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自然科学大好き!「自然」は地球、宇宙、人、社会、宗教...あらゆるものを含みます.さあ、あらゆる不思議を探検しよう!

マウンテンゴリラの生息地は戦場!反政府軍の大麻栽培で伐採される森林

2011年05月02日 | 環境保護

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マウンテンゴリラの生息地は戦場!反政府軍の大麻栽培で伐採される森林

  コンゴ民主共和国の東部にある、ヴィルンガ国立公園は、希少な野生動物マウンテンゴリラの生息地である。この場所は政府軍と反政府勢力の戦闘が続いている戦場だ。マウンテンゴリラの生息数は幸運なことに増加していることが、2008年12月の調査で明らかになっていた。それによると、人間に慣れているゴリラの亜母集団が72頭から81頭に増加していたという。

 しかし、人間に慣れたゴリラは、人間を恐れることがないため殺害される危険性が最も高いという。また、ゴリラの生息地周辺には、食用の動物を捕獲するためのわながあちこちに仕掛けられている。同公園内のマウンテンゴリラの総数について、専門家らは400頭を切る目前だとみている。さらに、内戦によって壊滅状態に追いやられたこの地に、新たな火種が持ち込まれている。

 ヴィルンガでは、木炭の違法取引によってゴリラの生息区域は破壊され続けている。そして、新たな違法ビジネスが横行しつつある。大麻栽培だ。公園南地区の管理を担当するイノセント・ブラヌンワ氏は、「木炭取引と同じ組織が関与しているのは間違いない」と主張する。(National Geographic News April 28, 2011) 

続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/archives/3151562.html
参考HP Wikipedia ゴリラ National Geographic 大麻栽培が脅かすゴリラ生息地

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わずか数十cm!ハワイ北の海面が上昇すると、4年後イワシが激減する?

2011年03月07日 | 環境保護

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わずか数十cm!ハワイ北の海面が上昇すると、4年後イワシが激減する?
 

 水産総合研究センターと東京大などがハワイ北方の海面がわずか数十センチ上昇しただけで、4年後にマイワシの繁殖率が激減する恐れがあることを、明らかにした。20年前のマイワシの激減もこれが原因で、代替えにマサバの幼魚が集中乱獲され、資源の悪化を招いた。激減を事前に予測できれば、こんな乱獲の連鎖を防止できる。

 マイワシは周期的に激増と激減を繰り返す魚。1980年代に、年間漁獲がピークとなり、日本近海の太平洋だけで300万トンに。だが1988~1991年に繁殖率が数十分の1に激減、今は年に数万トンだった。激減は黒潮の水温上昇が原因とされたが、詳細は不明だった。そこで気象学者や水産学者の60人が2007年、チームを組み、探っていた。

 ハワイ北方の太平洋の海面が風で数十センチ上昇すると、コリオリ力という地球の自転に伴う力によって上昇した海面が西に動き、4年後に日本付近に到達することが確認された。日本近海に海面上昇が到達すると、黒潮の水温も上がっていた。この現象はマイワシが激減した1990年前後を含め、その後も複数回起こっている。(asahi.com 2011年2月21日)


続きはこちら → 
http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/ 
参考HP アイラブサイエンス 
原因はレジームシフト?イワシ20年ぶりの豊漁! 

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川崎 健
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小笠原聟島に移住したアホウドリ期待より 2年早く帰郷 繁殖はまだ5年先

2011年02月12日 | 環境保護

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小笠原聟島に移住したアホウドリ期待より 2年早く帰郷 繁殖はまだ5年先

 2008年2月19日 伊豆諸島鳥島と尖閣諸島にしか生息していないアホウドリを絶滅から守るため、鳥島から小笠原群島聟島にヒナを移住させた。この移住作戦は、山階鳥類研究所の研究員が鳥島で生後40日程度のヒナ10羽を捕獲、すぐに移送用の箱に入れて350キロ南の聟島までヘリコプターで輸送するものであった。

 2008年5月19日には、聟島のアホウドリが初めて巣立ち。合計で10羽の人工飼育と巣立ちに成功した。5歳程度までの若い鳥は島には戻らず魚類を餌に1年中海上で暮らすといわれていたが、2011年2月10日、人工飼育したヒナ1羽が戻ってくるのを確認した。予想より2年早い帰郷となった。しかし、この鳥の年齢は3歳ほどでまだ若く、繁殖地拡大に成功するかどうかは、繁殖年齢である7歳程度になるまではわからない。

 帰郷が確認されたのは、2008年に巣立った第1期生10羽のうちの1羽(オス)。人工飼育された聟島の西端にあたる場所で確認された。大半を洋上で暮らすアホウドリが生まれた場所に戻り、繁殖行動に入るのは7歳ごろ、5歳程度までの若い鳥は島には戻らず魚類を餌に1年中海上で暮らすといわれている。(サイエンスポータル 2011年2月11日)
 

続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/ 
参考HP Wikipedia「アホウドリ」・サイエンスポータル「
アホウドリ期待より2年はやく帰郷」 

50羽から5000羽へ―アホウドリの完全復活をめざして
長谷川 博
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近畿地区・鳥類レッドデータブック―絶滅危惧種判定システムの開発
江崎 保男,和田 岳
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NHK「日本列島 奇跡の大自然」 世界一固有種の多い日本

2010年10月16日 | 環境保護

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NHK「日本列島 奇跡の大自然」 世界一固有種の多い日本

 2010年10月9日NHK放送の「日本列島 奇跡の大自然 第1集 森 大地をつつむ緑の物語」では、日本列島が“多様な自然が残されている場所”として、紹介された。

 なぜ、日本列島には、それほど豊かな自然が誕生したのだろうか?例えば、世界中を探しても日本でしか見ることのできない固有の生きもの「固有種」が数多く暮らしている。

 ニホンカモシカ、ヤマネ、アマミノクロウサギ、ツシマヤマネコ、ニホンザル…など全部で131種類。固有種の宝庫として有名なガラパゴス諸島でさえ、110種。同じ島国のイギリスでは固有種が何と「0」種である。日本は世界一固有種が多い、生物多様性の豊かな国である。なぜだろう?

 

 続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/archives/1270506.html 

 参考HP Wikipedia「ニホンザル」・NHKスペシャル「日本列島 奇跡の大自然 第1集 森 大地を包む緑の物語

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環境省「海洋保護区」を拡大!10月名古屋開催の「COP10」とは?

2010年10月02日 | 環境保護

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環境省「海洋保護区」を拡大!10月名古屋開催の「COP10」とは?

 環境省は10月1日、海の生態系を守るため、過剰な漁業や開発を規制する「海洋保護区」の拡充などを盛り込んだ「海洋生物多様性保全戦略」を大筋でまとめた。今後、開発や動植物の採取が規制される国立公園の海域公園地区を、現在の約2360ヘクタールから12年度末までに倍増することなどを検討する。

 環境省は今回の結果を10月11日から名古屋市で始まる、「国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」で発表する。(毎日新聞 10月02日)

 10月11日(月)~29日(金)には、いよいよ「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」が行われる。環境を守る取り組みであることは知られているが、具体的に何を目的とする会議だろう?

 

 続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/archives/1118789.html   

 参考HP 生物多様性条約COP10「日本公式ウェブサイト
・エキサイトニュース「
いよいよ来月開催COP10何をするイベント?

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世界遺産を守れ!樹齢2000年、屋久杉倒れる!

2010年09月14日 | 環境保護
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 世界自然遺産の鹿児島県・屋久島に自生する屋久杉の一つで、樹齢2000年とされる翁(おきな)杉(樹高23.7メートル、幹回り12.6メートル)が倒れているのを10日、観光客が見つけた。倒れた原因は分からないという。(2010年9月11日  読売新聞)

 1000年もの長い間、風雨に堪え忍んで生きのびてきたものが、ここにきて「風で倒れました」というのは理解しにくい。何か環境に変化があったと考えるほうが自然である。

 こうした状況を受け、環境省と鹿児島県屋久島町は、2011年度から初めての入山制限に踏み切る方針を固めた。屋久島も「危機遺産」になる前に、環境保全のため、何らかの対策を進めていく必要がある。

 続きは、こちらへ → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/archives/931390.html

参考HP Wikipedia「屋久島」「屋久杉」・屋久島町HP「屋久杉図鑑 

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神秘!メキシコ湾の深海で、原油を分解する新種細菌発見!

