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トキの自然繁殖今年は断念 中国は成功!原因は天敵や低温?

2010年05月30日 | 環境保護
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 放鳥トキ、今年の自然繁殖断念
 今年のトキの自然繁殖は残念ながら失敗に終わったようだ。日本のトキの放鳥は、2008年に10羽、2009年に20羽、佐渡で放鳥された。その中の何組かがつがいとなり、巣を作り産卵や抱卵が観察されたが、ヒナがかえることはなかった。

 一方、5月24日の新華社電によると、中国陝西省政府は、同省寧陝県で野生復帰を目指して放鳥されたトキの卵が22日、ふ化して2羽のひなが生まれたことを明らかにした。

 中国で2007年以降3回にわたって放鳥された計40羽から、野外での繁殖が確認されたのは初めて。同省自然保護区・野生動物管理所の責任者は「2代目のひなが野外で誕生したことは、トキが絶滅の危機を脱したことを示唆している」と話している。

 誕生した2羽の父親は同県内で生まれた野生のトキ、母親は人工繁殖後に放鳥されたトキ。このペアのほか、6組のペアも産んだ卵を温めているという。(5月24日 時事通信)

 トキ野生復帰への道 
 さて、今年のトキ野生復帰への取り組みをたどってみよう。

 2010年3月11日、日本では2010年秋の第3回放鳥に向けて訓練のため、トキを入れていた順化ケージ内でトキ9羽が死んでいたことが発見された。日本の野生繁殖に暗雲が立ちこめた。

 環境省はケージ内の足跡から、トキを襲ったのはイタチ科のテンと判明したと発表した。テンがどこから侵入したのかは不明で、同省は同日朝から現地調査を始めた。専門家を集めて今後の対策も検討するが、原因が判明しない限りトキの訓練は当面見合わせる考え。今秋の放鳥が見送られる可能性も出てきた。

 原因究明に相当な時間がかかるとみられ、トキの放鳥前の訓練に十分な期間が取れない上、死んだ9羽に代わるトキを、限られた個体から再選定する必要があるためだ。

 仮に中止になれば、国の保護増殖計画も見直しを迫られる。環境省は人工繁殖したトキを2008年から2回、計30羽放鳥。26羽の生存が確認され、今秋の21羽の放鳥が加わることで、来春に初のペア誕生を目指していたが、その可能性は低くなる。(2010年3月11日 読売新聞)

 放鳥トキ初の産卵、自然界で31年ぶり
 一方、うれしい報告もあった。環境省は3月29日、新潟県佐渡市で放鳥され、巣を作ったトキのペア1組が産卵したことを発表した。

 3歳の雄と1歳の雌のうち必ずどちらか1羽が巣に残って座り込む様子が観察されており、卵を温める「抱卵」とみられるという。産卵は、自然界のトキとしては31年ぶりのことであった。

 これまで巣作りが確認された放鳥トキは計3組。佐渡トキ保護センターの飼育記録などによると、トキの雌は1日おきに4個ほどの卵を産むという。(2010年3月29日  読売新聞) 

 トキの赤ちゃん誕生、いしかわ動物園
 さらに、佐渡トキ保護センター(新潟県佐渡市)から移送され、石川県能美市の「いしかわ動物園」で分散飼育されているトキのつがいが産んだ卵から、3月25日にひながかえった。飼育員から馬肉やコマツナを混ぜた人工飼料を注射器で少しずつ与えられ、元気に鳴き声を上げた。

 同動物園によると、26日、27日にもひながかえり、合計3羽になった。ひながかえったのは8歳雄と6歳雌のペア、他に5歳雄と3歳雌のペアもおり、こちらの方も3個が有精卵でひながかえりそうだという。

 同動物園は3月29日から、午前11時半と午後2時半の2回、園内の動物学習センターに設置された大型モニターで給餌風景のライブ映像の公開を始めた。(2010.4.28 産経ニュース)

 難しい野生のふ化 専門家「一歩前進」
 一方、野生のつがいの方は今年6組ペアができて営巣した。産卵したのは4組みであったが、いずれも、ペアが留守の間に、カラスに襲われたり、無精卵だったりしてかえることはなかった。今年は天候が不順で低温のため、成長が止まった可能性もある。野生の繁殖がいかに難しいかがわかるが、専門家は「想定された事態」と受け止める。

 トキは通常、一つの巣に3~4個の卵を産み雄と雌が交代で卵を温め、約28日でひながかえる。佐渡トキ保護センターの集計では、2007~2009年に飼育下で産卵した288個のうち有精卵は146個で、さらにふ化するのは半数余りにとどまる。

 中国のトキ保護に詳しい環境文化創造研究所(東京)の蘇雲山・主席研究員によると、中国で1981年から20年間に野生下で巣立ちしたのは1巣当たり1.87羽だった。人工飼育後に放鳥した場合では1.57羽と野生より低かった。

 野生復帰を目指して放鳥されたコウノトリも初年度は産卵のみで、ひながかえったのは2年目だった。山階鳥類研究所の尾崎清明副所長は「卵に異常を感じて捨てたのだろう。ひながかえる直前まで抱卵できたのは一歩前進だ」と話す。(毎日新聞 2010年4月29日)

 

参考HP トキファンクラブ・環境省「トキ保護の取り組み

蘇るコウノトリ―野生復帰から地域再生へ
菊地 直樹
東京大学出版会

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トキ永遠なる飛翔―野生絶滅から生態・人工増殖までのすべて (ニュートンムック)
近辻 宏帰
ニュートンプレス

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造船から解体再利用まで「シップリサイクル条約」とは何か?

2010年05月20日 | 環境保護
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 鉄のまち室蘭の取り組み
 北海道の室蘭市は、天然の良港を活かし、鉄鋼業(新日本製鐵や日本製鋼所)の企業城下町として、よく「鉄のまち室蘭」と称されてきた。造船、石炭の積み出し、石油精製などで発展した、北海道を代表する重化学工業都市である。

 最近は造船業でにぎわいを見せたが、受注は減少し景気は低迷している。室蘭工業大学の清水一道准教授は街おこしの一環として、余剰船舶の解体及び再利用を含めた、システムの研究を行っている。

 室蘭港を中心に、製鉄、製鋼、造船のまちとして発展してきた北海道室蘭市において、環境保全型の船の解体を行い有効資源として再利用することが、具体的に可能なのか、それはまた産業として成立するのか、という研究会を、産学官が連携し発足致した。

 世界に冠たる造船国である我が国が、“人間にも環境にも優しい"シップリサイクルシステムを確立できるよう、全国各地域と連携しながら取り組む。日本は世界でも有数の造船・海遠国。私たちには環境汚染を食い止め、資源を有効活用するために、シップリサイクル問題を解決する責務があると考える。

 世界の船舶の35%を日本で製造しており、実際に日本が所持している、あるいは運航している船舶は、世界の15%を占めている。日本は、船舶を“製造する国”“使用する国”として、途上国におけるシップリサイクル問題への国際的な貢献が求められている。(室蘭工業大学 清水一道LABO)


 シップリサイクル条約の採択
 老朽船舶の解体は、過去には我が国でも実施されていたが、1970 年代から新興工業国として台湾や韓国が担うようになり、1980 年代には中国がこれに参入、1990 年代からはインド、パキスタン、バングラデシュといった国々が主役を務めるようになった。

 しかし、後発のこれらアジアの国々では、労働者の安全や環境対策などが疎かで、多数の死傷事故が発生することとなり、人権団体や環境団体が海運国や造船国の責任を指摘するようになった。

 こういった船舶解体(シップリサイクル)に関する問題は国際海事機関(IMO)を始め、国際労働機関(ILO)やバーゼル条約締約国会議などの国際機関で取り上げられ、それぞれ任意のガイドラインを作成するなど取り組みが進められたが、2005 年末の第24 回IMO 総会において新規条約の策定作業の開始が決議された。

 日本は世界有数の海運・造船国としての自負からこの起草作業に当初より深く関与しており、2008 年10 月の第58 回海洋環境保護委員会(MEPC58)において条約案は承認され、2009 年 5月15日に香港において「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(仮称)」(通称:シップリサイクル条約)として採択された。

 シップリサイクル条約の概要
 本条約は、序文(Preamble)の下に条文本文(Articles)として第1条から第21条までが規定されている。また、条約本文には附属書(Annex)として、船舶、船舶リサイクル施設、通報についての要件を示した規則(Regulation)と、付録(Appendix)として有害物質リストと各書式が規定されている。さらに、これに条約の統一的な運用を支援するために任意の指針類(Guidelines)が用意されている。

 船舶に関する要件において、最も重要なことは船舶の一生を通じ、条約で定める有害物質の搭載・使用を禁止・制限し、船舶に含有される有害物質の量や所在を記述したインベントリ(Inventory of Hazardous Materials)を作成・保持・更新し、最終的に船舶リサイクル施設に引き渡すことである。

