皆で衣装の残骸を片付け、ペイント用品を仕舞い込み、楽器をケースに入れた。コンパクトに一つにまとめ、楽屋の隅に置いた。
「曲の間に外に出よう。」
マーが言った。
「うーおー。」
外から雄叫びとも呻きともわからない声が聞こえた。ハルがビビッた。
「だいじょうぶだよ。」
「こんばんは。ルシファーズ・・・・・・・。」
早紀と美幸のユニゾンのじゃべり声がした。マーが先頭に立ってドアを開けた。ステージの脇でスタンバっている恵美子さんが気付いた。
「ねえ、端を通って、卓の横にいって。出演者用の席があるから。」
誰もそんな席があるなんて知らなかった。会場にはある程度、半分くらいは客がいた。そのうちの十人くらいが、全員男だったが、立ち見の最前列にん並び、揺れていた。そこさえ避ければ、平井さんが座っている卓のほうにいけた。一列になって、進んだ。
ハウスの一番後ろの真ん中に階段があり、テーブル席より一段高いスペースがあった。見切りの壁は人が立てるくらい高く、そこで平井さんと吉川さんがミキシングとライティングをしていた。階段の下に着くとその日はじめてみる平井さんの笑顔があった。平井さんはブースから降りてきて、階段の反対側にある出演者用の鑑賞スペースに案内してくれた。
「はは、面白かった。気合もあるし、俺は好きだよ。」
「ありがとうございます。」
マーが言った。
「なんか飲む。一杯はサービスで出るから。」
「ハイ。」
「うーん、未成年者はいないみたいだから、ビールでいいか。」
「ハイ、お願いします。」
皆で返事をしていた。
「はは、面白いな。君たち。座ってて。」
そういうとサービスのカウンターに走ってくれた。直ぐに戻ってきた。
「まあ、くつろいで。」
そういうとブースに戻った。
「ありがとうございます。」
と、また、皆でいっていた。
「ふふ、ヘンなの。」
ハルが言った。
「ほんと、ヘンな集団みたいね。」
マサミが言った。
「なんでそろっちゃうんだろうね。」
「そんな風に思われているかもね。」
「いいさ。」
サービスの人がビールを持ってきてくれた。
「お疲れ様でした。」
「ありがとうございます。」
また、声がそろった。一瞬、サービスの人がビクンとした。ビールを置くと軽く頭を下げ、走って戻っていった。
「乾杯、するか。」
「賛成。」
また、皆でシンクロしていた。笑いが出た。
「じゃあ、初ライブ乾杯。」
「カンパイ。」
ビールが旨かった。鑑賞ブースはけっこう広かった。安っぽかったがソファーが置かれていた。客席よりも目線が高くなり、ステージがよく見えた。飲み干すまでルシファーの演奏が続いているのを忘れていた。
「さてさて、どんなものでしょう。」
マサルはそういうとステージに一番近いほうに移動した。皆の視線もステージに注がれた。
革ジャンの四人は同じように肩でリズムを取っていた。動きはあまりなく、ギターがソロの時に前に出てくるくらいだった。
早紀と美幸の衣装はきわどかった。ライトが当るとその角度で乳首まで透けて見えそうだった。シースルー系の生地を前で重ねて、腰にスカーフのような光る生地を巻いていた。重ね方が二人でシンメになっていた。同じような化粧をしてるせいか、双子のように見えた。二人は振り付けをつけているように同じように動いた。曲が終わると最前列の男が叫んだ。
「サキチャーン。ミユキチャーン。」
マサルが振り向いていった。
「すごいな。アイドル歌手みたいだ。」
「ああ。」
その日の二人の対抗心が、ブラもパンティーもはずさせたのが原因なのか。まあ、ビーエスエイトの皆はいつものことなのか、と思ったのだが。
最前列の男がステージに上がろうとした。恵美子さんが脇から飛び出してきて静止しようとした。男の体はボディビルダーのようだった。平井さんが突然、ブースから飛び出してきた。
「悪いけど手を貸してくれ。君たちの演出で一人ヤバイのが出そうだ。恵美子だけじゃ止められそうにない。」
平井さんの顔つきで、これがいつものことではないことがわかった。
「どうしたら、いいんですか。」
「とりあえず、ステージの前で腕を組むかなんかして、あいつを上げないようにしてくれ。ヤバクなったら、俺も行くから。」
「解りました。」
