたいだし
ボーカルはTVのT.ヴァーレインのモーニング娘で
少女ベースの柔い腰ふりがズシンときて歌声軽やか
これは癖に . . . 本文を読む
クラシック音楽は、まだまだ私の内奥に浸ってこない。触れる機会が圧倒的に少ないし、自分としても「勉強しよう」という枷をつくっている気がする。
最近では、トリオ・ニテティスのバロック音楽を偶に聴いている。
若いときは遠い親戚のつながりで武満徹を熱心に聴いた。高校時代に小遣いを注ぎこんだポール・ヴァレリーつながりでドビュッシー、友人のすすめでブラームス、マーラーに一時期だが、のめり込 . . . 本文を読む
30年ほど前のこと。
デザイン会社のS社長は大学の大先輩であり、私をよく曳きたててくれた恩人だ。お互いに気心の知れる間柄となり、言いにくい辛辣な直言をしたし、自分に合わない仕事は断ったこともあった。そんな無礼で生意気な私を信用してくれたのはなぜなのか、と今にして思う・・。
Sさんの愛車は新型のスカイラインで、「年齢相応とは思いませんけどね」と言うと、「それは君の嫉妬かね」と、痛いところをつかれ . . . 本文を読む
何年前だか「ゆらゆら帝国」というバンドに嵌って、若い人たちに混じって時々コンサートやライブに行った。
5,6年前(?)に解散したが、偶に聴いている。『3×3×3』は名盤だ。『ミーのカー』も。
リーダーの坂本慎太郎は、ジミ・ヘンのように、技巧派だが理知ではなく感覚志向。歌はしっかり、シャウトもブレなし。
ベースの亀川、ドラムの柴田は、技巧高感度持続。観客 . . . 本文を読む
好きなバンドtoe(トー)が今年、南米ツアーをしたらしい。サンパウロ、リマ?のコンサートの模様がYouTubeにアップされていた。
なかでも、アルゼンチンのブエノスアイレスのものが画像よかった。2011年以降、かれらは積極的に外国ツアーをしているが、南米は初めてだ。ポストロックといわれるtoeの音楽が、ラテンアメリカで受け入れられているのは、何故か。
コアなファンばかりの、日本 . . . 本文を読む
土曜日、特訓(?)を重ねてきた発表の場、手話交流会があった。開催は午後からだったので、手話や演技の最終チェックをするべきところ、毎日更新されている竹下節子さんのブログをなんとなく開いてみた。先日亡くなったフランスの歌手ジョニー・アリディについて書かれている。フランスでは超大物ロック歌手の教祖で知らないものはいない。その彼が先日、闘病の末に74歳で斃れた。
つい最近、偶然見たBSの海外ニュー . . . 本文を読む
トリオ・ニテティスのコンサートにいく。竹下節子さんのバロック音楽アンサンブルである。私はクラシック音楽はほとんど聴かない人間で、バロック音楽がどんなものか知らなかった。だから印象を語ることしかできない。
▲定員は20名ほどの小さいけど親密な空間。そのインティメートな雰囲気に師井公二さんの作品はエレガントな静謐を生む。
会場は小金井の小さなギャラリー「双」。竹下さんともご縁があるのであ . . . 本文を読む
How does it feel?How does it feelTo be on your ownWith no direction homeA complete unknownLike a rolling stone ?
どんな気持ちかな
どう感じるのだろう
君自身のやりかた
帰るべき途もなく
誰にも知られずに
転がる石の気持ちかい
(拙訳)
おめでとうディ . . . 本文を読む
昨日のこと。朝刊で林屋永吉氏が逝去されたことを知った。享年96歳、老衰のため死去された。元スペイン大使と記されていたが、メキシコの神話「ポポル・ヴゥ」を訳されたラテン文学者。フランス語に訳したのはル・クレジオではなかったか・・。生前に2,3回ほどお会いして話ができたことを偲びつつ、氏のご冥福をお祈りした。
家内の友人が九州から上京。プログレッシブ・ロック通称プログレのバンド、キャメルのコン . . . 本文を読む
2015年は阪神・淡路大震災の二十周年。この歳になると、月日が流れるのも夢幻のごとくはやい。 一月十七日には、NHKが様々な特別番組を放送した。 なかでも高齢者を特集したドキュメントは本当に身につまされた。家を失って自治体が借り上げたアパートに住んだはいいが、20年契約の満期ということで追立てられる独居老人たちは悲惨だ。 街は復興したが、いまだ人間の生活、精神は途上にある。 (東日本大震災で被災し . . . 本文を読む