 船舶リサイクル施設も、施設の運営計画を策定し、関係指針に沿った安全や環境要件を遵守できることが担保されて初めて締約国であるリサイクル国の政府から承認を受けられることになる。船舶リサイクル施設は各船舶のインベントリに基づき、有害物質をどのように処理処分するかを明記した「船舶リサイクル計画」を作成する必要がある。施設が特定の有害物質を処理処分できない場合には有害物質を事前に本船から除去する必要がある。

 これらの準備作業の後、船舶リサイクル施設までの最終航海計画を立て、主管庁等から最終検査を受け、「リサイクル準備国際証書」を受領することで、本船は船舶リサイクル施設へ向かうことができる。船舶リサイクル施設は本条約に従って「リサイクル準備国際証書」を保持する船舶しか受け入れてはいけない。

 本条約は、①15ヶ国以上が締結し、②それらの国の商船船腹量の合計が世界の商船船腹量の40%以上となり、かつ、③それらの国の直近10年における最大の年間解体船腹量の合計がそれらの国の商船船腹量の3%以上となる国が締結した日の24箇月後に効力を生じることとなっている。

 船舶解体の歴史
 船舶解体は、ヨーロッパの帆船時代には造船などと同じく河岸などにある製材所で行われ、20世紀の終わりまでは先進国、とりわけ日本の造船所などで行われていた。第二次世界大戦後、日本では大規模な造船ラッシュになったこともあり、各国で不要になった戦時中の軍艦などが数多く持ち込まれ、解体された。特に、アメリカからアルゼンチンやチリなどへ輸出された旧式戦艦の多くは、日本で解体された。皮肉なことに、大艦巨砲主義時代の戦艦のうちかなりの数が戦後の日本で解体され、最後を迎えていった。

 20世紀の終わり以降は、事情が変わっている。多くの船舶は、インドのグジャラート州・アラン(Alang)や、バングラデシュのチッタゴンなどの発展途上国の遠浅で干満差の大きな砂浜において、無数の未熟練労働者によって、トーチやハンマーなどの簡単な道具を使い人海戦術で解体されている。

 船主は、解体に伴うコストを軽減・忌避するためバングラデシュなどに船を輸出し、現地の解体業者は、解体した船の残骸をスクラップとして売却している。現地では重要な資源となっており、バングラデシュでは鋼材供給の80%が船舶の廃材による。

 まるで船の墓場
 解体される船舶は最後の航海で、満潮を利用して砂浜に全速力で乗り上げて放置される。となる遠浅の広大な浜辺では、タンカーなどの廃船数百隻が幽霊のように浮かび、大型動物の死体のように、少しずつ解体され分解してゆく非現実的な光景が見られる。

 しかし鉄の船を切り刻み、スクラップを人力で担いで陸地に運ぶ作業は危険なため、ある一つの会社だけで、年間360人以上の割合で多くの死者を出している。安全対策は貧弱で作業員はヘルメットをかぶるものは少なく、ほとんどが素手に素足で作業する。危険ではあるが、「飢餓で死ぬより働いて死んだ方が良い」とし、労働希望者は多数存在する。

 また、直接事故死にはいたらずとも、船舶にはPCBや水銀・鉛・アスベストなどが使用されているほか重油などが残留しているため、解体作業員の健康は蝕まれ、周辺の街の住民にも大きな健康被害が懸念されている。解体は波打ち際で行われるため、多くの有害物質や重油が海に流失していることも懸念材料である。

 2004年からの新造ラッシュに建造された船舶が、解体時期を迎える2030年頃には、世界的な船舶解体ヤードの不足が懸念されている。(Wikipedia)

 

参考HP Wikipedia「船舶解体」・清水一道研究室「シップリサイクル」 

リサイクル―回るカラクリ止まる理由 (シリーズ・地球と人間の環境を考える)
安井 至
日本評論社

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<読む・知る・使える>リサイクルのことがわかる事典

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どうなる?「諫早湾干拓事業」 開門?閉門?超難問

2010年05月08日 | 環境保護
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 名古屋市藤前干潟を守れ!
 諫早湾だけでなく、干潟を保護する運動が各地で起きている。

 藤前干潟は、名古屋港西南、臨海工業地域の中にある干潟である。面積はおよそ350ヘクタール。伊勢湾に残る最後の干潟で、シギ・チドリ類などの渡り鳥の飛来地として有名である。

 1984年、伊勢湾に広がる約250haの干潟のうち、105haをゴミ処理場建設のために埋め立てる計画が名古屋市から発表された。この問題について、地元の「藤前干潟を守る会」が計画の見直しを求める活動を行った。住民投票でも反対が圧倒的多数を占めた。

 しかし、名古屋市はアセスメントを行った結果、その計画が渡り鳥などの生態に影響すると知りながらも、人工干潟の造成を条件に埋め立てを実行に移そうとした。

 1999年に環境省(当時・環境庁)は人工干潟の造成では現環境の維持は極めて困難とする見解を出したうえ、寺田達志環境庁環境影響評価課長が検討結果を持って、名古屋市役所に単身で訪れるなど異例の行動で強硬な反対姿勢を示し、埋め立て計画の中止が決定し、藤前干潟を守ることができた。

 干潟と干拓
 干潟は、干潮時に沿岸域に現われる、砂や泥がたまった場所。内湾や入江など、外海の波の影響が少なく、河川が流れ込み砂や泥を運んでくる場所にできる。陸から流れ込む有機物を二枚貝(アサリなど)や底生生物(ゴカイなど)などが分解するため、水質浄化機能が高い。底生生物を餌とする魚類や水鳥などが数多く集まるため、藻場と同じように、多様な生き物が生育したり、餌を食べる場となっている。

 干潟は埋立・干拓がしやすいため、近年は工業用地や農用地の造成などに利用され、多くが消失した。残された干潟を保護するための住民運動などが各地で起きている。代表例に、長崎県諫早湾、千葉県三番瀬、沖縄県泡瀬干潟などがある。

 一方、狭い土地を干拓によって広げようとする事業も、日本では古来から行われてきた。伊勢湾や有明海の一帯、児島湾などで干拓が盛んで、明治時代以降も秋田県の八郎潟など、大型の干拓事業が行われてきた。

 その目的は、優良な農地の造成。大規模な区画(3ha~6ha※)の農地の造成により、大型機械による効率的な農業が可能となる。また、安定した農業用水の供給により、作物の収量の安定、品質の向上、多品目化等が可能になる。

 さらに、防災機能の強化にも役立つ。潮受堤防を建設し調整池を設け、調整池の水位を低く管理することにより、高潮や洪水に対する防災機能を強化する。また、常時の排水不良も改善される。などの利点もある。

 諫早湾の開門と有明海の再生
 1997年に国営諫早湾干拓事業(諫干)で閉め切られた潮受け堤防の開門問題で、政府・与党の方針をまとめる検討委員会(座長・郡司彰副農相)が、今月末にも開門の是非について方向性を出す。県内の漁業者が「有明海を再生させる」と確信する開門へ舵(かじ)は切られるのか。答えを待つ漁業者には、期待と不安が交錯する。

 漁村の活気、取り戻せる
 「(水産業は)タイラギも豊漁で……」。長崎県の中村法道知事は4月15日、同県諫早市で開かれた赤松広隆農相との意見交換会の席で、開門反対の理由を説明した。傍聴していた佐賀県太良町大浦のタイラギ漁師、平方宣清さん(57)は、漁業の実情を見ない発言に憤りを覚えた。

 大浦地区のタイラギは、1996年度までの10年間に貝柱で平均170トンが取れたが、堤防閉め切り後は、成長中の貝が夏を越せずに大量死する現象が繰り返され、2007年度には過去最低の2キロ、2008年度も940キロにとどまった。漁を見送った年もあり、以前の活況には程遠い。

 その一方、今季は有明海で近年にない生息量が見つかった。大浦も久しぶりに活気づき、昨季の8倍となる約60隻が港を出入りした。瀬戸内海での漁や、農作業の手伝いで生計を立てていた平方さんも、6季ぶりに地元で潜水漁に精を出した。

 今季の豊漁は好転の兆しにも見えるが、平方さんは「気象条件に恵まれたため」とそっけない。2年続けて夏に北風がよく吹き、赤潮を外海に逃がして生息環境の悪化が抑えられたのが、成貝が夏を越せた理由という。

 「海が回復したわけでなく、次の夏はどうなるか」。あくまでも開門が必要と訴える。

 県内の漁業者が開門に期待するのは、2002年4月から約2カ月間実施された短期開門調査で、環境が改善した経験があるからだ。わずかな期間の開門だったが、翌年のタイラギは3季ぶりに漁が解禁できるまでに回復し、赤潮被害を受けていた養殖アサリも、稚貝が多数発生したという。「開門すれば海は再生する」と確信する。

