Yes,We Love Science!

自然科学大好き!「自然」は地球、宇宙、人、社会、宗教...あらゆるものを含みます.さあ、あらゆる不思議を探検しよう!

ヨウ素で「クロスカップリング反応」!ヨウ素はすごい物質

2010年11月21日 | 化学

科学大好き!Yes,We Love Science!最近気になる科学情報を、ピックアップ!わずか1分!見るだけで、科学がわかる!


スイーツ感覚のサプリメント  経験豊富な専任コンサルタントがサービスを提供 低価格 レンタルサーバー

ヨウ素で「クロスカップリング反応」!ヨウ素はすごい物質

 今年のノーベル化学賞に決まった「クロスカップリング反応」を、希少金属(レアメタル)の「パラジウム」ではなく、国内でたくさんとれる「ヨウ素」をつかって実現する技術を北泰行・立命館大教授(有機合成化学)らが開発した。テレビや携帯電話の液晶などの新素材として2011年度中の実用化を目指すという。

 パラジウムを触媒に炭素同士をうまくつなげる画期的な合成法を開発した業績で、根岸英一・米パデュー大特別教授、鈴木章・北海道大名誉教授ら3人のノーベル化学賞受賞が決まったが、希少金属のパラジウムは入手に制約がある。日本の生産量が世界で2番目に多いヨウ素を使えば、製造コストの大幅な削減が見込まれるという。

 さらに、パラジウムを触媒とするカップリングでは、100度以上の高温でも生産物を22%の効率でしか得られないのに対し、ヨウ素なら100度以下でも88%になるという。北教授は「今はパラジウムなどレアメタルの触媒を使っているが、今後は資源が豊富なノンメタルの研究が進む」と話す。(asahi.com 2010年10月11日)

 

 続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/ 

 参考HP Wikipedia「ヨウ素」「触媒」「クロスカップリング反応」 

マンガでわかる有機化学 結合と反応のふしぎから環境にやさしい化合物まで (サイエンス・アイ新書)
齋藤 勝裕
ソフトバンククリエイティブ

このアイテムの詳細を見る
日経サイエンス 2010年 12月号

日本経済新聞出版社

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ ←One Click please


金属錯体触媒による「アクリルアミド」製造法を開発!岡山大

2010年10月24日 | 化学
科学大好き!Yes,We Love Science!最近気になる科学情報を、ピックアップ!わずか1分!見るだけで、科学がわかる!
ダイエット 男性専門スタイリストサービス ペニーオークションのイケオク!  もつ鍋お取り寄せセット


金属錯体触媒による「アクリルアミド」製造法を開発!岡山大

 岡山大は2010年9月13日、自然科学研究科の押木俊之講師の研究グループが汚水処理や古紙リサイクルなどに使われる物質「アクリルアミド」の新しい製造法を開発したと発表した。従来より低コストでの製造が可能になる。

 アクリルアミドは、世界で年に約60万トン生産されている。主流の生体触媒法では比較的高価格の化合物を触媒に使って製造されており、コストが最大の課題とされていた。岡山大が開発した新しい製造法は人工的に作られる触媒を使い、低コストにつなげた。また、廃水処理が不要になるため、周辺環境への影響も抑制できるという。押木講師は「触媒は従来の100分の1程度の値段で作れる。環境、エネルギー分野で応用できる」と話している。

 新方式は特許を出願中。研究成果は29日から東京で始まる「イノベーション・ジャパン2010」で報告される。(毎日新聞 2010年9月14日)

 

 続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/archives/1354673.html 

 参考HP Wikipedia「アクリルアミド」「アクリルニトリル」・岡山大学「錯体触媒法によるアミド製造技術」「アクリルアミド製造用革新的化学触媒 

クルーズ アクリルボックス5面タイプ 300mm

クルーズ

このアイテムの詳細を見る
西川 リビング スヌーピー アクリル ハーフケット 22751123533

西川リビング

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ ←One Click please


中国漁船衝突事件!中国の切り札「レアアース」とは何か?

2010年09月25日 | 化学
科学大好き!Yes,We Love Science!最近気になる科学情報を、ピックアップ!見るだけで、科学がわかる!
シンプルアイデア・リラックス 元宝塚スターも愛用のオールインワンスキンケア 増えた洋服の整理に!  


中国漁船衝突事件!中国の切り札「レアアース」とは何か? 

 沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内での中国漁船衝突事件で、那覇地検は25日未明、公務執行妨害容疑で逮捕、拘置していた中国人船長を釈放した。

 異例な形で船長の釈放を決めた日本に対し、中国は「レアアースの輸出停止」や「観光客の日本訪問の自粛」などさまざまなカードで揺さぶりをかけている。今後も緊張状態が続きそうだ。

 ところで、今回話題になった「レアアース」。何と中国が世界の産出量の90%以上を占めているという。「レアアース」とは何だろう?

 

続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/archives/1005026.html

参考HP Wikipedia「レアアース」 ・金属資源情報センター「レアアース需給状況

世界新資源戦争――中国、ロシアが狙う新・覇権宮崎 正弘阪急コミュニケーションズこのアイテムの詳細を見る
図解 世界資源マップ―地球規模での争奪戦が始まった!資源問題研究会ダイヤモンド社このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ ←One Click please



中国産ウナギ偽装事件発生!禁止薬物「マラカイトグリーン」とは?

2010年08月22日 | 化学

科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!


オンラインショッピング フジ・コーポレーション  HGH-21Program 成長ホルモンでお肌いきいき     衣食住を楽しみ家族の絆『R+house』住宅  カラダの内側から自信を取り戻すサプリメント!  フランチャイズで起業!独立!  新車販売専門店カーネット  身長が伸びる!ドクターズサプリメント  成長ホルモンサプリメント   たかしビューティクリニックでダイエット  マスコミで話題沸騰の《男性専門スタイリストサービス》  ペニーオークションのイケオク!  もつ鍋お取り寄せセット

 ヨーカ堂社員ら6人逮捕 ウナギ輸入元改ざん容疑
 中国産冷凍ウナギの輸入元をイトーヨーカ堂から別会社に改ざんして転売したとして、神奈川県警生活経済課は8月18日、食品衛生法違反(虚偽表示)の疑いで、ヨーカ堂の元社員石原荘太郎容疑者(58)や現役社員の大嶋由紀容疑者(34)ら6人を逮捕した。

 ほかに逮捕されたのは、東京の水産物卸売会社「高山シーフード」の社長高山智広容疑者(54)と元社員小池信行容疑者(47)ら。同課によると、石原容疑者は「箱の詰め替えを依頼したことはない」と容疑を否認。小池容疑者は「詰め替えたのは間違いない」と認めている。

 6人の逮捕容疑は、ヨーカ堂が輸入した冷凍ウナギかば焼きを、「高山シーフード」が輸入者として記載された箱に詰め替え、2009年6~10月、約15トンを31回にわたって2社に計634万円で販売した疑い。大嶋容疑者はかつて石原容疑者の部下だった。 

 2005年ごろ以降、中国産ウナギから使用禁止の合成抗菌剤「マラカイトグリーン」が相次いで検出され、消費者の買い控えが起きていた。(2010/08/18 共同通信)

 ウソにウソを3つ重ね
 またも食品の不正が明るみに出た。食品業界の一部に残る、虚偽がまかり通る体質の根深さを示す事件でもある。今回の問題点は 3つ、輸入者偽装と賞味期限偽装、そして使用禁止薬物の検出である。

 輸入元偽装
 まず、中国産のウナギかば焼きの輸入元を改ざんした食品衛生法違反容疑で、大手スーパーのイトーヨーカ堂の元海外担当マネジャーらが逮捕された。

 実際にはヨーカ堂が自社の販売用に輸入したものを、東京の魚介類輸入販売業者に転売した際、この業者が輸入元であるかのように偽装して、別の複数の業者に転売したという。

 中国製の冷凍ギョーザ事件でもそうだったように、輸入食品に問題が生じた場合、まず輸入元の責任が問われる。輸入元から名前を消すことは、その責任から逃れようとすることであり、流通の透明性を損なう行為だ。

 禁止薬物検出
 さらに、輸入検疫などで、2005年に中国産ウナギから発がん性が疑われる合成抗菌剤「マラカイトグリーン」が見つかった。日本では食品への含有が禁止されている物質で、これを境に消費者の買い控えが起きていた。

 ヨーカ堂が魚介類輸入販売業者に転売したのも、2005年以前に輸入した分がさばききれずに、在庫が膨らんだためだった。

 中国産ウナギを、消費者に人気のある国産に偽装する事件は少なくないが、今回の輸入元の偽装には、合成抗菌剤「マラカイトグリーン」の問題が関係していることがわかった。

 ヨーカ堂側は偽装を指示したことを否定している。だが、取引上の優越的な立場を使った犯行だったとの疑念もぬぐえない。引き受けた業者にはどんな利益があったのだろうか。警察は徹底捜査でこうした疑問に応えてほしい。

 賞味期限偽装
 さらに、この中国産ウナギの転売過程では、横浜市の業者が賞味期限を 2年半も延ばして販売したとして警察の捜索を受けている。

 しかも、この業者が扱ったウナギからは問題の合成抗菌剤「マラカイトグリーン」も検出されていた。ヨーカ堂側は自主検査をして、合成抗菌剤が検出されなかった商品だけを転売したと説明しているが、いったい、どのような検査をしたのだろうか。

 警察が昨年1年間に摘発した食品偽装事件は34件に上り、統計を取り始めた2002年以降で最多となった。こうした不正には厳罰化で臨むしかない。

 中国産食品の安全性が疑われる事件が絶えず、消費者の不安は一向に解消されない。中国政府は信頼の回復に向け、食品の生産に対する監督強化に乗り出しているというが、日本としても厳しく注文をつけていくべきだ。(2010年8月20日  読売新聞)

 マラカイトグリーンとは?
 マラカイトグリーン(malachite green)は青緑色の塩基性有機色素である。 CAS登録番号は[569-64-2]。 名称はマラカイト(孔雀石CuCO3・Cu(OH)2)に色調が似ていることによる。 主にシュウ酸塩や塩酸塩として流通している。結晶は光沢があり、水やエタノールに溶け、酸性では黄色を呈する。