2010年08月26日 | 環境保護

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  流出原油はどうなった?
 メキシコ湾の原油流出事故はどうなっただろうか?7月15日以降、壊れた暴噴防止装置には油井キャップが取り付けられ、流出は止まっているはずだ。
 
 ところが今回、マサチューセッツ州にあるウッズホール海洋研究所(WHOI)の調査により、長さ35キロ、厚さ200メートルにもなる原油の層が、水深1100メートル付近に数カ月間居座っている事実が判明した。米科学誌サイエンス(電子版)で発表した。

 深海や海底の生態系に長期間にわたって悪影響が及ぶ恐れがあることを示す内容。米政府は原油の4分の3が蒸発や分解によって除去されたと発表したことから、事故の影響を楽観するムードが広がっているが、見方が変わる可能性もある。

 研究チームは6月19日から28日にかけて、無人潜水艇に搭載した分析装置を使って事故現場周辺の海水を調査。この結果、原油の成分である炭化水素を含むプルームが水深1100メートル付近を西南西に向かって35キロ以上も延びていることを確認した。プルームは厚さ200メートル、幅2キロに達した。中でも特に毒性が強いベンゼンやトルエン、キシレンが通常の原油に比べて高濃度で含まれているという。

 酸素濃度の違いからプルーム内の原油成分は海面付近に比べて細菌による分解が遅いとみられ、チームは炭化水素は長く残留する可能性があると指摘している。(共同)
 

 原油を分解する新種細菌!
 一方、原油を分解する新種の細菌(破線の円内、研究グループ提供) 大量の原油が流出したメキシコ湾の海底で、原油を分解する新種の細菌が繁殖していることがわかった。

 米ローレンス・バークレー国立研究所の研究グループが発見し、8月24日の米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。

 今年5月25日から6月2日にかけ、メキシコ湾の深海底17か所で採取した試料から見つかった。オセアノスピリラーレスと呼ばれる細菌の仲間で、水温が5度の冷水環境でも、効率良く原油を分解しているという。

 細菌の繁殖によって海中の酸素濃度が低下する可能性もあるが、研究チームの観測では、濃度低下は確認されておらず、他の海洋生物への悪影響は心配ないとしている。(2010年8月25日  読売新聞)

 死の海の復活
 
地下に眠る有機物を細菌が分解して、原油はつくられる。そして、流出した原油をきれいに掃除してくれる細菌もいるとなると、何ともありがたい話だが、そんなに都合のよい微生物がいるのだろうか?

 しかし、過去にも地球の汚染をきれいに掃除する、細菌は発見されている。1956年水俣湾は、世界最大の水銀公害といわれる水俣病が発生し、悲劇の海と化した。水俣湾には36年間、150トンとも言われるメチル水銀が流されていた。

 県は、湾内に堆積した25ppm以上の高濃度の水銀ヘドロを14年かけて取り除き埋め立てた。では残りの水銀はどうなったのか?水俣湾の研究者である中村先生は、過酷な環境に適応して生きる細菌の中には水銀に耐えるものもあるはずと考え、ヘドロを採取し細菌を探し続けていた。

 自然界の神秘
 1983年、水俣湾の海底で独自に進化した驚異の細菌を発見。水銀に耐えるだけでなく、分解、帰化させる能力を持っていた。水銀耐性菌の一つ、わずか1ミクロンほどのシュードモナス菌は、自分たちの生存に不都合な水銀そのものを食べてしまう。そして、そのメチル水銀を、金属水銀とメタンガスに分解、吐き出す。分解されてできた金属水銀はやがて気化し、自然の水銀サイクルの中に組み込まれていく。

 さらに驚くのはこの細菌はまったく違う種類の違う他の細菌にもコピーして伝達することができた。海の中では莫大な数の細菌たちがもくもくと水銀を分解し、海のお掃除をしていたのだ。そして役割を終えた耐性菌はその能力の元となる遺伝子を捨て去り、またもとの普通の菌に戻る。自然の浄化のメカニズムは神秘そのものだ。(「死の海からの復活」より)

 この水俣湾の復活劇を見ると、原油流出を分解する細菌も信じられる。ただ海岸に多く見られるプラスチックゴミは、そう簡単に分解できる微生物はいないようだ。人間は取り返しのつかないプラスチック汚染を、今日も広げ続けているのだ。 

 

参考HP 素敵な宇宙船地球号「死の海からの復活 

メチル水銀を水俣湾に流す
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水田は蘇るか?カドミウム汚染を塩化鉄で3割以下に浄化!

2010年08月23日 | 環境保護

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 塩化鉄でカドミウムをイオン化
 カドミウムに汚染された水田の水に塩化鉄を混ぜて土中のカドミウムを洗い出し、収穫するコメのカドミウム濃度を3割以下に下げる技術を、独立行政法人農業環境技術研究所(茨城県つくば市)と「太平洋セメント」(本社・東京都港区)が共同で開発し、8月19日発表した。

 改正食品衛生法が来年2月に施行されるのに伴い、コメのカドミウム含有基準が厳しくなり、政府による買い上げ補償も廃止される。研究チームは「汚染された水田の浄化に役立つ」としている。

 同研究所の牧野知之主任研究員らは2006~2007年、カドミウム濃度が高い水田に塩化鉄を1アールあたり約100キロ投入。まる1日置いて水中にカドミウムが溶け出した後、その水を抜いた。その後、塩化鉄を入れない水だけでの「すすぎ洗い」も2日間実施した。

 こうした処理を済ませた水田で収穫したコメのカドミウム濃度は約0.2ppmと、新しい基準値(0.4ppm)以下だった。同程度の汚染を受けた未処理の水田で収穫したコメの濃度は約0.7ppmで、濃度を3割以下に減らせた。その後3年間の実験で、一度処理すれば効果が続くことも確かめた。

 従来の浄化方法は、新たな土を盛る「客土」が主流だったが、盛る土がやせているため収量減が悩みの種だった。今回の方法は収量を保てるという。

 新しい基準では、コメのカドミウム濃度が「1ppm以下」から「0.4ppm以下」に引き下げられる。政府はこれまで、0.4~1ppmのコメについては、基準を満たしていても一定額で買い上げた後廃棄していたが、来年2月以降は買い上げも廃止する。同研究所などによると、新しい基準値である濃度0.4ppm以上のコメができる可能性のある水田は、全国の水田の約0.3%に当たる4500ヘクタール程度だという。(毎日新聞 2010年8月19日)

 イタイイタイ病
 カドミウムは人体の構成に不要な物質であるばかりか、低濃度でも極めて強い毒性を示す。カドミウムは人体に体重1kgあたり約0.7mg含まれると見積もられている。カドミウムは多くの生物種において蓄積性がみられ、ヒトでは体内に約30年間残留すると言われている。

 人の体内に蓄積された事件で思い出すのは、「イタイイタイ病」である。富山県神通川の上流に、亜鉛と鉛を産出する鉱山があり、長年にわたって川へ鉱滓を捨てていた。その神通川流域では、大正時代から奇妙な病気が発生していた。それは、骨粗鬆症、骨軟化症になるため、体中の骨が歪んだり、折れたりした。そして、「イタイイタイ」といって死に至った。

 昭和42年岡山大学教授らの共同研究により、富山県のイタイイタイ病は、三井金属鉱業神岡鉱業所排出のカドミウムが原因と発表。鉱業廃棄物を神通川に流し続けたため、土壌・水稲・大豆などにカドミウムや鉛が多く含まれていた。イタイイタイ病に鉛の症状がみられなかったため、カドミウムが問題とされた。

 昭和43年(1968)5月8日厚生省は公害病と認定。国として初めての産業公害に関する企業の責任を明示した。即ち、日本の公害病第1号となった。

 カドミウムの毒性
 大腿部、腰、肩、背中などの関節の痛み、リューマチに似た疼痛。腎臓障害がおこり、骨からカルシウムが失われるため、骨が折れたり変形し、全身が痛み、苦しんだ末に、衰弱して死亡します。水道水の基準値:0.01mg/l 排水の基準値 :0.1mg/l 

 米の基準値1970年に決められた日本の玄米基準値は1ppmだが、この基準値は国際基準値案の10倍もある。現在、FAO(世界食糧機構)とWHO(世界保健機構)では、穀類と豆類中のカドミウム含有量の国際基準値を0.1ppmとする案を検討しているが、日本では0.4ppm以上を準汚染米として流通禁止としており、流通玄米中の約3割が0.1~0.4ppmであり、国際基準値案を超えると推定される。

 その他のカドミウム分離法
1.フェライト生成-磁気分離法
 フェライトとは、鉄(Ⅱ)イオンを含む溶液にアルカリを加えて酸化処理をすると、生成するもので強磁性がある。いわゆる磁石である。なお、鉄以外の金属(コバルト、マンガン、ニッケル等々)でも同様の結晶があり、フェライトを含めてマグネタイトと総称されている。

 フェライトの生成は、他の重金属が含まれている場合でも、同様の反応が起こり、他の重金属をフェライトの結晶構造に取り込む。

 フェライト生成-磁気分離法は、この性質を利用して処理す。各種重金属を一括して処理することが可能な上、フェライトの結晶に取り込まれた重金属は、再溶出しにくい。また、強磁性であるため磁気分離装置で処理水との分離が可能な上、分離されたスラッジは副生フェライトとして制振材料、電波吸収体として、リサイクルができる。

 最適反応条件は、pH9以上、温度60℃、モル比 NaOH:FeSO4=2:1EDTA、有機酸などのキレート剤が存在すると、処理が不完全となるので前処理として過マンガンカリウム等で酸化処理で行うことがあります。

2.イオン交換法
 イオン交換樹脂で吸着させて除去する方法。カドミウム、鉛などは陽イオンになるため、陰イオン交換樹脂が用いられる。

 一般にイオン交換樹脂は高価なので、特別な場合を除き、有価金属を回収する場合に用いらることが多く、イオン濃度が低く、水量の多い排水の場合にメリットが大きくなる。処理水質は安定しているが、原水に共存する同電荷のイオンが多量に存在したりすると、目的のイオンが除去できなくなってしまうことがある。

 一方、目的のイオンだけを除去することを目指して開発されたのが、キレート樹脂である。ポリスチレンやフェノール樹脂を母体に、官能基や特殊金属を付加して吸着させる。

3.鉄粉法
 鉄片を酸性溶液に浸すとその表面が溶解して、反応性に富んだ金属表面が現れる。これにより、鉄粉と共存する重金属はイオン化傾向の差で還元析出する。この原理は、鉱山での銅の回収に適用されていて、ダライコ法と呼ばれていた。鉄粉法もこの原理を応用している。

 金属鉄の還元作用に加え、溶出した鉄イオンの共沈作用により、固液分離をするものである。さらに、表面積を大きくした多孔性の特殊鉄粉を用いることで、吸着作用を付加させ、イオン化傾向的に処理が難しいとされていたCd、Ni、Zn等も処理が可能となる。

 工程は、酸性側での還元・吸着工程と、アルカリ側での凝集沈殿工程からなる。弱アルカリでは生成する水酸化鉄(Ⅲ)が共沈剤として作用する。鉄粉法は有害物質の一括処理ができるので、研究室や実験設備の排水の処理に適用される例が多いようだ。

 欠点としては生成するスラッジが多いこと、重金属濃度が高すぎる(1000mg/L<)と還元吸着作用が効果的でなくなること、キレート剤を含む場合はあらかじめ、酸化分解処理しなければならないこと、などが挙げられる。

 

参考HP Wikipedia「カドミウム」・水処理通信155号「カドミウム・鉛処理法 

初歩から学ぶ土壌汚染と浄化技術―土壌汚染対策法に基づく調査と対策 (ケイ・ブックス)
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世界遺産をめざす小笠原・「グリーンアノール」1万匹駆除成功!