 平方さんは「毎年取れるようになれば、若い後継者が続き、にぎわいも戻る。それが私たちの一番の望み」と話し、「開門」の判断を待ち望んでいる。

 政治決着最後の望み
 参院議員会館の会議室にいらだった漁業者の声が響いた。「政権が代わっても1ミリも動かないではないか」

 2月17日に国営諫早湾干拓事業(諫干)潮受け堤防開門訴訟の原告弁護団が開いた国会議員への報告集会。太良町大浦のノリ養殖業、大鋸武浩さん(40)が発言した。

 諫干に近い太良町や鹿島市沖の有明海では、昨季に続き今季も冬の養殖ノリが色落ち被害に見舞われた。

 大鋸さんの漁場もノリが黄緑色になり、冬期の水揚げは50万円と、例年の10分の1程度に落ち込んだ。

 色落ちはノリを育てる栄養塩を奪う赤潮が真冬にも発生するようになったため。地元では「潮受け堤防の排水が原因」との声が大勢だ。集会で大鋸さんは「非常に苦しい。開門しないと、同じ被害が繰り返される」と訴えた。

 報告集会から5日後、赤松広隆農相は、衆院予算委員会で開門の是非を検討する委員会の設置を表明。諫干問題は政治判断に向かって動き出した。

 有明海全体に広がる被害
 早期開門を求めてきたノリ漁業者団体「佐賀有明の会」会長の川崎賢朗さん(49)=佐賀市川副町=は、ようやく迎えた政治判断の山場を前に「いくら押しても動かなかった岩が動き出した」と期待感を示す。

 2000年度のノリ凶作を契機に、「諫干が元凶」とみて有明海の再生運動に取り組み始めた川崎さんたち。陳情だけではらちが明かないと、法廷闘争にも加わった。

 だが、国は自ら設置した第三者委員会などに促されても、半年~数年の中・長期開門調査を実施しようとしなかった。2002年に約2カ月間の短期開門調査をしただけで、かたくなに拒んできた。

 2008年6月には、佐賀地裁が国に対し5年間の開門を命じる判決を出したが、国は控訴。その上で「開門調査のための環境アセスメント」を実施するという、矛盾をはらんだ対応をしている。

 「農水省の官僚主導である限り、期待はことごとく裏切られる。開門には政治決着しかない」と川崎さん。

 しかし、急に動き出した政治判断の流れには戸惑いもある。今回の判断で漁業者の願いが再び遠ざけられれば、頼みの綱も切れてしまう。

 「これが最後のチャンス」。川崎さんは新政権が出す答えを見極めようとしている。(毎日新聞 2010年4月24日)

 諫早湾の開門「大変遺憾」長崎県知事が不快感
 国営諫早湾干拓事業(長崎県)で、政府、与党の検討委員会が潮受け堤防の排水門を開門し漁業への影響を調査すべきだとの方針をまとめたことについて、長崎県の中村法道知事は28日、「これまで地元として開門反対の意見を伝えてきたが、そういう方向で集約されつつあるのは残念で大変遺憾」と述べた。県庁で記者団の質問に答えた。

 中村知事は検討委の判断について「2002年の短期開門調査では実際に被害が生じ、(堤防閉め切りの)影響は諫早湾内にとどまり有明海に及んでいないとの結果が出ている。それを踏まえて判断しているのか疑問だ」と不快感をあらわにした。

 さらに「開門すれば地元で被害が生じることは間違いなく、もっと真剣に理解してもらえるよう努力する」と話し、地元の団体や県議会などと連携し、開門反対を訴えていく意向を示した。(2010/04/28 共同通信)

 

ルポ 諫早の叫び よみがえる干潟ともやいの心
永尾 俊彦
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有明海の自然と再生
宇野木 早苗
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オニヒトデ、6万匹退治で「自然環境功労者環境大臣表彰」受賞!

2010年04月23日 | 環境保護
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 サンゴの天敵を退治せよ!
 サンゴを食い荒らす天敵のオニヒトデの駆除に取り組んでいる和歌山県串本町の「サンゴを食害する動物駆除実行委員会」(御前洋代表)が、2010年度の「みどりの日 自然環境功労者環境大臣表彰」を受賞することになった。

 4月29日に東京・新宿御苑で表彰式が行われる。

 同町沿岸では、1991年以降、黒潮の影響で冬場の平均水温が1~2度上昇。沖縄近海から運ばれたオニヒトデが越冬し、定着する環境が整った。2004年に始まった大発生では、約8割のサンゴが食害で死滅するなど、被害が深刻な海域も出てきた。

 このため、地元の29のダイビング業者でつくる同実行委が「ラムサール条約に登録された串本の海を守ろう」と、定期的な駆除に乗り出した。作業にはボランティアも加わり、今年3月末までに計400回以上実施。計6万6643匹を駆除した。

 継続的な作業が功を奏し、ピーク時に1人約60匹だった駆除数が、昨年度は6.3匹にまで減少。実行委は潮岬の南端から同町和深まで海岸線に沿って約30キロを潜水調査しているが、生息範囲は広がりを見せているものの、個体数は目視でも大幅に減少しているという。

 御前代表は「受賞は率直にうれしく思う。メンバーの士気も高まるだろう。オニヒトデを根絶することは無理だが、駆除を継続することで被害を最小限に食い止められる」と話している。

 同表彰は1999年、環境保護への功績の顕彰を目的に創設。県内では、これまで広川町立津木中学校、高野町の「ゲンジの森実行委員会」など6団体が表彰されている。(2010年4月23日  読売新聞)

 オニヒトデとは?
 沖縄ではよく知られていた、オニヒトデによるサンゴの食害。このように串本町のような本州の沿岸でも被害が報告されている。それを地元の人達が根気強く駆除して、サンゴを守り続けている努力が「自然環境功労者環境大臣表彰」を受けることになった。

 とても1人の力では考えつかない。駆除の回数400回、駆除数は計6万6643匹は素晴らしい協力と、努力の成果である。さてサンゴを食べる「オニヒトデ」とは何だろう?

 オニヒトデ ( Acanthaster planci)とは、オニヒトデ科の動物である。輻長約15cmで、多数の腕を持ち、全身が棘に覆われた、大型のヒトデである。サンゴを食べ、時に珊瑚礁の破壊者と目される。体表面には大量の有毒の棘が生えており、これがヒトの皮膚に刺さるとオニヒトデ粗毒によって激しい痛みを感じ、アナフィラキシーショックによって重症に陥ることがあり、最悪の場合、死に至ることもある。

 造礁サンゴの敵、オニヒトデ は腕の先端から先端までの直径が最大で約60cmまで成長する、通常は30‐40cmである。1個体のメスヒトデから1000万個もの卵(約 0.2mm)が放出される。受精卵はヒトデとして典型的な発生過程をたどり、約半日後に孵化し、幼生(ビビンナリア)は植物プランクトンを摂取して成長、2~6週間の浮遊幼生期間の後に石灰藻などの付着基盤に固着。直径約0.5mmで5腕の稚ヒトデに変態する。

 定着した幼体は石灰藻やデトライタス(魚などの死体が分解してできた有機物)を食べるが、ある程度の大きさまで成長すると石灰藻食、デトライタス食に加えて珊瑚を捕食するようになる。腕の数を増やしながら生長し、熱帯海域の温度では約半年間で直径8mmまで生長して腕の数もこのヒトデとして 標準の14‐18本となる。この頃から腕と体盤の上の棘が伸び始め、造礁サンゴを食べるようになる。

 満1年で径数センチ、満2年で約 20cmとなって性成熟し始め、3年目以降数年間は毎年繁殖を繰り返し、6~7年で生理的な寿命を迎えると見られている。石灰藻、珊瑚とも摂食するときは口から胃を裏返して広げて餌生物に押し付け、消化吸収を行う。なお、通常はミドリイシ類やコモンサンゴ類等の成長が早いサンゴを好む。(Wikipedia)

 串本町とはどんな町?
 さて、今回の舞台「串本町」は明石家さんまさんの出身地。紀伊山地を背に潮岬が雄大な太平洋に突き出した本州最南端の町。(面積135.78km2)本州最南端の地、潮岬は北緯33度26分、東経135度46分。これは、東京の八丈島とほぼ同緯度に位置する。茫々たる太平洋に面し、東西に長く延びた海岸線はこの地方の特色であるリアス式海岸で、奇岩・怪石の雄大な自然美に恵まれ、吉野熊野国立公園及び枯木灘県立自然公園の指定を受けている。

 黒潮の恵みを受けて、年間平均気温17℃前後と気候はいたって温暖。冬季でも平均気温6~8℃でほとんど雪を見ることはない温暖な気候だ。1970年代末には潮岬海域にも貴重なサンゴ群落があることが認識されていた。環境の攪乱に対して敏感なサンゴ群集は陸域の環境攪乱に強く影響されるので、貴重なサンゴ群集のためにはこの海域に対する何らかの保全的施策が期待されていたところ、環境省自然保護局は2004年に串本海中公園地区管理方針検討調査という資質調査を実施。

 調査の結果、本州の中部という比較的高緯度に位置しながら大規模で高密度な、かつ、多様性の高いサンゴ群集が生息しており、串本海中公園で見られるテーブルサンゴ(クシハダミドリイシ)の群生は、群生地としては世界で最北に位置するといえる。また、串本町大島では、日本ではとても珍しいオオナガレハナサンゴの国内最大群生地も見つかった。

 ラムサール条約とは?
 渡りをする水鳥は、餌場やひなを育てる繁殖地として世界中の湿地を利用しているが、近年このような湿地は世界中で減少しつつある。1971年、イランのカスピ海湖畔の町ラムサールにおいて「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が制定された。これが「ラムサール条約」。

 日本は1980年にラムサール条約に加入し、わが国初のラムサール条約湿地として釧路湿原が登録された。現在では、水鳥の生息地だけでなくサンゴ礁やマングローブ、地下水系など、さまざまなタイプの水辺の保全・再生を呼びかけている。2010年4月現在、この条約に加盟する国は159カ国。最近では第10回締約国会議 (COP10)が2008年大韓民国 昌原で、次回は第11回締約国会議 (COP11)が2012年ルーマニアで予定されている。日本では第5回締約国会議 (COP5)が1993年、釧路で開催されている。

 串本の海が選ばれたわけ
 串本沿岸海域(串本海中公園周辺)は、2005年11月8日にラムサール条約に登録された。しかし、ラムサール条約(Ramsarm Convention)は、湿地の保存に関する国際条約。水鳥を食物連鎖の頂点とする湿地の生態系を守る目的でつくられた。なぜ、串本の海が登録されたのだろうか?