 繊維の他に、紙やプラスチック製品などにも用いられる。 また細菌学では芽胞の染色や、ヒメネス染色(レジオネラや抗酸菌、リケッチアの染色法)などに用いられる。グラム染色用の色素としてクリスタルバイオレットの代わりに用いられることもある。

 還元作用があることから、活性酸素を発生し殺菌消毒作用を示すと考えられている。 作用機序は酸化還元作用によるもので、細菌の細胞壁の特異的な合成阻害作用などがあるわけではなく、抗生物質、合成抗菌剤とは根本的に作用機序がことなる。医学生物学的にはオキシドール液、イソジン液などと同属の、消毒剤・消毒殺菌剤に分類される。 主に観賞魚などの白点病や水カビ病などの治療に用いられる。ただし、発癌性のため、食用の養殖魚に用いることは2005年8月1日から禁止となった。

 実際に、マラカイトグリーンは大部分の細菌に対して殺菌的に働く。特にブドウ球菌などのグラム陽性球菌に有効であるが、グラム陽性桿菌、グラム陰性菌に対しても有効である。一方、サルモネラや抗酸菌などは比較的マラカイトグリーンに対する抵抗性が高い。

 アメリカでは1981年に、EUでは2002年に食品への使用が禁止された。 ウナギへの残留が問題になった中国でも2002年に食用動物への使用が禁止された。 日本では、食品衛生法により食品中から検出されてはならないとされている。 しかしながら2007年7月に中国産の切り身さばから、2008年7月に中国産のウナギから検出された。(Wikipedia)

 

みんなが気になる食の安全55の疑問 実際にどう危険なのかデータをもとに徹底検証!! (サイエンス・アイ新書)
垣田 達哉
ソフトバンククリエイティブ

このアイテムの詳細を見る
食品偽装 -起こさないためのケーススタディ-
新井 ゆたか,中村 啓一,神井 弘之
ぎょうせい

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please


工業廃液から、エネルギー生み出す夢の触媒技術開発!

2010年08月18日 | 化学

科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!


真剣転職、ウェル求人 不動産の売買情報 ハマれる、韓ドラの決定版 プライベートカウンセリング・スクール ガンダムネットワークオペレーション3 好評サービス中! 全国のグルメ情報満載の酒ロググルメ 英語スピード翻訳 今日はお腹が痩せてるの!その理由はこちら・・・ サイトM&A

 ベンゼンがメタンに変わる
 重油で燃やす以外に有効な処理法がなかったベンゼンなど芳香族系有機物を含む工場廃水を触媒により有機物を分解して処理する方法を、大阪ガスと月島環境エンジニアリングが開発した。

 ベンゼンなど芳香族系有機物を含む工場廃水は半導体工場や化学工場などで発生し、生物処理法では処理が困難だった。新しく開発された方法は、ニッケルを特殊処理した触媒に高温・高圧となった廃水を通過させる。芳香族系有機物を高速分解できる上に、処理過程で発生するメタンを主成分とする可燃性ガスを燃料として再利用できる利点もある。

 大阪ガスなどによると、可燃性ガスの再利用による効果を盛り込むと、重油で燃やして有機物を分解する従来の処理法に比べ、二酸化炭素(CO2)排出量を110%削減できるという。

 新しい処理法は、環境省の「次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業」に採択され、11月から1年間、大津市のルネサス関西セミコンダクタ滋賀工場でパイロットプラント(廃水処理量1日5立方メートル)による実証試験が行われる。大阪ガスと月島環境エンジニアリングは、2012年度の商品化を目指すと言っている。(サイエンスポータル 2010年8月6日)

 分解処理の難しい工業排水
 大阪ガス株式会社、および月島環境エンジニアリング株式会社は、エネルギー創出型廃水処理プロセス(以下「本プロセス」)の商品化に向け、国内で初めて、パイロットプラント(ルネサス関西セミコンダクタ株式会社滋賀工場に設置)による実証試験を開始する。
 
 一般的に、半導体工場や化学工場などで発生する廃水のうち、従来の生物処理法で処理が困難な芳香族系の有機廃水については、重油などの燃料を用い、燃焼処理する方法が採られている。この方法では、燃料を大量に使用するため二酸化炭素を多く排出し、処理コストがかかるという課題がある。

 芳香族とは、ベンゼンなどの石油化学系環状物質。構造が複雑で化学的に安定しているため、生物処理法では浄化処理が困難な物質であることが多い。
 
 触媒にニッケル
 本プロセスでは、ニッケルを特殊処理した触媒に高温・高圧となった廃水を通過させることにより、廃水中の有機物が高速で分解処理される。同時に、その処理過程で創出されるメタンを主成分とする可燃性ガスを工場内でボイラー等の燃料として有効利用することが可能となる。
 
 その結果、重油などの燃料を用いた燃焼処理に比べて、CO2排出量を約110%削減し、廃水処理コストを約40%削減することができる。

 生成ガスのCO2削減効果を含む本プロセスは、月島環境エンジニアリングの廃水・排ガス処理技術に関するエンジニアリング力と大阪ガスが蓄積してきた触媒技術とを結集したものであり、この実証試験(平成22年度実施分)は、環境省の「平成22年度次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業」に採択されている。

 この実証試験を通して、本プロセスの実用化を加速し、平成24年度の商品化を目指す。

 実証試験概要
 ルネサス関西セミコンダクタ株式会社滋賀工場(滋賀県大津市)で、この実証実験「エネルギー創出型廃水処理プロセス パイロットプラント」は行われる。廃水処理量は 5m3/日、実証期間は、平成22年11月~平成23年10月である。
 
 文部科学省の地域結集型共同研究事業の1つとして、滋賀県産業支援プラザ、大阪ガス、京都大学、関西日本電気(現ルネサス関西セミコンダクタ)らが協力して、平成15年1月~平成19年12月の5ヵ年にわたり、本プロセスで使用する触媒の開発および評価を実施し、その成果を基盤に本プロセスを開発した。 (大阪ガス 2010年8月4日 )

 今まで、処理にエネルギーを必要としたベンゼンなどが、メタンを含む、エネルギーに変わる夢の技術である。ぜひ、日本の誇る科学技術の1つとして、世界に広げたい。

 

参考HP 大阪ガス・プレスリリース「エネルギー創出型廃水処理プロセス 

トコトンやさしい触媒の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
触媒学会
日刊工業新聞社

このアイテムの詳細を見る
汚水・排水処理の知識と技術
三好 康彦
オーム社

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please


なぜ?赤ワインに漬けると超伝導化!「鉄テルル系超伝導体」

2010年08月06日 | 化学
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 超伝導物質とは?
 1911年にオランダの物理学者カメリン・オンネスが水銀を約4K(-269℃)まで冷やしたときに、電気抵抗がゼロになることを発見した「超伝導物質」。超伝導物質には、「金属系」、「銅酸化物系」、「鉄酸化物系」のほか最近は「有機化合物」がある。

 銅酸化物系は、1986年、ドイツのベドノルツとミュラーが、ランタン、バリウムを含む銅酸化物系のセラミックスが30Kで超伝導状態になると報告したのが始まり。電気抵抗がゼロになる温度「臨界温度」(転移温度、Tc)が高かったことから、高温超伝導研究ブームの火付け役となった。

 2006年、東京工業大学の細野秀雄教授らのグループが、鉄を含む化合物(LaFePO;オキシニクタイド)が6Kで超伝導物質になると発表した。この鉄酸化物超伝導体の登場は、手詰まり感があった高温超伝導に新たな息を吹き込んだ。というのも、磁性元素の鉄を含む物質は超伝導にはならない、という常識を覆すものだったからである。オキシニクタイドは、世界中で今、注目されている物質である。

 有機化合物でも超伝導
 一方、金属ではない有機化合物系では、1991年、米国ベル研究所のグループが、炭素原子が60個連なるサッカーボール状の構造をもった「C60」(フラーレン)に金属をドーピングした物質が、18Kで電気抵抗がゼロになることを発見した。

 同じ年、NEC基礎研究所のグループは、C60にルビジウム、セシウムを注入した「RbCs2C60」で臨界温度が、常温で33Kまで高められることを確認した。その後、高圧下で、「Cs3C60」が40Kまで高くなることもわかってきた。ほかにグラファイトなどの超伝導物質も報告されている。

 最近では、岡山大大学院の久保園芳博教授(物性物理化学)と群馬大大学院の山路稔准教授(応用化学・生物化学)らの研究チームが「ピセン」(C22H14)という有機化合物に、金属をドーピングしたところ、超伝導現象を発見している。

 なぜ?赤ワインで超伝導化
 今回、鉄を含む化合物の一種を赤ワインなどの飲用酒に漬けた後に冷やすと、電気抵抗がゼロになる超伝導状態になることを、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の研究チームが突き止めた。

 熱を帯びずに大量の電流を流せる超伝導のメカニズム解明に貢献する成果。8月1日から米ワシントンで開かれる国際会議で発表する。

 実験に使われたのは鉄、硫黄、テルルの化合物。このまま冷やしても、超伝導にはならないが、研究チームは何らかの化学処理をすれば超伝導になると予測。エタノール溶液のほか、ワイン、ビール、日本酒、ウイスキーに浸し、電気抵抗を測定した。

 その結果、すべての場合で絶対温度8度(零下265度)に冷やせば超伝導状態が生じることを確認。超伝導になった化合物の割合は、赤ワインに浸した場合が最高で、エタノール溶液の7倍。白ワインはエタノール溶液の5倍だった。

 研究チームは、酒の味などをつくる不純物が化合物の結晶に入り込んだ結果、超伝導になった可能性があると見ている。(2010年7月28日09時18分  読売新聞)

 磁性体と反磁性体
 2008 年に、東京工業大学の神原 陽一博士(現在、慶應義塾大学理工学部専任講師)らによって、鉄系超伝導体LaFeAs(O,F)が発見された。この発見を契機に、FeAs、FeP、FeSe をベースにした類似化合物に次々と超伝導が見出され、鉄系超伝導は、第二の高温超伝導体の鉱脈として期待されている。