当然、マーとマサルとヒカルとヒデオが客席の脇を走った。
「曲の間に外に出よう。」
マーが言った。
「うーおー。」
外から雄叫びとも呻きともわからない声が聞こえた。ハルがビビッた。
「だいじょうぶだよ。」
「こんばんは。ルシファーズ・・・・・・・。」
早紀と美幸のユニゾンのじゃべり声がした。マーが先頭に立ってドアを開けた。ステージの脇でスタンバっている恵美子さんが気付いた。
「ねえ、端を通って、卓の横にいって。出演者用の席があるから。」
誰もそんな席があるなんて知らなかった。会場にはある程度、半分くらいは客がいた。そのうちの十人くらいが、全員男だったが、立ち見の最前列にん並び、揺れていた。そこさえ避ければ、平井さんが座っている卓のほうにいけた。一列になって、進んだ。
ハウスの一番後ろの真ん中に階段があり、テーブル席より一段高いスペースがあった。見切りの壁は人が立てるくらい高く、そこで平井さんと吉川さんがミキシングとライティングをしていた。階段の下に着くとその日はじめてみる平井さんの笑顔があった。平井さんはブースから降りてきて、階段の反対側にある出演者用の鑑賞スペースに案内してくれた。
「はは、面白かった。気合もあるし、俺は好きだよ。」
「ありがとうございます。」
マーが言った。
「なんか飲む。一杯はサービスで出るから。」
「ハイ。」
「うーん、未成年者はいないみたいだから、ビールでいいか。」
「ハイ、お願いします。」
皆で返事をしていた。
「はは、面白いな。君たち。座ってて。」
そういうとサービスのカウンターに走ってくれた。直ぐに戻ってきた。
「まあ、くつろいで。」
そういうとブースに戻った。
「ありがとうございます。」
と、また、皆でいっていた。
「ふふ、ヘンなの。」
ハルが言った。
「ほんと、ヘンな集団みたいね。」
マサミが言った。
「なんでそろっちゃうんだろうね。」
「そんな風に思われているかもね。」
「いいさ。」
サービスの人がビールを持ってきてくれた。
「お疲れ様でした。」
「ありがとうございます。」
また、声がそろった。一瞬、サービスの人がビクンとした。ビールを置くと軽く頭を下げ、走って戻っていった。
「乾杯、するか。」
「賛成。」
また、皆でシンクロしていた。笑いが出た。
「じゃあ、初ライブ乾杯。」
「カンパイ。」
ビールが旨かった。鑑賞ブースはけっこう広かった。安っぽかったがソファーが置かれていた。客席よりも目線が高くなり、ステージがよく見えた。飲み干すまでルシファーの演奏が続いているのを忘れていた。
「さてさて、どんなものでしょう。」
マサルはそういうとステージに一番近いほうに移動した。皆の視線もステージに注がれた。
革ジャンの四人は同じように肩でリズムを取っていた。動きはあまりなく、ギターがソロの時に前に出てくるくらいだった。
早紀と美幸の衣装はきわどかった。ライトが当るとその角度で乳首まで透けて見えそうだった。シースルー系の生地を前で重ねて、腰にスカーフのような光る生地を巻いていた。重ね方が二人でシンメになっていた。同じような化粧をしてるせいか、双子のように見えた。二人は振り付けをつけているように同じように動いた。曲が終わると最前列の男が叫んだ。
「サキチャーン。ミユキチャーン。」
マサルが振り向いていった。
「すごいな。アイドル歌手みたいだ。」
「ああ。」
その日の二人の対抗心が、ブラもパンティーもはずさせたのが原因なのか。まあ、ビーエスエイトの皆はいつものことなのか、と思ったのだが。
最前列の男がステージに上がろうとした。恵美子さんが脇から飛び出してきて静止しようとした。男の体はボディビルダーのようだった。平井さんが突然、ブースから飛び出してきた。
「悪いけど手を貸してくれ。君たちの演出で一人ヤバイのが出そうだ。恵美子だけじゃ止められそうにない。」
平井さんの顔つきで、これがいつものことではないことがわかった。
「どうしたら、いいんですか。」
「とりあえず、ステージの前で腕を組むかなんかして、あいつを上げないようにしてくれ。ヤバクなったら、俺も行くから。」
「解りました。」
当然、マーとマサルとヒカルとヒデオが客席の脇を走った。