 串本は北緯33度30分という位置にあり、位置的にみると本来ならサンゴよりも海藻がよく生える温帯の海に属す。しかしながら、串本はすぐ沖合を流れる黒潮によって、赤道付近から暖かく澄んだ海水が大量に運ばれてくるため、とりわけ暖かい環境が作られいる。そのため、沿岸では熱帯性の生物が豊富に見られる。

 その代表がサンゴで、串本の浅い海岸には熱帯の海に勝るとも劣らないくらいのサンゴが生息し、世界で最も北にあるサンゴの海をつくり出している。このような串本の海の特異性が評価され、ラムサール条約に登録された。

 

参考HP Wikipedia「ラムサール条約」・ラムサール条約事務局串本海中公園串本町公式サイト  

南紀串本 海の生き物ウォッチングガイド―本州最南端
山本 典暎,古見 きゅう,土屋 光太郎
ピーシーズ

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環境省・環のくらし応援団 さかなクン、♪鳥くん、琉球サンゴくんの地球の環!!
さかなクン,鳥くん,琉球サンゴくん
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完全養殖が日本を救う!クロマグロに続きウナギでも成功!

2010年04月09日 | 環境保護

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 ウナギの完全養殖
 水産総合研究センター(横浜)は4月8日、ウナギの完全養殖の成功を発表した。まだまだ予算の面で、実用化には遠いそうだが、魚類を食用とする日本の将来にとって明るい話題である。
 
 先月行われたワシントン条約締約国会議で、大西洋・地中海産クロマグロの国際取引禁止案が否決された。このときは、日本のイルカ漁を批判した米映画「ザ・コーヴ」が米アカデミー賞を受賞したり、シーシェパード(SS)による南極海における、日本の調査捕鯨船妨害工作などの問題があり、魚やクジラを重要なタンパク源とする日本人にとって、危機感を感じた中で行われた決議であった。

 今回は否決されて、日本人として「ほっ」としたところであるが、いつ同じような問題が起きるとも限らない。世界の利害が絡んでいる国際条約では、どんな提案が出てくるかわからない。日本の常識が世界では通用しないことを肝に銘じておかねばならない。

 日本、国際条約で窮地に
 マグロを取らないことは、欧米にとっては環境保護にもつながるが、日本にとっては即食糧危機になる。魚の値段が高騰する可能性もあった。問題はそれだけではない、魚を食べないと変わりにタンパク源として肉を食べることになる。そこには食肉輸出国の利害が絡んでくる。米国やオーストラリアは牛肉を売って利益を得たい。

 江戸時代末期の日米通商条約のような「不平等条約」に調印するようなことだけは避けねばならない。国民は今回の問題をどのくらい理解していたのだろうか?

 「自分とは関係ないけど、マグロ食べられてよかったぁ」...ぐらいでは情けない。「自分は、みんなのために何ができるか」を1人1人考えてほしいものだ。現代日本は、戦後65年間続いた憲法9条により、自分の国を自分で守ったことのない国民を大量につくり出した「つけ」が回ってきているように思う。

 だから、平気で「米軍の基地は日本にいらない」という首相は出てくるし、子供達の夢というと、芸能人、プロスポーツ選手、マンガ家、ゲームクリエイターなどの人気が高い。もちろん、それも人の役に立つ立派な仕事であるが、ひとりひとりが、多様な職種で世界のトップレベルをいくつもりでないといけないといけない。

 日本は技術立国を続けるべき
 自民党だった与謝野氏、石原氏らが、政党「たちあがれ日本」を結成した。さすがに、今回の問題では危機感を持ち、日本の国は日本人が守らなくては...と思う人も出てきている。しかし、年を取りすぎた政治家だけではどうにもならない。

 今回はたまたま、中国や東南アジアなどでマグロを食べる人が増えたこと、アフリカや欧米でマグロの養殖で生計を立てている人が多かったこと、などが理由で輸出禁止にはならなかった。

 しかし、次の日本のありかたを考えなければならない。軍事力で他国に対抗することなく、平和にレベルを落とさずに生活したいのならば、これまで通り、先端技術を開発しなければならない。幸い国土は狭いが、日本には広い海がある。海洋技術を開発することが急務である。

 海洋には資源が多い、地下資源もそうであるが、生物資源も重要である。クロマグロの完全養殖には近畿大などが成功している。今回のウナギの完全養殖の成功は、ひさびさの明るい話題である。いったいどのように養殖するのであろうか?

 完全養殖の必要性 
 水産総合研究センター養殖研究所と志布志栽培漁業センターで、実験室生まれのウナギ稚魚を育て、2~5年後成長した親魚から人工授精で受精卵を得、ふ化させた。生まれた仔(し)魚は、ふ化から6日後の4月2日に餌を食べ始め、その後、順調に成長している。

 外国ではウナギを稚魚にまで育てることにすら成功していない。人工ふ化した仔魚から育てた親から人工飼育下でさらに仔魚を得るという完全養殖は、ウナギでは初めて。ウナギ資源の保護と共に「鰻(うなぎ)」という日本の大事な食文化を守る重要な技術になる、と水産総合研究センターは今後の研究の進展に期待している。

 ウナギの生態は長い間謎となっており、ようやく近年になって産卵場所が日本列島から遠く離れたマリアナ諸島沖の西部北太平洋付近の深海であることが、東京大学海洋研究所や水産庁の調査でほぼ突き止められた。

 商品となっている鰻は、産卵場所からはるばる日本列島にやってくる天然ウナギの稚魚(シラスウナギ)を採取して、養殖場で育てられているのが現実だ。このため毎年、シラスウナギの採取量によって養殖業者の経営が左右される状況が続いている。特に昨年はシラスウナギがシーズン当初、極端な不漁となり、養殖に必要な量を確保できるか心配された。 (サイエンスポータル 2010年4月9日)

 

参考HP 水産総合研究センター「世界初!ウナギの完全養殖ついに成功!」・アイラブサイエンス「ワシントン条約マグロ禁輸案否決」「クロマグロ問題の背景

うなぎを増やす (ベルソーブックス)
広瀬 慶二,日本水産学会
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近畿大学プロジェクト クロマグロ完全養殖
熊井 英水,宮下 盛,小野 征一郎
成山堂書店

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原子力推進・環境税導入 「温暖化対策基本法」とは何か?

2010年03月15日 | 環境保護
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 「温暖化対策基本法案」を閣議決定
 政府は12日、2020年までに1990年比25%減とする温室効果ガス削減の中期目標を明記した「地球温暖化対策基本法案」を閣議決定した。今国会での成立を目指す。

 小沢鋭仁環境相は同日の閣議後会見で、法案がまとまったことについて「25%減目標実現に向けて大きな一歩を踏み出すことができた」と述べた。

 一方、法案に「原子力発電の推進」が盛り込まれたことに対し、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は同日の閣議後会見で、「納得し切れていないところもある。社民党としては新たな原発建設には反対で、その点はまったく変わっていない」と述べた。(毎日新聞 2010年3月12日) 

 政府の地球温暖化に対する方向性を示した法案がつくられ、閣議決定した。どんな内容がポイントなのだろうか?