 一方、FeTe は、FeSe などの鉄系超伝導体と類似構造を持つにもかかわらず、反強磁性磁気秩序が邪魔をして超伝導を示さない。そこで、当研究グループではこれまでに、S をドープしたFeTe1-xSxを固相反応法で合成し、反強磁性磁気秩序は消失するものの超伝導は出現しない、いわば、磁性体と超伝導体の間に位置する物質を得ることに成功している。

 超伝導と非超伝導の中間体
 加えてこの物質において、長期間空気中に放置すると超伝導が出現するなどの大変興味深い現象を観測しており(PHYSICAL REVIEW B 81, 214510 (2010))、何が超伝導を発現させるのかを探る上で大変重要な物質と考えられた。

 今回、本研究グループでは、超伝導と非超伝導の間に位置する物質としてFeTe1-xSxに再度着目し、固相反応法により試料を作製した。得られた試料は超伝導を示さないが、酒に浸し70℃程度に加温すると、翌日には超伝導体(Tc~8K)になることが分かった。赤ワイン、白ワイン、ビール、日本酒、焼酎、ウイスキーについて比較実験を行った結果、全ての酒で超伝導が出現し、赤ワインが最も優れていることが分かった。

 本発見は、この鉄テルル系超伝導体FeTe1-xSxに超伝導を発現させるために、何が必要であるかを検討する上で大変重要な知見を与えてくれるものと考えている。現在、お酒の中のどの成分が作用して超伝導が発現しているか研究中であるが、今後、原因物質を明らかにすることにより、更なる新超伝導体開発への足がかりとなるものと期待される。(科学技術振興機構:JST)

 

参考HP 物質・材料研究機構「お酒が誘発する鉄系超伝導」・Nature「新しい有機化合物の超伝導物質を発見!」 ・東京大学「世界初の芳香族有機超伝導体

超伝導 (多体電子論)
黒木 和彦,青木 秀夫
東京大学出版会

このアイテムの詳細を見る
有機導電体の化学―半導体、金属、超伝導体 (シリーズ 有機化学の探検)
斎藤 軍治
丸善

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please


人工光合成も実現可能?リン酸銀に可視光の光触媒効果発見!

2010年06月16日 | 化学
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 可視光を利用する
 植物の光合成と同様な反応を促進する光触媒の新しい材料としてリン酸銀が有望であることを、物質・材料研究機構の研究チームが発見した。

 光触媒としては藤嶋昭・東京大学特別栄誉教授が発見した酸化チタンが有名。強力な酸化能力や超親水性による殺菌効果や洗浄効果を利用した応用が広がっている。ただ、酸化チタンは太陽光の中の紫外線にしか反応しない弱点を持つ。低炭素社会実現に対する期待の高まりとともに、紫外線だけでなく太陽光の約43%を占める可視光も利用できる高光触媒開発への期待が高まっている。

 物質・材料研究機構の葉金花(ヨウ・キンカ)光触媒材料センター長らが着目したのは、これまでだれも関心を持たなかったリン酸銀。可視光を照射した場合の水を分解する性能や塗料の分解性能などを調べた実験の結果、光酸化性能がこれまで知られている光触媒の数十倍に上ることが確かめられた。

 ただし、リン酸銀は水を水素に還元することはできない。適切な還元材料と組み合わせることで水を分解して水素をつくったり、二酸化炭素(CO2)を還元して燃料や資源を合成する人工光合成システムなどへの応用が可能になる、と研究チームは今後の研究開発の進展に期待している。(サイエンスポータル 2010年6月10日)

 光触媒とは何か?
 光触媒(photocatalyst)は、光を照射することにより触媒作用を示す物質の総称である。また、光触媒作用は光化学反応の一種と定義される。

 通常の触媒プロセスでは困難な化学反応を常温で引き起こしたり、また化学物質の自由エネルギーを増加させる反応を起こす場合がある。天然の光触媒反応として光合成が挙げられるが、一般に人工の化学物質を指すことが多い。

 代表的な光触媒活性物質として、酸化チタン (TiO2) が知られている。ただ酸化チタンが利用する光は紫外光だけということで、いろいろな波長の光を利用する物質が探求されている。酸化チタンには次のような利用方法がある。

 酸化チタン (TiO2)
 酸化チタンの価電子帯の電子が紫外光で伝導帯に励起されると、比較的還元力の強い電子と非常に酸化力の強い正孔が生成する。これにより、水を酸素と水素イオンに酸化、また同時に水を水素と水酸化物イオンに還元するほどの酸化還元能を示す。つまり、水を酸素と水素に分解できる。

 酸化チタンには超親水性を示す作用があり、ガラスの防曇加工技術として既に応用されている。自動車のバックミラーや道路のミラー等を酸化チタンでコーティングしておけば、水がはねついても表面で水滴とはならず、そのまま流れ落ちる。そのため雨天時の視認性が大幅に向上する。

 また油性の汚れが全く定着せず、雨などで定期的にこのような水が流れることにより、表面が洗浄され、いわゆるセルフクリーニング作用をもつ。このセルフクリーニング作用は、既にビル外壁やテントシートおよび住宅用窓ガラスなどへ応用されている。

 リン酸銀(Ag3PO4)
 物質・材料研究機構の光触媒材料センターは、リン酸銀が高い酸化力を持つ光触媒材料であることを発見した。吸収した光がどれくらい光触媒反応に利用されたかを示す「量子収率」で90%を示した。従来の材料では20%程度が最高だったという。高性能材料の発見で、リン酸銀による光触媒の実用化にはずみがつきそうだ。

 リン酸銀の酸化力を調べるために、青色染料のメチレンブルーの分解実験を行い脱色までの時間を計った。これまで有望とされていたバナジウム酸ビスマスが120分かかったのに対して、リン酸銀は4分で脱色した。可視光照射下での水分解の酸素発生量の測定からも、バナジウム酸ビスマスや酸化タングステンよりも酸化力が高いことがわかった。

 しかし還元力は弱いことが分かっており、水を直接水素にすることはできない。

 今回の研究成果は、日本時間6月7日(月)午前2時(ロンドン現地時間6月6日18時)に、ネイチャー姉妹誌のNature Materials誌電子版に先行掲載された。

 

参考HP Wikipeia「光触媒」「二酸化チタン」・物質・材料研究機構「人工光合成の実現に大きく一歩前進  

トコトンやさしい光触媒の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
垰田 博史
日刊工業新聞社

このアイテムの詳細を見る
イラスト図解 光触媒のしくみがわかる本
大谷 文章
技術評論社

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please


洗剤中のアミン類が、下水処理場のクロラミンで発癌性物質に?

2010年05月31日 | 化学
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 発癌性物質ニトロソアミン
 安全なはずのシャンプーが、発癌(がん)性物質の生成につながる恐れがあることが新たな研究で明らかになった。

 アメリカの下水処理場で調査したところ、シャンプーをはじめとする家庭用製品が浄水処理過程で使用される消毒剤と反応して、ニトロソアミンという発癌性物質を生成することがわかった。ニトロソアミンはほとんど研究が進んでおらず、この物質が回り回って水道水に混入することもあり得るという。

 今回の研究でイェール大学チームは、ニトロソアミン類のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)に注目した。アメリカ環境保護庁(EPA)はNDMAを“ヒトに対しておそらく発癌性がある(Probable human Carcinogen)”化学物質に分類している。

 アメリカの下水処理場で一般的に使用されている消毒剤クロラミン(塩素とアンモニアの化合物)と、家庭用洗剤の化学物質が反応した際に、少量のニトロソアミンが生じる。クロラミンは、最近、アメリカの水道水に用いられるようになった物質である。従来の塩素消毒で生成されるトリハロメタンなどの有害物質が問題になり、EPAが基準を定めて以来、下水処理にも利用されている。

 まだ結論は出ていないが、「新たな問題が浮上したことは確かだ。それも深刻化している。クロラミンによるものだ」と、マサチューセッツ大学アマースト校の環境工学者デイビッド・レックハウ氏は今回の研究を聞いて指摘する。

 ニトロソアミンの発生源
 ニトロソアミンの発生源は加工肉製品やたばこの煙など多岐にわたるが、水道水に含まれるニトロソアミン誘引物質については長年謎だった。

 しかし、これまでの化粧品の研究から、第四級アミンという物質がニトロソアミン生成の一因である可能性が示唆されていた。家庭用洗剤にも含まれている化合物である。

 ニトロソアミンのさらなる発生源を探すため、研究チームはコネチカット州の下水処理場3カ所で、処理水に含まれる第四級アミンとニトロソアミンを測定し、クロラミンによる処理前後の相対量を解析した。

 また、家庭用製品から無作為に4製品(シャンプー2種類、食器用洗剤、洗濯用洗剤)を選び、ニトロソアミン生成を誘引する化学物質を含んでいるかを調べた。調査対象製品は、米ユニリーバ社製のシャンプー“Suave”(スアーブ)とP&G社製のシャンプー“Pantene”(パンテーン)、同社製の食器用洗剤“DAWN”(ドーン)、洗濯用洗剤“Cheer”(チアー)である。

 第4級アミン類
 調査の結果、ニトロソアミン類の一種NDMAを生成する第四級アミンは、さまざまな製品に大量に使われているため、処理過程で完全に除去されるわけではないことがわかった。

 例えば、下水処理場の1施設あたり80%の住民が調査対象のシャンプー“Suave”を毎日一定量使用すると、処理水に最大3%のニトロソアミンが含まれることになるという。食器用洗剤“DAWN”の場合は“Suave”の約36倍のNDMAを生成する。「Environmental Science & Technology」誌1月19日号に掲載されている。

 洗濯用洗剤“Cheer”やシャンプー“Pantene”など一部の製品では確認されなかった。この結果は暫定的なもので、ニトロソアミンを生成する家庭用製品を特定するものではない。

 今回の研究に携わったイェール大学の化学工学者ウィリアム・ミッチ氏は、第四級アミンは処理課程で除去される場合と、生物学的変化を生じて第三級アミンになるものがあると指摘する。第三級アミンはニトロソアミンをさらに多く発生させる物質である。

 「問題はこれらの誘引物質の多くが高分子の有機化合物(ポリマー)であることだ。現在の分析方法ではポリマー濃度の測定には限界があるため、確かなことがわからない」と同氏は言う。ポリマーは基本となる単純な構成単位が繰り返し結合してできた鎖状の分子である。

 「だからこの点でも今回の結果は忠告にすぎない。ポリマーの第四級アミンを測定して関連性を示すことはできないからね」。 (National Geographic News May 3, 2010)
 
 アミン類とは何か?
 洗剤やシャンプーに含まれているアミン類が下水処理場で普通に使われる、消毒剤クロラミンと反応して、発がん性物質、ニトロソアミンを生成するとは驚きである。

 アミン類とは何だろう? 