2010年07月05日 | 環境保護
 外来トカゲ、ペタペタ作戦
 独自の生態系の豊かさから「東洋のガラパゴス」といわれる小笠原諸島で、外来トカゲの駆除に粘着式のワナを使った「ペタペタ作戦」が効果を上げている。1万匹以上を捕獲し、駆除した区域では、密度を4分の1以下にすることに成功した。来夏に世界自然遺産への登録をめざす小笠原にとって、外来種対策の成否は大きな焦点。4日から、国際自然保護連合(IUCN)の現地調査が始まる。

 「粘着式のワナを使ったトカゲの大量駆除は、世界でもほとんど例がない試みだ」
 環境省の委託で駆除作業を進める財団法人自然環境研究センター(東京都)の戸田光彦・生物多様性企画室長は、そう話す。

 小笠原諸島で駆除が進められているのは、全長が15センチ前後になる米国原産のトカゲ「グリーンアノール」だ。

 環境省は粘着式のワナによる捕獲作戦を2006年に父島、2008年に母島で始めた。ワナはプラスチック製でゴキブリ捕りに形が似ている。木の幹などに据え付けて使う。トカゲが入ると、足が張り付いて出られない。ワナは父島では港の周辺の約10ヘクタール、母島は島中部の森林地帯約 2ヘクタール、約 6千カ所に設置した。

 外来種・グリーンアノール
 
このトカゲは1960年代、まず父島に定着した。1980年代には母島に「飛び火」した。現在は数百万匹まで増加。国の天然記念物のチョウ「オガサワラシジミ」など、小笠原固有の様々な昆虫類を食べ、島の生物多様性に深刻な影響を与えてきた。

 駆除作戦では全域で根絶するのは難しいため、希少な昆虫類が多い区域などを選び、重点的に捕獲した。その結果、今年3月までに約1万300匹を捕獲できた。駆除区域内のトカゲの生息密度は、父島では4分の1、母島では5分の1に減少したという。

 環境省によると、父島と母島でワナの設置や回収などにかかる費用は年間4500万円前後。ワナ1個当たり180円と、費用対効果でみれば安上がりの対策になった。

 トカゲの駆除作戦について、神奈川県立生命の星・地球博物館の苅部治紀・主任学芸員は「グリーンアノールの生息密度が減れば、それだけ在来昆虫の生存の可能性が高まる。前例のない取り組みで、すばらしい成果だ」と評価。一方で、「長年、捕食によって在来種は痛めつけられているので、昆虫の数や種類が目に見えて回復するには時間がかかるだろう」と話す。

 外来種 vs 固有種
 小笠原諸島は過去に一度も大陸と地続きになったことがなく、生物が独自の進化をとげてきた。国の天然記念物オガサワラオオコウモリが生息し、植物の 3割以上、陸産貝類の9割以上が固有種だ。
東洋のガラパゴスとも呼ばれるほど、貴重な動植物が多い。

 しかし、人間が持ち込んだ生物や島の開発などが原因でオガサワラオオコウモリやオガサワラノスリ、アカガシラカラスバト、ハハジマメグロなどの動物やムニンツツジ、ムニンノボタンといった植物など、いくつかの固有種は絶滅の危機に瀕している。

 国や東京都が対策に本腰を入れている。弟島では、トンボなどを食べる北米原産のウシガエルをかごわななどで捕り尽くし、根絶。外来種の樹木アカギは、人の手で樹皮を削り取って枯らす作業が行われている。

 現地調査は、ユネスコの世界遺産委員会の諮問機関のIUCNが 7月13日まで行う。IUCN日本委員会は「外来種は島の生態系にとって大きな問題。重点的に調べることになる」という。調査団はトカゲのワナの設置場所などを視察する予定だ。来春までに報告書をまとめ、来夏の世界遺産委員会で登録の可否が判断される見通しだ。

 すでに登録された世界遺産でも、外来種問題は大きな課題だ。南米のガラパゴス諸島では、ブラックベリーなど800種以上の外来植物がはびこるなど、独自の生態系が危機に直面。世界遺産委員会は2007年、緊急の保全策が必要な「危機遺産」に指定した。

 環境省の羽井佐幸宏・世界自然遺産専門官は「世界遺産に登録されるためには、将来にわたって確実に自然が引き継がれることを示す必要がある。外来種対策は、そのために必要不可欠だ」という。(asahi.com 2010.7.1)

 グリーンアノールとは何か?
グリーンアノール (Anolis carolinensis) は、爬虫綱有鱗目トカゲ亜目イグアナ科(アノールトカゲ科とする説もあり)アノールトカゲ属に分類されるトカゲ。別名アメリカカメレオン。分布 アメリカ合衆国南東部、キューバ、メキシコ、西インド諸島に分布する。日本(沖縄島、小笠原諸島)、アメリカ合衆国(グアム、ハワイ)等に移入している。

 本種はもともと日本には生息していないが戦後に運搬された物資に混入していたり、ペットとして飼われていたものが遺棄されたり、脱走した個体が沖縄島や小笠原諸島の父島、母島に帰化している。森林や民家の近くにも生息する。オスは咽喉垂を広げ威嚇や求愛行動を行う。

 食性は動物食で、昆虫類、節足動物等に素早く詰め寄り捕食する。繁殖形態は卵生で、10-20日間に1回の間隔で数回にわたり1、2個の卵を地中に産卵する。

 特に小笠原諸島ではオガサワラシジミなど固有種を多く含む昆虫類に壊滅的被害を与えており、地上性の昆虫が地域によってはほとんど姿を消すに至っている。100万匹以上といわれ大変な問題なのだが、大規模な対策はとられてない。

 沖縄島では1989年に東風平町(現八重瀬町)で初確認され、その後那覇市で多くの個体が確認されるようになった。沖縄島での在来生物への影響は不明である。

以前はペット用やトカゲ食動物の餌用としても大量に輸入されていたが、2005年外来生物法により特定外来生物に指定されたため、2007年現在日本国内での本種の流通はない。

 世界遺産に登録されるには

 前提条件
(1)物件を保有している国が世界遺産条約を締結していること
(2)物件が国の法律で確実に保護されていること
 文化遺産の場合: 国宝を含む重要文化財、重要文化的景観、伝統的建造物群保存地区などに指定されていること。
 自然遺産の場合: 自然環境保全法によって国立公園や都道府県が指定する自然環境保全地区に含まれていること。
(3)物件は完全性、真実性を満たし、登録基準のいずれか一つ以上にあてはまること
  完全性(Integryty): 世界遺産の価値を構成する必要な要素がすべて含まれ、長期的保護制度が確立されていること。
  真実性(Authenticity): 文化遺産の場合は建造物や遺跡が本来の芸術的・歴史的価値(オリジナリティ)を保っていること。
  登録基準: 2007年以降は文化遺産の6基準、自然遺産の4基準を統合した10基準の一つ以上にあてはまること。

 登録までの流れ(日本の場合)
(1)国内暫定リストに記載する物件を選定
  文化遺産の場合は文化庁
  自然遺産の場合は環境省か林野庁
(2)世界遺産条約関係省庁連絡会議で国内暫定リストへの記載を決定
(3)国内暫定リストをユネスコ世界遺産センターへ提出
(4)暫定リストのなかから条件の整った物件をユネスコ世界センターへ推薦
  各国の推薦は年2物件(2007年から4年間の試験的措置)
(5)ユネスコ世界遺産センターが現地調査
  文化遺産については ICOMOS、自然遺産については IUCN に現地調査を依頼
(6)ユネスコ世界遺産委員会(年1回開催)で登録の可否を決定
 ICOMOS、IUCN 及び ICCROM の代表を交えて審査し登録の可否を決定
 (ICOMOS=国際記念物遺跡会議・IUCN=国際自然保護連合・ICCROM=文化財の保存及び修復の研究のための国際センター)


参考HP 小笠原自然情報センター「自然再生の取り組み状況」・平和が一番「世界遺産に登録されるには」・Wikipedia「グリーンアノール」 

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私たちの環境は守られているか?国内の環境法5・鳥獣保護法

2010年07月02日 | 環境保護
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で10月に開かれる。生物多様性とは地球上の生物がバラエティに富んでいること。開発や乱獲、外来種の侵入によって、絶滅の危機に瀕し保護される生物もいる一方、農作物を食い荒らし増加する動物もいる。これも生物多様性の問題のひとつだ。

 鳥獣被害とは野生鳥獣による農林水産業等への被害のこと。現在、シカやイノシシなど野生鳥獣の生息域が広がり、山では希少な植物が食い荒らされ、ふもとでは農作物被害が深刻化している。捕獲数は年々増えているのに被害は減らず、生物多様性の悪化が懸念されている。鳥獣被害防止特別措置法に基づき、市町村の被害防止対策を財政的に支援する事業は、政府の行政刷新会議の仕分けで予算縮減となり、市町村が頭を抱えている。

 シカやイノシシなど増加しつつある動物に対して我々はどう対処していけばよいのだろうか?調べてみると、野生鳥獣を保護する目的の法律は多いが、野生鳥獣を駆除する法律は少ない。駆除に関する法律とは何だろう?