 総量規定方式・原単位方式とは?
 まず、今回話題になったのは「総量規定方式」か「原単位方式」かという言葉。企業などの二酸化炭素(CO2)排出量に上限を設け、その過不足分を取引できる排出量取引制度をめぐっては、環境省や外務省が、国が企業ごとの排出量を決める「総量方式」を主張していた。

 これに対し、一部産業界や労働組合の意向に沿って経済産業省は、生産量当たりの排出量に上限を設ける「原単位方式」を求めた。排出効率を上げて上限を守ったとしても、生産量が増えれば、総排出量も増える懸念があるからだ。

 小沢鋭仁環境相は「環境と経済成長の両立という観点から排出量をコントロールしたい」と述べ「総量規制方式」を基本としつつ、生産量当たりの排出量に上限を設ける「原単位方式」も検討する、産業界に配慮した姿勢を見せた。

 地球温暖化対策基本法案概要
 次に、地球温暖化対策基本法案の概要を述べたい。まず、数値目標であるが「2020年までに1990年比25%削減」の中期目標を、「全主要国が公平で実効性ある国際枠組みで、意欲的な目標を合意した場合」との前提付きで明記。2050年までの長期目標は1990年比80%減とした。

 原子力発電については、発電時に温室効果ガスを出さないため「温暖化対策に必要不可欠」とする直嶋経産相の意見と、脱原発を掲げる社民党の意見が対立していたが、温室効果ガス削減目標の達成に欠かせない手段として推進することで落ちついた。

 ほかに、地球温暖化対策税(環境税)を2011年度から実施することや、太陽光・風力などの再生可能エネルギーを電力会社が一定価格で買い取る制度の創設も盛り込まれた。

 地球温暖化対策基本法案の目的・第一条
 第一条 この法律は、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止すること及び地球温暖化への適応を図ることが人類共通の課題であり、国際的協調の下にこれらの課題に取り組むことが重要であることにかんがみ、豊かな国民生活を実現しつつ温室効果ガスの排出量の削減を達成することができ、かつ、地球温暖化への適応をすることができる社会の構築を図るため、環境基本法(平成五年法律第九十一号)の基本理念にのっとり、地球温暖化対策に関し、基本原則を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、温室効果ガスの排出量の削減に関する中長期的な目標を設定し、国内排出量取引制度、地球温暖化対策税及び固定価格買取制度の創設、革新的な技術開発の促進等について定めることにより、新たな産業の創出及び就業の機会の拡大を通じて経済成長を図りつつ地球温暖化対策を推進し、もって地球環境の保全並びに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

 地球温暖化の定義・第二条
 第二条 この法律において「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表、大気及び海水の温度が追加的に上昇する現象をいう。

 この法律において「温室効果ガス」とは、次に掲げる物質をいう。
一 二酸化炭素
二 メタン
三 一酸化二窒素
四 ハイドロフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
五 パーフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
六 六ふっ化硫黄

 この法律において「新エネルギー等」とは、次に掲げるエネルギーをいう。
一 太陽光
二 風力
三 地熱
四 水力(政令で定めるものに限る。)
五 バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。)をいう。)を熱源とする熱
六 太陽熱
七 その他政令で定めるエネルギー

 温室効果ガスや新エネルギーにはさまざまなものがあるが、主要なものを中心にスッキリとまとめてある。

 

参考HP 温暖化対策基本法案「PDFファイル 

ケースメソッド環境法

日本評論社

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現場で使える環境法―環境ISO対応
見目 善弘
産業環境管理協会

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湘南・鎌倉のシンボル「大銀杏」倒れる!クローン技術で再生へ

2010年03月12日 | 環境保護
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 湘南のシンボル
 ここ湘南に住むようになったのは、中学生のときだった。その当時から親しんでいた、江ノ島や鎌倉。その中心ともいうべき、鶴岡八幡の大イチョウが強風で倒れた。3月10日未明のことである。

 樹齢800年以上とされるご神木の大イチョウは、鎌倉幕府の3代将軍実朝を暗殺した公暁が、身を隠していたとの言い伝えがあり、県の天然記念物にも指定されていた。11日には大銀杏を心配する参拝客らが朝から神社を訪れていた。

 私の家族の初詣は、いつもここ鶴岡八幡宮である。その石階段を上るときふと見上げ、タイワンリスをイチョウの幹に探したのも懐かしい。秋には黄金に色づいた、あのオオイチョウが見られなくなるのは寂しい。

 再生に向けて
 大イチョウは根こそぎ倒れた形で、樹高約30メートルのうち、高い部分の幹は何カ所かにわたって折れている。鶴岡八幡宮の吉田茂穂宮司は、倒れた木の根元部分を生かし、再生に取り組みたい考えを明らかにした。12日にも作業を始めるという。
 
 木が倒れた直後の10日、現場を調査した東京農業大学の浜野周泰教授(造園樹木学)は「根系の状態から、倒伏の回復は不可能と判断される」と八幡宮に見方を伝えた。八幡宮側は「ベストを尽くしたい」としていている。

 同八幡宮では、すでに大イチョウの枝を切り取って挿し木を試みているほか、倒れた木の根元付近から「ひこばえ」と呼ばれる若木が芽生える可能性を期待しているという。

 松沢神奈川県知事も、県として独自に「再生」に取り組むことを吉田宮司に伝えた。県自然環境保全センター(厚木市)が持つクローン(遺伝子の保存・増殖)技術を活用し、大イチョウの枝などから「クローン苗」を作るという。

 知事は、鎌倉市も含めた3者で、大イチョウの歴史的な意義を後世に残す方策を協議する検討会の設置も提案した。(2010年3月12日15時03分  読売新聞)

 保存は可能か?
 強風の影響で倒れた鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)の大銀杏(いちょう)について、関係者らが「保存」と「再生」を目指して、検討を始めた。

 3月11日、神奈川県は八幡宮側に「倒木を保存してほしい」と要請した。倒木の保存では、一般的に年輪が分かるよう輪切りにするなどの展示方法がとられる。しかし、八幡宮側は「大切な神木で輪切りはありえない」としており、今の形をできる限り残す方法を模索することにしている。

 文化財科学の専門家である鳥取大農学部の古川郁夫教授によると、倒木の保存には巨大なタンクに薬品を入れ、乾燥・防腐処理をする必要がある。だが、古川教授は「高さ30メートルの木が丸ごと入る大きさのタンクは聞いたことがない」と難しさも指摘している。

 クローン技術とは?
 植物を再生するにはどんな方法があるだろうか?植物は種子でふえるのが一般的だが、あいにくこのオオイチョウは雄の株で種子は残っていない。種子以外には挿し木、挿し芽、取り木、株分けなどの方法がある。「クローン苗」とはこれらのふやし方のことで、クローンの元の意味は「挿し木」である。現在ではDNAが同じものをクローンと呼んでいる。

 挿し木
 挿し木は地球上に存在する植物の殆どに対して行うことの出来る繁殖方法。また挿し木による植物の増やし方は多く利用されている。さし木を行うときは切り口をそのまま土に埋めるように行います。したがって、土に菌類が豊富にあると病気になってしまうことがあるため、菌のない土を使うようにする。

 さし木に適している土はパーライト、バーミキュライト、ピートモスといった改良用土、また赤玉土や水苔などが良いとされている。挿し木する前は土にある程度水分を与えておくようにするとよい。

 挿し木を行い成長させるには気温が暖かくなければいけない。気温は約20~25℃が適しており、春が過ぎようとする5月半ばから秋が始まる9月半ばくらいまでが良い。風通しの少なく日の当たらない場所に挿し床を設置しておく。水の管理はしっかりと行います。基本的に毎日葉に水を拭きかけるように。約1ヶ月で根が生える。

 挿し芽(さし芽、挿芽)
 挿し芽とは、まだ成長著しい若い枝や芽を切り取り適した土に挿して繁殖させる方法。基本的なところは挿し木に似ている。ただ挿し穂が若いというところに違いがある。種子から繁殖させるより早く管理も楽という特徴がある。挿し芽の最適な時期は梅雨時の6~7月。

 取り木(とり木、取木)
 取り木とは、成長している植物の茎をカッターなどで表面を削り取りその周囲を水苔や透明なビニル袋で養生し、一定の期間をおくと表面を削り取った茎から根が生えてくる。そして根から下の部分を切り取ることで、目的の大きさで再び育成することが出来る。取り木とは苗木を作る作業です。大きくなりすぎた植物を適度な大きさからもう一度育てることが出きるし、元の切り取られた茎は再び葉がつくところから育成することが出来る。

 株分け(株分)
 観葉植物のなかでも宿根タイプは時が経過して行くにつれ株が増大し、数も増える。こうなると植木鉢の中は根でぎっしりとなってしまい、植物にとってよくない。そこで、株分けを行う。株分けは他の増やし方に比べ大変簡単であり、初めて行う方でも気軽に行うことが出来る。方法は土から植物を抜き取り、ハサミで根を切断していき、分けるだけで完了。あとはそれぞれの植木鉢に入れてやる。

 種子(種)
 挿し木といった増やし方を知らない方は植物とは種子からしか増えないと思っているほどポピュラーな増やし方。増えるまでの期間が一番長いが、その植物の種に適した土を用意してまけば良いだけなので大変お手軽。

 

参考HP 観葉植物Studio「植物のふやし方

遺伝子組み換えとクローン技術100の疑問
天笠 啓祐
東洋経済新報社

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ラン科植物のクローン増殖
富山 昌克
トンボ出版

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放鳥予定の「トキ」9羽死ぬ!犯人は「テン」問われる防犯体制

2010年03月11日 | 環境保護
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 トキの放鳥
 トキはかつて日本の北海道南部から九州・沖縄まで、ロシア極東(アムール川・ウスリー川流域)、朝鮮半島、台湾、中国(北は吉林省、南は海南島、西は甘粛省まで)と東アジアの広い範囲にわたって生息しており、18世紀・19世紀前半まではごくありふれた鳥であった。日本では東北地方や日本海側に多く、太平洋側や九州ではあまり見られなかったようである。