 アンモニアの水素原子を炭化水素基で1つ以上置換した化合物の総称である。置換した数が1つであれば第一級アミン、2つであれば第二級アミン、3つであれば第三級アミンという。また、アルキル基が第三級アミンに結合して第四級アンモニウムイオンとなる。一方アンモニアもアミンに属する。

 こうしたアミン類は何に使われるのだろう?

 2級アミンである、DEA(ジエタノ-ルアミン)や3級アミンである、TEA(トリエタノールアミン)に合成され、さまざまな化粧品・洗剤などのの製造時にpH調整剤として使用されている。例えば、スキンローション、アイジェル、モイスチャー、シャンプー、シェービングクリーム等である。

 クロラミンとは何か?
 それでは、消毒剤クロラミンとはなんだろう?

 クロラミン (chloramine) または窒素上に塩素原子を持つ窒素化合物である。 アンモニアの水素原子を塩素原子で置き換えた化合物にはモノクロラミン(クロロアザン、NH2Cl)、ジクロラミン(ジクロロアザン、NHCl2)、トリクロラミン(塩化窒素、NCl3)の3種があり、単にクロラミンといった場合は普通モノクロラミンのことを指す。

 ジクロラミンは不安定な化合物であり、単離することができない。化合物群の呼称のクロラミン、モノクロラミン等は慣用名の無機化合物に対する呼称であり、~アミンとつづられるが狭義には有機化合物のアミン類を含まない。

 低濃度のモノクロラミンは塩素の代用として水道水の消毒に用いられる。塩素よりも安定で消費者のもとに届くまで消散することがない等の利点から、モノクロラミンの使用は増加しつつある。比較的無害な炭化水素であるメタンなどの有機化合物の存在下でもクロロホルムや四塩化炭素などのハロメタン類を生成させず、塩素のように不快な悪臭を生じさせないので水道水の味が良くなるとされる。

 観賞魚などを飼育する場合、モノクロラミンは魚に有毒なので水道水から取り除かねばならない。 塩素は数日間放置することによって揮発するが、モノクロラミンは揮発性が少なく、より安定なため、観賞魚店などで手に入るチオ硫酸ナトリウムなどの薬剤で除去しなければならない。

 ニトロソアミンとは何か?
 次に発がん性物質、ニトロソアミンとは何だろう?

 ニトロソアミン (nitrosoamine、nitrosamine) とはアミンの誘導体のうち、アミン窒素上の水素がニトロソ基に置き換わった構造をもつ化合物群のこと。中には発がん性などの生理活性が知られる物質がある。

 ニトロソ基は -N=O という構造を持つ基であり、この基を持つ有機化合物をニトロソ化合物(nitroso compound)という。ニトロソ化合物は R−N=O 構造を有する有機化合物である。

 ニトロソ化合物には発癌性をもつものがある。中華人民共和国河南省安陽市、林県、広東省汕頭市周辺には食道癌や胃癌の患者が多いが、この地域の漬物などの食品中に含まれるニトロソアミンなどのニトロソ化合物が影響しているともいわれる。

 また、魚介類に多く含まれるジメチルアミンが、ハム、ソーセージなどの発色剤、保存料として使用される亜硝酸ナトリウム等と化合して発癌性のあるニトロソジメチルアミンとなることも指摘されている。

 シャンプーの問題成分
 シャンプーや洗剤などにそんな危険な物質がひそんでいるとは知らなかった。さて、シャンプーや洗剤の成分は何だろう?

 水を基材に、ラウレス硫酸ナトリウムといった洗浄剤、増泡剤、保湿剤、キレート剤、香料、防腐剤が成分である。

 これらの成分のうち、他に問題な成分ないのだろうか?

 シャンプーで避けたほうがよい成分に、ラウリル硫酸Na、ラウリル硫酸カリウムなど、「ラウリル」と「硫酸」がつく成分がある。石油系合成界面活性剤のひとつで、表示指定成分である。また、同じ石油系のラウレス系(ラウレス硫酸Na、ラウレス硫酸TEAなど)の界面活性剤が、成分表示の上のほうに来るものも避けたほうがよい。

 なぜ避けたほうがよいのかというと、これらの界面活性剤は、洗浄力が強すぎるため、頭皮や髪そのものに必要な脂質まで取り過ぎてしまうから。皮膚に残りやすく、毛根などに悪影響をおよぼすこともある。パーマやカラーのくり返しなどで傷んでいる現代人の髪は、髪を守っているキューティクルがはがれたり、ささくれたりしているので、髪の内部の栄養が抜けやすくなっている。そこに洗浄力の強いシャンプーを使うと、シャンプーするたびに髪の傷みが激しくなることになる。

 しかしこれらの成分は、市販のほとんどのものに含まれている。洗浄力が高くて泡立ちやすく、原料が安価で大量生産が可能であるため、価格競争の激しい市販品で使われることが多いのだ。主成分がよくないと、どれだけツバキ油やホホバオイルといった髪によい成分を配合しても、洗浄成分の影響力が強すぎるために、効果はマイナスになってしまう。

 シャンプーのおすすめ成分
 ではどんな成分のシャンプーがよいのだろうの?

 アミノ酸系、ベタイン系など、両性界面活性剤をつかったシャンプーがおすすめ。例えば、「ココイル加水分解コラーゲンK」など、さまざまな成分があり、どんどん進化していくので、よい成分を列挙して覚えておくより、「避けたほうがよい成分」を覚えて、消去法で選ぶほうが楽。美容室でおすすめされるシャンプーは、このタイプが多い。

 これらの成分が主成分になっているシャンプーを、両性系とか、アミノ酸系、ベタイン系とよびます。洗浄力が優しいため、髪の汚れは落としてくれますが、必要以上に髪の成分を流出させない。また、汚れを落としながら、髪の栄養となるたんぱく質の成分を髪にくっつける効果があるので、洗浄と一緒に、傷んだ髪を修復することができる。傷んだ髪にはトリートメントと考える人がほとんどですが、よいシャンプーは、泡立てて放置すれば、栄養補給もできる。

 

参考HP Wikipedia「アミン」「クロラミン」「ニトロソアミン」 「ラウリル硫酸ナトリウム」・正しいシャンプーの選び方「成分表示

コラージュフルフルシャンプーS なめらか処方 400ml
コラージュ
コラージュ

このアイテムの詳細を見る
【送料無料】 デミ ミレアムシャンプー&コンディショナー 800ml セット
デミ
demi

このアイテムの詳細を見る


ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please 


何とブルーレイの200倍!高密度記録媒体「5酸化3チタン」発見!

2010年05月27日 | 化学

科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!


 新素材「5酸化3チタン」 
 先日、東京工業大学応用セラミックス研究所の北野政明・特任助教、原亨和・教授らは酸化チタンを筒の内径が約5ナノ(10億分の1)メートルサイズのナノチューブ状にすることで、触媒機能を大幅に向上できることを発見した。

 今回、新しい酸化チタンの性質が発見された。東京大学の大越慎一教授(物性化学)は、DVDやブルーレイよりも、格安で大量生産でき、記録密度もはるかに高い、酸化チタン「5酸化3チタン」を発見した。次世代の光記録材料として注目されている。

 この「5酸化3チタン」は、光を当てるだけで電気を通しやすい状態と通しにくい状態を行ったり来たりする金属酸化物を、大越慎一・東京大教授(物性化学)らのチームが発見した。光を使って情報を記録するDVDやブルーレイディスクの材料に比べ、格安で大量生産でき、記録密度もはるかに高いという。23日付の科学誌「ネイチャー・ケミストリー」(電子版)に掲載された。

 大越教授らは、おしろいの原料や光触媒として広く使われている酸化チタン類に着目。チタン原子3個と酸素原子5個が結合した「五酸化三チタン」のナノ結晶(粒径8~20ナノメートル、ナノは10億分の1)を作り、性質を調べた。

 この結晶は、電気を通しやすい黒色の粒子で、紫外線-近赤外線に相当する波長のレーザー光を当てたところ、結晶構造が変化し、電気を通しにくい半導体的な性質に変わった。その逆の変化が起きることも確かめた。最も一般的な「二酸化チタン」のナノ粒子を、炉内に水素を吹き込みながら加熱することで、この結晶を簡単に作る方法も開発した。

 DVDやブルーレイディスクには、ゲルマニウムなどレアメタル(希少金属)の合金が使われている。今回発見した金属酸化物は、価格が約100分の1で安全性も高い。光記録材料として使えば、ほぼ同じ強さの光でブルーレイディスクの約200倍の情報を記録できるという。

 大越教授は「今後、実用化に向けて企業と共同研究していきたい」と話している。(毎日新聞 2010年5月24日)

 光でON-OFFする金属酸化物
 光相転移材料(および光相変化材料)の研究は、学術的にも産業的にも重要な課題の一つである。現在市場で使用されているDVDやブルーレイディスクなどには、光相変化材料として、カルコゲン(例:ゲルマニウム・アンチモン・テルル:GeSbTe)などが用いられているが、高価で希少な元素から成るという弱点がある。

 今回、大越教授らは、界面活性剤を用いた化学的ナノ微粒子合成法により新種の金属酸化物(ラムダ型五酸化三チタン:λ-Ti3O5)(以下、ラムダ型酸化チタンと称す)の合成に成功した。このラムダ型酸化チタンは、金属的な性質を示す黒色の物質で、室温で緑色レーザー光(波長=532 nm)あるいは紫外線レーザー光(355 nm)を照射すると、ラムダ型からベータ型五酸化三チタン(β-Ti3O5)へと光相転移を示す。

 一方、青色レーザー光 (波長410 nm)を照射すると、逆相転移を起こしてラムダ型に戻る。また、この光相転移は、ある条件下での1種類のパルスレーザー光を繰り返して照射するだけでも、λ相→β相→λ相→β相→∙∙∙と繰り返し相転移することが可能である。

 観測されたラムダ型酸化チタンの光誘起金属-半導体転移は、エネルギー的に準安定な状態にあるλ-Ti3O5と隠れた真の安定相であるβ-Ti3O5との間の光による相転移現象に起因することが熱力学的理論計算より明らかとなった(図3)。

 本物質は、現在使用されているDVDやブルーレイなどの光記録メディアにおける実用的な光書き込み動作条件(動作温度、短波長光によるデータの書き込み、適切なレーザー強度閾値)を満たしている。

 また、10 nm程度の微結晶を大量にかつ安価に合成することが可能であり、次世代高密度記録材料に有望であると期待される。加えて、別の合成方法として、光触媒として用いられているアナターゼ型TiO2ナノ粒子を水素気流下で焼成するだけでも、このλ-Ti3O5を得られることがわかっている。(東京大学プレスリリース 2010.5.24)

 記録媒体とは何か?
 フロッピーディスクやCD、MD、MO、DVD、BD、フラッシュメモリなど、データを記録しておくためのしくみを記録媒体という。磁気的、または光学的に記憶を行なうものが主流であるため、薄い円盤(ディスク)状のものが多い。

 このうち光記憶媒体とは、MD、MOなどの光磁気ディスク、CD、DVD、BDなどの光ディスクのことをいう。光記憶媒体は、どんな仕組みになっているのだろう?