 昔は「狩猟法(1918年成立)」があったが、1963年より「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)」に名称が変わった。この法律は、日本国内における鳥獣の保護と狩猟の適正化を図るのが目的である。

 しかし、この法律は、野生動物を保護するのが前提。鳥獣被害に対して、迅速な対応ができないとして、2008年2月には「鳥獣被害防止特別措置法」施行されている。今日は鳥獣被害に関する法律を調べたい。

 鳥獣被害の現状
 どんな動物が農作物を食い荒らすのだろう?

 正解はスズメ、カラス、ヒヨドリ、ムクドリなどの鳥類とイノシシ・ニホンジカ・ニホンザルなどの哺乳類である。鳥獣による農業被害は、1940年代後半から1980年代後半までスズメ、カラス、ヒヨドリ、ムクドリなどの鳥害が多く、獣害は山間地などで散発的に報告されていた程度だった。

 しかし、近年はイノシシ、ニホンザル、ニホンジカなどによる被害が全国規模で発生し、山間地に留まらず平野部にも被害が拡大している。また近年は、マグースやハクビシンなど移入種による被害も増えつつある。

 林業被害はカモシカ、ニホンジカ、ツキノワグマ、ノウサギ、ノネズミなどによる食害、角こすりなど。1950年代から1970年代まではノネズミ、ノウサギが多かったが、1970年代後半からカモシカによる被害が目立つようになり、1980年代終わりからニホンジカによる被害が増加してきた。クマ類の人身被害や恐怖感を与える精神的被害も問題になっている。
 
 では、なぜこれらの生物は増加したのだろう?

 正解は、天敵の不在、開発による生育場所の減少、農地の荒廃、狩猟者の減少などである。1905年にニホンオオカミが絶滅し、以後天敵が不在になった。また、開発の進行による野生動物の生息地の分断・縮小や、中山間地域の衰弱に伴う森林や農地の荒廃など環境変化に伴う影響が大きいとされる。

 事業仕分けで、対策予算は縮減
 「地方の切実な状況を(国は)本当に分かって予算を切ったのか」。長野県の村井仁知事は4月23日の会見で不満をあらわにした。シカやイノシシなど野生鳥獣による農業被害防止の施設整備費として、国に10年度の交付金3億2000万円を要望したが4分の1しか認められなかった。昨年11月の事業仕分けで予算が縮減された。

 県の農業被害額は2008度9億8000万円で、北海道に次ぎ2番目に多い。レタス生産量日本一の川上村では、畑に入り込んだシカが出荷直前のレタスを食べるなど、被害は年1億6000万円にのぼる。シカの侵入を防止するため高さ2メートルの柵を16キロにわたって整備する計画を作り、3800万円を要望した。同様に鳥獣被害に悩む28市町村が計画を作成し、県は約3億2000万円を要望した。しかし、認められたのは約7600万円だった。川上村は県と調整し、何とか別の事業を利用して柵を作ることになった。

 担当者は「柵は切れ間なく一気に設置しなければ効果は上がらない。道路のように毎年少しずつ作るわけにはいかない」と話す。

 鳥獣保護法と鳥獣被害防止特措法
 鳥獣保護法に基づき国内で有害鳥獣として捕獲された野生動物は10年前と比べるとイノシシは4.5倍、シカは2.2倍、ニホンザル1.6倍、カワウは4倍に達している。それにもかかわらず、農作物被害は年間200億円と高止まりで、樹皮を食われる森林被害は年間5000~7000ヘクタールで推移している。世界自然遺産の知床(北海道)では希少な高山植物のシレトコスミレが食べられ、屋久島(鹿児島県)では固有のシダ類が激減した。

 鳥獣被害防止特措法は農業被害に迅速に対応するため、自公連立政権時代の2008年2月に施行された。狩猟免許講習会や生息状況調査、野生動物の侵入防止柵設置など市町村の被害防止の取り組みを財政支援する。全国で約1000の市町村が被害防止計画を作成した。10年度は全国で47億円の要望があったが、予算は2009年度当初の約28億円から約23億円に減額された。担当者は「高齢化が進み、農家は疲弊している。被害対策にやっと立ち上がろうとしたのに、予算減額とは、はしごをはずされたようなものだ」と憤る。

 野生鳥獣 vs 人類
 明治時代の狩猟解禁や戦中戦後の食糧不足でシカなどの野生鳥獣は乱獲され、一時は絶滅の危機にあった。ところが、最近では雪が減って冬を越せるようになったことや、天敵のオオカミの絶滅やハンターの減少でシカは急増している。三浦慎悟・早稲田大教授(野生動物管理)は「明治以降、これほど野生動物と人のあつれきがひどい時代はなかった。被害対策のノウハウは伝承されず、捕獲は高齢化するハンターに頼っている」と話す。全国の狩猟免許取得者は1970年度に53万人だったのが、2006年度は18万7000人と3分の1まで減り、半数が60歳以上だ。

 行政にも野生動物の専門家は少ない。環境省の調査によると、全国の都道府県で約1000人が鳥獣行政に携わっているが、専任の職員は約3割にとどまっている。

 狩猟や有害捕獲の技術だけでなく、被害実態の把握や対策立案、住民との合意形成などに取り組む人材育成を目指し、日本獣医生命科学大や信州大、宇都宮大など大学が講座や研修会を始めた。日本獣医生命科学大の羽山伸一・野生動物教育研究機構長は「複雑で多様化する野生鳥獣対策に対応できる人材育成が急務だ」と強調する。(毎日新聞 2010年6月28日)

 鳥獣保護法とは?
 正式名称は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」、2002年(平成14年)に改正。日本国内における鳥獣の保護と狩猟の適正化を図る目的の法律である。略称は、 鳥獣保護法 、狩猟法。

 この法は、「鳥獣の保護」と「狩猟の適正化」を図ることを目的としている。またそれをもって「生物多様性の確保」、生活環境の保全及び農林水産業の発展を通じて、自然環境の恩恵を受ける国民生活の確保及び地域社会の発展も目的としている。

 狩猟で捕獲できる鳥獣はシカ、イノシシ、キジなど49種類が指定されている。しかし、有害鳥獣対策としては不十分という声が上がる一方、鳥獣保護の考えを後退させレジャーとしての狩猟や安易な駆除の促進を行うための悪法という声もある。

 近年は、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)や動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)の制定・施行により、生態系の保護や、鳥獣を含めた動物保護・愛護の分野において詳細な対策がなされつつある。

 その一方で、有害鳥獣等の駆除等、狩猟等の分野について、意見の対立も見られ、今後は保護と駆除のバランスが要求されている。(Wikipedia)

 鳥獣被害防止特別措置法とは?
 農林水産省の調査によると、全国の野生鳥獣による農作物被害は2006年度が196億円で、前年度より10億円増えた。鳥獣別では獣類が6割、鳥類が4割であり、特にイノシシ、シカ、サルの被害が獣類被害の9割、鳥獣全体の5割強を占めている。

 これらの農作物への被害を防ぐための、2007年12月14日「鳥獣被害防止特別措置法」が成立した。正式名称は「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」。2008年施行。

 内容は、農漁村で広がる鳥獣による農林水産被害の防止が目的。被害防止計画を定めた市町村に、都道府県に代わって鳥獣捕獲の許可権限を出すことを認め、職員やハンターらをメンバーに被害対策実施隊を結成し、鳥獣の捕獲や防護柵の設置などを進める。捕獲した鳥獣の肉を加工する施設整備も補助対象。

 鳥獣被害防止措置法のポイントは、次の通り。
・農相が鳥獣害防止施策の基本指針を策定
・基本指針に即し市町が被害防止計画を策定
・計画策定市町に鳥獣捕獲の許可権限を委譲
・国と県は計画実施に必要な財政措置をとる
・市町が「鳥獣被害対策実施隊」を設置
・民間人の隊員は非常勤市町職員に位置付け
・隊員には狩猟税を軽減
・被害防止に必要な調査を行い、原因を究明
・鳥獣の生息状況などを定期的に調査するよう鳥獣保護法を改正

参考HP Wikipedia「鳥獣保護法」・農林水産省「鳥獣被害防止特措法

 

鳥獣保護法の解説
鳥獣保護管理研究会
大成出版社

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Q&A 早わかり鳥獣被害防止特措法
自由民主党農林漁業有害鳥獣対策検討チーム
大成出版社

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私たちの環境は守られているか?国内の環境法4・外来生物法

2010年07月01日 | 環境保護
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で10月に開かれる。もともと日本にいなかったのに、人間が持ち込んだ生物のために各地で生態系が悪化している。外来種問題は10月のCOP10 でも主要テーマの一つだ。在来種を外来種から守るための外来生物法は施行から5年を迎えた。だが実効性にはさまざまな課題がある。

 外来種とは、他地域から人為的に持ち込まれた生物。なぜ外来種はいけないとされるのだろう?

