ただ、ただ、森の散歩道を歩いて、風を、物音ばかりを聞いていた
森の木々が、草や花が、空気が、匂いが、ぼくを愛してくれるので
時には冷淡に厳しく、やさしい仕方で、ぼくは、気ままに任せているだけ
いつまでもひとりでいられるのは、きみが傍にいつも居るかのように
きみは、いつも束の間のときだけ、まぼろしのように、天空に消えて
まるで、天女のように、小悪魔のように、はにかみ、さびしげに消える
森の小道の隅々まで漂い、彷徨う、やがて、豊かさそのものになるように
悲しみをいっぱいに吸い込み、奈落に沈みながらも、ありがとうとつぶやき
やさしさに包まれて、ありがとうとつぶやき、散歩道のきみの傍に流れつき
風が木々をそよがすような、夕暮れのなかに、自らのこころを探し求めて
悲しさと涙にあふれる森の散歩道を、ぼくは自らを投げかけ、問いかけ、祈って
ぼくのこころを、きみのやさしさを探し求めるのだろうか