 光磁気ディスク
 書き込みにはレーザ光と磁気、読み込みには磁気を使用する。光磁気ディスクでは、200℃になると外部の磁気の影響を受けやすくなる材料が使われており、書き込みではまずレーザ光で記録膜の温度を200℃まで上げ、磁気の影響を受けやすくする。

 次に磁石を使い、磁性体の向きを変えデータを書き込むす。読み取りでは弱いレーザ光を当て、磁化方向により反射光の波の振動方法が変わる性質を利用し、磁性体の向きの変わったデータを読み取る。  
 
 光ディスク
 書き込み、読み込み共にレーザ光を使用する。光ディスクは層で出来ており、このうちの記録層にデータを記録するためのピット(くぼみ)が刻み込まれる。このピットとランド(平面)にレーザ光を照射し、その反射した光の量により、記憶データを検知する。

 記録する方法には、有機色素の記録膜にレーザ光を当て熱し、化学変化を起こしピットを刻む方法と、有機色素の代わりに相変化という物質を使用し、当てるレーザ光を制御することにより結晶状態と非結晶状態を作りだし、ピットを刻む相変化記録方式がある。

 

参考HP Wikipedia「酸化チタン」「記録媒体」 ・東京大学プレスリリース「光でON-OFFする金属酸化物を発見!

図解 わかりやすい高密度記録技術
小林 春洋
日刊工業新聞社

このアイテムの詳細を見る
無料でできる!DVD・地デジ・ブルーレイ 完璧コピーBOOK (タツミムック)

辰巳出版

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please


酸化チタンとは何か?「チタニアナノチューブ」で高効率触媒効果!

2010年05月26日 | 化学
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 酸化チタンの触媒効果 
 酸化チタンとは何だろう?酸化チタンは、白色の絵の具や殺菌効果などを利用した化粧品や食品添加物、日焼けどめなど幅広い用途を持つ物質である。有名なのは「光触媒」とも言われるように、化学反応を促進する「触媒」の機能を持つことが知られている。例えば東京ドームの屋根などに使われていて、有機物などの汚れは、光があれば分解するはたらきがある。

 ただし、化学工業で広く用いることができるほど触媒能力は高くなかった。東京工業大学応用セラミックス研究所の北野政明・特任助教、原亨和・教授らは酸化チタンを筒の内径が約5ナノ(10億分の1)メートルサイズのナノチューブ状にすることで、触媒機能を大幅に向上できることを発見した。

 さらに重要な特徴は室温でも触媒として十分な機能を持つことで、燃料や樹脂,医薬品,洗剤などさまざまな化学品を合成する際に用いられるフリーデルクラフツアルキル化反応で実際に確かめたところ、従来の触媒は100℃の熱を加えなければならないのに対し、室温で働き、効率も3倍以上高まることが分かった。

 酸化チタンは地球上に豊富にあり、ナノチューブ状の酸化チタンはアルカリ水溶液中で加熱するという簡単な方法で合成できる。より高性能の酸化チタン・ナノチューブ触媒を開発することで、化学品生産に要するエネルギー使用量と二酸化炭素(CO2)の排出量を3分の1以下に削減できる、と研究者たちは言っている。(サイエンスポータル 2010年5月13日)

 常温触媒で省エネ効果を高める
 社会を支える化学品は触媒を使って生産されている。触媒を機能させるには熱エネルギーが必要であり、より少ないエネルギーで高速で働く触媒を開発すれば,エネルギー消費とCO2排出を削減できる。

 固体酸触媒は燃料や樹脂、医薬品、洗剤などの化学品の生産に必要不可欠な物質であり、さまざまな固体酸触媒を用いた化学プラントが現代社会に必須の化学品を生産している。化石資源の高騰・枯渇、地球温暖化が深刻化する近未来に向け、一層の省エネルギー、CO2排出削減が必要となる。このため、より高活性な固体酸触媒の創出が社会と産業から求められている。

 原教授らはCO2を中心とする温室効果ガスの大量排出産業である化学工業で、少しでもCO2排出削減につながる技術開発に取り組んでいた。特に触媒を使った化学反応では触媒を機能させるために熱を使うので、室温で優れた機能を発揮する触媒の探索に力を入れていた。各種の候補を検討する中で、もともと光触媒として有名な酸化チタンを取り上げた。

 酸化チタンだけでは化学反応の触媒としては十分な性能ではなかったが、これをナノレベルにして、しかも丸めてチューブにすれば、別の機能が生まれると考えた。試してみると、室温で実用に十分な触媒機能があることを発見した。

 チタニアナノチューブとは何か?
 この地球上に豊富に存在し、入手が容易で安価なチタニアをアルカリ水溶液中で加熱することにより、ナノチューブ状のチタン酸化物(チタニア)が合成できる。チタニアナノチューブはナノサイズのシート状のチタニア(酸化チタン)を筒状に丸めた形状であり、筒の内径は約5ナノメートルである。

 チタニアナノチューブは簡便な方法で合成できるため低コストで大量合成が可能であり、資源量が2番目に多い遷移金属であるチタンから構成されているため、実用的観点からも極めて有望である。

 この固体触媒は分離・回収・再利用にエネルギーを必要とせずに既存のどの固体酸触媒よりも高い酸触媒性能を発揮でき、さらに室温で高効率に反応を進行させることができるためCO2排出削減に貢献できまる。

 今後、チタニアナノチューブが高い酸触媒性能を有するメカニズムを明らかにすることにより、さらに高性能なチタニアナノチューブの開発を目指し、環境調和型の触媒プロセスを構築する。(東京工業大学プレスリリース 2010/05/12)

 酸化チタンとは何か?
 酸化チタンとは主に、二酸化チタンのことで、組成式 TiO2、式量 79.9 の無機化合物。チタンの酸化物。

 二酸化チタンは、フッ化水素酸,熱濃硫酸および溶融アルカリ塩に溶解するが、それ以外の酸,アルカリ,水および有機溶剤には溶解しない。

 白色の塗料、絵具、釉薬、化合繊用途などの顔料として使われる。これはチタン白(チタンはく)、チタニウムホワイトと呼ばれる。また光触媒など機能材料として使われている。絵具として他の色と混ぜて使った場合、日光に長期間さらされると光触媒の作用によって脱色したり、絵具が割れてしまったりする場合がある。

 人体への影響が小さいと考えられているため、食品や化粧品の着色料(食品添加物)として利用されている。微粉末は紫外線の散乱剤として日焼け止め、サンスクリーン剤にも使われる。 

 1972年、東京大学の本多健一と藤嶋昭は、「酸化チタンを用いた水の光分解」に関する論文をネイチャー誌に発表した。これは、粉末状の酸化チタンを水中に入れ、光を当てるとそれだけで、水素と酸素に分解され、それぞれの気泡が発生するというもの。これが世界で初めて発見された「光触媒」であった。(Wikipedia)

 

身近なナノテク酸化チタン・酸化亜鉛を知る (日経ものづくりの本)
石橋 賢一,窪田 吉信
日経BP社

このアイテムの詳細を見る
高機能な酸化チタン光触媒―環境浄化・材料開発から規格化・標準化まで
安保 正一
エヌティーエス

このアイテムの詳細を見る
ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please

ナノ配向結晶体(NOC)で鉄より強いプラスチック(強度7倍)誕生!

2010年04月20日 | 化学
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 プラスチックとは?
 私たちの身近にある、プラスチックにはどんな種類があるだろう?

 ポリエチレン (PE)、ポリプロピレン (PP)、ポリ塩化ビニル (PVC)、ポリスチレン (PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ酢酸ビニル (PVAc)、テフロン® (ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂 (PMMA)など...。

 プラスチックの語源は何だろう?プラスチック(Plpastic)という言葉は、ギリシャ語に語源をもつ英語「plasticity(可塑性)」からきている。

 やわらかく、可塑性が高く、薬品にも強い、おまけに軽くて便利。もし、これに鉄のような強さが加われば、“鬼に金棒”の素材ということになる。固くて強い、プラスチックはこれまで夢の存在だった。

 その夢の技術を、広島大学の彦坂正道特任教授(高分子物理学)らのグループが発明した。町工場で簡単にできるうえ、車に使えばバンパーや内装、車体の外板やガラスなど、材料の40%以上に活用できるという。省エネや省資源、低コスト化にも貢献できるという。いったいどんな技術なのだろうか? 