 それは、在来種への圧迫、食物連鎖のバランスなど生態系に与える影響、遺伝子の撹乱、第一次産業(農業等)への被害等が挙げられるが、2つ以上にまたがるものも珍しくない。

 外来種の諸問題
 農業に深刻な影響を与える場合、本格的な駆除が行われることがある。例えば南西諸島においては、ウリミバエが農作物に大きな被害を与えていたが、放射線を用いた不妊虫放飼法により、根絶に成功している。また、オーストラリアでは、移入種のウサギを駆除するため、致死性の粘液腫ウィルスの導入が行われたことがあるが、ウサギの耐性獲得とウィルスの弱毒化変異により失敗した。

 国内では広い地域で、シカやイノシシの増加により農作物の食害が起きている。これは1905年に、ニホンオオカミが絶滅したため、生態系に現れた悪影響の結果である。この解決手段として、近縁のオオカミの導入の是非についての議論がなされている。この場合、オオカミが外来種になってしまう問題がある。

 1910年にハブ駆除を目的として沖縄島に放され、その後奄美大島にも定着したジャワマングースは、ヤンバルクイナやアマミノクロウサギなど希少な小動物の多い両島の生態系に深刻な被害を与えている。しかも、生活時間帯の重なりの少ないハブの個体数にはほとんど影響を与えていないことが明らかになり、現在、国や自治体の主導する駆除活動が続けられている。

 このように外来種にはさまざまな問題がある。今日は外来生物法について調べたい。

 特定外来生物と要注意外来生物
 外来生物法の正式な名前は何だろう?

 正解は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」である。2004年(平成16年)6月2日公布された。外来生物法では何が定められているのだろう?

 正解は、日本在来の生物を捕食したり、これらと競合したりして、生態系を損ねたり、人の生命・身体、農林水産業に被害を与えたりする、あるいはそうするおそれのある外来生物による被害を防止するために、それらを「特定外来生物」等として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入等について規制を行うとともに、必要に応じて国や自治体が野外等の外来生物の防除を行うことを定める。

 また、その懸念が指摘されている生物については「要注意外来生物」として、特定外来生物への指定を視野に入れ別途指定することを定めている。

 では「特定外来生物」とはどんな生物だろう?

正解は、 哺乳類ではタイワンザル、カニクイザル、アカゲザル、アライグマ、カニクイアライグマ、ヌートリア、フクロギツネ、ハリネズミ属全種、アメリカミンク、アキシスジカ属全種、シカ属(ニホンジカの国内固有亜種を除く)、ダマジカ属全種、 シフゾウ、キョン、クリハラリス(タイワンリスを含む)、トウブハイイロリス、キタリス(エゾリスを除く)、タイリクモモンガ(エゾモモンガを除く)、マスクラット、ジャワマングース、シママングースなど21種である。

 鳥類ではガビチョウなど4種、爬虫類はカミツキガメなど13種、両生類はヒキガエルなど11種、魚類はチャネルキャットフィッシュなど13種、クモ・サソリ類はセアカコケグモなど5種、甲殻類はウチダザリガニなど5種、昆虫類はセイヨウオオマルハナバチなど8種、軟体動物はカワヒバリガイなど5種、植物はミズヒマワリなど12種である。(2010年2月1日現在)

 では、「要注意外来生物」とはどんな生物だろう?

 哺乳類は、リスザル、フェレット、シマリス、鳥類は、インドクジャク、シジュウカラガン大型亜種、コリンウズラ、クロエリセイタカシギ、シリアカヒヨドリ、外国産メジロ(ハイバラメジロ、ヒメメジロなど)、 

 爬虫類では、アカミミガメ、ワニガメ、チュウゴクスッポン、アメリカスッポン属全種、クーターガメ(アカハラガメ)属全種、チズガメ属の3種、ハナガメ、ヒョウモントカゲモドキ、グリーンイグアナ、両生類ではアフリカツメガエル、ヒキガエル属の5種。

 魚類では、タイリクバラタナゴ、ニジマス、ブラウントラウト、カワマス、グッピ-、ソウギョ、アオウオ、オオタナゴ、カラドジョウ、ヨーロッパナマズ、ウォーキングキャットフィッシュ、マダラロリカリア、ナイルパーチ、タイリクスズキ、マーレーコッド、ゴールデンパーチ、ナイルティラピア、カワスズメ、カムルチー、タイワンドジョウ、コウタイ

 無セキツイ動物では、アメリカザリガニ、クワガタムシ科全種など、植物では、オオカナダモ、ホテイアオイ、セイタカアワダチソウなど多種ある。

 クリハラリスとアライグマ
 東京の国立科学博物館新宿分館に、長崎県福江島(五島市)から運ばれたクリハラリス200匹余りが並べられていた。アジアから持ち込まれた外来種で、在来種のニホンリスの生息を脅かしている。動物研究部の川田伸一郎研究員は「毎月送られてきて1000匹近くになった。標本として保存し、根絶に役立てたい」と話す。

 昨年9月、別の外来種であるアライグマの分布は東京都心の皇居に及んだ。都内では昨年度、139匹が捕獲されたが、自然が残る多摩地区に集中し、都心で初の確認となった。北米原産で、ペットとして80年ごろから年間約1500匹輸入されてきた。その一部は飼育できずに逃亡。野外で定着し、すべての都道府県で確認されている。ニホンイシガメなど希少種を餌にし、全国の農林水産被害は2008年度で1億9600万円に上る。さらにアライグマが持つ回虫が口に入ると、中枢神経障害の原因にもなる。

 外来生物法か鳥獣保護法か
 外来種による影響を抑えようと、外来生物法が施行されたが、実際の行政の対応は遅れている。

 例えば、皇居のアライグマの駆除は外来生物法ではなく、「有害鳥獣」として鳥獣保護法に基づいて実施された。外来生物法に基づいて駆除するには具体的で長期的な防除法などを記した「防除計画」を策定しなければならないが、都は策定していない。都の担当者は「生態系影響の調査が難しく、被害が分からない状況で、防除計画を策定するには手間がかかる」と語る。

 今年3月末現在、国の認定を受ける防除計画を策定したのは自治体やNGOなど約300団体と少ない。2006年度で、同法に基づいて駆除された野生生物はクリハラリスを筆頭に5種類の計1万8759匹にすぎない。環境省外来生物対策室は「まずは(鳥獣保護法など)可能な制度を利用して駆除していきたい」と説明する。

 根・絶・不・可・能?
 また、ミドリガメや外国産クワガタムシなどすでに分布が拡大し、根絶が望めない種に対して十分対応することは難しい。アライグマの場合、小池文人・横浜国立大教授(生態学)によると、30年後には関東甲信越地方全体が生息地になるという。

 現行法は、外来種の中でも生態系への影響があったりその恐れがある特定外来種を列挙する「ブラックリスト」形式を採用している。これに対し、環境NGO「世界自然保護基金(WWF)」は、海外の生物の持ち込みを原則禁止し、安全が確認されたもののみ輸入を許可する「ホワイトリスト」形式への変更を求めている。

 同方式を採用するニュージーランドの外来生物法は、外来種を駆除するだけでなく、管理することを目指すと明記している。国や自治体だけでなく、市民や企業も外来種の管理、駆除計画を提案、実施できる。

 今秋に「生物多様性というロジック」(勁草書房)を出版する及川敬貴・横浜国立大准教授(環境法)は「多くの外来種が定着し、分布拡大しているので、どう付き合っていくのかが問われているが、外来生物法はその視点が不十分だ。生態系が異なる都道府県や市町村ごとに地域住民の参加による運用が必要だ」と提言する。

 国立科学博物館の川田研究員は「外来種は将来、何を起こすか分からない。根絶だけでなく予防の大切さを認識してほしい」と呼びかける。(毎日新聞 2010年6月21日)

 外来生物法とは何か?
 正式名は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、2004年(平成16年)6月2日公布された。

 日本在来の生物を捕食したり、これらと競合したりして、生態系を損ねたり、人の生命・身体、農林水産業に被害を与えたりする、あるいはそうするおそれのある外来生物による被害を防止するために、それらを「特定外来生物」等として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入等について規制を行うとともに、必要に応じて国や自治体が野外等の外来生物の防除を行うことを定める。

また、その懸念が指摘されている生物については要注意外来生物として、特定外来生物への指定を視野に入れ別途指定することを定めている。

 生物多様性条約は、締約国に生態系や生息地などを脅かす外来種の持ち込みの防止や管理、撲滅などを義務づけている。条約に加盟している日本は2004年に外来生物法を成立させ、2005年6月から施行した。現在までに被害を及ぼすと考えられる「特定外来生物」としてアライグマなど97種が指定され、輸入や運搬、飼育を原則禁止している。被害を及ぼす疑いはあるが、日本にいないリスザルなど148種は「未判定外来生物」として指定し、輸入業者に国に届け出るよう求めている。違反すると、個人には3年以下の懲役か300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が科せられる。

 

参考HP Wikipedia「外来生物法」・「アライグマ」・「タイワンリス」・ 環境省「外来生物法

外来生物クライシス (小学館101新書)
松井 正文
小学館

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外来生物の生態学―進化する脅威とその対策 (種生物学研究)

文一総合出版

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私たちの環境は守られているか?国内の環境法3・環境影響評価法

2010年06月30日 | 環境保護
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 国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で10月に開かれる。生物多様性を脅かす大きな原因が、動植物の生息地の開発だ。現在、大規模開発に伴う環境影響を低減するための環境影響評価(環境アセスメント)法改正案が衆院で審議されている。しかし、企業や開発官庁は「事業が遅れる」と消極的で、欧米と比べ対象が限られている。実効性が問われそうだ。 

 例えば、沖縄県辺野古に米軍基地が移設された場合、ジュゴンの生態に確実に影響が出るのに、防衛省は米軍施設と自衛隊施設を環境アセスメントの適用除外とするよう環境省に求めている。外務省も在日米軍基地施設・区域の提供に悪影響が及ばないよう求める意見を提出。環境省は「基地施設が適用されるかどうかはその都度判断する」と述べている。しかし、生物多様性が重要といいながら、例外を認める法律はどこか腑に落ちない。

 国防問題やエネルギー問題と生物多様性は両立しないのだろうか?今日は「環境影響評価法」について調べる。

 環境アセスメント
 環境評価法でいう「環境評価」とは、「環境アセスメント」ともいい、主として大規模開発事業等による環境への影響を事前に調査することによって、予測、評価を行う手続きのことを指す。ではどんな事業のときに環境アセスメントを行うのであろうか?