 しかし、いずれの国でも乱獲や開発によって19世紀から20世紀にかけて激減し、朝鮮半島では1978年の板門店、ロシアでは1981年のウスリー川を最後に観察されておらず、日本でも2003年に最後の日本産トキ「キン」が死亡したことにより、生き残っているのは中国産の子孫のみとなった。

 現在中国に生息している、またかつて日本に生息していたトキは留鳥であるが、ロシアや中国北部、朝鮮半島など寒冷地に生息していたトキは渡りを行っていた。また、日本にいた個体も一部は渡りを行っていた可能性が指摘されている。

 2003年10月10日朝、最後の日本産トキ(キン)の死亡が確認され、日本産のトキは絶滅した。佐渡トキ保護センターでは、将来的にはトキを日本に復活させることを目標としており、2007年6月末から「順化ケージ」での野生復帰訓練が始められ、2008年9月25日に放鳥を開始した。

 2008年9月25日、佐渡市小佐渡山地の西麓地域にて10羽を試験放鳥、1981年の全鳥捕獲以来、実に27年ぶりに日本の空にトキが舞った。

 トキを襲ったテン
 ところが、2010年3月11日、今秋の3回目の放鳥に向けた訓練のためトキを入れていた順化ケージ内でトキ9羽が死んでいたことが発見された。

 環境省はケージ内の足跡から、トキを襲ったのはイタチ科のテンと判明したと発表した。テンがどこから侵入したのかは不明で、同省は同日朝から現地調査を始めた。専門家を集めて今後の対策も検討するが、原因が判明しない限りトキの訓練は当面見合わせる考え。今秋の放鳥が見送られる可能性も出てきた。

 これまでの調査で、ケージ内の監視カメラに9日夕、ケージの南西側から小動物が走ってくる姿が記録されていた。トキは夜間、木の上で寝ているが、この日午後8時すぎから翌日午前5時45分までに、通常と異なるトキの鳴き声が10回にわたり記録されていることも判明。この時間に襲われたとみられる。同省は内部にまだテンがいるとみて、捕獲を試みるとともに、侵入経路を調べる。

 テンのハンティング本能
 ケージは広さ4000平方メートルで高さが最大15メートル。トキが自然に慣れるように、ケージ内は池や自然木など自然の状態に保たれている。トキは放鳥前に最低2か月間はケージ内ですごす。死骸(しがい)が見つかった時には、西側の放鳥口付近に小動物の足跡が集中し、その周囲に7羽の死骸が集中。残り2羽は離れた場所に倒れていた。

 テンの生態に詳しい新潟大学農学部の箕口秀夫(みぐちひでお)教授によると、テンなどイタチ科の動物は凶暴で、鳥類を襲う傾向があるという。

 箕口教授は「全羽食べないのに殺し尽くしている。イタチ科の動物の鳥類に対する“ハンティング本能”が表れた行動だ」と話す。

 テンは体長40~50センチの小型の哺乳(ほにゅう)動物で、日本ではほぼ全国に生息する。体が細長くて足が比較的短く、尾が20センチ程度の長さ。夜行性で、昼間は岩穴などで休んでおり、ネズミや小鳥などのほか、果実もエサにする。動きは速く、木登りもうまい。(2010年3月11日19時50分  読売新聞)

 2年前にはイタチ侵入
 新潟県佐渡市の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの順化ケージ内で、国の特別天然記念物のトキがテンに襲われて死んだ事故で、3度目の今秋の放鳥に大きな暗雲がたちこめた。

 原因究明に相当な時間がかかるとみられ、トキの放鳥前の訓練に十分な期間が取れない上、死んだ9羽に代わるトキを、限られた個体から再選定する必要があるためだ。

 仮に中止になれば、国の保護増殖計画も見直しを迫られる。環境省は人工繁殖したトキを2008年から2回、計30羽放鳥。26羽の生存が確認され、今秋の21羽の放鳥が加わることで、来春に初のペア誕生を目指していたが、その可能性は低くなる。

 一方、同省は2008年にも順化ケージ内にイタチの侵入を確認していたが、公表していなかった。同省は、その理由として「大事に至らず、その後も事故がなかったため」としている。(2010年3月11日13時33分  読売新聞)

 

コミック版 プロジェクトX挑戦者たち―幸せの鳥トキ 執念の誕生
山下 京子,NHKプロジェクトX制作班
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最後のトキ ニッポニア・ニッポン―トキ保護にかけた人びとの記録 (ノンフィクション 知られざる世界)
国松 俊英
金の星社

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「いぶき」(GOSAT)・「だいち」(ALOS) 宇宙から地球環境を守れ!

2010年02月17日 | 環境保護
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」
 環境省とJAXAが打ち上げた、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測データ解析結果を、誰でも自由にインターネット上で利用することが可能になった。「いぶき」は二酸化炭素やメタン濃度を測定したり、雲・エアロソルセンサによる地球観測画像データを送ってくる。

 地上約666 kmの高度を飛行して約100分で地球を一周し、3日間で同じ軌道に戻る。3日間で数万点の観測を全球にわたり偏りなく行う。実際には、解析可能な地点は雲の無い晴天域に限られるため、二酸化炭素とメタンのカラム量を算出できる地点数は全観測数の10%程度になるが、現在の百数十点の地上測定に比べて測定点数は飛躍的に増加し、これまでの測定の空白域を埋めることができる。

 このデータによって、例えば中国やインドの経済発展地域の二酸化炭素濃度が高くなっていることが観測できる。

 「いぶき」(GOSAT)観測データ公開 
 (独)宇宙航空研究開発機構及び(独)国立環境研究所及び環境省は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT:平成21年1月23日打上げ)による観測データの解析結果(二酸化炭素・メタン濃度等)について初期検証作業が完了したのに伴い、当該データの一般提供を平成22年2月18日より開始すると発表。

 また、雲・エアロソルセンサによる地球観測画像データについては初期校正作業が完了し、11月中旬の一般提供に向けた準備を進めている。

 なお、今後、さらに解析結果のデータ質の向上等を進めるとともに、平成23年上半期を目処に、月別・地域別の二酸化炭素吸収排出量(収支)の一般提供を開始する予定。

 データの取得は、利用希望者が国立環境研究所のウェブサイト(http://data.gosat.nies.go.jp/)よりユーザ登録を行ったうえで、データベースの中から希望する地点、日時のデータを検索・選択のすることにより、ダウンロード可能。(2010.02.16 国立環境研究所 )

 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)は世界最大級の地球観測衛星。地球資源衛星1号「ふよう」(JERS-1)と地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)の開発と運用によって蓄積された技術をさらに高性能化したもので、地図作成、地域観測、災害状況把握、資源調査などへの貢献が目的である。

 観測機器としては、標高など地表の地形データを読みとる「パンクロマチック立体視センサ(PRISM)」、土地の表面の状態や利用状況を知るための「高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)」、昼夜・天候によらず陸地の観測が可能な「フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)」の3つの地球観測センサを搭載し、詳しく陸地の状態を観測する機能を持っている。

 「だいち」のセンサは地形情報を正確に取得することが可能。地表の基準点などの情報に頼らずに、世界中の2万5000分の1の地図作成ができる、地形データ収集を行える。また、「地球環境と開発との調和を図るための地域観測」「国内外の大規模災害の状況把握」「国内外の資源探査」など、様々な分野で利用される。

 南極基地周辺の海氷状況
 独立行政法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)・情報技術研究部門・地球観測グリッド研究グループは、独自に開発している地球観測データ統合システムGEO Grid( http://www.geogrid.org/jp/index.html )を用いて衛星画像データを処理し、南極観測船「しらせ」が昭和基地に接近した2010年1月に第51次南極地域観測隊(以下「観測隊」)に画像として提供した。

 この画像により、「しらせ」と昭和基地周辺の海氷状況が把握でき、「しらせ」の夏季の主な活動である昭和基地への物資輸送および観測隊が基地周辺で観測を実施する上で航路計画や安全行動などに役立った。

 提供した衛星画像は陸域観測技術衛星ALOS「だいち」に搭載されたPALSAR(フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダー)によって取得されたもので、財団法人 資源・環境観測解析センターからのデータ提供の下、2009年11月6日および同年12月22日の受信データ(46日毎に同一地域の上を飛ぶ衛星から得られたデータ)をGEO Gridで画像処理し、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所(以下「極地研」)を経由して観測隊に画像を提供した。(2010年1月11日 産総研)

 インドネシア熱帯雨林の火災監視
 温室効果ガスの吸収源であるインドネシアの熱帯雨林が、排出源に転じている可能性があることが、大崎満・北海道大教授(植物栄養学)や国際協力機構(JICA)の研究で分かった。頻発する森林火災の煙で太陽光が遮られ、光合成が抑制されるためと考えられる。チームは今月、「だいち」(ALOS)を使って、森林火災の影響を抑え吸収源に戻すプロジェクトを始めた。