 鉄より強いプラスチック?
 「鋼のように強く、軽くて安いプラスチックを開発した」と、広島大の彦坂正道特任教授(高分子物理学)と岡田聖香博士研究員らが、4月19日発表した。

 材料は、食品容器など身の回りで広く使われているポリプロピレン。研究チームは、溶けた材料を冷やして固める際、上下から瞬時に板でつぶして延ばすと、材料の中に微小な結晶がたくさんでき、それが一方向に並んで強く結びつく構造が生じることを発見した。

 この結果、引っ張る力に対する強度が普通のポリプロピレンの約7倍、鉄鋼やステンレスの約半分に高まった。厚さを2倍にすれば鋼板並みの強度を確保でき、重さは4分の1で済む。また、繰り返し曲げても割れにくく、ガラス並みに透明にもできる。彦坂教授は「この方法ならつぶす工程が加わるだけで、町工場でも簡単に製品に使える」と説明する。(毎日新聞 2010年4月19日)

 プラスチックはなぜ柔らかい?
 これまでのプラスチックは、強度や耐熱性などの材料特性が金属などより著しく劣るために高度な性能要求に応えることができなかった。その原因は、結晶にならない部分の比率(非晶率)の高さにある。同じ炭素でできた結晶「ダイヤモンド」は逆に非晶率が低く、世界一固い物質になっている。

 プラスチックの結晶性高分子は長いひも状分子だが、融液(液体)中で毛玉のように互いに絡み合う部分が多いために、これらが薄い板状結晶にしかなれず、非晶と結晶が層構造を成し「球晶」というゴルフボールのような結晶体になる。つまり、球晶内には結晶にならず、固化しただけの非晶が半分以上残ってしまうのだ。

 そこで世界中の科学者たちは「結晶化度」の増大の方策を探求してきた。

 プラスチックを固くする?
 彦坂特任教授と岡田博士研究員らは、大型放射光施設Spring-8(理化学研究所 所有)を利用して、高分子結晶化初期のナノレベルのメカニズム解明に乗り出した。「結晶性高分子の結晶化初期メカニズム解明は不可能」というのが世界の高分子専門家の常識とされている中、10年近い歳月を費やして「結晶の赤ん坊」であるナノ核生成の直接観察に成功し、2007年に結晶化初期のメカニズムを明らかにした。

 この「高分子結晶化メカニズムの解明」をスタートラインとして、本研究グループは、結晶化を制御することによって、従来はなかった新しい構造と活性の発現を目指す研究を続けた。

 本研究グループが、高結晶化度と超高性能実現の方策として狙いを定めたのは、「ナノ配向結晶体(NOC:Nano Oriennted Crystals)」。ひも状の高分子鎖が、融液段階で、毛玉状に絡まっているために非晶が発生するのだから、これを一定方向にきれいに並べた上で結晶化すれば、結晶化度の高いナノ配向結晶体が実現すると考えた。

 そのためには、高分子融液を引っ張って伸ばしながら結晶化させる必要がある。しかし水を引っ張ることができないのと同様に、融液つまり液体を引っ張ることは簡単にはできない。問題は、いかにして融液を伸長するかということだった。

 ナノ配向結晶体(NOC)プラスチックの誕生
 そこで発案したのは、融点以下に冷やした高分子の融液(これを過冷却融液と言う)を潰す(Compress)ことによって伸長するというアイデア。左右に細長い溝の中に融液を入れて瞬間的に圧力を加えて潰すと、融液内には左右に広がる激流が生じ、急流にさらされた布のようにひも状分子が引き伸ばされ、高配向したナノ結晶が実現する可能性があると考えた。

 本研究グループは、このアイデアを実現して、Spring-8において観察し、この仮説の正しさをナノレベルの解析で検証することに成功した。

 研究の結果、融点以下に冷やした高分子の融液を潰す圧力と速度を変えながら伸長と配向の様子を観察したところ、1秒間に数百倍も伸長するような、大きな伸長歪み速度によって、同じ結晶化温度でも結晶化が一気に100万倍も速くなる「臨界伸長歪み速度」が確認された。

 このとき、過冷却融液中の高分子鎖が平行に並んだ完璧に近い配向融液になり、無数の核がミリ秒オーダーで生成し、融液全体の92%が結晶化することが確認された。「NOC」の実現が確認された瞬間である。

 NOCは、引っ張り破壊強度、つまり引っ張る力に耐える強度が同重量の鉄鋼の2~5倍という値を示し、しかも耐熱性は通常のポリプロピレンより50℃以上高い176℃。また光の波長より小さいナノ結晶であるがゆえに高い透明性を示した。さらに何も混ぜ物を加えないので、高い収率でリサイクルができる可能性がある。しかも高分子融液を潰すという単純な工程が加わるだけなので、従来の成形法を少し改良した成形法で成形ができるために、製造コストは従来のプラスチックと大差ない。

 このひも状分子は、炭素が共有結合で連なっているものなので、ダイヤモンドと同じ強度を持っている。つまり無数のナノ結晶が整然と並び、これをダイヤモンドと同等の強度を持つひも状分子がしっかりと連結している構造だったために超高性能が生まれたと考えられる。本研究グループは、この構造を「鎧モデル」と名づけた。

 繊維強化プラスチックとは?
 これまでのプラスチックにも、鉄のように強いものがあった。例えば繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics, FRP)。繊維強化プラスチックの代表的なものにガラス繊維強化プラスチック (GFRP) と炭素繊維強化プラスチック (CFRP) がある。ガラス繊維は引っ張り強度がプラスチックよりはるかに強いので、成型部品の強度向上によく使用される。

 安価なプラスチック製ヘルメットは殆どがGFRPである。薄い色のヘルメットを透かして見ればガラス繊維が見える。炭素繊維の強度はガラス繊維より更に強いが高価なので、CFRPは軽くて強い(高価な)素材として航空機等に使用されている。

 繊維強化プラスチックは、金属材料(合金)よりも丈夫で軽量なことが多く、重量と燃費が関係する乗り物での利用が多い。とくに軽量化が非常に重視される航空機や宇宙機では多用される。

 例えばボーイング787では、重量の50%近くが複合材料に占められるほどになっている。一方で、これまで幅広く使用されてきたアルミニウム合金(ジュラルミンなど)は複合材料に置き換えられ、使用量は減少傾向にある。ほかに自動車などでの利用もある。

 エンジニアリングプラスチック
 従来よりプラスチックは可塑性に優れ加工し易いという利点があるが、これが同時に柔らかくて、もろく、硬度や対磨耗性は金属に比べ総じて低い。また強い紫外線を含む太陽光や風雨に曝される過酷な環境下では劣化(風化)しやすく、油脂を含む所定の溶剤に曝された場合にも劣化してしまう問題点があった。

 エンジニアリングプラスチック(エンプラ)という言葉が初めて登場したのは、1960年にアメリカのデュポン社が「金属に代わるプラスチック」と銘打ってポリアセタールホモポリマー(POM)を商品化した時である。

 そして、従来繊維用途が主体だったポリアミド(PA)がエンプラ用途にも使用され始めた。その後、ポリアセタールコポリマー、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、そして1941年にはポリエチレンテレフタレート(PET)、1970年にポリブチレンテレフタレート(PBT)が開発された。

 スーパーエンジニアリングプラスチック
 エンプラよりも更に高い熱変形温度150℃以上にも、長期 間使用できる特性を持つ熱可塑性樹脂。エンプラは「100度(単位:摂氏)以上に耐えるもの」で、スーパー・エンプラが「150度以上で長期間耐えるもの」となっている。

 スーパーエンプラとして、次のようなものがある。

 非晶ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、
ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)など。

 

参考HP Wikipedia「プラスチック」・広島大学プレスリリース「鉄鋼のように強い汎用プラスチック 

先進複合材料工学
辺 吾一,石川 隆司
培風館

このアイテムの詳細を見る
エンプラの化学と応用 (新産業化学シリーズ)
長谷川 正木
大日本図書

このアイテムの詳細を見る

 ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please


電気自動車(EV)を高速充電!「SGCNT」と「LTO」の組み合わせ

2010年04月12日 | 化学
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 バッテリーの充電
 携帯電話・デジカメなどの充電に時間がかかり、イライラしたことはないだろうか?

 きっと誰にでもあると思う。電気自動車も充電時間が長い。現在、家庭用コンセントだと1時間で10~20キロ・メートル分。フル充電には8~14時間かかる。急速充電器なら、15~30分であるが、どこにでも設置できるわけではない。また、最大8割までの充電しかできない。

 電気自動車には意外なところに課題があった。これに対し日産自動車は、日米で来年から発売する電気自動車(EV)に、バッテリーを交換するシステムを導入することが計画されている。これにより、長時間の充電が不要なEVシステムになるが、取り替えが少々面倒だ。もし、充電時間が短くなればそれにこしたことはない。



 高性能キャパシタ
 今回、東京農工大学の直井勝彦教授らが、携帯電話やデジタルカメラのメモリーバックアップ用電源などに使われるキャパシタ(蓄電装置)の性能を、チタン酸リチウム(LTO)と単層カーボン・ナノチューブ(SGCNT)を使って大幅に向上させることに成功した。

 これまでの製品に比べて体積あたり4.5倍の電気を蓄え、3.8倍の速さで放出する。電気自動車の電源や、出力が不安定な自然エネルギーの貯蔵などにも、利用が広がると期待される。

 これまでのキャパシタは、電極に活性炭などを利用していたが、直井教授らは大容量の電気を蓄えることのできるチタン酸リチウムに着目。チタン酸リチウムは、結晶が大きいと充電・放電に時間がかかるのが難点だったが、カーボンナノチューブを15~20%混ぜることで、10万分の1ミリ・メートル以下の極微の結晶にすることに成功した。この複合材料を負極に使うことで、キャパシタの性能が大幅に向上した。

 直井教授は「キャパシタは、すばやく充電・放電できるのが長所だが、容量が電池の10分の1程度に限られていた。容量などが向上したことで、幅広い用途に使える」と期待している。(2010年4月12日 読売新聞)

 チタン酸リチウム
 新素材カーボンナノチューブとチタン酸リチウムを使ったのが素晴らしいアイデアであった。ところでチタン酸リチウムとは何だろうか?

