秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ( 拝啓 携帯電話様)

2010年02月17日 | Weblog
あれは確か、16年位前、徳島市内の小さな葬儀場で、私の叔父さんの密葬が、営まれた時の事だった。
我が一族に、唯一、キンキラキンの成功を遂げている、叔母さんがいる。正確に言えば、母の妹だ。
母とは、全く対照的な健康で、社交的な、男まさりな、叔母さんだ。
白い割烹着が、一番似合っていた、母とは真逆で、叔母さんは、数年に一度
お墓参りに祖谷に帰省する際、 真っピンクのスーツ姿に、超高級車♪
親戚中の、運という運を、片っ端から、掻っ攫った?のではないか?と
ひがむ私はどこかで、叔母さんの水しぶきを浴びたい!と企んでいたのだけど
市内に通う、ガソリン代が、最初の難関だった。当然、
〈運〉なんて、近寄るはずもなかった。
そんな叔母さんが、通夜の時、手元に置いていたのが、
〈携帯電話〉

「なあなあ、それって、何の機械?」
「あ~、これは携帯電話よ~」
電話器をポンッと叩いて、小さく笑った叔母さん。
「あ~、それが携帯電話なん?初めて見たわ~」
目をパチパチさせた私に、叔母さんが言った。
「充電器が重たいんじょ、すぐに充電切れて、あかん!あかん!」
と言いながらも、唇を尖らせた叔母さんの顔は、明らかに、
「オッホッホッホー」と雄叫びをあげているように、見えた。

あれから、今日まで、携帯電話は一気に進化を遂げ、今では雄叫びを上げなくても
購入できる、価格設定となった。

私達の青春時代〈死語?〉には、連絡する手段は、まさに黒電話か、公衆電話。
留めは、切手に込めた、お手紙♪
何日も、何日も、返事を待ち、
待ち続けての結果、
挫折した遠距離恋愛♪早い話が、フラれました!
ありがとね。あの時、フって頂いたお陰で、主人にたどり着き、かわいい娘達に恵まれ
老犬にも巡り会い、深い眉間のシワを、日夜、観察し、磨きをかけていく
恐ろしい程、つおい、お一人様になれました。

すみません!また、話が逸れすぎました。
道に迷う、鹿さん状態か?

携帯電話の普及と共に、メールなる便利なお手紙が付き、一瞬で
相手に言葉を、送る事が、出来るようになった。
昔なら、相手の顔色を、慎重に伺いながら、日にちとタイミングを見計らいながら、ようやく言った?
「ゴメンなさい。他にいい人を探して下さい!」私のセリフではありませんっ!あしからず。
が、今では違う。
絵文字を適当に付け、適当な理由を打ち、
留めに、自分のアドレスを変えれば、
はいっ、〈お別れ終了〉となる。
でも、悪い時ばかりではない。
すれ違いそうな、夫婦関係、親子関係、恋人関係の修復作業にも、メールなるものが、活躍する。
携帯電話の普及と共に、繋ぎ止めれた関係が、どれだけあるだろうか!
携帯電話の、普及の前に、失ってしまった、大切な関係が、いくらあるだろうか?

なんだかんだと、言ってみても、私はやっぱり、電話派です。
「元気ですか?」
「大丈夫?」
「風邪ひかないでね!」
「このあいだは、ありがとう!」

心にほんわりと、
今の気持ちをのり付けして、
声を張り付けにして、まっすぐに、届けられる。
電話が、一番の安定剤♪
そろそろ、今夜も届けられる?
確実に届く、愛の電話の声がある……




「もし・もし・母ちゃん… ご飯、食べた?
おかず、ちゃんと作った?」
娘の声が、鼓膜にイタい、母の携帯は、
今日の京上集落を、写しました♪
本日も、携帯電話さん、ありがとう♪
心のリレーを、ありがとう♪





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