 正解は道路、ダム、鉄道、空港、発電所などの事業である。これ以外には、廃棄物最終処分場 埋立て干拓、土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業、新都市基盤整備事業、宅地の造成の事業、港湾計画など13種類ある。

 では、環境アセスメントでいったい何を調べるのだろう?

正解は、大気環境、水環境、土壌環境・その他の環境、植物、動物、生態系、景観、触れ合い活動の場、環境への負荷、廃棄物等、温室効果ガス等である。

 環境影響評価法施行前は公害(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭など)および自然環境の保全(地形、地質、植物、動物、景観および野外レクリエーション地など)について網羅的に行われていた。

 環境影響評価法施行後は、「環境の自然的構成要素の良好な状態の保持」(従来の公害項目と地形・地質など)、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」(植物、動物および生態系)、「人と自然との豊かな触れ合い」(景観および触れ合い活動の場)、「環境への負荷」(廃棄物等、温室効果ガスなど)の中から対象事業の性質に応じて適切な要素を選ぶ手続き(スコーピング)を踏んで行われるようになった。

 これまでに行われた環境アセスメントには、どんな事業があるのだろう?

 例えば、北海道新幹線、大間原子力発電所、福島第一原子力発電所7・8号機増設、横浜湘南道路、川崎天然ガス発電所、東海環状自動車道(北勢IC~県境)、新石垣空港整備事業など多数ある。

 カンムリウミスズメ
 「ヒナを連れた親鳥ですね」。山口県の市民団体「長島の自然を守る会」の高島美登里代表が説明した。10日、上関町沖の瀬戸内海西部の周防灘で、青い波間を全長20センチほどの黒い海鳥計9羽が泳いでいた。環境省指定の絶滅危惧(きぐ)種で、国の天然記念物のカンムリウミスズメの親子だ。時折、海に潜って餌をとっている。

 カンムリウミスズメは世界でも日本近海にしか生息せず個体数はわずか5000羽。西日本の中でも水温が低い周辺海域は、海鳥の餌となるプランクトンや小魚、イカの子が豊富で、世界有数の生息域になっている。

 ところが、北西に6~8キロの地点で中国電力が原子力発電所の建設を計画している。海を14ヘクタール埋め立てる計画で、昨年10月に一部工事に着手した。

 中国電力は2001年、環境影響評価書を国に提出した。ところが、2007年にカンムリウミスズメが予定地周辺の海域で確認された。飯田知彦・九州大研究員(鳥類生態学)によると、冬から春にかけては建設予定地から1キロ以内にも出現する。日本生態学会など3学会は今年2月、原発から温かい排水が流されれば、餌のプランクトンが減少するとして、埋め立て工事の中止や適正な調査を求めた。これに対して、中国電力は「追加調査の実施など真摯(しんし)に対応している」としている。地球温暖化対策から原発建設が必要との立場だ。

 高島代表は「周防灘はかつて瀬戸内海の象徴だった干潟や自然海岸が残っている。初めに事業ありきのアセスでは、生物多様性は守れない」と批判する。

 戦略的環境アセスメント(SEA)
 現行アセスは個別事業を行う直前に実施する。既に位置や規模などが決まり、計画の大幅変更が難しいことが大半だ。民主党は政策集により早い段階でアセスを行う「戦略的環境アセスメント(SEA)」を導入することを明記した。

 SEAは欧米や中国・韓国などで導入されている。米ミズーリ州では、州全体を走る高速道路(長さ約320キロ)を改良する計画をつくる前に (1)既存道路を維持し保守管理 (2)拡幅 (3)並行して新規無料道路の建設 (4)高速鉄道の建設--など7案を比較検討し、4案に絞った。そのうえで、住民の意見を聞き、「拡幅」に決めた。注目されるのは、「新たな開発は行わない」との選択肢もある点だ。

 改正案は従来のアセス手続きの前に、個別事業の位置や規模を決める段階で複数案を示し、環境保全のために配慮すべき事項を検討、公表するSEAの実施を事業者に義務付けた。ただし、複数案といっても敷地内での施設の配置が認められるほか、複数案が現実的でない場合は1案でも許容される。「開発を行わない」との選択肢の設定は義務づけなかった。小沢鋭仁環境相は今国会で「今回は日本版SEAだ」と答弁し、本来のSEAは今後の課題として扱う姿勢を示した。

 また、改正案の作成段階で、防衛省は米軍施設と自衛隊施設をSEAの適用除外とするよう環境省に求めた。軍事施設は現行アセスの対象だが、防衛省は「高度に秘匿を要する情報の開示、地元の混乱や反対運動を招く」として、適用除外の条文案まで提示した。

 外務省も在日米軍基地施設・区域の提供に悪影響が及ばないよう求める意見を提出。環境省は「基地施設が適用されるかどうかはその都度判断する」と要請は断ったとしている。しかし、環境NGO(非政府組織)「日本自然保護協会」の大野正人部長は「生物多様性が重要で、環境と経済・エネルギー政策は両立すると言いながら、いざ両者が衝突すると、基地や開発が優先される」と指摘する。(毎日新聞 2010年6月14日)

 環境影響評価法とは?
 大規模事業が環境に与える影響を事前に調査、予測、評価し、結果を公表して地域住民の意見を聞いて環境保全策を実施する制度。1997年制定、1999年施行された。法律でアセスが義務づけられている第1種事業は高速道路、ダム、発電所、飛行場など13事業で、さらに規模が道路は4車線以上、滑走路は2500メートル以上などに限られる。第1種事業より規模が小さな第2種事業は、個別にアセスが必要か判断される。法に基づくアセスは今年3月末で187件、年あたり約20件。

 環境アセスメントの手続きとしては、対象事業が周辺の自然環境、地域生活環境などに与える影響について、一般の方々や地域の特性をよく知っている住民の方々、地方公共団体などの意見を取り入れながら、方法書、準備書・評価書の手続きに沿って行い、事業者自らが調査・予測・評価を行い、事業内容を決定していく。

 現在、検討されている、環境影響評価法改正案の骨子は、1.風力発電所を対象事業に追加(政令改正) 2.戦略的環境アセス(SEA)手続きの新設 3.公有水面埋め立てなど自治体が許可権限を持つ事業について、環境相が助言 4.アセス関連書類のインターネットなどでの公表を義務化 5.事業者は事業着手後、評価書に盛り込んだ環境保全対策の結果を公表する 以上。(Wikipedia) 

 

環境アセスメントの実施手法
北山 正文
日刊工業新聞社

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戦略的環境アセスメントのすべて

ぎょうせい

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私たちの環境は守られているか?国内の環境法2・種の保存法

2010年06月29日 | 環境保護
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で10月に開かれる。日本では絶滅の恐れがある希少な野生生物の保全を目的に1993年、「種の保存法」が施行された。貴重な動植物を守り、生物 の多様性を維持していく上で最も象徴的な法律といえる。しかし「指定種が少なすぎて実効性が乏しい」など批判も根強く、環境保護団体や研究者から抜本的見直しを求める声が上がっている。

 環境を守り、生物多様性を守り、利用する法律にはどんなものがあるのだろうか?今日は「種の保存法」について調べたい。

 種の保存法の三本柱
 さて、「種の保存法」の正式名称は何というか?

 正解は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律である。平成4年(1992年 6月5日法律第75号)に成立し、1993年(平成5年)4月1日施行された。この法律の目的はもちろん、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることを目的とすることである。

 ではどのように種を保存するのだろうか?

 正解は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関して「希少野生動植物種」(亜種・変種を含む)を定める。そして、1.指定種の捕獲や所持・流通等の規制による個体保護を行う。次に、2.指定種の生息地内の開発等を制限する生息地保護を行う。 さらに3.生物の保護増殖を行う。これらが、種の保存法の三本柱である。

 現在、この法律にもと付いて保護増殖がはかられている動物がいるそれは何だろう?

 正解 よく話題になるのは、トキ、コウノトリ、アホウドリ、などである。その他にもツシマヤマネコ、イリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギなど多数ある。最近、コウノトリの野生復帰に成功したが、トキは今年もだめであった。人工繁殖には成功している。

 このように絶滅危惧種と認められ、大切に保護される場合もあるが、絶滅危惧種として認められながらも、保護されず、見殺しになる動物もいる。例えばどんな動物だろう?