 チームは1997~2007年、中部カリマンタン州の熱帯雨林約100万ヘクタールを対象に、(1)天然林(2)森林は残っているが、農業用水路を掘るなどの開発で乾燥が進む地域(3)森林火災の跡地--での温室効果ガスの排出と吸収を測った。

 その結果、乾燥地と火災の跡地では、1平方メートル当たりの年間排出量が、吸収量を1500~3000グラム上回り、天然林でも、排出量が吸収量より約400グラム多かった。天然林は大気中の二酸化炭素を吸収する働きがある。

 しかし、断続的に起きる森林火災の煙が太陽光を遮り、光合成を抑制。さらに乾燥地では微生物の活動が活発になるため、有機物が分解されて大量の温室効果ガスを出していると考えられた。

 熱帯雨林の地面(泥炭地)は大量の温室効果ガスを蓄えており、火災や開墾で空中に放出される。この放出量を含めたインドネシアの温室効果ガス排出量は米、中に次いで多い。今回の調査対象地域だけでも、日本の1990年の排出量の13%に相当する1億6400万トンを排出した計算になる。

 大崎教授は「森林の火災や乾燥を防止しなければ、残っている天然林の吸収機能も奪われかねない」と話す。(毎日新聞 2010年2月13日) 

 

気象衛星画像の見方と使い方
長谷川 隆司,上田 文夫,柿本 太三
オーム社

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マクリーンの渓谷―若きスモークジャンパー(森林降下消防士)たちの悲劇
ノーマン マクリーン
集英社

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利用したい「エコポイント制度」 12月31日まで延長決定!

2010年02月15日 | 環境保護
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 エコポイントで人気の家電
 景気はまだまだ厳しい状況が続いているが、昨年(2009年)の家電とIT市場における販売動向は、家電量販店で前年度売上げ増4.1%を記録した(GfK調べ)。これは、エコポイント制度による薄型テレビ、冷蔵庫の販売数量増、Windows 7効果による個人向けPCなどが売り上げに貢献したようだ。

 さて、エコポイント制度と言えば、地球温暖化防止、経済の活性化、地上デジタル放送対応のテレビの普及を目的として、省エネルギー性能の高い「エアコン・冷蔵庫・デジタルテレビ」を購入した者に対して、一定のエコポイントを付与し、これを使ってエコ商品等を購入できるようにするという制度である。

 我が家にも1台アナログテレビがあるので、この制度を利用したいところであるが、いつまでやっているのだろう?

 エコポイント期間を延長
 調べてみると、エコポイント発行期間は、平成21年5月15日~平成22年3月31日購入分まで...あと1ヶ月ちょっとしかない。そして、 エコポイント登録申請受付期間は平成21年7月1日~平成22年4月30日、エコポイント交換期間は平成21年7月1日~平成24年3月31日である。

 これについて、政府は省エネ家電製品の販売促進を目的にしたエコポイント制度の購入・申請期限を延長する方針を固めた。

 家電エコポイントの発行対象となる対象製品購入期間は、平成22年12月31日までとなる。これに伴い、エコポイント登録申請受付期間やエコポイント交換期間も、現在変更を検討しているところであり、決まりしだい周知する予定だという。

 この理由は、引き続き経済の活性化のため、そして、対象商品の購入者の半数程度しか申請手続きを済ませておらず、ポイントが大量に失効する恐れがあると判断したためだ。申請を促すために、手続きの簡素化も検討するという。

 たしかに申請手続きがわかりにくい、面倒だという人もいるだろう。私もその一人だ。いずれにしてもエコポイントを受けられる期限が延長されるとなれば、利用しない手はない。そこで、もう一度「エコポイント」とは何か?まとめておきたい。

 エコポイントとは何か?
 エコポイントとは、正式には「エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業」であり、日本政府が2009年年度の補正予算において、経済対策の1つとして行っている事業である。環境省・経済産業省・総務省が所管する。事業予算は2,946億円。

 エコポイント事業は、地球温暖化防止、経済の活性化、地上デジタル放送対応のテレビの普及を目的として、省エネルギー性能の高いエアコン・冷蔵庫・地上デジタル放送対応テレビを購入した者に対して一定のエコポイントを付与し、これを使ってエコ商品等を購入できるようにするという制度である。

 2009年5月15日以降、2010年3月31日までに購入した対象商品が、エコポイント付与の対象となり、エコポイントに相当する指定商品との交換の受け付けは事務局が行い、交換は事業者を介して行われている。

 エコポイント対象商品
 2009年5月15日以降の購入に関して適用される、エコポイント事業の対象家電製品については、統一省エネラベルの4つ星以上の「エアコン」、「冷蔵庫」、「地上デジタル放送対応テレビ」および、4つ星相当として扱うことが適当と認められるものとして、以下の通りとされている。

 エアコン:2009年5月上旬に予定される、改正後の統一省エネラベル4つ星基準を満たす製品
 冷蔵庫:2009年5月1日から実施される、改正後の統一省エネラベル4つ星基準を満たす製品。但し、該当製品のない定格内容積400リットル以下の冷蔵庫については、現時点で省エネレベルが最高水準にある製品(改正前の統一省エネラベル5つ星基準を満たす製品)
 地上デジタル放送対応テレビ:現行の統一省エネラベル4☆基準を満たす製品、統一省エネラベルの基準が設定されていない以下の製品につき、現行の統一省エネラベル4☆相当の基準を満たすと認められるもの。
 液晶ディスプレイテレビ、プラズマディスプレイテレビ、有機ELテレビ、デジタルチューナーを内蔵したPCの液晶ディスプレイは対象外

 統一省エネラベルの基準で4つ星以下の製品は、省エネ性能が優れていないと言う訳ではなく、その評価は、過去の同クラスの製品の省エネ性能を基準に設定されている。例えば、テレビなら液晶サイズ、アスペクト比、画素数など、それによって細かく区分が分かれていて、全メーカーで共通の基準が設けられている。

 評価が5つ星でも、消費電力が大きいクラスの製品は基準となる値も大きいことが多く、もともと消費電力が少ない製品と比較した場合は、4つ星以下の製品よりも消費電力が大きいこともある。買い換えの際は省エネ達成率だけではなく、年間消費電力量も必ず確認したほうが良い。

 エコポイントと何が交換できるか?
 交換できる商品は大別して「商品券・プリペイドカード」「地域型商品券」「全国型の地域産品」「都道府県型の地域産品」「省エネ・環境配慮製品」に分けられるが、交換できる商品の種類が非常に多い(200点以上)ため、一部を抜粋した。

電子マネー:交通系(Suica、PASMO、ICOCA、TOICA、SUGOCA、はやかけんなど)※既存カードを利用したチャージはできない。買い物系(nanaco WAON Edy など)
金券類 :ギフトカード(JCB、三井住友VISAカードなど)・オレンジカード・おこめギフト券・全国共通すし券・図書カード・花とみどりのギフト券・旅行券(JTB、日本旅行、近畿日本ツーリストなど) ・全国百貨店共通商品券・セブン&アイ共通商品券・イオン商品券・クオカード  地域の商品券・産地直送品 など

 エコポイントの申請のしかたは?
 ポイント付与及びこれを利用した様々な商品との交換を行うに当たっては、以下の書類が必要となる。

 保証書のコピー(購入日、購入店が分かること)・領収書またはレシートの原本(購入日、購入店、購入製品、購入者名が分かること) ・家電リサイクル券の排出者控えのコピー(新たに対象家電製品を購入し、同種の古い家電をリサイクルした場合に限る)

 エコポイントの登録には、エコポイント事務局への申請が必要。申請方法は2種類ある。1つはインターネットによる申請。もう一つは書面による申請。どちらも必要事項を記入する。申請書については、家電販売店に置いてある。

 また、必要書類として、保証書(コピー):購入日、購入店、購入製品の型番・製造番号が分かるもの  領収書/レシート(原本):購入日、購入店、購入製品の型番、購入者名が分かるもの  家電リサイクル券の排出者控え(コピー):リサイクルされた方のみ必要... があり、申請書に必要書類貼り付け後、原本を封筒にいれて郵送する。

 宛先は 〒119-5085 郵便事業株式会社 新東京支店留 グリーン家電エコポイント申請係 である。

参考HP Wikipedia「エコポイント」・グリーン家電普及促進事業「エコポイント 

 

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「鉄鋼スラグ」を使って、海の砂漠化「磯焼け」を防げ!

2010年01月10日 | 環境保護
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 海の砂漠化
 「磯焼け」とはどんな現象だろう?浜でバーベキューをしているわけではない。

「磯焼け」はひと言でいえば「海の砂漠化」のこと。海中に海藻が減少し、海藻を餌とする生物の減少し、生態系全体に波及し、漁獲量も激減する状態を指す。最近では、単に海藻の減少のみを指す。

 この原因は何だろう?

