舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

トイストーリー4ネタバレ感想: ハッピーエンドの先にあったものとは?

2019-07-17 00:30:00 | Disney (パーク、映画&テレビ)
先日突発的に舞浜へ行った際、イクスピアリでトイストーリー4 を観て参りました。
本日はそちらの感想です。
 
【注意】
当記事はトイストーリー4 の情け容赦ないネタバレを含みます。
また、そのあまりにも賛否両論ある内容ゆえに、筆者の言い分が当記事をお読みくださっている方のそれと真っ向から対立する場合もございます。
それらをご了承いただける方のみお読みくださいますようお願い致します。
 
 
というわけで行ってみましょう。
 
 
入口にはこんな楽しいフォトロケーションまであったよ。
ここで呑気に撮影している時はまさか映画の結末があんな事になるなんて…
というのは嘘です。私に限っては。自分、ネタバレ無問題人間ですからして、全米公開時にガッツリネタバレレビューを読んでおります。
しかしそれでも実際にこの目で観たのはだいぶ衝撃が違いました。
 
 
前作トイストーリー3で、ウッディの持ち主であるアンディが大学生になり、いつものようにおもちゃ達が大冒険を繰り広げた末に、みんな一緒にボニーという女の子に引き取られる事になりました。
これまでの3作は全て「おもちゃ達が様々な困難や自分自身の悩みに直面するが、チームワークでそれらを無事乗り越えて持ち主の子供のもとへ戻る」という流れが守られています。言ってみれば様式美。
3の後に作られたいくつかの短編も、ボニーのおもちゃとなった彼らがささやかな冒険をするものばかりで、我々ファンとしては3の結末であった「いつまでも幸せに暮らしました」が本当にいつまでも続いている様子を安心して観ていることが出来ました。
 
ところが。
ところがです。
トイストーリー4 は、これまで積み上げてきたものを、そらもう思いっきりぶっ壊しに来ました。
 
とりあえずザックリ内容をお話ししましょう。
ボニーに引き取られたウッディ達。かつてアンディの一番のお気に入りだったウッディは、その頃の名残でおもちゃ達を仕切ろうとしていますが、どうにも空回り気味。
それもそのはず、持ち主であるボニーがウッディを全く大事にしておらず、ジェシーを始めとした他のおもちゃでは遊んでも、ウッディの事はクローゼットに入れっぱなしだったりするのです。
 
っつーかボニー酷すぎだろ。
かつてサニーサイド保育園で乱暴に扱われていたおもちゃを持ち帰って直して大事にするほどおもちゃを可愛がっていたボニー。とりわけウッディに対しては「あたしのカウボーイ」と呼び、アンディが渡すのを躊躇うそぶりを見せるとそれを不満に思っているのを隠そうとしないくらい気に入っていたはず(実際アンディは本来ウッディだけ引越先に連れて行くつもりだったのですが、そんなボニーの様子を見て彼女に譲る決心をした)。
 
そこまでして自分の物になってくれたウッディに対し、ボニーは劇中ついぞ一度も彼の名を呼ぶことさえありませんでした。ウッディの保安官バッジをもぎ取ってジェシーにつけて遊ぶ始末。
 
子供がそんなですから、ボニーの親もちっともウッディを大切にしていません。
父親などウッディの頭を2回も踏んづけるありさまです。ありゃー私もアッタマ来たね。あんな男、バターカップじゃなくても牢屋にブチ込みたくなります。
 
それなのに、アンディと過ごしたかけがえのない時間を忘れられないウッディは、アンディ同様ボニーのことも大切に守ろうとしています。
ボニーが幼稚園に行くのを泣くほど不安がっているのを見て、自らの危険も顧みずリュックに隠れてついて行きました。
 
 
幼稚園でボニーはやはり誰とも馴染めず、何も上手くいかなくてべそをかきますが、ウッディが人目を忍びつつ絶妙にアシストしたお陰で工作に取り組めました。
そこで作ったのが、先割れスプーンに顔や手足をくっつけた人形。ボニーは彼をフォーキーと名付け、いたく気に入った事で、その後の幼稚園での時間を楽しく過ごして帰路につきました。
 
帰り道でフォーキーは生きたおもちゃになります
おもちゃは(人間達に隠れて動いてるから気づかれてないだけで)本当はみな生きている。それはたとえゴミから作られたおもちゃでも例外ではないという事ですね。
 