 正解は中国のヨウスコウカワイルカや、日本の辺野古に生息するジュゴンである。中国は産業・経済を優先させ、三峡ダムや生活排水のため、揚子江の汚染がすすんでおり、ヨウスコウカワイルカは確実に絶滅するといわれている。日本では辺野古に米軍基地が移設された場合、ジュゴンの生態に確実に影響が出るとされている。

 絶滅危惧種IA類ジュゴン
 「辺野古沖には沖縄でも最大の海草藻場がある。ジュゴンが命をつなぐための重要な地域を破壊すべきではない」。今月14日、東京都内で開かれた集会で、桜井国俊沖縄大教授(環境学)が訴えた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として挙がっている辺野古(名護市)周辺の海域は、絶滅危惧(きぐ)種のジュゴンが食べるアマモなどの海草が広がっている。環境省の2003年調査でも食痕や糞(ふん)が見つかった。

 移設先について鳩山由紀夫首相は23日、沖縄を訪ね「辺野古付近にお願いせざるをえない」と表明した。地元が合意するかや工法など不透明な点は多いが、2006年の日米合意は「キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる」という内容。鳩山首相は今年4月、「辺野古の海の埋め立ては自然への冒涜(ぼうとく)」と述べていた。

 人魚のモデルとも言われるジュゴンは、南太平洋からインド洋の熱帯・亜熱帯に生息する。日本は西太平洋の北限にあたり、かつては沖縄県から鹿児島県奄美群島にかけて分布。しかし、乱獲で激減し、日本では沖縄本島の周辺海域に50頭以下しか生息しないと推測される。絶滅の恐れのある野生生物を評価した環境省のレッドリストは最も絶滅の危機度が高い「絶滅危惧種IA類」に分類した。

 種の保存法の汚点
 レッドリストは環境影響評価で国や自治体の基礎資料として役立てられるが、保護のための強制力はない。また、文化財保護法、鳥獣保護法、水産資源保護法で狩猟や捕獲が規制されるが、生息地の破壊や分断による種の減少には対応していない。

 種の保存法は指定した種の捕獲や譲渡を規制し、生息地内の開発を制限する。だが、レッドリストの絶滅危惧種3155種のうち、同法に基づき「国内希少野生動植物種」に指定されたのは、トキやアマミノクロウサギなど82種に過ぎない。さらに「生息地等保護区」になると、指定はミヤコタナゴの生息地(栃木県大田原市)など7種9カ所計885ヘクタールにとどまる。

 1992年の種の保存法案の国会提出にあたり、環境庁(当時)と水産庁はジュゴンなど海の生物を種の保存法から除外する覚書を交わした。これは2001年の国会質疑の中で明らかになり、環境保護団体の間で「種の保存法の汚点」と呼ばれている。翌2002年、環境省はジュゴンを種の保存法対象とし、将来的には国内希少野生動植物種として検討する考えを示したが、8年たった現在も指定されていない。

 ジュゴンは世界最大の自然保護団体「国際自然保護連合(IUCN)」や米国の法律でも絶滅危惧種に指定されている。IUCNは、2008年に日米両政府に対し、沖縄のジュゴン保護を求める3度目の勧告を出した。

 保護されないレッドリスト
 ジュゴンを含め、レッドリストに指定されながら、大半が種の保存法で指定されない理由について、環境省は「保護対策の検討に必要な生態などのデータが十分集まらず、関係者の理解も得られていない」などと説明する。

 環境省の検討委員会が今年初めてまとめた国内の生物多様性総合評価は、絶滅危惧種が減少する最大要因は生息地の開発・改変と指摘した。しかし、新しい生物多様性国家戦略でも種の保存法に基づく新たな指定種の目標は5種程度に過ぎない。

 宮崎正浩・跡見学園女子大教授(環境政策)は、「このままの指定ペースだと、絶滅の速度に対応できない。レッドリストの掲載種がそのまま保存法の指定種となるよう連動させるべきだ」と指摘する。現行法では、種の存続に支障をきたす程度に個体数が著しく少ないことや、分布域が限定されていることが種の指定要件だ。さらに生息地等保護区の指定は、住民らの同意があった場合に限られるため、利害関係者の意向で指定が進まないという。

 日本の制度と単純に比較できないが、米国の絶滅危惧種法は、連邦政府が対象種の生存を危険にさらしたり、生息地を破壊したりする行為の回避を義務付ける。該当動植物は1990種にのぼる。種を指定した場合、原則として同時に重要生息地を指定する。市民が指定種を提案できる。

 畠山武道・早稲田大教授(環境法)は「科学的なデータに基づき、市民が指定種を申請し、指定されない場合は理由を公表するなど指定手続きの透明化を進めるべきだ」と話す。(毎日新聞 2010年5月24日)

 種の保存法とは?
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、平成4年(1992年)6月5日法律第75号)は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることを目的とする日本の法律である。1993年(平成5年)4月1日施行。野生動植物保存法、種の保存法とも呼ばれる。

 日本が1993年に生物多様性条約を批准するのを契機に施行された。国内で絶滅の恐れがある動植物を「国内希少野生動植物種」として捕獲と採取、流通を規制するとともに、ワシントン条約など国際取引規制の対象となる種を「国際希少野生動植物種」として指定し、国内取引を規制する。希少野生動植物種を譲渡したり、譲り受けた場合は1年以下の懲役か100万円以下の罰金。抜本的な改正は一度も行われていない。

 2008年(平成20年)8月15日現在、下記の71種(亜種・変種含む、以下同じ)が国内希少野生動植物種に指定されている。このうち植物の7種が特定国内希少野生動植物種に指定されている。

哺乳類5種 イリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコ、ダイトウオオコウモリ、アマミノクロウサギ。オガサワラオオコウモリ

 鳥類38種 アホウドリ、チシマウガラス、コウノトリ、トキ、シジュウカラガン、オオタカ、イヌワシ、ダイトウノスリ、オガサワラノスリ、オジロワシ、オオワシ、カンムリワシ、クマタカ、シマハヤブサ、ハヤブサ、ライチョウ、タンチョウ、ヤンバルクイナ、アマミヤマシギ、カラフトアオアシシギ、エトピリカ、ウミガラス、キンバト、アカガシラカラスバト、ヨナクニカラスバト、ワシミミズク、シマフクロウ、オーストンオオアカゲラ、ミユビゲラ、ノグチゲラ、ヤイロチョウ、アカヒゲ、ホントウアカヒゲ、ウスアカヒゲ、オオトラツグミ、オオセッカ、ハハジマメグロ、オガサワラカワラヒワ

爬虫類1種 キクザトサワヘビ 両生類1種 アベサンショウウオ 魚類4種 ミヤコタナゴ、イタセンパラ、スイゲンゼニタナゴ、アユモドキ

昆虫類10種 オガサワラハンミョウ、ベッコウトンボ、ヤシャゲンゴロウ、ヤンバルテナガコガネ、オガサワラシジミ、ゴイシツバメシジミ、オガサワラトンボ、オガサワラアオイトトンボ、ハナダカトンボ、イシガキニイニイ 他に植物23種がある。(Wikipedia) 

 

動物たちの箱船―動物園と種の保存
コリン タッジ
朝日新聞社

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米国 種の保存法 概説―絶滅からの保護と回復のために・20世紀自然保護の最高到達点
ダニエル・J. ロルフ
信山社出版

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私たちの環境は守られているか?国内の環境法1・自然公園法

2010年06月28日 | 環境保護
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で10月に開かれる。日本は南北に長く、四方を海に囲まれ、森林や干潟、サンゴ礁など多様な自然が広がっている。その恩恵で災害が防止され水資源が確保されるなど、私たちの生活は支えられている。しかし、開発や乱獲、外来種の侵入によって維持するのが困難になっている。

 環境を守り、生物多様性を守り、利用する法律にはどんなものがあるのだろうか?今日は自然公園法について調べたい。

 国立公園と国定公園
 美しい自然に囲まれた日本。日本に29箇所ある自然公園は何だろう?また、56箇所ある自然公園は何だろう?

 正解は国立公園と国定公園である。国立公園は29箇所、国定公園は56箇所、都道府県立自然公園は309箇所指定されており、面積の合計は、日本の国土の約14%、東京都では36%を占める。では、国立公園と国定公園の違いは何だろう?

 正解は、国立公園は国の「環境省」が管理し、国定公園「都道府県」が管理する。では世界で初めて国立公園に指定された場所はどこだろう?また、日本で最初の国立公園はどこだろう?

 正解は、イエローストーン国立公園と瀬戸内海国立公園、雲仙国立公園、霧島国立公園である。世界最初の国立公園、イエローストーン国立公園は、1872年に第18代アメリカ合衆国大統領・ユリシーズ・S・グラントによって指定された。日本では1931年に自然公園法の前身である国立公園法が施行され、1934年3月16日に瀬戸内海国立公園、雲仙国立公園、霧島国立公園の3か所が最初の指定を受けた。

 では一番新しく制定された国立公園は何だろう?

