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赤紙のカラクリ @『松本清張への招集令状』by森史朗

 


 かの松本清張氏の担当編集者であった、文藝春秋社の森氏の作品です。清張氏は35歳の時に赤紙で兵隊にとられ、朝鮮に派遣されます。

 35歳ですでに妻子持ちだった自分が、なぜ招集されたのか、それは軍事教練に欠席していたことへの「懲罰」ではなかったのか。そもそも、赤紙は国民に平等にだされるのではなく、村役場の担当役人が、恣意的にだしているのではないか。そう清張は考えます。

 当然そこには「賄賂」もあり、村の有力者が、村役場の担当者に金品を送り、赤紙を回避することもあった。その分 誰かが身代わりになって赤紙がくることになる。

 
 たとえば 今度、南方で飛行場を建設することになったとする。3000人の兵隊が必要となる。そうすると、不合格者を見込んで、一割増しの3300人に赤紙だだされる。で、行政ルートを通じて、「○○県○○群○○村からは3人」と割り振られる。村役場の担当係が、名簿から3人を選び出すという流れだそうです。そこには当然に「作為」が発生しますよね。選ばれた3人は、事実上の「死刑執行命令」みたいなものです。

 国民平等に赤紙が来るなら納得もできようが、金や復讐心や妬みなどで、恣意的に赤紙が「テキトーに」発令されたことへの、清張流のどろどろとした怒りに貫かれた本です。「そんなことで、おれの人生が狂わされてたまるか!!」ってね。

 でも、そういうテイストって 清張作品のバックボーンになってますよね。赤紙の仕組みというかカラクリを 僕も初めて知った次第です。

 

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