しかしこのフォーキー、ゴミとしてのアイデンティティを引きずりまくりで、おもちゃとしての自覚が全く芽生えず、すきあらばゴミ箱にダイブしようとします。
そんなフォーキーでも、ボニーのお気に入りである事に変わりはありません。ウッディは一晩中不寝番をして、ゴミ箱に飛び込もうとするのを阻止したり、飛び込まれてしまった時は急いで出したりし続けました。
 
ボニーが両親と旅行に出かけたトレイラーの中でもその攻防は続き、ウッディは憔悴しきっています。
見かねたバズが交代を申し出ても、これは自分の仕事だからと頑として譲らないウッディ。
 
 
もうこの時点でウッディを見ているのが辛かった…。
アンディのおもちゃとして築いた「キャリア」がウッディを大変責任感の強いおもちゃにしました。それは既出3作で我々視聴者もよくよく見てきました。
しかしその責任感は「アンディのおもちゃのNo. 1」という確固たる地位でこそ存分に発揮できたもの。今やNo. 1どころか他のおもちゃよりも冷遇されているような状態では、責任感の持って行きどころがなく、それでも責任感を捨てられないウッディは、ボニーのお気に入りを守り抜くことでそれを全うしようとしているのでしょう。
 
物語中盤でなぜ持ち主の子供にこだわるのかと問われたウッディが「忠誠心」と答えた事はその象徴でした。
アンディのおもちゃだった時代なら、そんな騎士道精神に満ちた考え方をするまでもなく、ただシンプルにアンディが大好きだからとか、アンディは最高の友達だからなどと答えたでしょうに…。
 
 
やがてフォーキーはトレイラーから飛び降りて行方不明に。
ウッディは迷わず自分も飛び降りて彼を探しに行きます(ウッディは元々おもちゃ仲間のピンチに対して果敢に助けに行く性格ですが、この時は今迄に比べて自分自身の安全をものすごく蔑ろにしている様子が伺えてこれも辛かった)。
フォーキーは地面に突き刺さった状態で見つかり、ウッディはボニーの乗ったトレイラーを追いかける道すがら、フォーキーにいろんな話をしました。
フォーキーはちょっとゴミとしてのアイデンティティが強すぎますが意外と?話の飲み込みがよく、自分がボニーにとってかけがえのないゴミ(だからゴミを引きずりすぎ)なのだと自覚するに至りました。
自覚したらもう居てもたってもいられずボニーのところへ駆けつけようとするフォーキー。うむ、素直でカワイイ。
 
ボニーの居場所まであと少しの所まで来た時、ウッディは通りかかったアンティークショップで、かつての仲間ボーピープのランプを見つけます。
でもランプの上にいたはずの彼女はいない。ウッディは彼女の姿を探して店内に入りました。
 
 
アンティークショップには第2のロッツォみたいなキャラの女の子の人形ギャビーギャビーが君臨しています。
目をつけている女の子(店主の孫娘)にゲットしてもらうため、ウッディのボイスボックスを壊れた自分の物と取り替える機会を狙っています。
彼女にもロッツォ同様手下がいますが、彼らがまたブラックワイドショーに出てくる腹話術人形そのものでブキミ。ブラックワイドショーをこよなく愛する私でさえけっこうビビりましたから、一般の方に与えたショックはいかばかりか…
 
けっきょくウッディがボーと再会したのはその店ではなく、すぐ外にある公園でした。
しかもボーの変貌ぶりがすごい。
優しい印象だったボーは何処へやら、スカートを剥ぎ取った下着姿で(アレはズボンじゃないですよ下着ですよ)、野良猫のごとく逞しく生きる自由なおもちゃになっていました。
 
っていうかあのスカート陶器で出来てたんじゃなかったのかというツッコミはとりあえず置いときましょう。
ついでに、王の妻ではなく自らが王座に就かんとするジャスミンに引き続きポリコレ配慮キタコレというツッコミもやめときましょう。性別関係なく、誰にも頼らず生きていこうと思ったら逞しくならざるをえません。
まあちょっと過去作のボーのキャラを考えると無理がある気もしますが。3のバービーだったらまだ納得できた。ケンを捨てて1人逞しく生きるバービー……うむ、途轍もなく観たい(笑)。
 
ともあれ、ウッディはすっかり逞しくなったボーに助力を頼み、フォーキー救出を試みます。
しかしここでもウッディは悲哀漂う役回り。焦る気持から下手を打つたびにボーに余計な事をするなと叱責されるウッディ。1と2では冒険に出かけるウッディ達と一緒に外へ出さえしなかったのに、歳月とは、あるいは経験とは人をこうも変えるのか?
でもウッディだって大変な修羅場を何度もくぐり抜けて来たんだから、そんなに叱責されまくるほど役立たずではないはずなのに…
 