 考えられる原因としては、ウニや小型巻貝類などの植食動物による食害、無節サンゴモの優占、海が荒れたり海底が侵食されたりすることによるもの、漂砂による傷・汚れ、日射量の減少による光合成阻害などがある。

 人間が原因とする説では、船舶の船底塗料・都市や農村から流入する河川などからの環境ホルモンによる汚染、造成などによる土砂の流入、貧栄養化現象に起因する広範囲の海域の環境の変化などがある。さらにこれらの包括的原因として、地球温暖化による海水温の上昇や海流、気候の変化なども指摘されている。

 もうひとつの原因にアイゴの食害があげられている。アイゴは海藻を好んで食べる魚で日本全国の海岸線に生息している。冬になると食欲が落ちていたが、地球温暖化による、海水温の上昇により冬になっても食欲が落ちなくなり、海藻を食べ尽くしているのではないかとも考えられてきた。

 海の砂漠化の原因 
 最近「豊かな森があるところは、海も豊かである」という言葉も、常識的になってきた。豊かな森があるところからは、海の生物に不可欠な種々の栄養素や化学成分が河川を通して海に流れていく、というのがその理由だ。

 河川の水と外洋水が混じり合うところを「沿岸海域」と呼ぶが、ここに河川からフルボ酸鉄、腐植物質、栄養素が供給されることで、沿岸の生物が育つことが分かってきた。

 現在、北海道、東北地方の日本海沿岸では、外洋水に含まれる鉄イオンの濃度とほとんど変わらないところが数多く出てきている。本来なら沿岸水の鉄イオンの濃度が高くなければならないのに、そうではなくなっている。この理由は、河川水の流入がほとんどなくなっているからで、ここでは「海の砂漠化」いわゆる「磯焼け」が起きている。

 鉄鋼スラグで海が再生
 こうした現状に対して、鉄鉱石から鉄を取り出す際に生じる副産物「鉄鋼スラグ」を使い、海洋中に不足していた鉄を補って海藻の成長を促すことに、新日本製鉄や東京大などの研究チームが成功した。

 海藻は二酸化炭素(CO2)も吸収するため、漁業の活性化に加え、地球温暖化防止に役立つ可能性があるという。

 日本各地の海岸では藻場が減少する「磯焼け」が毎年拡大。現在では沿岸約5000キロにわたって発生している。原因としてウニによる食害や海水中の鉄濃度の減少などが指摘されている。

 鉄鋼スラグと腐植土
 研究チームは5年前に鉄鋼スラグを沿岸へ埋めて鉄を人工的に補給する実験に着手した。鉄が海水に溶けやすくなるよう鉄鋼スラグ8トンを腐植土4トンと一緒に混ぜて袋詰めにし、磯焼けが発生している北海道増毛(ましけ)町の日本海沿岸に沈めた。

 その結果、海藻1本当たりの重さは何の対策も取っていない近くの場所に比べて、約8カ月間で8倍に増えたことが分かった。また、埋設場所から算出されるCO2吸収量は海藻1平方メートル当たり年間5.5キロだった。

 日本は京都議定書で年間6%の排出削減を義務付けられている。過去30年間に消失した日本沿岸の藻場のほぼ半分をこの方法で再生すれば、日本の年間排出量(約13億トン)の約0.5%に当たる700万トンを吸収することになるという。

 現在、北海道以外にも三重県や長崎県など十数地点で実験しており、効果の継続期間などを検証していく。(毎日新聞 2010年1月3日)

 鉄鋼スラグとは?
 高炉で製造された溶銑やスクラップから、靱性、加工性のある鋼にするのが製鋼工程であり、この製鋼工程で生成するのが製鋼スラグである。粗鋼1t当たり約110kg 生成する。

 この産業廃棄物を、様々な方面で再利用することが考えられている。今回紹介した海域環境改善用資材以外には、高炉セメント、コンクリート用混和材、道路用路盤材、コンクリート用粗骨材、細骨材、港湾工事用および地盤改良用資材、肥料および土壌改良用資材などがある。

 

参考HP 鉄鋼スラグ協会「鉄鋼スラグとは」・ECO JAPAN「鉄の研究が生物多様性問題を解決」・Wikipedia「磯焼け」 

磯焼けを起こすウニ―生態・利用から藻場回復まで (磯焼け対策シリーズ)
藤田 大介,桑原 久実,町口 裕二
成山堂書店

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電気炉酸化スラグ骨材を用いたコンクリートの設計・施工指針(案) (コンクリートライブラリー)

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「環境税」と「炭素税」の違いは?フランスの炭素税に違憲判断 

2010年01月09日 | 環境保護
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 モルディブの「環境税」
 温暖化による海面上昇で国土の大半が水没するとされるインド洋の島しょ国モルディブ。同国のナシード大統領はこのほど、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)排出量が極めて少ない太陽光など再生可能エネルギーへの変換計画を発表、財源として観光客に1日3ドル(約270円)の環境税を課す考えを明らかにした。

 この場合の環境税は、環境を守るために直接徴収する税である。この税金は環境保全のために使われる。環境税にはもう一つあって、電気・ガスやガソリンなどのエネルギーに課税する方法がある。二酸化炭素の排出量に応じて税を徴収する仕組みで、税収はもちろん環境保全に使われる。

 日本では主に、こちらの方で導入が検討されている。つまり、エネルギーに直接課税することで、節約することを奨励したり、地球温暖化への関心を高めたり、省エネ・低燃費型の製品や車を購入させる効果を狙っている。

 炭素税と化石燃料
 日本で検討されている環境税は、炭素税とほぼ同じ意味がある。炭素税はCO2を排出する、化石燃料に直接課税する税。税により価格を引き上げることにより、その需要を抑え、その税収を環境対策に利用することにより、地球温暖化の原因である二酸化炭素 (CO2) 排出量を抑えることを目的としている。

 対象となる化石燃料は、石炭・石油・天然ガス及びそれから由来するガソリン(揮発油)、軽油、灯油及び重油などの燃料である。

 二酸化炭素 (CO2) 排出削減に努力した企業や個人が得をし、努力を怠った企業や個人はそれなりの負担をすることになるという、低炭素社会実現への努力が報われるという仕組みでもある。

 フランスの炭素税に「待った」
 フランスのサルコジ政権が、地球温暖化対策の目玉として打ち出した「炭素税」導入をめぐって苦境に立たされている。仏の憲法会議が2009年末に新税を違憲だと判断したためで、政権側は内容を再検討することにしているが、地球温暖化防止を訴えてきた政権にとって大きな痛手になりそうだ。

 企業や個人が排出する二酸化炭素(CO2)などに課税する「炭素税」は同年9月、サルコジ大統領が2010年初めからの導入を提案。CO2など温室効果ガスの排出量1トンあたり17ユーロ(約2300円)の課税が予定された。

 だが、新法の合憲性などを判断する憲法会議(識者など約10人で構成)は12月29日、新税について(1)石油精製など仏の約1000事業所のほか、航空・運輸産業などが課税を免除・軽減される(2)このため仏工業界が排出するCO2の約9割が課税されない--などの可能性を指摘。「新税は不公平で、地球温暖化対策にもならない」と違憲判断を下した。

 大企業に有利な炭素税
 これに対しサルコジ政権は5日、法案の再検討を表明。「炭素税は温暖化防止に必要だ」とする一方で、再検討後の税制では「大手企業にも課税するが、経済活動の支障にならない額にする」などの方針を打ち出した。

 だが、フランスでは、課税対象の差別化は「税の前の平等の精神に反する」という意見が強い。炭素税には、大統領の支持母体「国民運動連合」から野党までが反発しており、世論調査でも国民の3分の2が否定的だ。政権側は7月の施行を目指すが、一般国民の反発と、新税による負担増を拒否する産業界の間で立ち往生した形だ。

 炭素税は、フィンランドが1990年に初めて導入。他の北欧諸国やオランダ、英国、ドイツなども同様の税制を導入した。日本でも導入に向けた検討案が出されている。(毎日新聞 ‎2010年1月5日‎)

 世界の動向
 地球温暖化の対策として最も本質的な手法とも言われ、欧州のいくつかの国々で炭素税の導入が検討されている。スウェーデン、オランダ、ドイツ、イギリスなどでは既に導入されており、これらの国はいずれも温室効果ガス排出量削減を実現している(京都議定書#各国の取組状況を参照)ことから、導入を検討中の国においても高い効果が期待されている。

 これらの国では化石燃料に課税することが一般的だが、1990年代より様々な環境税を実施しているスウェーデンでは再生可能エネルギーに対する減免・還付等を行っている。

 また、直接的に温室効果ガスに課税する方法でなくとも、ガソリン・軽油などの自動車燃料や原油、石炭など特定の商品(化石燃料)に物品税(個別消費税)として課税することで、事実上の環境税として機能しているものもある。一方、アメリカでは導入への検討はほとんどされておらず、ガソリン税も安い。

 日本でも導入が提唱され、与野党で、温度差はあるものの、議論は進められている。日本経団連では、エネルギー課税は既に過重である等として新規の環境税の導入は反対している。一方で、既存エネルギー課税の環境対策への転用を認めている。

 2008年9月には、道路特定財源の一般財源化に伴い、既存のエネルギー課税と組み合わせて、使途を環境対策に組み替える考えを示し、容認に転じている。(出典:Wikipedia)

 

環境税―税財政改革と持続可能な福祉社会
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