 チタン酸リチウムは、リチウムイオン電池の負極に使われている素材。2007年12月東芝は高い安全性を確保しつつ、急速な充放電を繰り返しても10年を超える長寿命を備えるLiイオン2次電池「SCiB(Super Charge ion Battery)」を開発した。現在の主流になっている。

 リチウムイオン(Li-ion)電池は、水を使わず電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う二次電池である。現在では、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にはこれまでグラファイトなどの炭素材を用いるものが主流であった。

 リチウムイオン電池
 1980年代には最初のリチウム電池が製品化されたが、これには金属リチウムを負極活物質に用いたため化学活性がきわめて高く、可逆性や反応性に問題があった。NTTのショルダー型携帯電話などで発火事故が相次ぎ、実用化されたとは言いがたく広く用いられることはなかった。

 このため金属リチウムを代替する材料の探索が進められることとなる。吉野彰らは白川英樹が発見した導電性プラスチックポリアセチレンに注目し、1981年にリチウムイオンと組み合わせることで非水系電解液を使った二次電池の負極に利用できることを見いだした。

 その後、負極にグラファイト、電解質溶媒として炭酸エチレンを組み合わせることにより、より安全でかつ、電圧が金属リチウム二次電池に近い電池が得られることがわかった。これらの材料により、現在のリチウムイオン二次電池の構成がほぼ完成され、1990年代に実用化された。

 1998年頃より、電解質にゲル状のポリマーを使うリチウムイオンポリマー電池が市場に登場する。また外装に、従来の鉄やアルミニウムの缶ではなく、レトルト食品に使用されるアルミラミネートフィルムが使われ、万が一の事故時の反応が穏やかで安全性が向上した。

参考HP Wikipedia「リチウムイオン電池」・東農工大NEWS RELEASE「大容量ナノハイブリッドキャパシタ開発 

よくわかる電池 (入門ビジュアル・テクノロジー)

日本実業出版社

このアイテムの詳細を見る
リチウムイオン二次電池―材料と応用

日刊工業新聞社

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please 


うつの改善などに効果!青魚に多い「ω-3脂肪酸」とは何か? 

2010年03月18日 | 化学
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 魚に多い「ω3系脂肪酸」
 食物に含まれる脂肪の種類が精神面の健康に影響するという研究報告が国内外で積み重ねられてきた。

 とくに注目されているのはサバなど青魚に多い「ω(オメガ)3系脂肪酸」。うつの改善や攻撃性の低減などに効果があるという報告が相次いでいる。効果がなかったとする報告もあり、科学的な検証はまだ途上だが、うつ病患者が国内で100万人を超える中、食事の見直しが心の健康対策に役立つかも知れない。

 代表的なω3系脂肪酸はサンマ、イワシ、ブリなど魚に多く含まれるEPA、DHAと、シソ油などに多いα(アルファ)リノレン酸。中性脂肪を減らし、動脈硬化を防ぐ効果がわかっている。

 

 うつの改善に効果
 精神面への影響の研究は1990年代後半から始まった。魚をよく食べる人は自殺企図が少ない(日本、フィンランド、米国)といった疫学調査のほか、被験者にω3系の油と偽薬(植物油など)を無作為に割り当て、どちらかわからない形で服用してもらって効果の有無を見る実験的な研究も各国で行われてきた。

 その結果、攻撃性や衝動性が減る(日本)、うつが改善する(米国、英国、台湾)といった報告がなされ、産後うつや認知症の予防効果を示唆する研究もある。

 一般の植物油に多いリノール酸など「ω6系脂肪酸」との相対的な量に着目し、うつの高齢者は血液中のω3系の比率が低いとした調査(オランダ)もある。
 
 ただ、関連や効果が見られなかったとの報告も複数ある。各種の研究を分析した米国の昨年の論文は「うつ病の治療手段になる可能性があるが、大規模な試験が求められる」としている。 (2010年3月15日 読売新聞)

 ω-3脂肪酸とは?
 ω-3脂肪酸は、n-3脂肪酸ともいい、不飽和脂肪酸の分類の一つで、一般にω-3位に炭素-炭素二重結合を持つものを指す。

 栄養学的に必須なω-3脂肪酸は、α-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)である。ヒトは、ω-3脂肪酸をデノボ合成することはできないが、18炭素ω-3脂肪酸のα-リノレン酸から20-, 22-炭素の不飽和ω-3脂肪酸を形成することができる。

 これらの変換は、リノール酸から誘導される必須なω-6脂肪酸と共に競争的に起こる。ω-3脂肪酸のα-リノレン酸とω-6脂肪酸のリノール酸はどちらも食物から摂取しなければならない必須な栄養素である。

 体内で起こるα-リノレン酸からの長いω-3脂肪酸の合成はω-6類似体によって競争的に抑制される。したがって、ω-3脂肪酸が食物から直接得られたとき、またはω-6類似体の量がω-3の量を大きく上回らないとき、組織内での長鎖ω-3脂肪酸の蓄積は効率的である。

 EPA・DHA
 エイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic acid、EPA)またはイコサペンタエン酸(Icosapentaenoic acid)は、ω3 脂肪酸の一つ。ごく稀にチムノドン酸(Timnodonic acid)とも呼ばれる。EPAは、5つのシス-二重結合をもつ20炭素のカルボン酸である。

 EPAは、プロスタグランジン、トロンボキサン-3、ロイコトリエン-5(すべてエイコサノイド)の前駆体である多価不飽和脂肪酸の1つである。 ヒトでは、体内で合成できないα-リノレン酸から体内でEPAを合成できるため、広義では必須脂肪酸となる。健康目的でDHAとともにサプリメントに用いられている。

 ドコサヘキサエン酸( -さん、Docosahexaenoic acid、略称 DHA )は、不飽和脂肪酸のひとつ。6つの二重結合を含む22個の炭素鎖をもつカルボン酸 (22:6) の総称であるが、通常は生体にとって重要な 4, 7, 10, 13, 16, 19 位に全てシス型の二重結合をもつ、ω-3脂肪酸に分類される化合物を指す。

 

参考HP Wikipedia「ω-3脂肪酸」「EPA」「DHA」  

AA,EPA,DHA―高度不飽和脂肪酸

恒星社厚生閣

このアイテムの詳細を見る

食物繊維・鉄・カルシウム・ビタミンA・DHA・EPAおかず104選 (レディブティックシリーズ (1864))

ブティック社

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please 


フラーレンが高密度記憶媒体に?従来より10倍以上の記憶力!

2010年03月07日 | 化学
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 フラーレンとは何か?
 フラーレンとは何だろう?フラーレンとは最小の構造が多数の炭素原子で構成されるクラスター(集合体)の総称である。構造の始まりが14個であるダイヤモンドや6個のグラッフェンやグラファイトと異なり、数十個の数の原子から始まる炭素元素同素体である。

 1985年に最初に発見されたのは、炭素原子60個で構成されるサッカーボール状の構造を持ったC60フラーレンである。この発見により、ハロルド・クロトー、リチャード・スモーリー、ロバート・カールは、1996年度のノーベル化学賞を受賞した。

カーボンナノチューブも炭素原子で構成されるクラスター(集合体)なのでフラーレンに分類される。 一般的なのはC60フラーレンでサッカーボール状の構造をしているが、炭素数が70, 74, 76, 78……のものも単離されている。

 フラーレンはサッカーボール型のユニークな形が印象的であるがさまざまな特性があり、医薬、化粧品、潤滑剤など多様な利用法が考えられている。

 高密度記憶媒体
 今回、物質・材料研究機構の研究チームは、フラーレンのひとつC60が超高密度のデジタル情報を書き込み、書き変え、読み出しできる次世代情報素子になり得る方法を開発した。

 現在実用化されている高密度情報蓄積技術に比べ約1,000倍、基礎研究レベルの技術と比べても10倍以上の超高密度デジタル情報を蓄積できる、と研究チームは言っている。

 物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の中山知信グループリーダー、中谷真人研究員、大阪大学大学院工学研究科の桑原裕司教授らが開発した方法は、C60分子へ電圧をかけたり、切ったりすることでC60分子同士が化学結合したり、結合が解消されたりする性質を利用している。シリコンないしグラファイトの基板上にC60の超薄膜を形成、とがった金属針を接近させて電圧をかけたり、切ったりすることで、デジタル情報が蓄積できることを確かめた。

 現在、最も普及している記録素子であるハードディスクドライブ(HDD)の蓄積密度は、1平方インチあたり約300ギガビット。研究グループは1平方インチあたり190テラビット(テラは1,000ギガ)の超高密度デジタル情報を記録、消去、再記録させることに成功している。この動作が室温でできるのも長所だ。

 現在、1秒あたり約1キロビットの動作速度を高速化させることが今後の課題、と研究グループは言っている。(サイエンスポータル 2010年3月5日)

 フラーレンの記憶原理
 本研究グループは、新しい原理で駆動するエレクトロニクスの構築を目指して、C60分子間へ化学結合を形成した状態(結合状態)と結合を解消した状態(非結合状態)を自在に制御する方法を開発してきた。今回、フラーレンC60分子2)の超薄膜を記録媒体として利用し、現在実用化されている高密度情報蓄積技術に比べ約1,000倍、基礎研究レベルの技術で比較しても従来の10倍以上の超高密度デジタル情報を蓄積する方法を開発した。

 通常、C60分子は分子間力で凝集し固体結晶を構成しているが、高温・高圧条件下や電子線などの照射によって分子間に化学結合が形成されることが知られていた。このたびの情報蓄積法の開発は、分子薄膜中の意図したC60分子の結合/非結合状態を室温制御する新しい方法の発見と、その現象の機構を詳細に解明する基礎研究に基づいて行われた。

 記録媒体であるC60超薄膜へ先鋭化させた金属針を接近させ、金属針直下のC60分子へ化学反応を誘起する研究を系統的に行ったところ、C60分子の結合状態と非結合状態を意図的に選択する方法を見出した。結合状態(“1”)と非結合状態(“0”)からデジタル情報を構成し、情報蓄積を行ったところ、既存のストレージ素子の約1,000倍の面密度でデジタル情報を記録、消去、再記録することに成功した。この蓄積情報は、室温下で良好な不揮発性を示す。さらに、“1”および“0”状態を簡便に読み出す方法を考案し、その実証にも成功した。研究グループは結合するC60分子の数の制御によって、”2”, “1”, “0”の多値記録にも成功した。

 本研究成果の詳細は学術雑誌Advanced Materials(出版社:WILEY-VCH)へオンライン掲載されており(DOI: 10.1002/adma.200902960)、現在印刷中である。また、今回発表された、記録媒体とそれを用いた情報蓄積方法は国際特許出願済(PCT/JP2008/054917)である。