救出劇の顛末は実際の映像に勝るものはありませんから割愛するとして、結論だけ申しますと、苦難の末に最後はめでたくフォーキーを救い出せました。
ただ失った物も大きかった。それはウッディのボイスボックス。例のギャビーギャビーにフォーキーと引き換えに譲り渡したのです。
確かにギャビーギャビーも可哀想な人形です、正直私も同情します、ですがいくら可哀想でも、他人の物しかもたった一つの大切な物を奪うのはどうなのでしょう?
あくまでも無理強いでなくウッディ本人も納得した上の事だと擁護する向きもありましょうが、ウッディは前述のとおり現在自分自身を非常に蔑ろにしている心理状態であるところにもってきて、フォーキーを早く助けようと焦る気持が強すぎた。とてもフェアな交渉の結果とは言えません。
ギャビーギャビーは最終的に(目をつけていた子供とは別の少女とはいえ)めでたく子供のものになる事が出来ましたが、個人的意見としてはウッディにボイスボックスを返した上で退場して貰いたかったです。
 
大冒険の末、ボニー一家のトレイラーでおもちゃ仲間達と合流できたウッディ。
このまま一緒に帰ると思いきや、
ウッディはボーピープと共に旅に出る事を決意します。
あれだけ子供のものである事に存在意義を見出していたウッディが。
あれほど無限の彼方まで一緒に行こうと言っていた無二の相棒バズを置いて。
 
1作目でウッディは反目し合っていたバズとかけがえのない相棒になり、その友情が今までの物語の根幹にずっとありました。
また、自分は子供のために存在しているという信念ゆえに、2では安寧の道を捨てて大変な危険を冒してでもアンディのもとに帰りましたし、3ではそんなにも大切だったアンディと別れてボニーのものになる選択をしました。
 
これこそ私が最初に「思い切ってぶっ壊した」と評したところです。
例えるなら、王子様と結婚してハッピーエンドを迎えたプリンセスが、王子と離婚して1人で生きるとか、他の相手を見つけるとか、そういうレベルの根底からのぶっ壊し方です。
 
いや、それはいくら何でも無謀だろう、と最初は思いました。
何しろトイストーリーはピクサーきっての大人気シリーズです。3以降のようにいろんな短編を作ったり、キャラクターグッズやパークでの展開を考えると、ビジネス的にも彼らの物語を「いつまでも幸せに暮らしました」で留めておいた方がプラスだったんじゃないの、と。
 
しかしながら、今になって思うと3を見終わった時に、この結末は単に「問題を先延ばしにした」だけに過ぎないのでは…と、うっすら感じたのも確かです。
完璧と絶賛される(そして実際私もそう思っていた)3の終わり方に水をさすのが嫌だから、そのうっすらした考えをそっとクローゼットの奥に押しやったのですが。
 
今回4を作った方々は、それをクローゼットの奥から引きずり出しただけでなく、ハンマーでぶっ叩いて破壊しました。
これが良い事か悪い事か現時点で私には判断できません。前述のとおりトイストーリーという人気コンテンツが彼らにもたらす利益を考えると、happily ever after のままにしておいた方がどう考えても都合が良いと思うのに、よくやったなという驚きが強いです。
 
あと、今までの(特に3の)丁寧な作り込みを観てきたファンからすると、壊すにしても壊し方があまりにも乱暴かなとは思います。
ボニーがあんなに今作で突然ウッディに対して残酷な子供に豹変したりせず、ウッディももっと自分自身を大切に出来る心理状態にあって、それでも敢えて旅立つ選択をする物語を描けていたら、ファンはもっと幸せな気持でウッディの未来を応援できたように思います。
 
 
確かなのは、さらなる続編を作る場合、4の結末から一体どう繋ぐのか無限の可能性が生まれましたので(多分に乱暴な生み方だったとはいえ)、そういう意味では必要な一歩だったといえましょう。
3の終わりのままでは、変わらぬ日常の中のエピソードしか作れませんからね。それこそ短編がせいぜいです。
 
ですから、これは「まだまだ続編を作るぜ!」という作り手からの宣言であると考えれば、この4は決してファンにとって辛いばかりの作品ではないはず。
ウッディが4でこれほどまでに辛い思いをしたのは・ボニーがあんなにウッディに冷たかったのはこの展開のためだったのか…!と納得出来るような物語が次回作で描かれれば、今回嘆き悲しんだファンの心も癒えるでしょう。


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