 正解は尾瀬国立公園である。2007年8月30日に日光国立公園から尾瀬地域を分離し、周囲を新たに編入する形で尾瀬国立公園が新設された。これは釧路湿原国立公園以来20年ぶりの国立公園の新設である。

 吉野熊野国立公園・西大台地区
 立ち枯れした老木と青い葉をつけた幼木が並び、厚いコケが地面から大木の幹を覆う。吉野熊野国立公園の一角にある西大台地区(奈良県上北山村)。東京ドーム100個分(450ヘクタール)の地域には、少なくとも45科860種の植物が確認されるなど、多様な動植物が分布する。

 生物多様性は、種の多さと、それらによって成り立つ生態系の豊かさなどを指し、西大台地区はその好例だ。かつては観光シーズンには月1500人、年間約5000人が訪れた。地域は活況を呈したが登山道は荒れ、植物の盗掘が続いた。貴重な自然は損なわれた。

 多様性に富む貴重な自然を保護するため、自然公園法は2002年に新たな制度を設けた。1日の利用者数を平日で30人以内、休日で50人以内とするなどの制限を設けた「利用調整地区」制度だ。

 当初、候補地として浮上したのは、世界自然遺産に登録された知床(北海道)などだ。しかし、その多くは私有地を所有する地主らに「観光業などの支障になる」と反対され挫折。全域が国有林になっている西大台に矛先が向けられた。

 制度運用の半年前の2007年1月、村に通じる国道で崩落事故が発生。3人が死亡し、3カ月間通行止めになり、村に入るのは危険という印象が広がった。そして全国初の「利用調整地区」の運用が始まった。

 しかし、運用開始後、地元で不満が噴出した。ハイカーや観光客らは2週間前までに身分を証明する書類を提出しなければならない。団体で入る場合も全員の押印を求められる。天候理由による入山日の変更も認められない。年間利用者は5分の1に落ち込んだ。利用者の受け付け事務を請け負った地元の森林組合は「採算が取れない」として1年後に業務を返上。

 住民からは「崩落事故と利用調整地区制度で、村はゴーストタウンのようになった」との声が出始めた。

 環境保護か地域振興か?
 環境省は、団体で入山する場合は代表者の押印だけで済み、5日前までの申し込みも可能とする措置を取った。だが、天候など個人の事情による日程の変更は認めていない。地元の環境NGO(非政府組織)に所属する田村義彦さん(77)は「環境省は、入山申請を国と個人の契約とする解釈に固執した。もっと地元や利用者の声に耳を傾けるべきではないか」と批判する。

 これに対し、環境省吉野自然保護官事務所の浜名功太郎自然保護官は「風雨で入れなくなるのは準備不足。雨の西大台を体験してほしい」と説明する。

 昨年、村の観光客は前年比5%増の15万人と回復の兆しが見えてきた。

 「国の規制対象になったのは、他地域にない価値があると認められたことだ」。現在、利用者の受け付け事務を担う商工会の中谷守孝会長(52)は今後に期待する。ただし、ピーク時の25万人に及ばない。「これ以上、自然を損ねないようにしなければならないが、もう少し山に人が入っても大丈夫ではないか。環境保全と地域振興をどう両立させていくのか悩ましい」と村の担当者は苦慮する。

 畠山武道・早稲田大教授(環境法)は「利用調整地区制度の理念は間違っていないが、国立公園の利用について、人々の関心が遠のいている。こうした状況で、新しい制度が運用されてもとまどってしまう。生物多様性は適度に人がかかわることで保全される。環境省が国立公園を抱える地域に対し、愛着を持って管理に参加できるよう地道に働きかけることが大切だ」と提言する。(毎日新聞 2010年5月17日)

 自然公園法とは何か?
 1957年制定。優れた自然の風景を守るとともに、利用増進を図り国民の健康を維持することなどを目指している。今年4月に施行された改正法では、生物多様性基本法制定を受け、第1条の目的に「生物多様性の確保に寄与する」と追加。自然保護区の設置や動植物の捕獲を規制しているが、景観保護に偏り、生態系や動物保護の視点が薄いとの批判がある。

 国立公園、国定公園および都道府県立自然公園からなる自然公園を指定し、自然環境の保護と、快適な利用を推進する。

 自然公園は、環境大臣が指定する国立公園・国定公園、都道府県知事が指定する都道府県立自然公園があり、いずれも自然環境の保護と快適で適正な利用が推進されている。土地の所有に関わらず地域が指定されているため、公有地のほか、民有地が含まれている場合もある。

 国立公園は環境省が管理し、国定公園・都道府県立自然公園は都道府県が管理する。

 2007年(平成19年)末現在、国立公園は29箇所、国定公園は56箇所、都道府県立自然公園は309箇所指定されており、面積の合計は、日本の国土の約14%、東京都では36%を占める。(Wikipedia)

 

自然公園実務必携

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確実に減少・絶滅する動物たち「ジュゴン」「ヨウスコウカワイルカ」

2010年06月06日 | 環境保護
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 保護される絶滅危惧種・保護されない絶滅危惧種
 絶滅危惧種は私たちの地球環境の「今」を知る上で大切な指標である。コウノトリ・トキなどのように野生種を増やそうとしている絶滅危惧種もいるが、人類の勝手な都合により、確実に減少、絶滅する動物もいる。

 岐阜市の岐阜高校自然科学部生物班は、同校で保護して生育させた絶滅危惧種のカスミサンショウウオを市内の生息地に放流した。同校生徒が2007年から卵や幼生を保護し、各務原市の県世界淡水魚園水族館「アクア・トトぎふ」と協力して育ててきた。

 この3年間で約2600匹の放流を終え、今年はさらに同校が1400匹、「アクア・トト」が400匹を放流した。ひとまず危機的な状況は脱したという。(2010年6月3日  読売新聞)

 一方、「ヨウスコウカワイルカ」は中国の揚子江に住むイルカであるが、最近の中国の発展とともに汚染が進み、数が激減。絶滅が確実となった。日本でも米軍の辺野古移転により、確実に減少が予想されているのが、天然記念物「ジュゴン」である。最近の絶滅危惧種の話題を追ってみた。

 絶滅危惧種の「クロツラヘラサギ」飛来
 世界的に千羽程度しか生息していないとされるクロツラヘラサギが5日、香川県・小豆島の土庄町肥土山の水田地帯で確認された。国内では九州などで越冬するが、四国で観察されるのは珍しいという。

 クロツラヘラサギは東南アジアにのみ生息するトキ科の鳥で、環境省レッドデータブックでは絶滅危惧IA類に指定されている。全長は約75センチで、黒色で細長いしゃもじ形のくちばが特徴。

 発見されたには1羽で雄か雌かは不明。クロツラヘラサギは水田から水田に飛び移っては水中にくちばしを入れてエサをついばんでいる。

 クロツラヘラサギはまれに越冬地を離れないことがあるとされ、小豆島自然観察指導員の山本英樹さん(46)は「夏まで見られるかもしれない。珍しいケースなので静かに観察していたい」と話していた。(2010.6.6 産経ニュース)

 辺野古「ジュゴン」の希少種指定を要請
 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設予定地の辺野古周辺海域などに生息し、国内での絶滅が強く懸念されているジュゴンを、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種とするよう求める要請書と、賛同する約3万人分の署名を、環境保護団体「ジュゴン保護キャンペーンセンター」が28日、環境省と外務省に提出した。

 国内希少野生動植物種は捕獲が原則禁止で、政府が必要に応じて保護区の設定などをすることになっている。

 ジュゴンは国の天然記念物で、国内では沖縄県周辺の海にすむ。個体数は十数頭以下との推定もあり、辺野古への移設で生息に大きな影響が出ると指摘されている。

 提出後、同センターの蜷川義章さんは「辺野古の基地建設でジュゴンの餌の海草の藻場が荒らされる」と移設を強く批判した。(2010/05/28 共同通信)

 希少野生動植物種とは、日本の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づき指定される絶滅の危機にある野生生物である。

 哺乳類では、イリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコ、ダイトウオオコウモリ、アマミノクロウサギ、オガサワラオオコウモリ の5種がいる。

 確実に絶滅する「ヨウスコウカワイルカ」
 2006年12月13日、baiji.org Foundation により、ヨウスコウカワイルカはほぼ絶滅していると発表された。同年11月から12月にかけて、長江流域ののべ 3,500km に渡る大規模な調査が行なわれたが、ヨウスコウカワイルカは1頭も発見することができなかった。

 人類が引き起こしたクジラ類の絶滅としては最初のものであり、15世紀以降の哺乳類における科全体の絶滅としては4例目で、大型脊椎動物の絶滅としてはここ50年間で唯一の事例であると考えられている。 2007年9月12日にはIUCNも絶滅した可能性があると発表した。

 2007年8月19日、ヨウスコウカワイルカと思われる動物が撮影されたことにより、再調査が計画されている。しかし、種の維持には最低でも50頭程度が必要と言われており、ヨウスコウカワイルカが危機的状況にあることには変わりがない。

 なお、2009年9月には東洞庭湖保護区で江豚(スナメリ)が約132頭確認されている。スナメリは主に海水域に生息するが、淡水である長江に生息する個体群も存在し、中国では江豚と呼ばれている。

 ヨウスコウカワイルカに比べ、体型は小さく、吻および背びれがほとんどない。確認された約132頭のイルカはスナメリ属の小型イルカであり、ヨウスコウカワイルカ (L. vexillifer) ではない。長江に生息するスナメリもヨウスコウカワイルカと同様に絶滅が危惧されている。(Wikipedia)


 

絶滅動物データファイル (祥伝社黄金文庫)
今泉 忠明
祥伝社

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NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2009年 01月号 [雑誌]

日経ナショナルジオグラフィック社

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