秋冬に渡ってきた候鳥類が春になって北方に帰るころになりひとしおあわれ深いものがある
歩いていて、ふっと空が気になり仰ぎ見ると偶然にも渡りの鳥が数十羽の群れて飛び去るのを
目撃することがあるが、ああ、帰るのかな、今日は風がちょっと強いが大丈夫かなと妙に気になったりする
一瞬の別れに感傷的に気を引かれているものの、ウグイスの鳴き声にわれにかえってうれしくなったりと気まぐれに
ポッケに忍ばせていたICレコーダーを取り出して録音していることに可笑しくなるものだ
いまどきは、ちょっとした変化にも敏感になるものの、寒暖の大きさには面食らってばかりで身体が付いてゆきにくい
峠からふらりと東に向かって身体をふりすたこらと歩き出したはいいものの、しばらく歩いて南にくるりとまわりこんで
その気になってそちらへ下って、はて?こんな道があったのかなとちょっと心細くなっても、もはや引き返すのも大儀であり
先のことは考えずにだらだらと下り続けたであろうか、空にはさあーと流れる雲の動きはあったが、木々の間から望める晴れ間が
ほんの少しだけ迂闊にも高曇りになりつつ、しずかであった
小鳥のさえずりに心地よく歩いているものの、先のわからない小道に迷い込んだような思いでだらだらと
道はあるものだがだんだんと細くなってゆくのもどこかで先どまりのような気になりだしていると
確かにみかん山が迫りきて行き止まりになった
幸いなことに、農家の人が剪定をしていて、聞けば、その向こうに民家が一軒あって、道が麓についているとのことであった
みかんの木の間を通らしてもらって、やっと道を見つけることができ、また、だらだらとふもとに下って歩いたものである
鳥帰る日に風鳴って別れけり
なにごとぞロマン派の絵に春埃
石手寺や鐘を撞くなり涅槃西風
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