 フラーレンの性質
 フラーレンは物理的に極めて安定で、水や有機溶媒に溶けにくい性質を持つ。このため、この物体単体の利用開発が妨げられている。

 だが、化学反応性には富み、化学修飾をほどこし水溶性を増させることで、いろんな分野での開発研究が進められており、様々な試薬と反応することが知られている。これは球面状に芳香環が歪められているため芳香族性が低下し、適当な反応性を持つためと考えられる。

 これまで考えられてきたフラーレンの利用方法には、潤滑剤、医薬、化粧品などがある。

 潤滑剤
 フラーレンをグラファイトの基板で挟み込むことで、接触面の動摩擦がゼロのナノギアになるという。これは喩えれば、パチンコ玉を敷き詰めた上に板を載せるとよく滑るようなものである。ナノレベルの超潤滑剤や、ナノベアリングとしての応用が期待される。

 また、フラーレンを混合したポリウレタン樹脂を表面に塗布したボウリングのボールなどのスポーツ用品、エアコンのオイルなどが実用化されている。

 医薬
 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の特効薬としての利用が検討されている。HIVは増殖の際にHIVプロテアーゼという酵素を必要とする。この酵素は脂溶性の空隙があり、ここにちょうどフラーレンがはまり込んでその作用を阻害する。このためある種のフラーレン誘導体は抗HIV活性を示し、臨床試験が進行中である。

 遺伝子の導入にフラーレンが有効であることが判明している。C60フラーレンに4つのアミノ基をつけた水溶性フラーレン(TPFE)はDNAとの結合が可能である。DNAと結合したTPFEは細胞膜を通り抜けた後に分離し、放たれたDNAは発現する。フラーレンは低毒性で、TPFEを使った遺伝子治療は安全だといわれている。遺伝子導入には今までウイルスや脂質類似物を「運び屋」として使う方法があったが、臓器障害などの安全性の問題があった。

 しかし、東大大学院理学系研究科の中村栄一教授と東大医学部付属病院の野入英世准教授らの、マウスを使った実験ではTPFEによる遺伝子導入に臓器障害が見られなかったという。また、TPFEは安価で大量生産できるため、TPFEによる遺伝子治療は安価で利用できるという。

 化粧品
 活性酸素やラジカルを消去する作用により、美肌効果や肌の老化防止効果があるとされており、美容液やローションなどに配合されている。

 

参考HP Wikipedia「フラーレン」・物質材料研究機構「従来より10倍以上超高密度のデジタル情報 

サッカーボール型分子C60―フラーレンから五色の炭素まで (ブルーバックス)
山崎 昶
講談社

このアイテムの詳細を見る
グラフェンの機能と応用展望 (エレクトロニクスシリーズ)
斉木 幸一朗,徳本 洋志
シーエムシー出版

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please


不思議!95%水プラスチック?新素材「アクアマテリアル」開発!

2010年01月30日 | 化学

 水分が多いものと言えば?

 人の約70%は水分だという。水中にすむ魚になると水分は80%。コンニャクでは96~97%が水分となり、クラゲになると99%以上も水分を含むものがある。

 これだけ、水分が多くても一定の形を保っているのは、もちろん、水以外にいろいろなものが含まれているからである。水などの液体や気体に固体の小さな粒が混じったものを分散系という。分散系の中で、液体や気体など流動状のものをゾルといい、これが固まったものをゲルという。コンニャク、豆腐、ゼリー、寒天はゲルの例である。

 コンニャクには水以外に「グルコマンナン」が主成分として混ざっている。グルコマンナンはグルコースとマンノースが2:3-1:2の比率で重合した多糖類の一種で、これが架橋して水分を含みながらネットワークをつくり、ゲル化してコンニャクをつくっている。

 今回、全体の95%以上が水分なのに、コンニャクの500倍も強く、切ってバラバラにしてもくっつけるだけで元にもどる不思議な新材料を、東京大の相田卓三教授たちのチームが開発した。環境や生体への負荷が少なく、主に手術の材料など医療分野への応用が期待される。

 例えば、手術中にも簡単につくれ、傷口をふさぐ材料に使ったり、人工関節の成分として使ったりできる。強度を高めるなどの改良を進めれば、プラスチックなど一部の石油製品を代替する可能性もあるという。廃棄後には、自然界の酵素によって分解するエコな素材だ。 
 
 高強度アクアマテリアル
 東京大学 大学院工学系研究科の相田 卓三教授らは、高強度で透明なアクアマテリアルの開発に成功した。このアクアマテリアルの、95%以上は水である。2~5%の層状粘土鉱物(クレイ)と、わずか0.4%に満たない有機高分子化合物と水を混ぜるだけで簡単に得られた。

 今までに知られているどの含水材料よりはるかに高い強度を持ち、形状保持性とともに自己修復性も有している。これらの優れた性質は、このアクアマテリアルの分子が非共有結合性の相互作用のみによって形成されている。

 このアクアマテリアルの開発成功は、有機高分子化合物として、親水性の高分子の両末端をクレイと親和性の高い陽イオンのデンドロン基で修飾した高分子化合物を利用し、扇状に分子が広がるデンドロン基とクレイの層(クレイナノシート)の表面との相互作用によって、クレイナノシートを高度に均一に分散させた非共有結合性の架橋構造を実現したことによるもの。

 また、クレイを極少量のポリアクリル酸塩などのポリアニオンで予め処理すると、強度がさらに6倍にまで向上することも発見。さらにミオグロビンなどの生理活性のあるたんぱく質を、その活性を損なうことなく取り込むことも明らかになった。

 近年、環境問題はますますその重要性を増している。地球上の生命の源であり、クリーンな物資の象徴である「水」から構成される本研究のアクアマテリアルは、究極の環境無負荷材料への道を切り開くものである。

 なお、このアクアマテリアルを構成する高分子化合物は、人体から容易に排出され生物学的に易分解性であり、また、クレイは天然由来の安全な物質として化粧品などに広く用いられているものを使用している。

 本研究成果は、2010年1月21日(米国東部時間)に英国科学雑誌「Nature」のオンライン速報版で公開される。

 アクアマテリアルの材料
 
アクアマテリアルの成分は、水分95%。これ以外にはクレイ2~5%、Gn-binderと呼ばれる高分子0.4%、ポリアクリル酸ソーダ(ASAP)微量の4つの成分からできている。

 クレイは天然に存在するふつうの粘土で、クレイナノシートが層状に積み重なった構造を持っている。ASAPの水溶液とクレイを混合すると積層したクレイナノシートのエッジの正に帯電した部分がアニオン性のASAPに覆われてクレイを構成するクレイナノシートが1枚1枚はがれて、水中に均一に分散するようになる。

 この分散液を撹拌しながら親水性のポリエチレングリコール鎖の両末端にグアニジニウムカチオンを有するデンドロン基(枝分かれ構造)で修飾したGn-binderを加えると、グアニジニウムカチオンが多数のオキシアニオンの存在する、クレイナノシートの表面と相互作用して、長いポリエチレングリコール鎖を介してクレイナノシートを結合し、3次元の網目構造を形成した透明なハイドロゲルを生成する。

 このハイドロゲルの生成は、Gn-binderを加えてから3分以内という極めて短い時間で完成する。強度の高いハイドロゲルを得るためには、クレイをあらかじめASAPで処理するプロセスが極めて重要で、この操作によりクレイナノシートがきれいに分散して3次元網目構造を形成するために十分な表面積が確保される。ASAPで処理していないクレイを用いてもハイドロゲルは生成するが、得られるゲルの強度は約1/6に過ぎず、また、このようなハイドロゲルにASAPを後添加してもゲルの強度は向上しないことが明らかになった。

 奇跡の強度と自己修復性
 ハイドロゲルの強度はクレイナノシートの濃度とGn-binderのデンドロン基の世代(分岐回数)に依存し、クレイナノシートの濃度が高いほど、またGn-binderのデンドロン基の世代が高い(分岐回数が多い)ほど強度の高いハイドロゲルが得られる。5%のクレイナノシートとG3-binderを用いて作製したハイドロゲルの剛性は0.5MPaに達し、約95%の水分を含有していながらこれほどの強度を有する超分子ハイドロゲルはいままでに知られていない。

 このハイドロゲルに強い力を加えるとゲルの構造が破壊されて擬液体状態となるが、力を取り除くと直ちにハイドロゲルの状態に戻り、剪断力の付加―解除を繰り返しても再現性よく擬液体―ハイドロゲルの転移が繰り返される。このハイドロゲルが優れた自己修復性を有することが明らかとなった。

 自己修復性を有するハイドロゲルの最初の例として、コポリペプチドから成るハイドロゲルが知られているが、これらのゲルの強度はたかだか1kPaに過ぎず、また、擬液体状態からハイドロゲルへの回復には約1時間を要するようなものだった。

 興味深いことに、今回のこのハイドロゲルのブロックをスライスして得た断片を、スライスした直後に貼り合わせれば容易に新たなブロックが形成される。メチレンブルーで青色に着色したゲルのブロックと無着色のゲルのブロックから切り出した断片を交互に貼り合わせて得たブロックが十分な強度を保っている様子を見ることができる。

 またこのハイドロゲルは鋳型の中で作製すれば形状を付与することができるが、こうして作製したハイドロゲルの形状は、ゲル中の水をテトラヒドロフランなどの有機溶媒で置換しても、保たれることが明らかになった。

 さらに、このハイドロゲルが生理活性のあるたんぱく質を変性させることなくゲル内に取り込むことを明らかにした。たとえば、ミオグロビンは過酸化水素によるオルソフェニレンジアミンの酸化反応の触媒活性を有することが知られているが、このミオグロビンはハイドロゲルに取り込まれても71%の活性を保持していた。(出典:JST) 

参考HP 科学技術振興機構(JST)「高強度・自己修復性のあるアクアマテリアル」 

ゾル‐ゲル法の科学―機能性ガラスおよびセラミックスの低温合成
作花 済夫
アグネ承風社

このアイテムの詳細を見る
ゾル‐ゲル法のナノテクノロジーへの応用 (新材料シリーズ)
作花 済夫
シーエムシー出版

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please