舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

たまには本の話でも

2006-02-02 03:37:02 | ぼくはこんな本を読んできた
「大学も終わったことだし、今度は何を読もうかな」と期待を膨らませつつ、私が普段読んでいる本をちょこっとずつご紹介してみます。

今日お話しするのは小野 不由美『十二国記』です。

もう好きでたまらず繰り返し読んでいる作品です。
いわば中国風の異世界ファンタジー。ですから、名詞や政治制度などは歴史の中国史が苦手だった私にとって不馴れだったはずなのですが、あまりの面白さに抵抗は全くなかったですね。

その世界には十二の国があり、各国を麒麟(首が長くない方ですよ)によって選ばれた王が統治します。
王には不老の命が与えられ、名君は何百年も生き続けて国を栄えさせますが、道を誤った王は倒れ、王を失った国は荒廃の一途をたどるのです。
ほかにもこの世界と私達の世界との関係や、麒麟の性質、王に選ばれるための儀式など、かなり細かい設定がされており、しかもそれらが物語の中でしっかり活かされています。

物語は日本の女子高生・陽子がある日突然この世界に連れてこられる所から始まります。冒頭の可也重い展開にくじけず読んで行くと、とんでもなく特殊なこの世界の有り様が少しずつ明らかになって行くと同時に、主人公陽子が成長、というよりもむしろ本当の自分の姿を見つけて行く過程が面白いです。
そして作者の小野さん、この過程を書くにあたってマジで逃げません。陽子の出会う人々や巻き込まれる事件は人間の汚さや酷さを露呈させます。殺生シーンもばんばん出てきます。陽子自身も、そんな世界で生き延びるためには綺麗事は通用しません。ときには盗みを働き、敵を殺めてでも自分の命を護らねばならない状況に置かれるわけです。

しかし、そんな過程を経たからこそ陽子は最終的にすごく魅力的な人物になり、信頼できる人々とも出会います。
で、登場当初とはほぼ別人格になります。なんたって喋り方からして変わります。最初はいまどきのお嬢さんには珍しい程めめしい女言葉で喋っていたのですが、どうもそれは彼女の本質ではなかったらしく、フト気付くとかなり男の子っぽいいさましい口調に変わっているんです。
こっちの方が彼女の性格に合ってて素敵なんですけどね。

とはいえ、シリーズを通じて陽子が主人公かと思いきやそうではありません。様々な国が舞台となり、そのたびに主人公も代わりながら、徐々にこの世界の全貌が眺め渡せるようになっていきます。
(そして読み進むほどに伏線の多さにクラクラします。いや~、これに比べるとハリポタの伏線を伏線と呼んで良いものか悩むほど。小野さん、いったいどこまで考えてあったんだ!?)

登場人物もみな非常に魅力的。
とくに王様ですね。どの国の王も、さすが選ばれた人ってだけのことはあると思わせる優れた人物ばかりなのですが、その優れ方が王様によってえらくちがうのです。
それでも私が一番愛しているのは延王尚隆様ですが。(たぶん一読されれば、なぜに愛しているのかおわかりいただけるはず。見た目が若いのが難点ですが、もう500年も王様やってるので年齢の点では問題なし)


ただ、この作品の問題は、2001年に刊行された短編集『華胥の幽夢』を最後に、続刊が出されていないこと...
嗚呼、まだ解明されてない謎や知らない国がいくつもあるのに!!折角N●Kがアニメ化したのにい~~!!

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